2021年ウェブ解析士(日本語)テキスト

8. 第7章:オウンドメディアの解析

第7章
オウンドメディアの解析

あなたは、広告、ソーシャルメディア、メールのインプレッション効果と併せて、ユーザーの消費行動からエンゲージメントを高めることや、間接効果の考え方から効果的なトラフィックの考え方が理解できました。

ウェブ解析レポートでは、インプレッション数とトラフィック数が増えてきました。「やったー効果が出てきた、順調、順調」

そんな時、また先輩がアドバイスをしてくれました。「順調そうで、よかった。次は、コンバージョン率を上げることだね。頑張ってね」

「トラフィックが増えているから、コンバージョン数も増えているんだけど、コンバージョン率って?? そして、コンバージョン率ってどうやって上げるんだろう・・・」

またまた、新しい悩みができました。


第7章では、オウンドメディアの効果を最大化させるための解析手法と改善方法、そして、オウンドメディアの収益化を学びます。

  • 「7-1. オウンドメディアの解析」では、オウンドメディアの効果を最大化させるための解析方法を学びます。
  • 「7-2. インタラクション解析」では、アクセス解析では取得が難しいウェブサイトでのユーザーの挙動の取得方法を学びます。
  • 「7-3. オウンドメディアの最適化手法」では、ランディグページ最適化(LPO)とエントリーフォーム最適化(EFO)を学びます。
  • 「7-4. オウンドメディアでの広告収益化」では、オウンドメディアでの収益化の手法を学びます。

7-1 オウンドメディアの解析

オウンドメディアの特徴の1つとして、自分でコントロールしやすいメディアであることが挙げられます。ソーシャルメディアやそのほかのメディアは自分でコントロールできません。他者の干渉なくユーザーとの継続的な関係を続けるには、オウンドメディアの存在が重要になります。

オウンドメディアとしての自社のウェブサイトは、マイクロサイトとして企業情報程度のシンプルな内容で構築することも増えています。特に東南アジアや中国では、ソーシャルメディアだけで完結するデジタルマーケティングもよく見かけます。Instagramで商品を告知し、そのまま販売するケースや、FacebookページやTaobao(淘宝網)のアカウントのみでビジネスを行い、ウェブサイトを持たない企業もたくさんあります。

2020年の新型コロナウイルス感染拡大時には、Googleマイビジネスでデリバリーやテイクアウトを告知し、Instagramで集客をする、またはUber Eatsなどのサービスで購入を促す、といったように、オウンドメディアが介在しないデジタルマーケティングを展開していた店舗・企業も多かったのではないでしょうか。

しかし、デジタルマーケティングを行うなら、オウンドメディアを持つことをお勧めします。なぜなら、ソーシャルメディアでの自社の投稿の露出や告知は、プラットフォーマーによってコントロールされているからです。最近、Facebookは企業アカウントのオーガニックインプレッションを減らしているので、広告の活用が必要不可欠となっています。また、いくらソーシャルメディア上でつながりを集めても、 何らかの理由でユーザーとのつながりが切れてしまうと、何もできなくなってしまう可能性があるのです。

さらに、オウンドメディアのほうが深いコミュニティを創造できます。ソーシャルメディア上のユーザーは、日々さまざまな情報をソーシャルメディアで得ており、その関心はどんどん変化しています。コミュニティの存在は重要ですが、もっとエンゲージメントの高いコミュニティを創造しようとすれば、ソーシャルメディア上でのコミュニティでは表面的な内容でしかコミュニケーションできない場合が多いのです。例えば、メーカーやレストランが自社の製品やサービスのファンを集め、よりよい製品を作るためのディスカッションをしたり、新製品のレビュー をしたりするようなファンとのコミュニティを作ろうとするなら、ソーシャルメディアよりもオウンドメディアのほうが向いています。

そして他のプラットフォームで製品やサービスを提供すれば、手数料がかかり、その分利益を圧迫します。自社の製品やサービスのファン層には、割引や特典を提供したとしても、オウンドメディアで注文してもらったほうが粗利は高くなります。事業を継続的に成長させるためにもオウンドメディアは必要です。

クラウドの流行もあって、今ではサーバーやドメインも低コストで調達できます。そして、サーバーとドメインがあればオウンドメディアは維持できるので、オウンドメディア上で蓄えた顧客の情報は自社で活用できます。

継続的にユーザーとのエンゲージメントを高めるためにはオウンドメディアの活用を強くお勧めします。

7-1-1. 解析の分類と単位

オウンドメディアの解析は、解析する対象によってディメンションメトリクスが変わってきます。

図:解析の分類

図:解析の分類

1.ユーザー解析

訪問頻度、デバイスなどユーザーを行動や属性によって分類します。単位として主にユーザー数を用います。訪問などのトラフィックが関わる場合はセッション数を用いることもあります。

2. トラフィック解析

検索エンジン、SNSなど流入(トラフィック)によって分類します。単位として主にセッション数を用います。離脱率などコンテンツと関わる分析ではページビューを用います。

3. コンテンツ解析

ページ、イベントトラッキングなどオウンドメディアのコンテンツによって分類します。単位として主にページビュー数を用います。ただしランディングページの直帰率などトラフィックと関係する動きはセッションも用います。

4 コンバージョン解析

目的ページ到達数、商品購入数などコンバージョンによって分類します。単位として主にセッション数を用います。ただし目標の設定によってユニークページビュー数(同じセッションでそのページに何度訪問しても1として数えるページビュー数。)やユーザー数を用いることもあります。

アクセス解析ツール上での注意

[図:Googleアナリティクスでページごとの指標を表示したところ]はGoogleアナリティクスでページごとのページビュー数セッション数、コンバージョン数を表したものですが、セッション数よりコンバージョン数が多くなっています。

GoogleアナリティクスやAdobeアナリティクスでは、セッションは最初に見たページでカウントするため、セッションの途中で閲覧したページはセッションがカウントされないことが理由で起きた現象です。

どの分類の解析にどのメトリクス(指標)を使うべきか正しい判断が必要です。

図:Googleアナリティクスでページごとの指標を表示したところ

図:Googleアナリティクスでページごとの指標を表示したところ

7-1-2. 各指標の注意点

アクセス解析ツールで測定される指標は、測定方法によって想定と異なるデータになることがあります。次のような注意点を理解してデータを利用してください。

ページビュー数を測定する場合

最もシンプルなカウント方法であるため、測定方法・計算方法などによるズレが最も少ない指標ですが、次のような理由で値が異なることがあります。

1つには、クローラーなどのノンヒューマンアクセスは、サーバーログ型やパケットキャプチャではカウントされますが、ウェブビーコン型ではカウントされないことが挙げられます。ウェブビーコン型はJavaScriptを用いて測定していますが、クローラーはこのようなJavaScriptを無視することが多いため、ウェブビーコン型のアクセス解析ツールが反応しないのです。

また、ウェブブラウザがキャッシュしたページでは、測定方法で値が異なることがあります。

「キャッシュ」とは

⼀度訪問したページをウェブブラウザが保存して、次に訪問したときにウェブサーバーにアクセスせずに保存したデータを表⽰するウェブブラウザの機能のこと

ウェブビーコン型の場合、ウェブブラウザ上で表示すれば計測タグが読み込まれるので、インターネットに接続された環境であれば計測することが可能です。一方、サーバーログ型やパケットキャプチャ型ではカウントされません。

セッション数を測定する場合

セッション数を測定するには、ページごとのページビューとセッションを関連付ける必要があります。主に、次のような方法があります。

ウェブビーコン方式ではCookieを利用し、サーバーログ方式やパケットキャプチャ方式ではIPアドレスユーザーエージェントを利用します。IPアドレスユーザーエージェントの場合、同一の接続ポイント経由で複数のパソコンから、同じユーザーエージェントでアクセスがある場合は、異なる端末による閲覧であっても同じセッションと見なされます。

一方、公衆回線を使ったモバイル経由のアクセスでは、移動によってIPアドレスが変化するため、同じ端末でも異なる端末によるセッションと見なされます。Cookieで測定している場合においても、Cookieを受け入れない設定をした端末ではページを閲覧するたびにセッションが切れるので注意が必要です。また、スマートフォンは基本的にサードパーティーCookieを受け入れない設定なので、サードパーティーのアクセス解析ツールでは同様にセッションが切れます。

なお、一般的なアクセス解析ツールでは、ウェブブラウザを閉じるまでセッションが継続します。計測対象のウェブサイトから移動し、別のウェブサイトを閲覧しただけではセッションは切れません。つまり、別のサイトを閲覧後に再び計測対象のウェブサイトを訪れると、セッションは継続していることになります。

セッション終了時間の設定を変更できるツールもあり、[図:セッションが切れる条件]のような設定の場合、同じページを30分以上見続けているとセッションが切れたと判断します(Googleアナリティクスなど)。

なおGoogleアナリティクスでは、外部サイトが参照元になっているとセッションが切れるため、問題はありません。また、1日の終わり(24時)でもセッションが切れます。

図:セッションが切れる条件

図:セッションが切れる条件

ユーザー数を測定する場合

ユーザー数の測定で主に用いるCookieは、ウェブブラウザごとに管理されるデータであるため、同じ人が異なるウェブブラウザや端末でアクセスした場合には同じユーザーと判定できません。例えば、同一人物が個人用パソコンと会社用パソコンとスマートフォンそれぞれでアクセスした場合、3ユーザーとしてカウントされることになります。

このように、ウェブサイトにアクセスする機器が多様化していることも相まって、ユーザー数の正確なカウントは難しいとされています。その対策として、ウェブサイト内でユーザーが会員IDを使ってログインする場合には、Cookieにその情報を関連付けることで、異なるウェブブラウザや端末経由の訪問も同一のユーザーとして測定するという方法もあります。ただし、そのためには自分のアカウントでログインする仕組みを構築し、ユーザーには登録してもらい、毎回ログインするインセンティブを与える必要があります。

また、アクセス解析ツールで新規ユーザーとリピーターを計測するときには、次のような問題が起こる可能性があります。

  • アクセス解析ツールを導入する以前に訪問実績のあるユーザーが、新規ユーザーと判定される
  • Cookieが削除されていたりセキュリティツールでCookieが無効になっていたりする場合、リピーターも新規ユーザーと判定される
  • Cookieの有効期限が切れたユーザーが新規ユーザーと判定される

図:新規ユーザー率測定の注意点

図:新規ユーザー率測定の注意点

このような特性により、新規ユーザーは測定時期によって変わります。例えば、[図:新規ユーザー率測定の注意点]のような場合、1月1日から8月31日までの新規ユーザー率は100%となりますが、8月1日から8月31日の新規ユーザー率は50%となります。だからといって、新規ユーザーが減少したという判断はできないことに留意してください。

また、「ユーザー」という言葉の定義が関係者間で異なる認識になっている場合があることにも注意が必要です。ネットショップ支援サービスなどでは、アクセス解析ツールとは異なる方法で新規購入者とリピート購入者の記録を「ユーザー」として取得していることがあります。サポートサイトの運用では、製品の利用者を指して「ユーザー」としているケースがあります。念のため、言葉の定義をレポートに追記するなどして関係者間で認識のズレがないようにしてください。

滞在時間を測定する場合

多くのアクセス解析ツールでは、ページ別滞在時間は、対象とするページの閲覧開始時刻と、次に見たページの閲覧開始時刻との差で求めます。セッション別滞在時間は、セッションの最初に見たページの閲覧開始時刻から最後に見たページの閲覧開始時刻までです。

つまり、最後に閲覧したページの滞在時間は求めることができないのです。また、直帰したセッションは滞在時間が0秒になります。このことから、ページ別やセッション別の平均滞在時間も注意が必要で、本来なら滞在時間0秒のセッションについては分母に加えるべきではありません。しかし、ほとんどのアクセス解析ツールでは分母に加わっているので、平均滞在時間は注意して利用してください。

図:最後のページの滞在時間は合算されない

図:最後のページの滞在時間は合算されない

[図:最後のページの滞在時間は合算されない]の上の例の場合、セッションには最後に見た「商品ページB」の滞在時間は合算されないため、滞在時間は8分となります。滞在時間の測定はセッションが継続している間、続きます。セッションの項目で説明したとおり、一般的には同一ページを30分以上見ているとセッションを切ります。

[図:最後のページの滞在時間は合算されない]の下の例では、最初のアクセスでは18:10以降にサイトから離脱していますが、18:35にまた閲覧を開始しています。この場合、間の25分間も滞在時間に含まれるので、滞在時間は35分となります。

解析ツールによっては、ウェブブラウザを閉じても30分以内に再びウェブブラウザを開いた場合にセッションをつなぎ直す機能を持つものや、セッションだけではなくリファラー参照元)も見て、外部サイトからの流入の場合にセッションを分けるものもあります。Googleアナリティクスでも同様の仕様で滞在時間を測定していますが、閲覧最後のページでイベントが発生したときはその時間を終了時間と見なしています。つまり、「ボタンを押した」「リンクをクリックした」といった挙動にイベントトラッキングを設定していれば、そのイベントが実行されたときを最後の時間として測定するようになっているわけです。

なお、アクセス解析ツール(特にヒートマップツール)の中には、定期的にユーザーの閲覧を確認することで最後のページの滞在時間がわかるものもあります。

図:滞在時間の計測方法

7-1-3. ユーザー解析

ユーザー解析は、オウンドメディアに来訪するターゲットをユーザー属性ごとに比較しながら行います。ユーザー属性には、次のようなものがあげられます。

  • 年代
  • 性別
  • 地域
  • 利用しているデバイス
  • 興味関心のあるカテゴリ
  • 購買意欲の高いカテゴリ

このとき、以下の点に注意して解析を行いましょう。

仮説立てとデータによる検証

ユーザー解析で最も重要なことは、「ターゲットの属性と心理状況を知る」ことです。そのためには、直接データから属性を見る前に、しっかりとした仮説立てから始める必要があります。

表:解析前の仮設立てと検証シート

指標

仮説

測定値

気づき

指標

仮説

測定値

気づき

新規セッション率

スマホ比率

直帰率

地域

Page/Sessions

年齢

コンバージョン率

性別

PDCAの基本でも説明したように、データを見る前に、「対象となるメディアを利用するユーザーはどのような年代や性別か?」「何を目的にどのような端末でいつアクセスするのか?」を、仮説を立ててからデータで検証し、気づきを得ることが、ユーザー解析の精度を高めるポイントになります。

ユーザーエクスプローラーによるミクロ解析

Googleアナリティクスには、ユーザー軸で一連の行動を把握することができるユーザーエクスプローラーという機能があります。

このレポートを見るメリットは、定量的な解析だけでなく、コンバージョンしたユーザーや特定の条件でセグメントしたユーザー1人の行動を抽出し、ミクロ解析を行うことができることです。

ユーザー心理の仮説検証の際に、そのセグメントに当てはまるユーザーを3〜5人程度抽出し、流入元や閲覧しているコンテンツなどから心理状況を把握することで、仮説検証の精度を高めることができます。

7-1-4. トラフィック解析

オウンドメディアのトラフィックは、リファラーとパラメーターを用いて分類を行うことで状況を把握できます。リファラーには、次のような情報が含まれています。

  • ページのドメイン
  • ページのURL
  • ページのパラメーター

これらの情報を知ることができますが、実際にどのようなメディアなのかまではわかりません。そのため、アクセス解析ツールでは、「チャネル」と呼ばれる内容に基づいた分類を行っています。Googleアナリティクスなどで使われる主なチャネルを[表:主なチャネル]にまとめました。

DirectからReferralまでは、リファラーがあれば判別して振り分けられます。しかし、Display以降についてはパラメーターを用いることで判別します。また、パラメーターを用いることでチャネルを変更したり、アクセス解析の設定でSocialやOrganic Searchに加えるメディアを増やしたりできます。

表:主なチャネル

チャネル名

概要

Direct

ノーリファラー参照元なしと同義語。リファラーが取得できず、パラメーターでも判別できないトラフィック。ここに分類される要因は次の項目の「チャネルがDirect(ノーリファラー)となる要因」に記載

Organic Search

自然検索ともいい、主に検索エンジンからのトラフィック

Social

Facebook、Twitterなどのソーシャルメディア経由のトラフィック。YouTubeやメッセンジャーも含まれる

Referral

上記のどれにも属さないウェブサイトからのトラフィック。例えば企業のページや個人のブログなどが該当する

Display

ディスプレイ広告経由のトラフィック。リマーケティング広告なども含まれる

Affiliates

アフィリエイト広告経由のトラフィック

Paid Search

検索エンジン連動型広告からのトラフィック。CPCCost Per Click)、PPC(Pay Per Click)ともいう

Email

メール経由のトラフィック。ただし、一般的にはメール経由の訪問はノーリファラーに分類されるので、パラメーターを付けて判別する

Other Advertising

DisplayにもPaid Searchにも該当しない広告

(other)

どのチャネルにも当てはまらないトラフィック

チャネルがDirect(ノーリファラー)となる要因

チャネルがDirect(ノーリファラー)となる場合、つまりリファラーが取得できない要因は、主に次の5つです。

表:Direct(ノーリファラー)の代表的な要因

要因

備考

➀メール本文に記載されたURLをクリックした場合

メール本文のURLをクリックした場合は、パラメーターを設置しないとノーリファラーとなる

②お気に入り(ブックマーク)から訪問された場合

前のページとなるリファラー参照元)がないため、必然的にノーリファラーとなる

③URLを直接入力した場合

②と同様

SSLで暗号化されているページから、暗号化されていないページへ遷移した場合

SSLで暗号化したページは知らせないため、結果的にノーリファラーとなる

⑤アプリ経由の場合

通常、ウェブブラウザ以外のアプリによるアクセスはノーリファラーになる。ただし、アプリがリファラーを付与するケースもある

ウェブブラウザ上のメーラーでメール一覧をクリックした場合は、リファラーとして残ることもあります。当然ですが、リファラーを確認してもメーラー内部なので詳細は把握できません。

表に挙げた代表的な5つのほかには、WordやExcelなどのアプリケーションからのリンクや、RSSの一部、Flash内やJavaScriptを使用したリンクについてもノーリファラーとして扱われる場合があります。

ノーリファラーの解析のポイント

ノーリファラーは、トラフィックがわからないため、URLにパラメーターを付与したり、専用のランディングページを別に設けてアクセス元を取得したりするなどの対策によって特定します。ユーザーによるソーシャルメディアでの投稿など、パラメーターを付与できず、リファラーの特定が難しいノーリファラーの訪問では、少ない情報から状況を把握する必要があります。

一般的には、これらの対策を行った上でノーリファラーによる訪問の比率が高い場合、検索エンジン経由やその他のウェブサイトからのアクセスの比率が低いことを意味します。言い換えると、新規ユーザーの多い経路からの訪問が少ないということです。新規集客施策が不足しているため、検索エンジンやそれ以外のリファラー(ブログなど)からの流入が少ないということが考えられます。

しかし、ノーリファラーでも新規訪問率が高くなる場合があります。リファラーを消している公共の掲示板に記載されたときや、SNSやメッセンジャーで話題になり、新規に訪問している場合です。直帰率が高い場合、多くのユーザーが目的の情報がないと判断している可能性がありますが、必要な情報を得て目的を達成したためにページを閉じている可能性もあります。このような新規訪問率や直帰率からユーザー像やリファラーを推測し、施策を考えましょう。

ノーリファラーの解析例

実際の例から考えてみましょう。ノーリファラー経由のアクセスを確認したところ、ランディングページ別に次のようなデータを得られたとします。

表:ランディングページ別のノーリファラーの解析結果

ランディングページ

セッション

新規訪問率

直帰率

ページA

10,000

30%

80%

ページB

10,000

80%

30%

ページAは、新規訪問率が低くリピーターが多いといえます。リピーター向けの情報にそれほど関心を持たれていないかもしれません。リピーターが関心を持ちそうなリンクを増やす、バナーを目立たせるといった施策が考えられます。

ページBは新規が多く、直帰もしていません。ブックマークやアドレスを直接ブラウザに入れればノーリファラーになるのですがその場合、1度は訪問しているはずです。新規訪問率が高いということは、それ以外の理由でノーリファラーになるケース、つまりリファラーを出さないメールやモバイルアプリ経由で多くの人の目に留まったのでしょう。さらに新規ユーザーの目に触れるように、記事の広告やPRを強化してもよいでしょう。

このように、同じセッション数でも、ほかの指標を見ることでユーザー像もリファラーもまったく異なり、施策が変わってきます。実務でも数字の関係からユーザーとリファラーを理解するようにしてください。

ソーシャルメディアのリファラー解析

ソーシャルメディア経由のトラフィックは、ウェブブラウザ経由であればリファラーが取得できます。ただし、ソーシャルメディアが提供するアプリ経由の場合は、通常、ノーリファラーになります。したがって、こういったアプリ経由でのトラフィックを測定するためには、パラメーターを設定するようにします。

アクセス解析ではソーシャルメディアごとのセッション数の多さや滞在時間の長さを見ることで、集客効果や関心を持たれているメディアがわかります。ソーシャルメディアの自社アカウントではパラメーターを使わないと投稿記事ごとの反応はわかりませんが、ランディングページを見ることである程度推測できます。

[図:ソーシャルメディアからの流入(ランディングページ)]を見ると、セッション数の多いところが、必ずしも滞在時間やPages/Sessionsが高いわけではないことがわかります。

図:ソーシャルメディアからの流入(ランディングページ)

図:ソーシャルメディアからの流入(ランディングページ)

Organic Searchのリファラーの解析

Organic Searchのリファラー参照元)を見ることで、検索エンジンごとのトラフィックがわかります。ただし、現在ではGoogleなどの主要な検索エンジンは検索クエリをリファラーに含めていないため、アクセス解析では検索した具体的な検索クエリがわかりません。アクセス解析では、ランディングページをもとに検索フレーズを推測します。具体的な検索クエリ情報を知るためには、Google Search Consoleなどのウェブマスターツールを併用する必要があります。

7-1-5. コンテンツ解析

自社サイトには、次の4つの役割があります。

  1. ランディングページ
  2. 回遊ページ
  3. フォームページ
  4. コンバージョンページ

自社サイトへの訪問者(ユーザー)は、主に1〜4の順番で推移します。[図:自社サイト構造ファネル]のようなファネル(漏斗状)の構造になっています。

図:自社サイト構造ファネル

図:自社サイト構造ファネル

サイトの構造とは、実際にはユーザーの導線上での行動です。サイトのトップページが必ずしもランディングページとなるわけではなく、検索流入やソーシャルメディア流入などのユーザー行動によって、ランディングページや回遊ページは変化します。つまり、あるユーザーにとってはランディングページとして機能していたページが、別のユーザーにとっては回遊ページになることがある場合があります。

ファネルでの解析はセッション単位で行うことが一般的です。同じ単位(セッション)で測定しなければ正しい割合(ランディングページから回遊ページに到達した割合など)が計算できないためです。アクセス解析ツールではページの解析はページビュー単位やユニークページビュー単位の計測になるため注意が必要です。

そのため、次の計算式を使います。

セッション数=サイト全体のセッション
回遊数=セッション数—直帰数
フォーム到達数=フォームに到達したセッション
コンバージョン数コンバージョンに到達したセッション

1.ランディングページ

ランディング(着陸)という言葉のとおり、最初にユーザーが見るページです(別名「入口ページ」)。ランディングページの評価を行う指標の1つに、「直帰率」があります。直帰率が高いランディングページは、ユーザーを次のページに遷移させることができず、ユーザーを逃していると判断できます。

2.回遊ページ

ユーザーが2ページ目以降として閲覧するページです。ランディングページに対する類似コンテンツやサービス・商品ページなどが回遊ページとなりますが、ランディングページを意図して作成したページが回遊ページとして閲覧されることもあります。回遊ページで直帰しなかったセッションのことを「回遊数」といいます。また、回遊したものの、次のフォームに至らなかった割合を「回遊離脱率」といい、次に述べる「フォーム到達数」あるいは「フォーム到達率」とセットで利用されます。回遊離脱率の高いページは、ユーザーを逃していると判断できます。なお、通常の離脱率はページビュー単位で測定しますが、回遊離脱率はセッション単位で測定することに注意しましょう。

回遊離脱率(%) 
=フォーム離脱数÷回遊数×100
=100%— フォーム到達数÷(セッション数—直帰数)× 100

3.フォームページ

コンバージョンにつながるフォームがあるページです(別名「エントリーフォーム」)。ショッピングカートや資料請求フォームページなどが該当します。なお、フォームページに誘導するボタンを「CTA(Call To Action)」や「反応装置」と呼びます。

フォームページに到達した数は「フォーム到達数」、フォームページの成果を測定する指標は「フォーム離脱率」と呼びます(ショッピングカートでは「カート破棄率」と呼びます)。フォームに到達したもののコンバージョンに至らなかったセッションは、フォームの内容やサービス(クレジットカード決済がないなど)に問題があると判断できます。

フォーム離脱率(%)
=カート破棄率
=フォーム離脱数÷フォーム到達数
=100%—コンバージョン数÷フォーム到達数×100
=100%—コンバージョン数 ÷(セッション数—直帰数—回遊離脱数)×100

4.コンバージョンページ

コンバージョンになったと判断するページです。商品購入完了ページや問い合わせ完了ページがコンバージョンページとなります。なお、ページ単位で測定できないケースもあります。例えば、電話注文が多い場合は、ページの「電話をかける」ボタンを計測してコンバージョンの代替としたり、電話注文件数を測定したりします。コンバージョンの数を増やすには、先に述べたファネルの階層ごとの改善を行う必要があります。

7-1-6. オウンドメディア改善の計画立案

改善の際は、トラフィック解析とコンテンツ解析を併せて改善点を判断しましょう。改善施策を立案するには、現状の指標の状況から改善優先順位をつけながら、目標を達成するために必要な改善施策と必要な指標を決定します。

目標達成に向けたファネルの階層ごとの指標算出

次の例では、とある企業が現状1,000万円の売上を1,500万円に伸ばすことを目標にしているとします。その際の改善案の考え方を見てみましょう。

図:あるウェブサイトのファネルの解析と改善

図:あるウェブサイトのファネルの解析と改善
フェーズ別の解析

以下ウェブサイトでコンバージョンを10件から15件に伸ばす計画を立案するときに3つの施策が考えられます。ここではサイトの改善なのでセッション数で施策を考えます。

単位:セッション

現状

施策1

施策2

施策3

セッション

2000

2000

2000

2000

回遊数

800

1200

800

800

フォーム到達数

200

300

300

200

コンバージョン数

10

15

15

15

直帰率

60.00%

40.00%

60.00%

60.00%

回遊離脱率

75.00%

75.00%

62.50%

75.00%

フォーム離脱率

95.00%

95.00%

95.00%

92.50%

施策1

直帰を改善してコンバージョンを増やしています。後述のLPO(LandingPageOptimaization)を活用するなどして、次ページへの導線強化や、魅力的な商品を掲載するなどが有効です。

単位:セッション

現状

施策1

セッション

2000

2000

回遊数

800

1200

フォーム到達数

200

300

コンバージョン数

10

15

直帰率

60.00%

40.00%

回遊離脱率

75.00%

75.00%

フォーム離脱率

95.00%

95.00%

施策2

ランディングページからの導線を強化することや、CTAの改善が有効です。

単位:セッション

現状

施策2

セッション

2000

2000

回遊数

800

800

フォーム到達数

200

300

コンバージョン数

10

15

直帰率

60.00%

60.00%

回遊離脱率

75.00%

62.50%

フォーム離脱率

95.00%

95.00%

施策3

フォームを改善しています。後述のEFO(Entry Form Optimization:フォーム最適化)を 活用するなどで注文フォームの入力フォームの改善や決済方法の見直しが効果的です。

単位:セッション

現状

施策3

セッション

2000

2000

回遊数

800

800

フォーム到達数

200

200

コンバージョン数

10

15

直帰率

60.00%

60.00%

回遊離脱率

75.00%

75.00%

フォーム離脱率

95.00%

92.50%

改善率や改善効果を見ればわかる通り、一般的にはフォーム、回遊の改善を優先しましょう。フォームに比べランディングページは多数ある上に、必要な改善率の割にコンバージョン数は増えないためです。この例ではコンバージョンを 5 件増やすのに、直帰率は20.00%の改善が必要なのに対し、フォーム離脱率は2.50%の改善で可能になります。

このようにサイト全体の問題をファネルを使って見極め、重点的に改善しましょう。

あるリードジェネレーションモデルのウェブサイトのファネルの解析と改善

次にリードジェネレーションサイトの売上向上のための施策を検討します。売上を10,000,000円から15,000,000円にするとき、どのような改善をするか施策ごとに検討します。

改善案1 リスティング広告を活用した流入増加施策

目標達成のために、リスティング広告を使って流入を増やした場合を考えてみましょう。

受注に至るまでの指標(直帰率、回遊離脱率など)は、現時点では改善しないものとします。売上目標が1.5倍になるので、必要なトータル流入数も1.5倍の9,600件となります。自然流入を差し引いたリスティング広告経由での流入として必要なのは3,200件だとわかります。リスティング広告費用が1クリックあたり100円とした場合、3,200件×100円で、リスティング広告費用は32万円と算出できます。

売上達成の手段はリスティング広告だけではありません。あとで説明するLPO(Landing Page Optimization)などでランディングページを改善し、直帰率を下げることで目標達成を目指す例を考えてみましょう。

表:ある企業の現状と改善案1

単位:セッション

現状

改善案1

セッション

6,400

9,600

直帰率75%

 自然流入

6,400

6,400

 広告流入

0

3,200

回遊数

1,600

2,400

回遊離脱率50%

フォーム到達数

800

1,200

フォーム離脱率90%

コンバージョン数

80

120

商談率25%

商談数

20

30

受注率50%

受注数

10

15

客単価

¥1,000,000

¥1,000,000

売上

¥10,000,000

¥15,000,000

CPC

¥100

広告費用

¥320,000

改善案2 リスティング広告と併せてランディングページを改善し直帰率を下げる施策

売上目標から逆算するという基本的な考え方は改善案1と同じです。改善案2は、ランディングページを改善し、直帰率を下げることに成功した例ですが、この場合、必要とされるトータル流入数が改善案1の場合よりも少なくなります。

その結果として、リスティング広告で必要な流入数も少なくなるため、リスティング広告にかかる費用も少なく済みます。この例の場合、リスティング広告費用は16万円安くなります。つまり、ランディングページの改善に同額のコストをかけてもよいことがわかりますし、リスティング広告と異なりランディングページの改善効果は数カ月継続することを前提とすれば、16万円以上の費用をかけても割に合うといえます。

表:ある企業の現状と改善案2

単位:セッション

現状

改善案2

セッション

6,400

8,000

直帰率75%から70%へ改善

 自然流入

6,400

6,400

 広告流入

0

1,600

回遊数

1,600

2,400

回遊離脱率50%

フォーム到達数

800

1,200

フォーム離脱率90%

コンバージョン数

80

120

商談率25%

商談数

20

30

受注率50%

受注数

10

15

客単価

¥1,000,000

¥1,000,000

売上

¥10,000,000

¥15,000,000

CPC

¥10

広告費用

¥160,000

改善案3 フォーム離脱率を改善し広告費用をかけない施策

フォーム離脱率を改善することで広告費用をかけない方法を考えてみましょう。具体的には、後述のEFO(Entry Form Optimization:フォーム最適化)などの手法を活かし、フォーム離脱を減らす施策を実施します。

この改善案3では、フォーム離脱率を85%に改善することでコンバージョンが増え、広告費用をかけずに売上目標を達成できるようになります。改善例1で計算したリスティング広告費用としてかかっていた32万円をフォーム改善のためにかけてよいということになります。

以上、広告予算を投入すると、ある程度確実にトラフィックを増やすことができますが、毎月広告コストがかかります。一方、直帰率やフォームの改善は一度行うとその効果はある程度継続するはずなので、毎月コストが掛かることはありませんが、改善できるかどうかは実施してみないとわかりません。

最終的にどこを改善するかはウェブサイトやビジネスの状況が一番重要です。どの施策が正しいということはありません。ビジネスの状況や改善できる点が明らかになっているか、改善すべき箇所が多いかなどを元に総合的に判断してください。

表:ある企業の現状と改善案3

単位:セッション

現状

改善案3

セッション

6,400

6,400

直帰率75%

 自然流入

6,400

6,400

 広告流入

0

0

回遊数

1,600

1,600

回遊離脱率50%

フォーム到達数

800

800

フォーム離脱率90%から85%へ改善

コンバージョン数

80

120

商談率25%

商談数

20

30

受注率50%

受注数

10

15

客単価

¥1,000,000

¥1,000,000

売上

¥10,000,000

¥15,000,000

CPC

0

広告費用

0

7-1-7. 中国での企業のオウンドメディアの必要性

中国で事業を展開するためは、オウンドメディアとしてのコーポレートサイトが必要です。ほかの国と同様に、きちんとしたサイトがないとお客さまから信用されにくくなっています。多くの企業を紹介する企業ディレクトリのようなサイトにコーポレートサイト的なページを開設している会社もありますが(この場合は次項のICPは不要となる)、これでは信用を得ることはできません。

なお、中国の主要ソーシャルメディアでは企業の公式アカウントを持つことができるので、多くの会社はウェブサイトとソーシャルメディアのアカウントを連動させて広報やプロモーションを行っているという点も押さえておきましょう。

サーバーの注意点

中国のサーバーでサイトを開設するためには、中国でICP登録を行う必要があります。

ICP登録

ICP 登録とは、中国でウェブサイトを開設するための登録証のことです。外国企業は、中国にある法人が登録する必要があります(中国人に限っては個人での登録も可)。 中国でウェブサイトを展開していくには、中国にあるサーバーが理想的です。 しかし、中国に法人登録をしていない企業は中国のサーバーを使えません。その場合は中国から見て海外にサーバーを置くことになります。中国の規制に従う義務はありませんが、画面の表示速度が低下するなどの問題が生じることがあります。なお、ウェブサイトやサーバーに関しては香港も「海外」扱いなので、 ICP が登録できない場合は、比較的他国よりも中国からアクセスしやすい香港のサーバーでウェブサイトを開設することもできます。

フォントの選び方

中国語ウェブサイトを制作する際には、中国語できちんと表示されるフォントを選ぶ必要があります。例えば「源ノ角ゴシック(Source Han Sans)」といった、日本・中国・韓国で使われている文字を網羅したフォントを使うとよいでしょう。

また、ラインセンスがクリアになっているフォントかどうかも確認しましょう。画像やイラストに文字を入れる際は、特に注意が必要です。中国では一般的なパソコンに入っているメジャーなフォントでも商用利用を禁止しているものがあります。ウェブサイトのテキストとして使う分には問題なくても、画像に埋め込んで掲載した場合に著作権を侵害してしまう可能性があります。

中国のオウンドメディアにおける基本事項

中国からアクセスしたときにどのように表示されるのかを検証してみることが、ユーザーエクスペリエンス向上の第一歩です。そう考えると、日本などの(中国から見た)海外で制作された中国語サイトの多くが、中国ではきちんと見えないことに気がつきます。原因は、YouTubeの動画やInstagramの写真ギャラリーなどのソーシャルメディアやAPIがサイトに組み込まれていることです。

エラーを起こしやすいサービスを使わない

Googleのすべてのサービスは、中国本土では利用できません。また、Instagramの写真を埋め込んでいたり、YouTubeの動画を載せていたりすると、ウェブサイトの読み込み速度に悪影響を及ぼします。したがって、これらのサービスを、中国企業のサービスに置き換える必要があります。例えば、アクセスガイドの地図をGoogleマップから百度地図に差し替えます。

サイドボタンを設置する

中国のネットユーザー9億人のうち90%以上はモバイルユーザーですが、PCユーザーも約50%おり、つまり4億人がPCからアクセスしているということになります。したがって、モバイル端末とPC、どちらで見てもきちんと見えるサイトを制作することが重要です。例えば、中国で好まれる機能の1つに、「PC画面上のサイドボタン」があります。

SNSにつながるボタン

効率的に「シェア」を拡大できます。

QRコード

PC画面上にQRコードを掲載しておけば、外出先にてスマートフォンで閲覧してもらえたり、ソーシャルメディアで知人に拡散してもらえたりします。

チャットにつながるボタン

ユーザーからの問い合わせに即応できれば、取引の機会を増やすことができます。

携帯電話番号で顧客登録してもらう

前述したように、携帯電話とショートメッセージ(短信:SMS)は、現在でもよく使われています。また、中国では、顧客登録の際にはメールアドレスではなく、「携帯電話番号」で登録してもらうのが基本です。広告配信も、メールではなくSMSを利用することが一般的です。ただし、最近は嫌がられることも増え、不正に取得した名簿を使う「SMS広告配信業者」も多いので、SMSでの広告配信は注意して行うようにしてください。

支払いはモバイル

ネットショップなどを展開する場合には、決済にはモバイル決済を使うのが基本です。そもそもはスマートフォンで使うサービスですが、ウェブサイトで使うこともできます。なお、代引きなども可能ですが、今やこの対応を行っているサイトはかなり少数です。

アリペイ(支付宝:Alipay)

アリババ(阿里巴巴)が提供する決済サービスです。銀行口座から一定額をこのアカウントに移動させ、その範囲内で決済します。

ウィーチャットペイ(微信支付:WeChat Pay)

テンセント(騰訊)が提供する決済サービスです。銀行口座から一定額をこのアカウントに移動させ、その範囲内で決済します。

ギンレイ(銀聯:Union Pay)

銀行のデビットカードに紐付けられた決済サービスです。

HTMLヘッダーは必須

HTMLヘッダーでの宣言文(言語など)は、このウェブサイトが国際版であることをGoogleなどに知らせるための記述であり、Googleのウェブサービスを利用するためのスクリプトではないので、入れておきましょう。むしろ、漏れがないようにしておいてください。

中国でのデジタルマーケティングにおける注意事項

中国ならではの注意点をまとめておきます。

掲示板(BBS)のようなサービスは避けた方が無難

ウェブサイトに政治に関する文章を掲載しないことは当たり前ですが、注意すべきは、ユーザーがコメントを書き込める形のサイトです。いつ何を書き込まれるかわからないので、このようなサイトは開設しないほうがよ いでしょう。どうしても開設しなければならない場合は、ユーザーのコメントを1つひとつチェックしてから公開する仕組みがあるとよいでしょう。

サイバーセキュリティ法は遵守する

個人情報の取り扱いについて、中国のサイバーセキュリティ法を遵守する必要があります。特に、中国国内で得られた個人情報は国外へ持ち出さないようにしましょう。

ウェブサービスを選ぶ

前述したように、(中国から見た)海外のウェブサービスの多くが中国からのアクセスに支障が出ます。中国国内でこのようなサービスを利用するときはVPN(Virtual Private Network)を使うと見られることがあります。

しかし、VPNも中国国内では使いにくくなっているため、対象となっているGoogle、Instagram、Facebook、Twitter、Flickr、YouTube、LINE、Dropboxなどのサービスは使わないことが基本です。Googleについては、地図などのウェブサイトで表示するためのサービスだけではなく、外からは見えないAPIも、表示を妨げたり遅くなったりするボトルネックになります。

カテゴリ

グローバル

中国

検索

Google

百度Baidu

SNS

LINE

微信(WeChat)

Twitter

新浪微博(Weibo)

地図

Googleマップ

百度地図Baidu Map)

動画

YouTube

优酷(Youku)

ニコニコ動画

哔哩哔哩(bilibili)

旅行・交通

Airbnb

途家(Tujia)

Uber

滴滴出行(Didi Chuxing)

決済

PayPal

VISA

Mastercard

JCB

支付宝(Alipay)

銀聯(UnionPay)

微信支付(WeChat Pay)

図:グローバルと中国のサービスの比較

哔哩哔哩(bilibili)

動画サービス「Bilibili」(哔哩哔哩 <https://www.bilibili.com/>)は日本のニコニコ動画に似たサービスで、『とある科学の超電磁砲』の主人公御坂美琴の愛称「ビリビリ」から名付けられました。<https://ja.wikipedia.org/wiki/Bilibili>

図:中国向けサイトの作法に則った例

図:中国向けサイトの作法に則った例

7-2 インタラクション解析

インタラクションとは、ユーザーが特定の操作を行ったとき、システムがその操作に応じた反応を返すことを指します。このインタラクション解析をすることで、アクセス解析では取得が難しいウェブサイトでのユーザーの挙動の取得方法を学びます。

7-2-1. 課題発見に有用な計算指標

ランディングページや回遊ページなどで改善すべきページを見つけるために、直帰率や離脱率は目安になりますが、そのままでは改善は困難です。そこで、次のような計算によって、課題となるページを容易に発見できるようになります。

加重直帰率

直帰率の高いページはユーザーを逃がす問題のあるページかもしれませんが、直帰率の高いページでソートすると、直帰率が高い上にセッション数も多くないページが上位になります。このようなページを改善しても総セッション数は低いため、サイト全体の改善になりません。

つまり、単に直帰率を見るのではなく、サイトにおけるページの重要度を考慮する必要があるということです。このような場合、直帰率にページビュー数で重み付け(加重)すると、改善によってサイト全体の改善効果が高いページを発見できるようになります。こうしたページのページビュー数の大きさを加味した直帰率を「加重直帰率」といいます。ページの改善優先度を表面上の比率だけで見誤らないために、ページの重要度を加味して検討するようにしましょう。

Googleアナリティクスの場合、加重直帰率の高い順番でソートして表示することが可能です。なお、加重直帰率の計算式はツールによって異なります。一般的には以下の計算式を用います。

ページごとの加重直帰率
=(そのページのページビュー数÷サイト全体のページビュー数
 ×(そのページで直帰した数÷閲覧開始セッション数)

離脱改善指標

離脱率の改善ポイントは、離脱率の高いところから改善すべきですが、単純に離脱率が高いページだけを見てしまうと、同時にページビュー数も少ないページが多くなる傾向があり、あまり意味のないデータになってしまいます。

また、離脱率ではなく「離脱数」の高いページを見ると、こちらはページビュー数が多くなってしまうため、離脱という指標は、そのままでは改善に使いにくいものです。

そこで、離脱の改善においても、直帰率と同様、トラフィックが多く、離脱率の高い部分から手を付けていくことで効率的に改善を行えます。その改善の指針となる指標が「離脱改善指標」です。

ページごとの離脱改善指標
=(そのページの離脱数—そのページの直帰数)2
 ÷そのページのページビュー数

この指標のポイントは離脱から直帰による離脱を除いています。これにより、流入が多いにもかかわらず、直帰が多くなってしまいがちなランディングページなどは除外できます。さらに、この問題を強調するため、2乗して、ページビュー数で割って、ページビューの割に(離脱-直帰)の問題が大きいページが上位に来るようになっています。

回遊離脱率

ユーザーが2ページ目以降として閲覧するのを回遊ページと言います。ECサイトで言うと、主に商品ページや送料を表すページなどが回遊ページとして機能しますが、ランディングを目的として作成したページが回遊ページとして閲覧されることもあります。

直帰しなかったセッションのことを「回遊数」といいます。また、回遊したものの、次のフォームに至らなかった割合を「回遊離脱率」といい、次に述べる「フォーム到達数」あるいは「フォーム到達率」とセットで利用されます。回遊離脱率の高いページは、ユーザーを逃していると判断できます。なお、通常の離脱率はページビュー単位で測定しますが、回遊離脱率はセッション単位で測定することに注意しましょう。

スクロール到達率

ページの高さを100%としたときに、何%まで進んだかを示す指標です。ウェブページ上で、ユーザーがどこまでページをスクロールし、どの地点で離脱したのか、ページを離れる原因がどこに存在しているのかを推測できます。

スクロール到達率を見ることによって、ページのレイアウトを改善し、コンテンツの有効性を最大化することができます。例えば、ページの中ほどのコンテンツが注目を集めているものの、そのコンテンツまで到達しているユーザーが全体の約3割しかいないとしましょう。このとき、このコンテンツをページ上部に移動すれば、より多くの訪問者に見てもらえる可能性が上がり、直帰や離脱率を下げることも可能です。

広告の位置を最適化して広告ベースの収入を増加させたい場合や、ページの最適な長さを判断する場合にも、スクロール到達率のデータは有用です。また、スマートフォンとパソコンで同じページのスクロール到達率を調べる([図:デバイス別のスクロール到達率])と、デバイスやブラウザなどによってどこまで見られたかの違いがわかるため、UIの改善ポイントを発見できます。

図:デバイス別のスクロール到達率

図:デバイス別のスクロール到達率

7-2-2. イベントやPropによる解析

単純にアクセス解析のタグなどを設置しただけでは解析が困難なインタラクションに対して、ウェブサイトでJavaScriptを用いてデータを取得する方法があり、次のようなユーザーの挙動についてデータを収集できます。Googleアナリティクスでは「イベント」と呼び(イベントトラッキングとも呼ばれます)、Adobe Analyticsでは、Propなどのカスタム変数などを用いて挙動(行動)を収集します。

  • ページ内のクリエイティブごとのクリック数
  • ページ内のスクロール量(率)
  • PDFファイルのリンククリック数や外部サイトのリンククリック数
  • 動画の再生時間や停止した時間
  • フォーム上でのユーザーの挙動
  • 電話をかけるボタンのタップ数
  • 直帰や離脱したページの滞在時間

例えば、ページのスクロール量をイベントで測定することで、1つのページがどこまで読まれたかがわかります。[図:イベントを使ってスクロール量を測定する]からは、スクロール到達率50%まで閲覧したユーザーは全体の14.39%であることが読み取れます。

図:イベントを使ってスクロール量を測定する

図:イベントを使ってスクロール量を測定する

別の例として、[図:イベントを使ってフォーム到達を測定する]のようにエントリーフォームのどの項目まで入力したかもわかります。

図:イベントを使ってフォーム到達を測定する

図:イベントを使ってフォーム到達を測定する

Googleアナリティクスでイベントは、次のような定義ができます。どの挙動にどうイベントを紐付けるかは、JavaScriptの定義の仕方で決まります。

  • Category:イベントの分類、Scroll distance、clickPDFなどの命名を行う
  • Label:イベントで収集したデータのラベル。URLやPDFファイル名(リンク先の名前)など
  • Action:ユーザーの挙動。scrollやclickなど

なお、イベントと同じようなデータの収集方法に「バーチャルページビュー」があります。同じようにJavaScriptで挙動を測定しますが、違いはページビューとしてカウントする点です。

最近は「タグマネジメントツール(タグマネージャー)」を使うことで、ウェブサイトに個別にJavaScriptを設置しなくても測定したり、イベントをもとに効果的な広告配信やページの表示を切り替えたりすることもできるようになっています。

7-2-3. ヒートマップツールの指標

ヒートマップは、ウェブページ上のユーザー全員の動きを統合し、クリックされたところや注目されたところを視覚的に表現したものです。ページ上でユーザーがクリックした場所やスクロール率を可視化し、コンバージョン率とユーザビリティを最適化するデータを収集することが可能です。ヒートマップ機能を備えたほとんどのウェブ解析ツールの多くは、「クリックヒートマップ」「アテンションヒートマップ」「スクロール到達率」という3種類が実装されています。

クリックヒートマップ

クリックヒートマップとは、当該ウェブページに訪問したユーザーがクリックした場所を確認できる機能になります。このクリックヒートマップでは、リンク、画像、テキスト、スペースなど、当該ウェブページのユーザーがクリックしたあらゆるところを確認できます。クリックが多いと暖色で表示されるので、クリックされにくい場所から問題点を発見できます。

アテンションヒートマップ

アテンションヒートマップでは、ユーザーがページ内でスクロールした中で、どのエリアがよく見られているかわかる機能になります。ページ内において特定のエリアがユーザーにどれだけ注目されているかがわかるので、どのようなコンテンツに興味関心があるのか、どんなところを読まずに飛ばしているのかを知ることができます。このアテンションヒートマップで、ほとんどのユーザーが読まずに飛ばしてしまうエリアがあるとすれば、ユーザーがストレスを感じている場所であり、潜在顧客や見込み客がウェブページから離脱する原因になる可能性があります。

精読率とヒートマップ

実際のヒートマップツール上では、「スクロール到達率」のデータは、ウェブページ上に、ギターのネックを縦にしたような形で、ここまでは何%の訪問が到達、さらにその下までは何%の到達という形で表示されます。

一般に、ウェブページのフッター部分のスクロール到達率は10%未満になるため、この数字だけを捉えると指標として使い勝手が悪いものになってしまいます。そこで、すべてのページの精読率を一律の基準で判定するのではなく、記事であれば本文の最後の行までのスクロール到達率を精読率と見なしたり、イーコマースサイトの商品詳細ページであれば当該商品の説明が終わったところまでのスクロール到達率を精読と見なしたりします。

精読ページビュー数・精読ページビュー率

精読率はページを最後までスクロールしたかの判定ですが、いくつかの課題があります。ページが短くても長くても最後迄見られると精読率100%となるため、Googleアナリティクスなどで測定しても、ページごとの比較では精読率が高いページは短いページとなり、必ずしも関心が高いページが高い精読率になるとは限りません。

そこで精読ページビュー数が考案されました。これは以下の条件を満たすページビュー数をイベントとして計上します。

  • そのページに1分以上滞在している
  • フッターを1%以上見ている

「精読ページビュー数」の考案者

ウェブ解析⼠マスターの神⾕英男氏が考案した

これによりある程度内容を読んで、最後のフッターを1%でも表示したページビューだけがカウントされるため、精読率より高い精度で関心が高いページをカウントできます。

さらにページ全部のページビュー数で割ることで、精読ページビュー率を計算すると、どの程度の割合でそのページをユーザーが精読しているか知ることができます。

精読ページビュー率
=そのページの精読ページビュー数
 ÷そのページのページビュー数

ただ、この方法では直帰率同様、ページビュー数の少ないページほど精読ページビュー率が高くなる傾向にあります。

そこでサイト全体の精読ページビュー数の中で、そのページの精読ページビュー数が高いページが上位に上がる用に重み付けを行います。このことを加重精読ページビュー率といいます。

加重精読ページビュー率
=そのページの精読ページビュー率
 ×そのページの精読ページビュー数
 ÷サイト全体の精読ページビュー数

この加重精読ページビュー率によって、精読ページビュー数がある程度あるページで、精読ページビュー率の高いページが上位にあがってきます。

7-2-4. サイト内検索に関する指標

大規模サイトでは、ユーザーが情報を見つけやすくするため、サイト内検索フォームを設置することがあります。サイト内検索フォームの利用状況を調べると、コンテンツやUI、集客の改善アクションにつなげることができます。現在ではGoogleやYahoo!JAPANなどのリファラーでは検索キーワードが取得できなくなっているため、もれなくデータの取得が可能で、検索意図やサイトとの関連性が高いサイト内検索は貴重なデータとなります。

サイト外検索(検索エンジン)とサイト内検索の主な違いは、[表:サイト外検索とサイト内検索]のとおりです。

表:サイト外検索とサイト内検索

サイト外検索

サイト内検索

検索タイミング

サイト訪問の前

サイト訪問の後

サイトとの関連度

低~高

計測の網羅性

高:入力された全クエリ

サイト内検索は成果に貢献しているか

細かい分析や改善をする前に、「サイト内検索」という機能がサイトの成果に貢献しているのかを確かめてみましょう。[図:サイト内検索の利用の有無によるコンバージョンの差異]はGoogleアナリティクスでサイト内検索を利用する人と利用しない人をディメンションとしたレポートを作成したものになります。※訪問者ベース(人ベース)のセグメントで作成し、量ではなく質に着目した長期的な行動の変化を比較します。

図:サイト内検索の利用の有無によるコンバージョンの差異

図:サイト内検索の利用の有無によるコンバージョンの差異

[図:サイト内検索の利用の有無によるコンバージョンの差異]では、サイト内検索を利用したセッションVisits With Site Search)は0.43%ですが、直帰率が低く、購入のコンバージョン率も高いことがわかります。中間コンバージョン(最終的なコンバージョンに到達する前に訪問するページ、キャンセルページや規約のページなど)を含んだ各種目標もレポートに追加して比較するとよいでしょう。

セッションという短期の行動だけでなく、ユーザー(サイト内検索を利用したことがある人)を長期で追うとよいでしょう。

改善アクションを意識して分析する

サイト内検索では実行可能な改善アクションを意識し、その意思決定に必要なデータを集めて分析すると効果的です。サイト内検索の分析によって、例えば、次のような改善アクションにつなげることができます。

コンテンツやナビゲーションを改善する

頻繁にサイト内検索されるキーワードと、そのサイト内検索が行われるページを結び付けます。高いモチベーションでサイトを訪問し、そのページに到達したのに見つからない情報があったということがわかります。

「(検索)開始ページ」を「検索キーワード」でクロス集計すると、どのページにどんな情報が足りていないかがわかります。逆に「検索キーワード」を「開始ページ」でクロス集計すると、ページによらずサイト全体で必要とされている情報なのか、それとも特定のページで探しているのに見つかっていない情報なのかを判断できます。

検索結果からの離脱率(Googleアナリティクスでは「検索による離脱数の割合」)が高い場合は、見つからないので諦めて離脱している可能性があります。何を探しているのかを想定し、実際にサイト内検索を実行して確認するようにします。合致するコンテンツがヒットしない場合は、それに近い既存コンテンツがユーザーの使う言葉を含むように更新したり、新規コンテンツを追加したり、検索エンジン対策をチューニングしたりといった改善策が考えられます。

検索後の閲覧行動系データ(Googleアナリティクスでは「結果のページビュー数/検索」「再検索数の割合」「検索後の時間」「平均検索深度」)は、少しずつ手がかりを得ながら多くのコンテンツを読み込んでいる場合もあれば、フラストレーションを感じながら仕方なくたくさんクリックしているだけの場合もあり、解釈が難しいので、中間や最終コンバージョンと併せて分析します。

図:サイト内検索キーワードごとのサイト内行動

図:サイト内検索キーワードごとのサイト内行動
集客施策を最適化する

サイト内検索を実行するユーザーは優良見込み客であることが前述のような分析でわかっている場合は、サイト内検索を実行した時点でコンバージョン(Googleアナリティクスでは「目標」)を設定しておくと便利です。

チャネルやキャンペーン、ランディングページなどの集客系の分析をする際に、「サイト内検索」というコンバージョンが使えると、「購入には至らなかったものの、サイト内検索を実行するようなモチベーションの高いユーザーを呼び込むことができた」というような判断ができます。「ブランド認知」「商品閲覧」「後日リピート訪問」といったほかの中間コンバージョンと併せて分析するとよいでしょう。

さらに、サイト内検索を実行したことがあるユーザーセグメントをターゲットとしたアプローチも効果的です。Googleのリマーケティングや、サイト再訪問時のコンテンツ出し分けは比較的実現が容易です。会員IDを取得している場合は、IDを抽出してメールやDMを送ったり、アプリにプッシュ通知を送信したりといったサイト外の施策とも連動できます。

7-2-5. Web Vitalsによるサイトの健全性の指標

GoogleはウェブサイトにおけるUXを測定するための指標としてWeb Vitals <https://developers-jp.googleblog.com/2020/05/web-vitals.html>をとりいれました。ウェブサイト共通のシグナルを2020 Core Web Vitalsとし、以下3つの指標を発表しました。

LCP(Largest Contentful Paint)

<https://web.dev/lcp/>

ユーザーがページで、最も大きいファイルサイズのコンテンツをダウンロードできた時間(=主要コンテンツ)から、どのくらい早く見ることができるかを表します。数値は秒で、値が小さいほどUXが優れていると判断します。

FID(First Input Delay)

<https://web.dev/fid/>

ウェブフォームのエントリーにカーソルを合わせてから最初の入力までにかかった時間から、ウェブフォームの反応の遅延を測定します。数値はミリ秒で、値が小さいほど操作性が良いということになります。

CLS(Cumulative Layout Shift)

<https://web.dev/cls/>

クリックしようとすると表示がずれて誤クリックしてしまうような表示を測定しています。表示されるページコンテンツにおける予期しないレイアウトのずれの量を独自のレイアウトシフトスコアにして定量化しています。CLSスコアが0.1未満になるのが理想的です。

Web VitalsはGoogleのランキングの決定にも影響すると言われています。Web VitalsはGoogleのPage Speed InsightsやGoogle Search Consoleで確認することができます。

7-3 オウンドメディアの最適化手法

オウンドメディアの改善方法にはさまざまな手法があります。ここでは、ランディングページ最適化(LPO:Landing Page Optimization)とエントリーフォーム最適化(EFO:Entry Form Optimization)を紹介します。

7-3-1. ランディングページ最適化(LPO)

ウェブサイトでユーザーの入り口となるランディングページを工夫し、コンバージョン(申し込み、問い合わせなど)する比率を高めるための施策です。

ランディングページの問題点と改善ポイント

直帰率の高いランディングページには、ユーザーから見て、次のような4つの問題点があります。

  • 目的のコンテンツがない
  • ナビゲーションがわかりにくい
  • コンテンツが不十分で内容が薄い
  • 見にくいためにサイト内を探すのが大変そうに見える

その対策として、次の3つのポイントで改善を検討します。

1. 目的がすぐにユーザーに伝わる工夫

ユーザーに対して「このサイトにはあなたが求めている情報があります」と訴求するためには、見出しやCTAをファーストビューに明示します。ターゲットや伝えたい情報が複数あれば、それぞれランディングページを作成します。キャンペーンごとに特化したランディングページを個別に作ることで、全体での直帰率も低減できます。

2. モバイルファースト

スマートフォン(モバイルデバイス)で見たときにわかりやすいページになるように改善します。スマートフォンなどで閲覧した際にも、ユーザーにストレスがないように配慮します。タップしやすいボタンや文字間隔にしたり、スワイプしやすいレイアウトにすることを考えます。また、公衆回線で接続しているデバイスでも表示に時間がかからないように、必要最低限の情報にそぎ落としたり、画像などのファイルを削減したりして、軽量化します。

3. ページのナビゲーションをシンプルにする

ナビゲーションをファーストビューに配置します。また、ナビゲーションの色を目立たせたり、クリッカブル(クリックできる)であることがわかるようにリンクやボタンのデザインをわかりやすくしたりします。また、必要のないナビゲーションを排除し、ユーザーを迷わせないように工夫します。

LPOを行う方法

LPOを行う3つの手法を紹介します。

1. ランディングページの改善

広告を出稿するときに、広告ごとに専用のランディングページを作成する方法です。システム導入の必要がないため、容易に実施できることがメリットです。広告とランディングページで情報に差異があると、有効な結果を得ることができません。例えば、「安いテレビ」という検索フレーズに対する広告文には「○○テレビが10,000円~。安いテレビ販売の△△」というような広告文を掲載することで効果が得やすくなります。さらにランディングページのキャッチコピーには「激安」「10,000円~」のように関連した内容を掲載します。

2. A/Bテスト

「A/Bテスト」とは、同じページ内のファーストビューの見せ方を変えるなどしてランダムに表示し、どのページの効果が一番高いかを調べる方法です。異なるランディングページ(またはランディングページ内のコンテンツ)を2つ以上用意して、アクセスしてきたユーザーにランダムに表示し、それぞれのページビュー数、離脱数、コンバージョン数などのアクセス解析データを測定します。一定期間終了後、成果が高かったもの(ページまたはコンテンツ)を採用します。

3. 多変量テスト(マルチバリエイトテスト)

「多変量テスト」とは、ランディングページ内の各表示要素の組み合わせを変えて、効果の高い組み合わせを探る方法です。バナーやメインビジュアルなどのクリエイティブ、テキストによるコピーを複数用意し、ランダムに、もしくは指定した配信割合で表示します。それぞれの場合のコンバージョンを計測し、最適な表示の組み合わせを選びます。

図:多変量テスト

図:多変量テスト

図:ランディングページによる改善とLPOツールによる改善

図:ランディングページによる改善とLPOツールによる改善

GoogleオプティマイズによるLPO

「Googleオプティマイズ」は、A/Bテストや多変量テストが容易に行えるツールです。ユーザーがウェブサイトを開いた際にはHTMLファイルなどを呼び出しますが、Googleオプティマイズのタグがあると、Googleのサーバーからテストパターンが呼び出され、各ユーザーにテストパターンが配信されます。元のHTMLは変更せず、JavaScriptを使ってHTMLの上にテストパターンを表示します。

GoogleChromeにGoogleオプティマイズの拡張機能を導入すると、ウェブページの要素をドラッグ&amp;ドロップで変更して、テストを実施できます。

7-3-2. エントリーフォーム最適化(EFO)

エントリーフォーム(入力フォーム)で離脱の原因になっているところを特定するために、項目ごとの離脱や滞在時間を測定したり、フォームで離脱を防ぐための入力支援やエラー表示を行ったりする改善です。

エントリーフォームの問題点と改善ポイント

離脱の高いフォームには次のような4つの問題点があります。

  • フォームの項目が多く、ゴールが見えない
  • エラーがわかりにくい
  • 情報量が多い
  • 入力項目名や説明がわかりにくい

対策として、次の4つのポイントで改善を検討します。

1. フォームの項目を減らし、ゴールまでのステップを可視化する

不必要な入力項目を減らします。任意項目など、申し込みに必要のない情報を削除することです。削除できない必須項目は入力の手間を省く機能を追加します。例えば、郵便番号を用いた住所検索システムを入れたり、ふりがなが自動的に入力される機能があったりすると離脱率は下がります。また、ページ数の多いフォームでは、ゴールまでのステップを表示することも有効です。

2. エラーを軽減し、エラー時のサポートを強化する

エラーを軽減する機能を追加します。適した文字形式への自動変換や、キーボードの自動表示や切換えが効果的です。また、エラー発生時には項目ごとにリアルタイムでのアラート表示を行うことで離脱率は下がります。

3. 情報量を減らしユーザーが理解しやすくする

文字やリンク等の情報量が多いと、入力が難しいフォームという印象を与えてしまい離脱につながります。情報量を最小限にすることで離脱率は下がります。規約画面ではアコーディオンやスクロールバー表示にすると効果的です。また、入力フォーム内のリンクは離脱の要因になるので、極力減らしていくことが重要です。

4. 専門用語を使う場合はガイドする

入力項目や商品・サービスの説明において専門用語を使ってしまうと、専門用語が分からないユーザーは、悩む・調べる等の行動をとり離脱につながります。専門用語を使う必要がある場合は、補足説明をモーダル表示 すると効果的です。

・ 例:ハテナアイコン(?)を設置してクリック(タップ)したら説明がモーダルで開くようにする。

モーダル表示(ポップアップウィンドウの⼀種だが、操作しないと親ウィンドウの操作ができないのが特徴。注意を促すときに⽤いる)

「モーダル表示」とは

ポップアップウィンドウの⼀種だが、操作しないと親ウィンドウの操作ができないのが特徴。注意を促すときに⽤いる

EFOを行う方法

EFOを行う方法は下記の3つがあります。

アクセス解析のインタラクション解析

Googleアナリティクス等のインタラクション解析は入力フォーム内のどこまでスクロールをしたかと、どの入力項目を触ったかを解析できます。

ヒートマップツールによる解析

ヒートマップで、ユーザーの挙動を可視化し、問題点を発見します。間違ってクリックしていたり、時間がかかっていたりするところ(暖色になっているところ)の原因を考えます。

EFOツールによる解析

EFOツールは、インタラクション解析やヒートマップツールでは計測できない入力項目毎のエラー数や、離脱数、入力時間等の数値を細かく解析することができます。そのため、どの項目で離脱をしているかなど、より精度の高い解析が可能です。さらに入力を支援する機能が多数あるため、離脱の要因に応じた改善活動も一つのツールで実現できます。

図:EFOツールによる解析

図:EFOツールによる解析

フォームの課題発見

フォームとは、ウェブサイトでユーザーからの入力情報を受け付ける仕組みのことです。例えば、ショッピングサイトで氏名や住所を入力するページなどが挙げられます。フォームは、サイト内で最もユーザーの作業が発生するページであるため細かく分析して、いかにユーザーの負担を減らすことができるかが求められます。

フォームの課題発見は、単純に離脱数が高い箇所を修正するという方法もありますが、どこを改善すべきか試さなければ分からないこともあります。その場合は、フォームを修正して修正前と比較をしたり、フォーム周りのA/Bテストを実施して、どの表現が一番離脱数が少ないか試すこともあります。フォームの入力項目そのものではなく、その前のナビゲーションの問題も含め改善を検討してください。

フォーム破棄率(カート破棄率)

イーコマースサイトで商品を購入する際に、ショッピングカートに商品を入れたものの、実際の購入までは至らなかったセッションの割合を指します。ショッピングカートでの購入内容の決定から、配送先の決定、決済手段の決定、最終決済内容の確認、購入完了までのフローにおいて、途中でカートが破棄されるということは、サイトにとっては大きな機会損失です。

問題点の見つけ方

フォームは、大きく分けて「入力ページ」「(入力内容の)確認ページ」「完了ページ」という3つのページで構成されます。入力ページや確認ページの離脱率が高いことは問題です。入力ページで離脱率が高い場合、次のページに進むボタンがわかりにくい、といった原因が考えられます。また、エントリー項目に、次のような問題が考えられます。

  • フォーム全体で入力項目が多い
  • 制限内容がわかりにくい(全角指定、文字数制限など)
  • 入力項目の内容がわかりにくい(質問内容が難しい、入力する内容をすぐに判断できないなど)
  • 入力内容が答えたくない情報である(年齢、家族構成、血液型など)
  • 次のページに進むボタンが分かりにくい

確認ページをさらに分解すると「入力内容の不備を知らせるページ(入力エラーページ)」「入力内容を確認するページ」があります。入力エラーページの離脱率が高い場合、どこでエラーが発生しているのかがわかりにくい、なぜエラーになっているのかがわかりにくいといった課題がある場合が多いため、エラー内容の明確化が必要です。最近では、JavaScriptを使ってリアルタイムに入力エラーを表示するサイトも増えてきています。

確認ページの離脱率が高い場合は、そこまで進んで判断を迷うケースが想定されるので、完了ボタンまでの距離を短くすることが効果的です。

フォームの改善

フォームの離脱率改善は、そのままコンバージョンの向上に直結します。フォームの中には複数の入力項目があります。フォームの離脱率が高い場合、どの入力項目で離脱したのかを知ることで、改善ポイントを把握できます。

フォーム破棄の課題発見

フォーム破棄率が高い場合は、ユーザーに事前に提示すべき情報を精査し、画面遷移のわかりやすさ、ユーザビリティなど、情報設計を改善することで、破棄率の低減が可能です。

ユーザーテストによって、ページのユーザビリティやユーザーの使用方法を調査することも検討してください。サイト制作者やそのサイトを見なれている担当者では、ユーザビリティ上の問題点に気付きにくいからです。よくある問題としては、ユーザーが理解しにくい記述がある、「全角カナのみ」などの入力制限のある入力フォームがある、ボタンが使いにくい・わかりにくい、入力エラーがわかりにくい、決済手段が少なくて購入を諦めざるを得ないといったことが挙げられます。

決済手段はウェブだけの問題ではありませんが、ユーザビリティ関連はすぐにでも改善施策が可能なポイントです。早期に課題を見つけ、パフォーマンス向上を図りましょう。

入力項目の改善方法

改善方法には、次のようなものがあります。

  • 入力制限を緩める
  • 入力制限のエラー内容をわかりやすくする
  • 自動変換機能を実装する(文字数制限がある場合、入力中の文字数を明示する、入力後の半角/全角の自動変換など)
  • 難しい質問内容の場合、付近に解説や項目内にプレースホルダ(入力例)を入れる
  • 自動入力機能を実装する(郵便番号を入力すると自動で住所の一部が入る、電話番号を入力すると自動でハイフンが入るなど)
  • 入力しやすいデザインにする(適切な項目の大きさ、ラジオボタンは押下しやすいラベルボタン形式にするなど)

EFOツールの活用

EFOツールは、フォームの入力項目ごとの離脱ポイントを調べることができたり、フォームの入力支援を行ったりするツールです。離脱率が高いフォームは、入力情報を見直したり、入力支援を強化したりすることが必要なので、こういったツールの活用も検討してください。

代表的なものに株式会社ショーケースのEFOツールである、フォームアシストがある。本ツールは、解析や⼊⼒⽀援機能だけでなく、CSSをつかった⾒た⽬の変更や、A/Bテストでの改善施策の実施も可能。 <https://efo.showcase-tv.com/formassist/>

7-3-3. 最適化で気を付けたいオウンドメディアの要素

EFOやLPOを実施するにあたっては、改善するべきポイントとして、次の3つを検討してください。

CTA(反応装置/コール・トゥ・アクション)

リードジェネレーションサイトにおける資料請求リンクやお問い合わせボタンなど、顧客のコンバージョンを誘導するようなボタンやリンクを指します。クリック(タップ)することでコンバージョンにつながる重要な要素です。一般には、色やデザインで目立たせたり大きくしたりすることで、見つけやすく、クリックしやすくすることが求められます。また、CTAの「Action」を状況に応じて変えることも重要です。コンバージョンポイントによってユーザーのコンバージョンへの挙動が変わるからです。ボタンの文言として効果が高いのは、ユーザーをやる気にさせるような「申し込む」や「はじめる」などの動詞を用いた表現です。

ファーストビュー

ウェブサイトを表示したときに、スクロールせずに見える範囲を指します。画面の大きさやデバイスで変わります。ファーストビューで、ユーザーはページの価値を判断し、読み始めます。ファーストビューに必要な情報が入っていないとユーザーは離脱します。

ファーストビューを意識して、CTAやキャンペーンの特典の位置を決めます。また、ファーストビューにスクロールや次ページ誘導を促す要素を加えます。

ポップアップ(Pop up)

ウェブページやアプリ上で、コンテンツの上に置かれているような表現でコンテンツを表示する方法です。以前はJavaScriptによってウェブブラウザ上で別ウィンドウを表示させることが多かったのですが、現在ではウェブブラウザ上の同画面で表示するのが一般的です。閉じるなどの操作をしなければページがきちんと見られないため、強制力がある表現手法です。基本的には、割引クーポンやキャンペーンなどでユーザーにサイト視聴を止めるだけの価値のある提案の際に利用してください。売り込みのような宣伝をポップアップで行っても効果は低く、ユーザーの離脱を促進してしまいます。また、画面一面をジャックするような表示方法は、ウェブサイト内でのユーザーの行動を阻害するため、画面の余白や下部に表示するよう心がけてください。

7-4 オウンドメディアでの広告収益化

ウェブサイトによって収益を上げる方法として、主にアフィリエイト広告と運用広告掲載の2つがあります。アフィリエイト広告の場合、広告経由で発生した広告主の売上の一定割合が収益となります。運用広告掲載は、運用型広告のメディアパートナーとなって広告を掲載する方法です。ここでは、オウンドメディア内で広告を運用し、収益化させる方法を紹介します。

7-4-1. アフィリエイト広告として展開

アフィリエイト広告は、ウェブサイトやソーシャルメディアに掲載する商品を選んで告知し、その商品の購入や資料請求などを獲得して収益を得ます。

アフィリエイト広告を掲載するには、アフィリエイト・サービス・プロバイダ(ASP<https://ja.wikipedia.org/wiki/アフィリエイト・サービス・プロバイダ>にアフィリエイトパートナーとして登録し、審査を受ける必要があります。ウェブサイトのトラフィック数やウェブサイトに掲載されている内容によっては、登録できないケースもあります。

次に、広告主が販売したいサービスや商品を選択し、ウェブサイトに掲載します。クリックでも収益を得られる広告もありますが、広告経由のコンバージョンに応じた報酬が支払われるのが一般的です。

代表的なアフィリエイト広告の1つが、Amazonアソシエイト・プログラム <https://affiliate.amazon.co.jp/>です。専用サイトでAmazonの商品を選び、ウェブサイトのサイズに合わせた広告を掲載することで、販売額に応じて報酬を受け取ることができます。

アフィリエイト広告の収益を得るためには、さまざまな法律を知り、遵守する必要があります。事例を含めて紹介します。

アフィリエイト広告が関わる法律

景品表示法や特定商取引法、健康増進法、金融商品取引法、貸金業法、薬機法(旧薬事法)等など、アフィリエイトに取り組むジャンルによって守らなければいけない法律が存在します <https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180615_0003.pdf>。中でもすべてのアフィリエイト広告においてとくに注意が必要な法律が「景品表示法(通称、景表法)」と「特定商取引法(通称、特商法)」の2つです。

アフィリエイトサイト運営者側(いわゆるアフィリエイターやブロガー側)は商品を自ら供給する者ではないため、景品表示法上の措置を受けるべき事業者には当たりません。一方、広告主はアフィリエイトサイトの表示内容の決定に関与している、もしくは表示内容の決定を委ねている事業者に該当するため、アフィリエイトサイト上で虚偽の表示が掲載された場合、景品表示法上の措置を受けるべき事業者に該当します。

例えば、「飲むだけで100%痩せるサプリメント」や「塗るだけで髪が生えてくる育毛剤」、「絶対に儲かる投資システム」といった誇大広告(優良誤認、有利誤認等)に該当する表示を、たとえ広告主のランディングページやオウンドメディアでは行っていなかったとしても、提携しているアフィリエイトサイト上でそうした表示を行っていた場合、アフィリエイト報酬を払っている広告主側が景表法の責任を問われます。

実際に消費者庁はアフィリエイトの広告主側であった株式会社ブレインハーツに対し、景品表示法に基づく措置命令及び課徴金納付命令を2018年6月15日に下しました<https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180615_0003.pdf>。その措置命令内において日本の歴史上初めて、アフィリエイトサイトの表示も景表法の規制の対象であることが明記されています。

また消費者庁取引対策課は2020年7月、広告主である販売業者は、アフィリエイターに委託したアフィリエイト広告が、特商法違反に違反があった場合、委託した販売業者側が知らなかったとしても免罪符になることは決してないと判断しています。さらに、通信販売業者やASP等の違反に対しても、景表法だけでなく特商法でも問い得ると発表しています <https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_transaction/meeting_materials/assets/consumer_transaction_cms202_200825_06.pdf>

アフィリエイト広告を利用していた広告主側が景表法と特商法の両方の違反行為で処分された事例もあります。埼玉県はニコリオ社が運営する公式ウェブサイト、そしてニコリオ社の提携アフィリエイトサイト上において景表法と特商法に違反する表示が行われて>、<いたとして、同社に2020年3月に景表法の措置命令を、そして翌4月に特商法の業務停止命令という行政処分を科しています <https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2020/0401-06.html>、<https://www.pref.saitama.lg.jp/a0001/news/page/2019/0331-08.html>。

景表法や特商法で処分されないためにも、消費者に正しい情報を伝えるためにも、広告主側は提携するアフィリエイトサイト、そして成果を上げているアフィリエイトサイトの表示内容を定期的にチェックし、問題のある表示を発見した場合は提携拒否や提携解除、報酬支払の拒否といった対応を取る必要があります。当然、アフィリエイトサイト運営者も誇大広告にならないよう表示内容には気を付けなければいけません。

後述のパートナーASP選びの節でも詳しく解説していますが、ASPによって違法・悪質な事業者を自主的に排除している所もあれば、景表法や特商法、薬機法に違反する恐れのある事業者やサイトを受け入れてしまっている所もあります。アフィリエイトに取り組むにあたりASPを選ぶ際は、手数料やサイト数だけでなく、違法・悪質なアフィリエイト行為に対してしっかり対応しているASPかどうかも見極める必要があります。

アフィリエイトが関わる景表法や特商法、薬機法などの法律面については、アフィリエイト・プログラムの業界団体「一般社団法人日本アフィリエイト協議会(JAO)」 <https://www.japan-affiliate.org/>をはじめさまざまな業界団体や事業者が、サイト上での注意喚起や、法律の講習会等を開催しています。不安な方はこうしたサイト情報や講習会受講もチェックしてみましょう。

美容・健康ジャンルの事業者は「薬機法(旧・薬事法)」にも要注意

健康食品やサプリメント、化粧品など美容・健康ジャンルの商材を扱う事業者は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称;薬機法 / 旧・薬事法)」にも注意が必要です。薬機法は景表法とは違い、広告主だけでなくアフィリエイトサイト運営者、ASP、広告代理店など、関わる個人・法人すべて責任を問われます。

医薬品の承認を得ていない健康食品やサプリメント、化粧品などで「病気が治る」「脂肪が溶ける」「シミが消える」といった医薬品的な効能効果を宣伝してしまうと、民間団体からの指導や行政指導、最悪の場合、刑事事件に発展する場合があります。

2020年7月20日には体験談を書いたような記事広告を通じて健康食品を販売していたとして、健康食品通販会社のステラ漢方株式会社の従業員に加え、ネット広告代理店の株式会社KMウェブコンサルティング、同じく広告代理店のソウルドアウト株式会社、そしてソウルドアウト社の委託先の制作会社の従業員ら計6名が、医薬品医療機器法違反(未承認医薬品の広告禁止)の疑いで大阪府警に逮捕されています <https://www.data-max.co.jp/article/36806/>

アフィリエイトとモラル

2017年4月、根拠不明のランキングや商品比較によるステマ行為が、上場企業を含む一部のアフィリエイト業者によって横行していることがBuzzFeed Newsの調査によって判明しました <https://www.buzzfeed.com/jp/keigoisashi/affiliate-01>。その後もアフィリエイトが関わるステマや法律違反、著作権侵害、悪質な情報商材ビジネス等など、さまざまな問題がテレビや新聞といったマスコミ、そして行政会合等で取り上げられています。

2018年4月にはNHK「クローズアップ現代+」でアフィリエイトを含むネット広告の闇をテーマにした特集が組まれ、漫画村の資金源になっているネット広告問題や、芸能人の体験談をねつ造したフェイク広告問題、インフルエンサーのフォロワー水増し問題、やらせレビュー問題などが定期的に報道されています <https://www3.nhk.or.jp/news/special/net-koukoku/>

さらに2020年8月には、「太っている女性は恋人に振られる」「毛深い男性は他人から嫌われる」といった外見上の劣等感を刺激して商品を宣伝する広告、通用「コンプレックス広告」の問題がメディアで取り上げられるようになりました。こうしたコンプレックス部分を露骨に表現した広告手法はアフィリエイトだけでなく、YouTube動画広告やアドネットワークなど多くのネット広告モデルが使われており、外見上の差別を助長するとして広告配信をやめるようネット上の署名運動にまで発展しています<https://www.change.org/p/youtube広告-youtubeでよく⾒る体⽑や体型などに関する卑下の広告-やめませんか >。

モラルに欠けたアフィリエイト活動をしてしまうと、行政処分だけでなく、メディアに社名を公表されることでブランドイメージが大きく傷つくリスクがあります。一方で景表法や特商法、薬機法などに違反しペナルティを科せられるアフィリエイト関係者の増加は、法律とモラルを守ってアフィリエイト活動を続けることで、成果と評価を高められる社会になってきた証拠とも言えます。

ウェブ解析士としてアフィリエイトに取り組むにあたり各種法律を遵守することはもちろんですが、倫理観に欠けるグレーゾーンな行為に手を染めないよう、モラルを持って誠実なアフィリエイト活動を心がけ、売上と信頼の両方を積み上げて行きましょう。

7-4-2. アフィリエイト広告で注意する点

アフィリエイト広告では、掲載した商品が、サイトを訪れたユーザーにとっても有益であることがコンテンツ設計の基本です。まずアフィリエイトASPの利用規約をよく読みます。特に広告素材の改変や掲示板などの外部サイトでの誇大広告は禁止事項の場合がほとんどです。

ユーザーや消費者を欺く誇大広告や、消費者を偽る広告を掲載することはオウンドメディアの信頼を損ねるだけではなく、景品表示法や薬機法(旧薬事法)に抵触する恐れがあります。

また、アフィリエイト広告で得た収益の確定申告や法人税の申請も必要です。アフィリエイト広告は広告主との関係性で報酬も変わってきます。アフィリエイトで高い成果をあげるアフィリエイターは、広告主から成果を見込む代わりに、高い報酬や特別なキャンペーンなどの特別な条件で広告掲載依頼を受けることもあります。このように、成果をあげていくと収益が飛躍的に高まる可能性があります。

アフィリエイトビジネスは信頼できるパートナーASP選びが大切

リスクを減らし、アフィリエイトの売り上げを増やすためには、広告主側もアフィリエイトサイト側も“パートナー選び”が重要になります。広告主側にとってのパートナーはASPとアフィリエイトサイト(契約内容によっては広告代理店も含む)、アフィリエイトサイト側にとってのパートナーはASPと広告主です。

2020年9月現在、招待制のクローズドASPや広告代理店が展開するASP、個人事業主が運営するASPなどを含めると、日本には100以上のASPが存在します。ASPの中には広告主や媒体の審査をしっかり行うところもあれば、無審査で悪質な事業者やサイトを受け入れてしまっているところも存在します。

審査が緩く、違法・不正な広告主やアフィリエイトサイトを受け入れてしまっているASPの利用はできるだけ避けた方が無難です。もし問題の多いASPをどうしても利用しなければいけない場合、広告主側であればアフィリエイトサイトの表示内容チェックを、アフィリエイトサイト側であれば広告主のランディングページや提供素材、運営会社の信頼性までしっかりと確認しましょう。

ASP選びに迷った際は、一般社団法人 日本アフィリエイト協議会(JAO)や、公益社団法人 日本広告審査機構(JARO) <https://www.jaro.or.jp/>等の業界団体に会員登録している会社かどうかをチェックしてみましょう。これら社団法人は消費者庁や消費者団体、他事業者団体とも連携・協議しながら活動しており、参加している会員に対しても各種法令やモラルを守った活動の普及促進を実施しています。

アフィリエイト市場調査からみるアフィリエイト業界の現状

アフィリエイト・プログラムの業界団体「一般社団法人 日本アフィリエイト協議会(JAO)」がアフィリエイター1,000名を対象に実施したアフィリエイト市場調査2019の結果 <https://www.japan-affiliate.org/news/survey2019/>によると、月に3万円以上のアフィリエイト収入を獲得できているのは全体の6.6%という結果になっています([図:月額アフィリエイト収入(2019)])。

図:月額アフィリエイト収入(2019)

図:月額アフィリエイト収入(2019)

また、同調査結果によると月3~10万円のアフィリエイト収入を得ている平均的なアフィリエイター像は、「1年以上のアフィリエイト経験があり、平均5サイト(ブログ含む)を運営しており、毎日約2時間をアフィリエイト活動に費やしていて、レンタルサーバーや独自ドメイン、書籍、商品購入などに毎月経費を5,000円程かけている」となっています。

アフィリエイトは誰でも簡単に稼げるわけではなく、「時間と労力をかけ、しっかりとサイトを運営・管理しているアフィリエイトサイト運営者ほど、アフィリエイトで高い収入を得られる傾向にある」という点が、業界団体によるアフィリエイト市場調査の結果からも見て取れます。

広告主側にとっては、法律とモラルを守りながら、時間や労力をかけ継続して取り組む優良アフィリエイターといかに良好な協力関係を築けるかが、アフィリエイトの成否を分けると言っても過言ではありません。

アフィリエイトASP管理画面レポート

ASPとはアプリケーションサービスプロバイダのことで、アプリケーションソフトの機能をネットワーク経由で顧客にサービスとして提供することであり、またそれを行っている事業者のことです <https://ja.wikipedia.org/wiki/アプリケーションサービスプロバイダ>。

アフィリエイトASPの管理画面では、掲載しているアフィリエイト広告のクリック数や成果などを知ることができます。Amazonアソシエイト・プログラムの管理画面を例に紹介します。

基本は、広告のクリック数売上を知ることです。売上は、広告を通して商品を購入した紹介料と、AmazonPrimeなどに入会したときの報酬があり、合算がサマリーです。また、商品ごとの広告のクリック数や紹介料などもわかります。クリック数や報酬が増えているタイミングにブログの記事、ソーシャルメディアの投稿、配信メールの内容と関係を調べましょう。

サイトでのアフィリエイト広告掲載のポイント

アフィリエイト広告で収益をあげるためには、広告を掲載する商品についてユーザーが必要としている情報をユーザー目線で構築することが重要です。使う人の視点で、よい点や問題点などを挙げることで、他社との比較や自分の使用体験など、広告主による提供が難しく、ほかのサイトが真似をしにくいコンテンツを提供するようにしましょう。

また、サイトのコンテンツ更新を容易にし、ユーザーをソーシャルメディアや検索エンジンから集客しやすくすることを考えると、サイトやコンテンツのテーマ、ターゲットなどを絞り込むことも有効です。サイト内での広告の割合が多すぎると、効果が落ちる傾向にありますので、広告にはあまりたくさんのスペースを割かないようにします。また、広告はサイドバーやトップバナー、ボトムなどに掲載するよりも、本文中の文脈に合わせて掲載すると成果が上がりやすくなる傾向にあります。

7-4-3. 運用型広告による収益化

運用型広告にはいくつかのアドネットワークがあります。ここでは、Gooogle Display Network <https://support.google.com/google-ads/answer/2404190?hl=ja>の広告を掲載するGoogle AdSense <https://www.google.co.jp/adsense/start/>を紹介します。

AdSenseに向き合う姿勢

AdSenseで収益を稼ごうと考える場合、少なくとも半年以上の長期的なスパンで構えることをお勧めします。ユーザーに必要とされるコンテンツをコツコツと作り、しっかりとしたトラフィックを集めることが重要です。良質なトラフィックが集まったサイトに広告が出稿され、広告主の収益が上がることが、ユーザー、広告主、サイト運営者、Googleなどといった関係するすべてのステークホルダーの満足につながります。したがって、これからAdSenseを始めるという場合には、仮に半年近く収益が発生しなくても書き続けることができるような自分の好きなジャンルのサイトを運営してみるのもお勧めです。

AdSenseを利用したウェブサイトの運営ポイント

AdSenseでは、サイトに掲載された広告枠がユーザーにクリックされるごとに、Google を経由して広告主から報酬が支払われます。そして、AdSense掲載サイトとサイト訪問者、それぞれの傾向を加味して出現する広告が決まる仕組みになっています。次の2つが、AdSenseで収益をしっかりとあげるためのポイントです。

  • 1クリックあたりの収益(クリック単価)が高いジャンルを選ぶ
  • 広告に関心の高い質のよいユーザーを集める

基本的に、広告主の商品やサービスの値段が高いものほど、クリック単価は高くなる傾向にあります。例えば、保険や投資といった金融関連や、転職関連、結婚関連などのジャンルは、1クリックあたりの収益率が高いジャンルです。

広告に関心を持ってもらえるような質の高いユーザーを集めるためには、なるべくサイトのコンテンツは特定のジャンルに絞り込むようにしましょう。雑記的なサイトよりも、特定のジャンルに沿った特化型サイトのほうが、集まるユーザーのニーズが高まり、配信される広告とのマッチングもよくなるため、収益拡大が見込めます。

ウェブサイト運営時に見る指標

Google Search Consoleを使ってサイト運営時に見るべき指標の例として、AdSenseを紹介します。

Google Search Console

サイトへの訪問者を増やすためにサーチコンソールを活用します。

掲載順位が低いにもかかわらず、検索結果でのCTRが高いクエリは、そのクエリを入力したユーザーが情報を強く必要としていると考えられます。つまり、上位表示させることができれば、質の高いユーザーを多く獲得できる可能性があるということです。逆に、検索結果での掲載順位が高いにもかかわらず、CTRが低い場合には、title要素やdescription属性で、十分に魅力を伝えきれていない可能性があります。このような場合、より魅力的なタイトルを付けることで、多くのユーザーを検索結果から獲得できる余地があります。このような対策を施し、クエリごとに伸びしろを意識して、集客力を高めていきます。

Google AdSenseレポート

このレポートでは、大きな視点として日々の収益額やクリック率の推移を確認します。収益のトレンドを把握し、 大きな変動がないかをチェックしましょう。

例えば、急にCTRが上がったら、第三者のいたずらなどの可能性があるので対策が必要です。一方、CTRがそのままでクリック数が急に増えたとしたら、検索順位の大きな変動や特定の記事が何かに取り上げられたといった可能性が考えられます。

AdSenseでは、クリック率が非常に重要な指標ですが、どういった広告が出現するのかはコントロールしにくい側面もあるため、より多くのサイト訪問者に広告を視認してもらい、クリック率を改善する施策を行いましょう。この際に参考になる指標が、レポートにあるアクティブビュー視認可能率です。アクティブビューとは、広告の半分以上の面積が1秒以上の間、ユーザーの目に入った状態を指します。アクティブビュー視認可能率が低い場合には、そもそも広告が目に入っていないと言えるため、広告ユニットの配置場所を調整したり、広告ユニットのサイズを大きくしたりする施策が有効です。また、新しい記事を追加したりサイトのデザインなどを変更したり場合は、アクティブビュー視認可能率やクリック率などがどのように変化したのかを確認し、PDCAを回すようにしましょう。

7-4-4. ドロップシッピングでの収益化

東南アジアでは個人が運営するドロップシッピングサイトがたくさんあり、アフィリエイトよりも一般的に利用されているとも言えます。また、日本のようなASPを通して運営するのではなく、ECサイトを立ち上げて商品を転売する使い方が一般的です。

ドロップシッピングとは

ドロップシッピングとは、販売者が商品の在庫を抱えずに、イーコマースで第三者の商品を売り、第三者が購入者に商品を送る仕組みのことです。アフィリエイト広告が広告主サイトへ誘導し、購入はあくまで広告主サイトであるのに対し、あたかも自分の商品のように販売することができますし、販売価格も自由にコントロールすることが可能です。

日本ではドロップシッピングのプラットフォームはサービスを停止していますが、海外ではアフィリエイトよりドロップシッピングの方が一般的で、Taobaoなどで見つけた商品を英語や日本語に直し、自分のウェブサイトで販売するといった、方法もドロップシッピングになり、有効活用されています。

図:ドロップシッピングの仕組み

図:ドロップシッピングの仕組み

ドロップシッピングの始め方

ドロップシッピングサービスとの連携が整っているイーコマースプロバイダを利用し、自社サイトで販売することが一般的です。

ドロップシッピングを始める方法は3種類あります。

イーコマースのオウンドメディアを作成する

世界で有名なイーコマースプロバイダはほとんどドロップシッピングの対応が可能になっています。例えば、Magneto、OpenCartとBigCommerce。WooCommerceはAliDropshipプラグイン(名前は紛らわしいですが、アリババ系列ではありません)と連携していて、AliExpressから商品を選び放題です。Shopifyはドロップシッピングサービスのプラグイン、Oberloを買収し、自分のプラットフォームを充実しています。上記のようなイーコマースプラットフォームでイーコマースサイトを作り、プラグインを利用して、自社サイトに注文が入ると自動的に第三者に注文し、直接送らせることができます。

モールに販売者として登録する

イーコマースドロップシッピングサービスを提供しているモールなど大手イーコマースサイトを利用し、販売者のアカウントで販売する方法です。

既存訪問数に便乗して、モールなど大手イーコマースサイト内で販売者としてのアカウントを作り、ドロップシッピングで商品を売る方法です。自社サイトと比べて、既存訪問数が高いですので、瞬間的にリーチは広いですが、競争が激しいと思われます。アメリカならAmazonとeBayがよく利用されます。アジアではTaobao、AliExpress、Qoo10が人気あります。

ドロップシッピングホールセラーと契約して、多品種を扱う

すでにモールに販売アカウントがあったり、自社の店舗があるときに、ドロップシッピングホールセラーと直接契約し、自社サイトあるいは大手イーコマースサイトでの販売者としてのアカウントで販売する方法です。

ドロップシッピングホールセラーでよく聞くのはDoba、Dropship Direct、Sunrise Wholesale、Wholesale 2B、SaleHoo Wholesale Central、Megagoodsです。利用は完全にオンライン化されているサービスもありますが、それぞれ対応方法は異なります。このようなホールセラーであるだけで、自分の店舗やモールのアカウントの商品の選択肢が大きく増えます。しかし、自動化が少ないため手間がかかったり、随時連絡できるヘルプデスクがなく対応に苦慮することがあります。

ドロップシッピングのメリット

ドロップシッピングの一番のメリットは低コストと低リスクと言っても過言ではないでしょう。在庫を抱える必要はなく、商品開発や商品生産の必要もないため、コストとリスクを抑えることができます。近年では、ドロップシッピングの選択肢も増え、初期投資もさらに安くなっている傾向にあり、機能にもよりますが、安いところになると月間1900円からサービスを利用開始できるものもあります(サイト開設費、サイト維持費、広告宣伝費は含まれていません)。

また、売れ筋であれば広告予算を上げ、売れなければ別の商品に変えることができる高い柔軟性や、仕組みさえ作ってしまえばオートパイロットで管理ができる簡易性もメリットです。定期的に広告のパフォーマンスと売上の傾向を分析し、商品の調整を繰り返すことで、効果的な運用を行うことが可能です。

また、SNSとも相性が良く、例えば、YouTube、Instagram、TikTokなどで他社の製品をレビューしアピールすることが可能です。SNSを活用したYouTuberやインフルエンサーにとってドロップシッピングは理にかなっており、適切な商品を見つけ、自分のおすすめ商品を宣伝し、自分の販売URLに誘導すれば、価格も自由に決めることができ、売上を伸ばすことも可能です。アフィリエイトには似ていますが、他社のURLに誘導する訳ではなく、自分が運用しているURLに誘導できるのがドロップシッピングになります。

ドロップシッピングのデメリット

ドロップシッピングの一番のデメリットは市場をコントロールできないことです。『物流を制する者が市場を制する』と言われますが、ドロップシッピングでは、製造元をコントロールすることができません。サプライヤーと値段交渉もできなければ、品質管理もできないため、他社との差別化が難しいです。サプライヤーを変更し値段や品質を管理することは可能ですが、多数のサプライヤーと関わっていると、異なるプラットフォームを使用しているので、手間とコストが増えます。

また、サプライヤーの梱包や商品の管理ができていないことが原因で起きたクレームであっても、サイト運営者がお詫びしなくてはいけないことがあります。海外からの出品者で特に日本に送る場合は梱包や商品の品質に厳しいため、クレームが起こる可能性があります。

もう一点、参入が簡単なだけあり、競争率も高いことが挙げられます。競合の多い商品を売ろうとすると、価格競争が激化し、広告コストも高くなります。初期投資のコストが低くても運用コストが高くなるケースがあります。

成功するドロップシッピングへのヒント

デマンドを作るではなく、デマンドがある市場を開拓するべきです。事前にGoogle キーワードプランナーやGoogle トレンドでマーケットリサーチを行い、検索ボリュームの多いキーワードから売れ筋の商品を予測します。ポイントは市場で簡単に手に入らない商品を絞り込むようにします。送料に配慮することも商品選定で重要なポイントになります。

また、競合他社のリサーチも重要です。競争が激化している商品は当然避けるべきですが、あまりにも競争がない商品もニーズがないとうことになりますので避ける必要があります。

マージンの低さはドロップシッピングの一つの問題です。定期的に、ドロップシッピングについてのサービスを見直すことによって、コストをさらに削減できたり、よりいいサービスを発見することもできます。

ドロップシッピングはイーコマースを始める時にはオススメです。しかし、ドロップシッピングのみの展開ではなく、モールや自社サイトなど他手法と合わせて行うことをオススメします。

イーコマースは実店舗経営と同様に、自社のブランディングが肝です。お洒落な雑貨を買いたいと思って、ロフトに行こうと思うことと同じです。

7-4-5. 収益強化のための改善手法

サイト上での広告のクリック率は、一般的に0.2%前後といわれています。ファーストビューに入る場所に、336× 280ピクセルなどの大きめの広告枠を用意すると、クリック率は高まる傾向がありますが、サイトのジャンルや集めているユーザーによって異なります。アクティブビュー視認可能率を参考に、PC・スマートフォンそれぞれの端末で、どの場所に、どんなサイズの広告を、いくつ掲載すると多くのユーザーに広告を視認してもらえるのか、また、同時にクリック率が高まって収益が上がるのか、検証を繰り返していくことが重要になります。その際に目標は、一般的なクリック率の2倍にあたる0.4%以上としてみましょう。ただし、誤クリックを誘引するような掲載は、すべての関係者にとってデメリットでしかなく、アカウント停止にもつながるので絶対にしてはいけません。

成功は一般常識の裏にある

一般的に、これらのサイト内広告の手法は、次のようなメリットがあるといわれています。

  • 比較的簡単に稼ぐことができる
  • 低コスト始めることができる
  • 空いた時間で気軽にはじめることができる
  • 在宅で稼ぐことができる
  • 副業として稼ぐことができる

しかしサイト内広告で高い収益を上げることに成功した運営者を見ていると、これらメリットの逆の行動をしています。つまり、次のようなことです。

  1. 詳細なコンテンツ制作のために競合やユーザーをしっかり調べる
  2. 他社や広告対象商品や周辺機器を購入するなどの投資を惜しまない
  3. コンテンツの調査や作成にじっくり時間を割く
  4. インターネットに頼らないフィールドワークでの調査を怠らない
  5. 自分の一番重要な仕事として専念する

簡単手軽にできるのがこの広告手法であることは事実ですが、収益をあげることを目指すのであれば、ほかのビジネスと同様に、仕事として真剣に取り組むことが成功の必要条件といえます。このような労力には特に最初は膨大な時間がかかりますが、自分なりの収益につながる手法を見つけていくと、慣れと工夫で効率化できます。

また、このようなウェブサイトで収益を上げている場合でも、広告だけで収益を上げている人はわずかで、その他にコンサルティングやレポートの販売、書籍やコンテンツの執筆なども行っています。トータルで収益をあげることも視野に入れましょう。