2021年ウェブ解析士(日本語)テキスト

5. 第4章:ウェブ解析の設計

第4章
ウェブ解析の設計

あなたは、経営会議で出された課題となるデジタル化戦略の策定に追われながらも、決定したユーザーへの製品・サービスの販売、パートナー企業見込み客獲得の実行に向けて業務を進めていましたが、この計画に基づいた解析環境を実装する担当者となりました。

さっそく、デジタルマーケティングのシステム担当者へ「ウェブ解析ツールを導入したいのですが……」とお願いしたところ、「それは、どのサイト? 社内システムとの連携はどうするの? 誰が、何をするの?」と聞き返されました。

「確かな戦略を策定して、ウェブサイトを改善して、ユーザーに喜んでもらうストーリーは経営会議で承認をもらったのに、解析の実装は、どうしたらいいんだろう……」 また新しい悩みが出てきました。

ウェブ解析士のことを教えてくれた先輩は、「戦略や施策が正しく実行されているかを知ることはとても大切だ。その効果を検証できる環境を作ることが必要なんだ」と言っていました。「確かにそのとおりなんだけど、進め方が、全く分からない、困ったなぁ……」

そこで、ウェブ解析の設計を学ぶこととしました。


第4章では、事業戦略から導き出された施策が計画通りに進んでいるかを計測できるようするために、ウェブ解析ツールの設置や設定など実装させる、という解析環境の設計方法について学びます。

  • 「4-1. ウェブ解析計画の立案」では、設計から実装までの業務の流れを学びます。
  • 「4-2. タグマネージャーによるタグの効率的な管理」では、タグの重要性とタグマネージャーの機能と設置方法を学びます。
  • 「4-3. 広告効果測定の設計」では、広告の種類、広告個別の手法と測定方法の概要を学びます。
  • 「4-4. ソーシャルメディア解析の設計」では、ソーシャルメディアの種類と、測定方法の概要を学びます。
  • 「4-5. オーガニックサーチの解析の設計」では、検索エンジンの種類と測定方法の概要を学びます。
  • 「4-6. アクセス解析の設計」では、アクセス解析ツールの種類と測定方法の概要を学びます。
  • 「4-7. モバイルアプリ解析の設計」では、アプリ経由でのサイト訪問の解析やアプリ内解析の測定方法の概要を学びます。
  • 「4-8. 情報精度を高めるための設計」では、新技術に対応するための設計として、関連システムとの連携の手法とGoogleアナリティクスの高度な解析を学びます。
  • 「4-9. コンバージョンの設計」では、モデルごとのコンバージョン収集の測定方法を学びます。

4-1 ウェブ解析計画の立案

解析は単に数字を追えばよいということではなく、多くの関係者によるプロジェクトであり、「プロジェクトマネジメント」が必要ということに気をつけなければなりません。何のために解析をするのかという「目的」や、何をいつまでに解析できればよいのかという「ゴール」を明確にし、関係者とコミュニケーションを取りながら進行管理を行います。

4-1-1. ウェブ解析計画の前に決めること

解析計画を決める前に、「ゴール」「スコープ」「関係者」の3つを定めます。

図:解析計画の前に決めておくこと

図:解析計画の前に決めておくこと

ゴール

解析の「目的」から「ゴール」を設定します。解析計画ということから「どのサイトの」「何を計測するのか」という点に目が行ってしまいがちですが、それは手段です。「何のためにその解析をするのか」という本質的な「目的」を関係者全員で共有し、次に、目的の達成に十分な解析ができる「ゴール」を設定します。

「目的」や「ゴール」は、データの取得対象となる部分だけではなく、プロジェクトの全貌を意識して、プロジェクト全体の成果に貢献することを念頭において設定してください。また、ゴールには必ず期日も入れます。不測の事態も踏まえて、本来のゴールよりも少し手前に設定し、バッファを持っておくほうが安全です。

目的やゴールを決めたら、必ず関係者にも意見を求めましょう。抜けや漏れ、関係者の意図と異なるという事態を防ぐことができます。

目的

目的は、何のために行うのか?と考えます。例えば、対象事業のウェブ施策の効果を可視化することで、売上の貢献度を正確に把握するためと設定します。

ゴール

ゴールは、目的に沿って、施策を行った後の状態です。例えば、〇〇年〇月〇日に検索エンジン・ソーシャルメディア・ディスプレイ広告の施策から申し込みにつながり、その売上額を把握できている状態と設定します。

スコープ(対象範囲)

ゴールが決まると、「スコープ」が見えてきます。限られた時間の中で必要な範囲に集中します。オンラインに加え、オフラインにも「スコープ」が存在しているということを意識し、見落としがないようにしまします。

「スコープ」の設定が不十分であると、本来は不必要である範囲のデータを収集して混乱したり、入手データの偏りのために目的のデータが得にくくなるといったことが起こります。

「ゴール」で提示した例では、ウェブ施策として利用しているものをすべて洗い出し「スコープ」に含めます。さらに、申し込み方法についても、オンライン・オフラインのそれぞれの方法について、影響度を判定することも「スコープ」に含まれます。

関係者

「スコープ」の次に、それぞれのデータを取得する、あるいは報告するために必要な「関係者」を洗い出します。

すべての関係者が社内にいるとは限りません。全体の責任者、オウンドメディア・SNS・広告・アプリのそれぞれを運用・管理している担当者、制作会社や広告代理店、申し込みを受け付けるコールセンターや営業担当など、解析計画に関わる人や部署が見えてきます。

事前の確認、あるいは、データを取得するために協力依頼が必要になる場合もあるので、漏れがないように洗い出します。

この段階で、関係者に連絡を入れ、可能ならば「キックオフミーティング」(プロジェクト開始前後で、目的やスケジュール、体制、各自のタスク等を確認する打ち合わせ)を実施しましょう。課題の詳細などは個別に伝えるという方法で構いませんが、プロジェクト全体の目指す方向の共通認識を設定します。

4-1-2. ウェブ解析計画の流れ

解析計画の設計は、必要な情報を収集し、人員を確保し、アウトラインを決め、具体的に落とし込むという流れで進んでいきます。次の手順で段階的に進めてください。

  • 情報整理
  • 人員確保・教育
  • 技術選定・導入
  • ウェブ解析のフェーズ決定
  • ウェブ計画作成

図:ウェブ解析計画の流れ

図:ウェブ解析計画の流れ

情報整理

サーバーやウェブサイト、自社内で利用しているサービスについて、「どこに」「どのような情報が」「どのような形で」存在するのかといった全体像を把握します。技術情報整理についてはまず媒体を整理します。オウンドメディアやアーンドメディア、ペイドメディアなどを、対象となるユーザーの区分と併せて整理するとよいでしょう。[図:自社のメディア・ソース分析の例]のような「メディア・ソース分析」が参考になります。

メディア・ソース分析の項目と概要

メディア・ソース分析の項目と概要として、次のように情報を整理します。

図:自社のメディア・ソース分析の例

図:自社のメディア・ソース分析の例
サービスと組織
  • どのようなサービスを社内のどの部署が担当しているのかを明示する
  • ウェブサイトや関連する顧客データは、どこで確認でき、誰が管理しているのかを明示する
環境情報
  • メディア・ソース分析の業務システム構成図を明示する
  • どこに、どのような情報が、どのようなフォーマット(Excel、データベースなど)で、どのような形で格納されているのかを明示する
トラフィック数
  • ツール別のトラフィック数、価格、プランを明示する

図:業務システム構成図の例

図:業務システム構成図の例

技術選定・導入・教育

今後の導入・運用に関わるメンバーを確保し、解析の目的や技術的説明などを行い、プロジェクトが円滑に進むようにします。

タスク・担当決め
  • 必要なタスク・期限を決める
  • どのようなスキルを持った人が必要なのかを決める
  • ウェブとは無関係な部署やスキルが求められる場合や、オフラインで行う解析などにも注意する
スタッフ選定・パートナー選定
  • 適正なスタッフを選定する
  • 事前に決めた目的やゴールについても担当部署と共有する
  • 現在のリソースとスキルを踏まえてアサインする
  • 不足している部分に関して、社内で対応できない場合、ウェブ制作を依頼しているパートナーや、解析に関して詳しい専門家に依頼することも検討する
情報提供・教育
  • 専門家からのリソース提供や教育を行う役割分担を明確化する
  • プロジェクト開始後の遅延やトラブルを予防する
  • 専門家や教育担当の役割・専門分野などを担当者に紹介する
  • 必要に応じて教育を受けられる状態を構築する

技術選定・導入

解析に必要な技術の選定を行い、実際に導入します。

アクセス解析ツール
  • ウェブビーコン型、サーバーログ型、パケットキャプチャ型のメリット、デメリットを把握し選定する
  • 法律やセキュリティポリシー、サイト規模なども踏まえて最適なツールを選定する
アクセス解析補助ツール
  • 検索キーワードや順位などを確認できる「Google Search Console」などのウェブマスターツールを選定する
  • ユーザーのスクロールやクリック状況などを確認するヒートマップツールを選定する
  • A/Bテストができる「Googleオプティマイズ」などのツールを選定する
  • BIツールとして「Googleデータポータル」などのツールを選定する
広告効果測定ツール
  • 運用型広告の管理画面で効果の検証をする
  • 広告コンバージョンタグの導入を検討する
  • 高度な間接効果の測定、モバイルアプリ、電話の計測を行う場合は、それぞれの広告効果測定専用のツールを検討する
  • Google広告は、Googleアナリティクスなどのプロパティと関連付けるかを検討する
ソーシャルメディア解析ツール
  • SNSから「インサイト」または「アナリティクス」などの名称で提供されている解析画面で確認する
  • 「ソーシャルリスニング」や、競合他社などのアカウント運用状況把握には、専用のツールを検討する

ウェブ解析のフェーズ決定

ここまでで整理・検討してきた情報をもとに、解析計画の本運用開始までのフェーズと納期を決定します。次の段階で具体的なタスクを設計します。また、すぐに本運用に進まずに、試験運用を行ってください。運用開始後の拡張であっても同様です。

フェーズ検討
  • タグなど各種ツールの実装を行うフェーズを検討する
試験運用
  • 本運用前に各ツールの動作試験を行う
  • 本運用で使用するデータを確定する
  • 設計通りに取得できているか確認する
本運用
  • 本運用を開始する
  • 関連部署に報告する

ウェブ解析計画の作成

ここまでの工程で、計画を作成するために必要な情報は揃いました。これらを具体的なタスク・スケジュールに落とし込み、「ウェブ解析計画」としてまとめていきます。Backlog等のタスク管理ツールもうまく活用しましょう。

タスクの洗い出し、詳細検討
  • 必要なすべてのタスクの明確化。タスクごとに必要な詳細情報を記載する
  • 開始条件、終了条件、タスク間の親子関係や依存関係(タスクAが完了しなければタスクBを開始できない)を明確化する
WBS作成
  • 洗い出したタスクを構造化
  • 「WBS」(Work Breakdown Structure)形式にする
  • 工数は正確に見積もる
  • タスクの作業順や、並行作業が可能であるかなどを可視化する
ガントチャート・バーンダウンチャートの作成
  • タスクをガントチャート形式にする
  • 日程・予測工数・消化工数を可視化した「バーンダウンチャート」も作成する
  • 無理な計画となっていないか注意する
  • タスク管理ツールの中には、自動でガントチャート・バーンダウンチャートを作成・表示するものもある

4-1-3. 技術的環境の文書の活用

データをまとめて報告するだけでなく、解析した内容をもとに施策を提案・実施し、成果に貢献することが必要です。施策を提案・実施するにあたって、サイトへの要求事項や仕様、これまでの施策や成果などの把握は不可欠です。

運用を開始してから情報を収集し、サイトやシステムの状況を把握することもできますが、目的を達成するためには、できる限り早い情報収集が必要です。また、新規・既存問わず、技術的環境を文書化して残しておくと、担当者を変更しても引継ぎがスムーズになり、遅滞なく運用・改善を継続できます。

以下のような主要な文書について、計画の時点で有無を確認し、実装後はアップデートし続けて最新の状況が残るようにします。

RFP(提案依頼書/Request For Proposal)
  • 納期や予算範囲のほか、目的、体制、システムの仕様やアクセシビリティへの対応などを記載し、複数企業からのコンペを依頼する際などに使用する
  • クライアントのシステムや要求を理解するため、解析の実装前に、最新のサイトリニューアルやシステム開発・改修時のRFPを入手する
  • ウェブ解析に関するRFPが存在する場合もあるので、有無を確認する

RFPの例

IPA <https://www.ipa.go.jp/sec/tool/ep/ep3.html>

ITコーディネータ <https://www.itc.or.jp/foritc/useful/rfpsla/rfpsla_doui.html>

サイト/システム設計書
  • ウェブサイトやシステム構築時のディレクトリ構造や、名称、サーバー構成などをまとめた設計書として作成する
  • サイト・システムの全体像の把握を目的にする
  • CSSの定義やJavaScriptライブラリの指定などの情報が記載される場合もある
  • タグマネジメントツールの設定や外部サイト・システムとの連携の際に参考にする
UI/UX指示書
  • UX/UIデザイナーが作成する、デザイナーやエンジニアなどに向けた指示書として作成する
  • ペルソナやカスタマージャーニーマップなどをもとに、どのようなコンテンツやUIが設計されたかを把握する
  • UI指示書は、ウェブサイトのユーザーインターフェイスや、アプリのレイアウト設計を記載する
  • 実装後、意図どおりに機能しているかなどを確認するための、インタラクション設計となるようにする
体制図・組織図
  • 関係者の体制・役割分担の資料とする
  • 不明点等の連絡先を把握することを目的とする
セキュリティポリシー/プライバシーポリシー/ガイドライン
  • 個人情報や企業情報の取り扱いについて記載する
  • 各種情報の取り扱いに関する方針を確認する
  • GDPRでは、プライバシーポリシーの整備や、それに準じた実装や体制作りの必要性が高まっているため、細心の注意を行う
事業方針、事業計画書
  • 組織の役割や全体が目指す方針を記載する
  • 事業の達成目的、目標、達成する計画・過程を示した一連の情報を記載する
  • 組織全体の協力を求める際の合意形成に活用する
アジェンダ・議事録
  • 過去の会議についてのアジェンダ・議事録も確認する
  • 同じ疑問・質問の有無や、過去に棄却された施策・提案などを把握する

4-1-4. ウェブサイトの解析設計に関する主要な技術的文書

ウェブサイトの解析設計に関しては、下記のような技術的文書があります。関係者と目的、実行の共通認識を図る際に必要に応じて作成してください。

SDR(Solution Design Reference)
  • 主にAdobe Analyticsを導入する際に使用する指示書として作成する
  • 取得イベント・取得変数などの指示を、画面仕様と併せて記載する
  • Adobe Analyticsを導入する際には、「eVar」や「prop」という箇所に、独自の指標やディメンションを作成するが、何をどのような目的でどの範囲について取得するのか明文化する
  • Googleアナリティクスでも、カスタムディメンションやカスタム指標、イベント計測、計算指標などを導入する際には、同様の文書を作成する

図:SDRの例

図:SDRの例
タグマネジメントツール設計指示書
  • タグマネジメントツールの設定、変数などをまとめて記載する
  • 解析担当から、システム担当・実装担当への指示をする文書であり、タグの概要、発火条件や、変数、格納する値などを明記する
  • システム側で利用している変数名などとも照合する
  • 既存の指示書があれば、新しい指示との競合の有無も確認する
SEO運用レポート/指示書
  • SEOを運用した結果及び改善指示書としてレポートを作成する
  • サイト内の改善を促す内部施策と外部リンクを改善する外部施策を記載する
  • 具体的な施策のほか、上位表示を狙う検索ワードや対応するページを記載する
ソーシャルメディア運用レポート/指示書
  • ソーシャルメディア運用および改善指示書としてレポートを作成する
  • 運用しているアカウントや掲載内容、ソーシャルメディア内の広告との連動などを確認する
広告効果測定レポート
  • 運用型広告や純広告の効果測定としてレポートを作成する
  • 広告キャンペーンやグループの種類、広告の効果を把握する

4-1-5. ウェブ解析の実装計画の作成

ウェブ解析計画に基づいた実装のための注意点を紹介します。

技術的な環境の確認

実装にあたって、技術的な環境確認が必要です。次のような観点で確認します。

システム周辺
サーバーインフラ

解析対象のサイトのhtml等のデータが格納されているサーバー環境を確認し、アクセス権限、接続情報なども把握する

社内システム

ERP(統合基幹システム)やSFA(営業支援システム)など、ウェブに関連するシステムを把握し、解析の実装時に影響がないか、変更の必要があるかなどをあらかじめ確認する

ウェブシステム

ウェブ上で利用しているCMS(コンテンツ管理システム)やショッピングカートシステム、メール配信システムの状況や、外部へのデータフィード送信状況などを確認する

広告システム

広告効果測定ツールや広告配信システムを使用している場合、必要なトラッキングコードやCookieの仕様についても確認する

開発、検証、本番環境
  • 解析ツールが予想通りに動作しない場合もあるので、極力、検証環境を用意して動作確認をし、問題がないことを確認してから本番環境に実装する
  • ECサイトやシステムと連携して動的なコンテンツを提供しているようなサイトなどは、開発環境・検証環境・本番環境の3つが用意されていることも多い。単純で小規模な静的サイトなどでは本番環境のみしかない場合もあるので注意する
  • Googleタグマネージャーのプレビューモードなども活用できるため、本番環境しかない場合であってもできる限り動作確認をする
内外の関係者との連携
  • ウェブの制作、広告、マーケティング、ウェブと連携しているシステムなどの担当者、あるいは外部業者とその担当者を把握し、対象サイトと関連するシステム・関連する内容・接続方法について共有する
  • CMSを含むシステムについては、タグの動作不良によるページの表示異常、あるいはカートで使用する変数と同じ名前の変数を作成した結果カートが動かなくなるなど、解析の実装に伴い深刻な影響が発生しやすいため、タグや変数については開発担当者との密接な連携が求められる

実装するウェブ解析の設計

各種ウェブ解析ツールの具体的な実装の設計を行います。

アクセス解析
  • メインとなるトラッキングコード、カスタムディメンション・イベントトラッキング、データレイヤー変数の出力などを設計する
  • 「どのページのどの位置から」「何を取得するためにどのタグを設置するのか」を設計する。SDRも必要に応じて作成する
  • タグマネージャーを使用する際、トラッキングコードを直接埋め込まない場合があるが、配信するタグとして設計する
  • GTMタグが二重埋め込みにならないように注意する
広告効果測定
  • 「Campaign Source(参照元)」、「Campaign Media(メディア)」、「Campaign Name(キャンペーン名)」がアクセス解析ツールに正しくトラッキングされるようにパラメーターの調整を行う
  • Google広告では、広告管理ツールで設定した値が自動でGoogleアナリティクスに取得されるが、その他のウェブ広告を使用する際にはパラメーターで指定する
  • 複数名で運用していると、「QRcode」と「qrcode」のように表記揺れが起き、別の項目として集計されるおそれがあるため、パラメーターのルール表を作成し、共有する
タグマネジメントツールの測定
  • それぞれのタグを個別に実装することも可能ではあるが、Googleタグマネージャーなどの「タグマネジメントツール」の使用を推奨する
  • 複数のタグについて配信管理をまとめて行うことができ、詳細な条件の指定や、変数の利用も可能になる
  • 「タグマネジメントツール」自体のタグがサイト上に埋め込まれていれば、サイト構築後にコードの編集なく、タグの追加・削除・変更が容易にできる
  • 実際に実装するタグとしては「タグマネジメントツール」自体のタグが必須となる。サイト内の全ページに実装する。実際に動かしたいツールから提供されたタグや発火条件などは、「タグマネジメントツール」の管理画面上で設定する
  • タグマネジメントツールには、基本的なデータについてはすでに変数が用意されている。タグマネジメントツール側でカスタム変数も作成できるが、フロントエンド側で実装した変数も扱うことができる
  • 「発火条件(タグが発動する条件)」の設計も重要。発火条件として「全ページ」「URLに特定の文字列が含まれるページ」などのページ単位での指定や、「.pdfと後方一致したリンクをクリックしたとき」などのイベント送信の条件などが設定できる
ソーシャルメディア解析
  • 実際的な解析は、各SNSの管理画面やソーシャルメディア解析ツールを主に利用する
  • 自社サイトについてシェアする場合のURLには、「広告効果測定」と同様にパラメーターを付与し、どの投稿の効果による流入であるかを計測する
データの結合・集計方法
  • データの取得・結合・集計・出力の4点を確認する
  • データの取得・結合では、各データが異なる管理ツールにまたがっているかを必ず確認する
  • 異なるツールであっても、アカウントの連携やデータインポートなどでデータの結合が可能であるか検討する
  • 集計・出力では、簡単な集計とグラフなどによる可視化を行う「BIツール」の有無を確認する
  • 該当するツールがない場合、レポート共有先と出力環境やフォーマットを取り決める
  • 各ツールやサービスの管理画面上でデータを確認する。必要なデータをダウンロード、またはBIツールと連動してレポートなどに活用する
  • Googleアナリティクスなどでは、会員番号などのキーになるデータをインポートして、オフラインのデータと連携させた分析も可能になる
  • BIツールを活用し、データを視覚化して、直感的に理解できるようにし、経営層を含めた現状の共有などに活用する
  • BIツールを使うと複数のデータを出し入れしながら動的かつ高速に視覚化できるため、思わぬ関連性を発見できる可能性もある

4-1-6. ウェブ解析の実装

ウェブ解析の実装段階の、注意事項を紹介します。

  • 対象とするドメイン・サイトが複数あるか
  • 既存の解析ツールが存在した場合、設定が適切か・重複する設定がないか
  • 検証環境で動作確認ができるか
  • 本番環境でのリリース後、問題なく動作しているか

具体的には以下で解説します。

対象とするドメイン・サイトが複数あるか

ウェブサイトやシステム環境をチェックします。異なるドメインやページが存在している場合や、複数のウェブサイトをまたいだ解析が必要である場合、トラッキングコードの実装方法の調整や複数のウェブサイトをまたいでいる場合、トラッキングコードの実装方法の調整や解析方法の対応が必要になります。

案件によっては、見た目上同一のサイトのように設置されていても部分的に異なるドメインで管理している場合もあります。また、ASP(Application Service Provider、ブログサービスやレンタルカートなど)を利用しているかどうかも併せて確認します。

外部サービスでクロスドメイン対応が難しければ参照元除外で対応します。

既存の解析ツールが存在した場合、設定が適切か・重複する設定がないか

解析環境の設定は、最初から公開用の本番環境に実装するのではなく、極力、事前に検証環境で動作を確認します。

検証環境での動作確認中のデータが含まれないように、Googleアナリティクスの場合は、テスト用のビューまたはプロパティを使用し、本番用のビューとは切り分けてください。プロパティで切り分ける場合は、本番用のプロパティと混同しないように気を付けてください。同じプロパティでビューを切り分ける場合は、本番用のビューから、ホスト名へのトラフィックなどで除外が可能です。また、既存の解析ツールと共存させる場合、併せて検証し、競合している条件などがなく正常に動作することを確認してください。

検証環境は、本番とは異なるドメイン設定されている場合や、同じドメイン上でBasic認証やDigest認証などで関係者のみの閲覧に限定している場合など、さまざまな場合があります。検証環境にあわせて設定を調整している箇所(フィルタやドメインの設定など)については、本番への実装の際に忘れずに修正してください。

検証環境で動作確認ができるか

タグマネジメントツールを導入済で、タグマネジメントツールにデバッグやテストの機能がある場合、タグマネジメントツール上でも動作確認を行います。

指定したタグの発火条件が予測通りに動作するかの確認はデバッグ環境での動作となるため、アクセス解析ツールにはデータは届きません。リリース後にアクセス解析ツールにデータが送信されているかどうかの確認が必要です。

本番環境でのリリース後、問題なく動作しているか

本番環境でのリリース直後に、データが正確に計測できているかを確認します。最も簡単な方法は、Googleアナリティクスのリアルタイム計測です。ページビューやイベントなどは測定できますが、カスタムディメンションやeコマースなどはリアルタイムでは確認できないことがあります。検証可能項目を事前に調べ、確認項目リストを作成してください。

4-1-7. ウェブ解析の維持と改善

ウェブ解析の実装後、運用・改善を継続していくうちに、さまざまな内的・外的環境の変化による影響で、設定の変更が必要になります。サーバーログ型以外のツールについては、さかのぼったデータを取得できないため、変更に速やかに対応する必要があります。メンテナンスを継続するとともに、変更が発生した際には、必ずドキュメントに反映させてください。

内部要因

社内方針、システムやサイトの構造や仕様変更は、ウェブ解析の設定にも影響がある場合があります。内部要因による変更については、タイミングや必要な対応を事前に把握し、実行してください。内部要因からウェブ解析の設定変更が要求される例を紹介します。

サイトフロー・ウェブシステム変更
  • サイト内のコンテンツのディレクトリ構造の変更や、ランディングページの新規追加などにより、解析環境の変更が必要
  • WordPressなどのCMSでは、テーマやテンプレート、プラグインの変更やバージョンアップによる影響が出る可能性があるため、都度動作確認が必要
サーバー環境変更
  • 解析ツールによっては利用の可否がサーバー環境に依存するものもあるレンタルサーバーなどでは、ソフトウェアやツールを自由にインストールできない場合もあるので、サーバー移転の際には、事前・事後の確認が必要
関連システムや解析ツールの見直し
  • 特定のツールでしか取得できないデータもあれば、ツール間で連携できる場合もある
  • ツールは多様化し、新しく増えていくため、事業の成果に結びつく最適なツールの定期的な検討が必要
マーケティング戦略変更
  • 広告、コンテンツ、SNSなどのマーケティング戦略を変更する場合、解析環境も随時変更する
  • 部署間、担当者間での連携が不足している場合、戦略の変更が解析担当者まで伝わらず、データが正しく計測されないことがある

外部要因

ウェブの環境や社会情勢の変化などの外部要因によってメンテナンスが必要となるケースです。予測できないことも多いですが、情報収集を行い、速やかに対応することが求められます。外部要因からウェブ解析の設定変更が要求される例を紹介します。

ウェブの環境の変化
  • SSL環境の重要性の増加、ITPによるCookieの扱いの変化など、ウェブの環境は常に変化している
  • システムの実装や、解析・改善の方向性の再検討などにより、設定の変更が必要
法律や規則の変化
  • 「EU一般データ保護規則」(GDPR:General Data Protection Regulation)の施行により、EU域内の拠点の有無を問わず、EU域内の個人データを取り扱う場合は対象となる
  • 日本でも法制度変更などの影響で、解析にも影響が及ぶ場合がある

個人情報保護法の法制度変更

2020年6⽉に公布された改正個⼈情報保護法では、Cookieの利⽤について事前同意を確認し、記録を作成・保存することが義務付けられた

4-2 タグマネージャーによるタグの効率的な管理

アクセス解析、広告効果測定やリマーケティング、CRM(顧客管理)・マーケティングオートメーション・ソーシャルプラグインなど、「タグ」と呼ばれるJavaScriptを活用するツールは数多く存在します。そういったサービスを利用する場合、タグをウェブサイトのHTMLファイルに都度挿入する必要がありますが、対象となるウェブサイトの規模が大きいとタグを挿入・削除するための工数が膨大になるため、コストの増大や不具合のリスクが高くなります。

このようなタグにまつわる課題を解決するために「タグマネージャー(タグマネジメントツール、タグマネ)」と呼ばれるツールが生まれました。タグマネージャーを利用すれば、タグマネージャー自身のタグ(マスタータグ)をウェブサイトに実装することで、必要となるデジタルマーケティングサービスのタグ(サービスタグあるいはベンダータグ)を代わりに呼び出します。実行したいサービスのタグは、タグマネージャーの管理画面で操作できます。

タグマネージャーにはGoogleタグマネージャー <https://support.google.com/tagmanager/answer/6102821?hl=ja>、Yahoo!タグマネージャー <https://tagmanager.yahoo.co.jp/>、Matomo Tag Manager <https://matomo.org/docs/tag-manager/>、Adobe Dynamic Tag Management <https://www.adobe.com/jp/enterprise/cloud-platform/activation.html>やTealium <https://tealium.com/ja/products/tealium-iq-tag-management-system/>などがあります。

4-2-1. タグマネージャーの機能と用語

タグマネージャーは、外部のデジタルマーケティングとの連携に役立つ機能を数多く備えています。ツールによって呼び方が異なるため、自分が利用するツールのマニュアルで確認しておきましょう。

タグマネージャーの主な機能

タグマネージャーは安全に効率よくタグを管理するために主に以下の機能を持っています。

タグの実行管理

ウェブサイトで利用したいタグの実行(発火)の有効・無効を切り替える

変数の共有

URL・ページタイトル・参照元Cookieの値など、ウェブページで発生するさまざまな情報を「変数」として定義し、その情報をサービスタグに引き渡す

タグの実行ルール

コンバージョンページではコンバージョンのタグだけを実行」など、実行をURLなどの条件で制限する

クリック・電話などページ表示以外の計測

リンククリックやコールトゥアクションなど、ページ表示以外のユーザー行動をトリガーにサービスタグを実行する

エラーの検知

エラーが発生したタイミングで、それを計測するサービスタグを実装する。ツールによっては、独自にエラーを捕捉してレポーティングする機能も提供する

プレビュー機能

設定したタグや機能を、特定のブラウザのみで実行させる。これにより、十分な検証を行ってから本番に公開できる

タグ構成のバージョン管理

新たに追加したタグが不具合を起こしたときに、過去の状態に簡単に切り替えられるようにバージョン管理を行う

動作検証

設定したタグを本番公開する前に、どんなタグが実行されているかを確認するためのツール。タグの実行ルールやページの変数の検証に利用する

そしてGoogleタグマネージャーは、アカウントの設定や高度なマーケティングの設定を簡単に行う機能が備わっているため、マーケティングに関わるソリューションの実装はなるべくタグマネージャーを通して実装することをおすすめします。

タグマネージャーの基本用語

タグマネージャーには以下の用語があります。

コンテナ

Googleタグマネージャー(以降、GTMと表記)設定情報を管理するための単位。通常は、サイトごとにコンテナを発行して利用する

タグ

Googleタグマネージャーから呼び出す外部サービスのタグ。「タグタイプ」から利用したいサービスを選択し、必要な情報を設定して実行する

変数

ウェブサイトやページに関する情報をGTMで利用するために定義された、値を格納する器。URL・クリックしたボタンのテキストなどが代表的。タグやトリガーに必要な情報は、変数を媒介として共有される

トリガー

タグを発動する条件(ルール)。デフォルトでは「All Pages」というトリガーが用意されている

4-2-2. Googleタグマネージャー(GTM)の実装方法

一般的に使われているGoogleタグマネージャーの実装について説明します。詳細な手順は脚注で紹介しているヘルプサイトもしくは解説書を参照してください。

GTM

公式サイト;<https://marketingplatform.google.com/intl/ja/about/tag-manager/>、ヘルプサイト:<https://support.google.com/tagmanager/?hl=ja#topic=3441530>、Googleアナリティクスのトラッキングに関するコミュニティ(GTMの質問も可):<https://support.google.com/analytics/community?hl=ja&ctx=lithium>、開発者向けサイト(英語):<https://developers.google.com/tag-manager/devguide>

十分な知識がない状態でタグマネージャーを導入すると、サイトのパフォーマンス劣化や機能不全を起こすことがありうるため、プレビュー機能を使って十分確認してから本番サイトに実装をしてください。ステージング環境で試験運用することもおすすめします。

タグマネージャー動作の検証ツールの導入

GTMの動作検証では、「Google Chromeの開発者ツール」 <https://support.google.com/accounts/answer/27441?hl=ja>と「Google Tag Assistant」 <https://support.google.com/tagassistant#topic=6000196>を利用します。

「Google Chromeの開発者ツール」はブラウザにある標準の機能で、Networkタブに起動したタグと与えるCookieを知ることができます。読み込むファイルは膨大なのでフィルタ機能で絞り込むことができます。

図:Google Chromeの開発者ツール

図:Google Chromeの開発者ツール

「Google Tag Assistant」は、GoogleアナリティクスやGTMなど、Googleのタグ関連サービスの動作検証を行うためのツールで、Google Chromeのプラグインとして提供されています。

図:Google Tag Assistant

図:Google Tag Assistant

この画面のように、ウェブページごとにどのタグが起動し、どこで問題があるかを知ることができます。

マスタータグの設置

GTMアカウントが用意できると、「スニペット」と呼ばれるGTMのマスタータグが入手できます。このタグを<head>内の上のほうや開始タグ<body>直後に挿入してください。

図:スニペットの画面

図:スニペットの画面

以下はスニペットを配置したコードの例です。

<html>
<head>
<title>Google Tag Manager - Sandbox</title>
<!-- Google Tag Manager -->
<script>(function(w,d,s,l,i){w[l]=w[l]||[];w[l].push({'gtm.start':
new Date().getTime(),event:'gtm.js'});var f=d.getElementsByTagName(s)[0],
j=d.createElement(s),dl=l!='dataLayer'?'&amp;l='+l:'';j.async=true;j.src=
'https://www.googletagmanager.com/gtm.js?id='+i+dl;f.parentNode.insertBefore(j,f);
})(window,document,'script','dataLayer','GTM-XXXXXX');</script>
<!-- End Google Tag Manager -->
</head>
<body>
<!-- Google Tag Manager (noscript) -->
<noscript><iframe src="https://www.googletagmanager.com/ns.html?id=GTM-WX26S3G"
height="0" width="0" style="display:none;visibility:hidden"></iframe></noscript>
<!-- End Google Tag Manager (noscript) -->
<h1>Google Tag Manager - Sandbox</h1>
</body>
</html>

タグマネージャーの設定

マスタータグを設置したら、タグマネージャーで実行するタグや条件を設定します。

1. コンテナを選択

タグを入れるコンテナを選びます。通常ウェブサイトごとにコンテナを分けていますので、タグを入れたいウェブサイトのコンテナを選んでください。

2. タグの追加

設置するタグを追加します。例えばGoogleアナリティクスのタグを設置するには「ユニバーサルアナリティクス」を選択します。

図:「ユニバーサルアナリティクス」を選択する

図:「ユニバーサルアナリティクス」を選択する

このようにあらかじめ準備されたタグを入れることも、カスタムで準備されていないタグを入れることもできます。

3. 変数の追加

収集したい変数を選びます。Googleアナリティクスの場合は、GAトラッキングIDを入力して名前を付けて保存します。

図:GAトラッキングIDを入力する

図:GAトラッキングIDを入力する
4. トリガーを設定

タグを発火させる条件をトリガーとして設定します。Googleアナリティクスであれば全ページでタグを発火させるため「All Pages」にします。設定ができたら保存します。

図:トリガーを設定する

図:トリガーを設定する
5. 動作検証

タグを保存したら、プレビューボタンを押し、GTMを設定したブラウザで検証サイトを開きます。

プレビュー機能の状態で検証するサイトを見ると、タグマネージャーを設定したパソコンのブラウザでのみタグマネージャーが起動し、タグが正しく動作しているか表示されます。この状態動作確認し、安全に動作するかを確認します。

図:プレビュー機能で確認する

図:プレビュー機能で確認する

Googleアナリティクスの動作確認であれば、レポート画面のリアルタイム分析(コンテンツ)を見ると、プレビューしている自分のブラウザからのトラフィックがカウントできているはずです。

4-2-3. GTMによるデジタルマーケティング解析・施策の進化

アクセス解析の拡張

タグマネージャーを利用すれば、ユーザーのサイト上での行動を詳細に取り込むことができるので、ユーザーのランクや興味関心といった属性や購買情報に紐づいたアクセス解析が実現できます。ここでは、Googleアナリティクスによる拡張的なアクセス解析の機能を紹介します。

カスタムディメンション・指標の活用

Googleが標準で用意しているディメンション(集計の切り口)や指標(数値)以外の情報を利用して解析を行うことを「カスタムディメンション」「カスタム指標」と呼びます。カスタムディメンションを使えば、表示されたページに商品名・作者・発行日といった情報を紐づけ、それらを軸にした分析が可能となります。カスタム指標では、ユーザーのランク・累積ポイントといった数値に基づく情報を指定できます。

GTMでは、画面の設定だけでクエリーストリング・Cookieといった情報を変数として取り込むことができます。それ以外の情報を利用する場合には、データレイヤーという次の書式で引き渡したい値をページに埋めこむ必要があります。

<script>
var dataLayer = dataLayer = [];
dataLayer.push({
"page_author" : "山田太郎", // ページの作者
"page_category" : "料理", // ページの種類
});
</script>

併せて、Googleアナリティクスのほうでもカスタムディメンション・指標の設定を事前に行っておく必要がある点にも注意が必要です。GTMやGoogleアナリティクスのヘルプコンテンツを参照しながら、実際に検証ページのHTMLを修正して動作を確認すると、より理解が深まるでしょう。

コンテンツグループの活用

コンテンツグループとは「ページの分類に特化したカスタムディメンション」とも表現できます。コンテンツグループを指定することで、URLをグループ化して集計することができるので、ページ数が多いサイトで全体を俯瞰するような分析に役立ちます。

GTMでコンテンツグループを指定する場合も、カスタムディメンションのときと同様にページの情報(変数)をタグに引き渡す設定を行います。

eコマース分析の実装

Googleアナリティクスでは、サイトでの購買情報に基づいたアクセス解析を行う「eコマースレポート」機能が用意されています。「この商品を購入した人にもっとも閲覧されている広告」といった感じで、ユーザーのサイト行動と購買を紐づけて分析できるので、よりアクセス解析に深い意味を持たせることができます。さらに、「拡張eコマースレポート」を利用すれば、購入に至る前の購買行動を計測できるので、ユーザーが商品をカートに投入しながら購入しない「カート放棄」の状況も調べることが可能です。

eコマース分析を行う場合、その購買に関する情報をGoogleアナリティクスに引き渡す必要があります。GTMのデータレイヤー変数として購買情報をHTMLに出力すれば、GTMが情報を拾ってGoogleアナリティクスのタグに引き渡します。そのときのデータレイヤー変数の書式は、GTM開発者サイト <https://developers.google.com/tag-manager/devguide>もしくはGoogleが公開しているサンプルサイトを参照してください。

広告の効果測定やターゲット指定の精度向上

タグマネージャーは、広告効果を高めるための施策の活用にも利用されます。主な例として、次のようなものがあります。

コンバージョンタグの実行

広告効果測定の主要な指標として、資料請求や商品購入といったサイトのゴールに到着した件数をカウントする「コンバージョン計測」が挙げられます。このコンバージョン測定を行う場合、その条件に合致したタイミングでのみコンバージョン計測を行う「コンバージョンタグ」を実行する必要があります。

GTMでは「トリガー」を使ってタグの実行を制御します。管理画面の左メニューにある「トリガー」をクリックしてトリガー設定画面に移動し、トリガーを新規追加します。そして「URLに"thankyou.html"を含む」といったルールを指定して保存し、ルールに合わせて実行したいタグと紐づけます。トリガーを活用すれば、「ユーザーがページをすべて読み終えたとき」「資料のPDFをダウンロードしたとき」「スマートフォンサイトから指定した電話番号に発信したとき」など、コンバージョン測定のタイミングを任意に指定できるため、よりビジネスニーズに即した広告効果測定が実現できます。

リマーケティングタグの実行

リマーケティング広告とは「サイトに訪問したユーザーは、その商品・サービスに対する関心が高い」という仮説をもとに、サイト訪問経験者に対して優先的に広告を表示する機能です。

「リターゲティング」は登録商標

同様の意味を持つ「リターゲティング」はMicroAd社の登録商標である

一般に、リマーケティングタグはウェブサイトのすべてのページで無条件に実行されるのですが、そうすると、たまたまサイトを訪問したユーザーに対しても広告が露出され、その都度、費用が発生します。そのため、最近では「商品詳細ページを読み終わったら」「ページを全部読み込んだら」など、「一見さんではないユーザー」を対象にしてリマーケティングタグを実行するケースが多く見られます。そういった条件指定でのタグ実行にも、GTMのトリガーが活用できます。

また、最近では、Criteoに代表される「動的リマーケティング」「フィード広告」と呼ばれる広告サービスへの出稿も増えています。これらの広告では、ユーザーの購買行動の進捗度合いや関心の高い商品に合わせて広告を最適化して配信します。その際には、やはりページから購買行動に関する情報を、タグを介して広告側に引き渡す必要が出てくるので、GTMの活用余地が広がります。

コンテンツの最適化

タグの活用用途は、ユーザー行動のデータ収集に限定されません。A/Bテスト・パーソナライズ・レコメンドのように、ウェブページのコンテンツをユーザーの行動や属性に合わせて改変する「コンテンツ最適化」にも使われます。GTMでは「Googleオプティマイズ」というGoogleが提供する最適化ツールのタグを標準で用意しています。

4-2-4. タグマネージャー運用の心得

タグマネージャーの活用は、現在のデジタルマーケティングでなくてはならない機能ですが、運用について明確な手順が確立していないため、担当者の自覚と情報共有が重要です。便利な反面、大きなトラブルになる可能性もあるため以下に気をつけて運用してください。

タグマネージャー運用のゴールを確立

タグマネージャーは便利な道具であっても、デジタルマーケティング実施のゴールではありません。ツールの明確な活用イメージと得られるメリットがない状態でタグマネージャーを導入しても宝の持ち腐れとなります。

「自社のビジネスゴールはどこにあるのか?」「そのゴール達成にウェブサイトをどう活用すべきか?」「それを実現するための施策は?」といったように、ビジネスゴールを起点にして施策を考えることで、具体的なタグの実装・運用が設計できるわけです。また、組織でタグマネージャーを運用する場合には、そのゴールイメージを関係者と共有して話を進める必要も出てきます。常に大局を見ながら業務を推進していく姿勢は、タグマネージャーの運用でも重要になってきます。

導入先のサイト構成の徹底した理解

タグマネージャーを導入するサイト構成を理解していなければ、タグの実装漏れ・不要なタグの実行が発生し、結果として「アクセス解析レポートの精度が下がる」「正しいコンバージョンに基づいた広告の評価ができなくなる」といったビジネスへの弊害が生じる可能性が出てきます。コンバージョンページが決済手段によって異なっているといった場合には特に注意が必要です。

eコマース解析や動的リマーケティングを活用する場合、サイトの情報設計に基づいた適切なタグの実装が求められるため、より詳細にサイト構成を把握しておく必要が出てきます。「アクセス解析はサイトの構成把握から始まる」という原則は、タグマネージャーでも同じです。

連携するツールに対する理解

タグマネージャーは、ほかのツールと連携することによって初めて価値を生み出すツールであり、タグマネージャー単独で導入しても役に立ちません。GTMの変数・トリガーの使い方がわかっても、実際に取り込んだデータを解析ツールで分析する方法がわからなくては、データの活用は難しいでしょう。Googleアナリティクスのカスタムディメンション・コンテンツグループ・eコマース解析を実現したいのであれば、まずはGoogleアナリティクスのヘルプコンテンツを参照して「何ができるのか」を理解した上で、GTMでの実装方法を検討しましょう。広告についても同様です。高度なリマーケティング広告を実施したいのであれば、まずは各広告サービスが提供する機能を理解する必要があります。

タグマネージャーの運用ルールを定義

タグマネージャーはデジタルマーケティング活用に便利なツールであると同時に、不適切な利用によってウェブサイトの機能を劣化・停止させる可能性があるものです。また、悪意を持った人に権限が渡ってしまうと、ウェブサイトのコンテンツ改竄や情報漏洩を起こす可能性もあります。必要以上に恐れることはありませんが、タグマネージャーを業務で利用するならば、次の事柄を関係者に徹底しましょう。

  • タグマネージャーへのログイン権限は、信頼できる人のみに与える
  • 新しい機能を一般公開する前に、十分な検証を行う
  • タグを追加する場合は、依頼者・目的・利用期間、といった情報を記録しておく
  • 障害が発生したときの対処方法や連絡先を関係者に共有する

4-3 広告効果測定の設計

インターネット広告を行うにあたり、事前に決めていた目標や目的に対して、実施した施策が、結果として達成したのか、また他に効果がなかったかという、検証が重要です。ここでは、より確かな検証を行うために広告効果を測定する方法、広告の種類、個別の手法ごとの測定方法の概要について説明します。

4-3-1. 広告効果測定方法

広告効果測定とは、広告活動の目的に対して出稿の結果を測定し検証することです。広告の目的は「認知の拡大」から「販売促進の強化」までさまざまですが、最終目的は「売上および利益」を上げることです。

ウェブ解析士は、ウェブ広告効果測定方法にいくつか方法があることを知っておく必要があります。

ウェブ広告の効果測定は、単にウェブサイトのアクセスログデータだけで解析を行うのではなく、アドサーバーのデータ解析を行ったり、さまざまなデータを結び付けて分析を行ったりする必要があり、それぞれの数値の特性を理解しておかなければなりません。

アドサーバー

どの媒体にどの広告を配信するか管理するサーバー。Googleアドマネージャーなどがあてはまる。<https://support.google.com/admanager/answer/9234653?hl=ja&ref_topic=7505788>

図:広告効果測定

図:広告効果測定

[図:広告効果測定]に示したように、広告効果測定には3つの手法があります。アドサーバー上の計測、ウェブサーバー上での計測、実際の売上/損益による測定です。

アドサーバーの測定では専用のトラッキングコード(タグ)を設置して、インプレッションや間接効果まで含めた幅広い効果測定ができますが、クリックしたあとのウェブ内での行動以降のすべてのデータを取得することは困難です。

ウェブサーバー上での計測は、パラメーター(後述)を用いて、アドサーバー経由で流入したユーザーを特定できるようにすると、ウェブサイト訪問後の行動やコンバージョンまでは測定できますが、インプレッションまでは測定範囲に含められず、返品などによる売上減といった詳細な収益の測定は困難です。

売上/損益の測定は、CRMや注文管理ソフトの受注結果をもとに集計します。費用対効果という視点ではもっとも精度が高いのですが、インプレッションやウェブ上の行動がわかりません。

「CRM」とは

Customer relationship Managementの略で、顧客の情報を管理するソフトのこと

このように、測定する方法が異なるため、同じ指標を測定しても異なる数値になります。例えば広告の管理画面(アドサーバー)のコンバージョンと、アクセス解析ツール(ウェブサーバー)のコンバージョンが異なることはよくあり、広告担当者とウェブ担当者で広告効果について異なる数字を見ることがよくありますが、それはどちらも正しく、測定する方法が違うためです。それぞれの長所短所を活かして、複数の測定から広告の効果を判断する必要があります。

表:Googleアナリティクスのパラメーター

パラメーター

名称

内容

utm_source

リファラー

広告を出稿しているウェブサイトや媒体名

google/yahoo/facebook

utm_medium

広告メディア

検索連動型広告、ディスプレイ広告など掲載広告の種類

cpc/email/display

utm_campaign

キャンペーン名

広告のキャンペーン名称

2021summer-sale/2021winter-sale

utm_term

キーワード

検索連動型広告で設定しているキーワード

t-shirt/capbottom

utm_content

コンテンツ名

広告のクリエイティブ毎の任意の値

smile-banner/price-banner

4-3-2. パラメーターを使ったアクセス解析

広告効果は各広告の報告書や管理画面からアドサーバー上の測定結果はわかります。しかしウェブサーバー上で広告効果測定を行うにはパラメーターを使います。外部メディアから自サイトへの誘導施策を行う際は、パラメーターを活用することで、施策ごとの客観的かつ詳細な分析ができます。

https://www.waca.associates/jp/?utm_campaign=waca2020&amp;utm_medium=cpc&amp;utm_
source=google

URLが長過ぎるとウェブブラウザが読み込めなくなる可能性もあるため、パラメーターはできるだけ短くし、日本語などの2バイト文字の使用は避けます。また、パラメーターは「&amp;」でつなげることができるので、Adobe AnalyticsやMatomoなど、複数のアクセス解析ツールの利用や広告効果測定ツールとの連携も可能です。

パラメーターの役割

Googleアナリティクスを例に、パラメーターの役割を紹介します。大文字と小文字は同一視しないで分析するため、基本的には小文字に統一して書きます。

パラメーターに設定する主な内容は、「どのサイトから来たか」「どの広告を経由したか」「いつ実施した広告か」などです。この設定結果でGoogleアナリティクスのチャネルが振り分けられます。

4-3-3. 純広告の効果測定の設計

純広告の効果測定は、メディアや広告代理店からの配信レポートが中心です。配信レポートには、インプレッションクリック率などが掲載されています。オウンドメディアに誘導してからの効果測定には、パラメーターを用いた測定が必要です。パラメーターを用いることで、オウンドメディアへの訪問セッション数、コンバージョン数売上金額などがわかります。

Googleアナリティクスで測定するために「Campaign URL Builder」 <https://ga-dev-tools.appspot.com/campaign-url-builder/>で作成する場合、「medium」は「banner」が適切でしょう。メール広告の場合は「email」を選択します。

4-3-4. 運用型広告効果測定の設計

運用型広告は、純広告と比べて、運用の方法とユーザーや競合の動向で、著しく数値が変化します。そのため、アクセス解析と連携し変化を察知し動向を把握することが必須です。

検索連動型広告の設計

検索連動型広告の効果を測定するには、次のような設定が必要です。

広告アカウントの設計

広告アカウントで配信に必要な準備(キャンペーン、広告グループ、キーワード、広告などの設定)を行います。

広告コンバージョンタグの設置

広告媒体ごとにコンバージョンタグの設置をします。コンバージョンタグを設置すると、広告媒体の管理画面で効果測定が可能になるだけではなく、コンバージョンを効率的に増やすための最適化機能を活用できるようになります。サンクスページにコンバージョンタグを設置するのが一般的ですが、Google広告のコンバージョンタグ設置には、Googleアナリティクスを利用する方法やGoogle広告のグローバルサイトタグを利用する方法があります。

アクセス解析用パラメーターの設置

Google広告では、GoogleアナリティクスのプロパティをGoogleアカウントにリンクすることで、Googleアナリティクス上で効果測定を容易に行えます。広告費用のデータなども自動取得が可能です。Yahoo! Japanなどの検索連動型広告では、リンクするときにパラメーターを設定しないとキャンペーン、グループ、キーワードごとの効果が測定できないので、次のように広告のリンクに設定します。

https://www.waca.associates/jp/?utm_source=yahoo&amp;utm_medium=cpc&amp;utm_term=
t-shirt&amp;utm_campaign=brand
費用データをアクセス解析にインポート

広告費用をGoogleアナリティクスに読み込む際には、データインポート <https://support.google.com/analytics/answer/2803329?hl=ja>が便利です。Yahoo!の場合は広告のインプレッションのデータや広告コストのデータを準備してアップロードすれば、CPACPCも測定できます。

設定できるパラメーターの種類と設定例については、前述の4-3-2「パラメーターを使ったアクセス解析」を参考にしてください。

ディスプレイ広告の設計

GoogleのGDN(Google Display Network)は、Google広告と同様に、Googleアナリティクスとリンクされていれば自動的に測定できますが、その他の広告の場合は、次に示すような設定が必要です。ディスプレイ広告のコスト設定はCPMなどを用いるケースもあり、アクセス解析ツールへのアップロードには適しません。

パラメーターの設定

アクセス解析で測定するためのディスプレイ広告用のパラメーターを作ります。ディスプレイ広告で出稿するときに、このパラメーターも併せてリンクに設定することで、アクセス解析での測定が可能になります。Googleアナリティクスの場合で測定するためにCampaign URL Builderで作成する場合、「media」は「display」に設定します。

アドサーバーの設定

アドサーバーに配信条件やクリエイティブを登録します。リンクは、設定したパラメーターを付けたものを使います。

リマーケティングタグの設定

リマーケティング広告の場合は、ディスプレイ広告用のリマーケティングタグをオウンドメディアに設置する必要があります。また、リマーケティングリストを使う場合は、リマーケティング用ユーザーリストとして選定する条件を定めます。

4-3-5. ソーシャルメディア広告の設計

ソーシャルメディア広告の効果を測定するには、次のような設定が必要です。

ビジネスアカウントの設計

ウェブサイトの定義、広告内容を作成、配信範囲の設定を行います。FacebookやInstagramではページやアカウントを作る必要がありませんが、Twitterでは広告配信前に事前にアカウントを作成し、2~3週間運用してアクティビティのあるアカウントにすることが求められます。

また、多くのソーシャルメディアでは、オウンドメディアの効果を測定するためのトラッキング用のタグが準備されています。このタグは、効果測定だけではなく、配信の最適化にも利用されるため、必ず設置します。

FacebookはFacebookピクセルとコンバージョントラッキングピクセルを、Twitterはコンバージョントラッキングを設置します。LINE広告では、コンバージョンを測定するコンバージョンタグとサイト全体に設置するセグメントタグが必要です。これらは、タグマネジメントツールを利用して設置する方法もあります。

アクセス解析用パラメーターの設置

パラメーターがなくても広告のトラッキングコードを使って管理画面で効果を測定できますし、メディアごとの大まかな数値はアクセス解析でトラフィックは測定可能ですが、どのキャンペーンが効果を生んでいるかを知るためにはパラメーターの設置が理想的です。キャンペーンやコンテンツなどをパラメーターで設定します。例えば、Googleアナリティクスで測定するためにCampaign URL Builderで作成する場合、「medium」は「social」になります。

費用データをアクセス解析にインポート

広告の費用データをアクセス解析にインポートすると、費用対効果の計上が可能となります。

SNSで広告を出してウェブサイトやアプリに誘導するときにはそれぞれトラッキングコード、ピクセルなどと呼ばれるタグを貼り付けます。効果測定と広告配信の最適化で用いられます。

広告出稿の準備

運用開始時に各SNSにて広告を配信できるよう準備しておきましょう。

Facebook

管理者として運用しているFacebookページを表示させると、画面左カラムに「広告を管理」というメニューがあります。ここから広告出稿の設定を行います。

Instagram

Instagram広告は、Facebookの広告管理画面で出稿・設定します。スマートフォンのアカウント設定画面から、「ビジネス設定」からビジネスアカウントとして設定します。ビジネスアカウントの設定には紐付けるFacebookページが必要となります。Facebookページを運用するか否かにかかわらず、事前にFacebookページを作成しておきましょう。

Twitter

PCでTwitterにログインし、画面右上にある自社アイコンをクリックし、展開されたメニューにある「Twitter広告」を選択します。初めて出稿する際に、ビジネスについての情報や支払いに利用するクレジットカードの登録を行います。Twitterの場合、アカウントを作成してすぐに広告を出稿することはできません。オーガニックの運用を数週間実施したのち、初めて広告を出稿する資格を取得できます。Twitter広告の出稿を前提にアカウントを作成する場合は注意が必要です。

トラッキングコードの挿入

ソーシャルメディアでは、オウンドメディアでの行動をもとにした広告の最適化やリマーケティングの機能があります。これらを有効に活用すると、広告予算の自動最適化やウェブサイトを見た人のみに広告を配信するなど、効率的な運用が可能になります。したがって、必ずソーシャルメディア広告ごとのトラッキングコードを有効にしておきましょう。

4-3-6. アフィリエイト広告効果測定の設計

アフィリエイト広告の効果測定をするためには、アフィリエイトシステムの設定とアクセス解析の設定の両方が必要となります。アフィリエイトは成果報酬であり、承認のプロセスも発生するため、アクセス解析ツールへのアップロードには適しません。

パラメーターの設定

アクセス解析で測定するためのアフィリエイト広告用のパラメーターを作ります。アフィリエイト広告で出稿する際、このパラメーターも併せてリンクに設定することで、アクセス解析での測定が可能になります。Googleアナリティクスで測定するためにCampaign URL Builderで作成する場合、「media」を「affiliate」に設定します。

アフィリエイトシステムの設定

アフィリエイトシステムに商品や報酬を設定します。リンクは、パラメーターを付けたものを使います。

4-3-7. モバイルアプリ広告効果測定の設計

モバイルアプリは、ウェブブラウザとは違って、各ページに計測用の記述を挿入するのではなく、SDK(Software Development Kit)パッケージを導入します。広告効果を正しく計測するにはSDKの利用が必要となります。SDKと広告媒体を連携することで流入経路別のインストール数や継続数、課金額、その他設定したアクションなど、ユーザーの行動を詳細に分析することができます。

4-3-8. アドテクノロジー

アドテクノロジーとは、広告主と媒体社(メディア)、そして、これらの二者間の広告配信に関連するさまざまなサービスを行うテクノロジーの総称です。ここでは、主な二者間の広告配信を説明し、主に用いられているテクノロジーに関する用語も解説します。

在庫(広告在庫)

広告枠がどのぐらいインプレッション数を出せそうか予測した量を在庫といいます。注意すべきは、在庫とはあくまでも「予測値」であることです。今月1,000万インプレッションがあった広告枠が、来月も同数のインプレッションがあるとは限りません。保証できないため純広告用として提供する場合、予想ほどのインプレッションが出なかった場合を考え、予測のインプレッション数よりも少ない数を広告在庫として販売します。

アドネットワーク

メディア・媒体社が広告枠(広告在庫)をまとめて運用を行い、広告主に販売する方法です。メディア・媒体社としては、広告在庫を一元管理することで広告枠の販売コストを抑制できるため、コストをかけずに収益を得る方法として大きく成長しました。広告主側にとっては、ニュース系や女性系などの特定カテゴリに、媒体と直接契約せず複数のメディアにまとめて配信できる利点があります。

表:アドネットワークの概要

発注形態

広告主が自らアドネットワーク事業者に広告発注または広告代理店に広告発注

在庫

メディア・媒体社側は、広告在庫をネットワーク化(パッケージング)して販売

取引方法

アドネットワーク事業者から買い付け

運用者

アドネットワーク事業者、広告代理店

主要なサービスとしては、Googleの「Googleディスプレイネットワーク(GDN)」、Yahoo!の「Yahoo! ディスプレイアドネットワーク」などがあります。

アドエクスチェンジ

アドネットワークの導入が進むと、広告主とメディア・媒体社の双方で新たなニーズが生じます。広告主側は、広告の獲得効率を重視して、効果の高い広告枠だけに出稿したいと考えます。一方、メディア・媒体社側は、複数の広告枠在庫と広告配信ネットワークを一元管理して自由に売買したいという要望があります。

そこに登場したのが、「アドエクスチェンジ(Ad Exchange)」と呼ばれる仕組みで、広告枠を1インプレッション単位で売買するプラットフォームです。これにより、広告枠はオークションで売買されるようになってきました。

表:アドエクスチェンジの概要

発注形態

広告主が広告代理店に広告発注。広告代理店がアドエクスチェンジ経由で広告在庫の買い付けを行う

在庫

メディア・媒体社側は、広告在庫をアドエクスチェンジ事業者へ販売(卸売)

取引方法

アドエクスチェンジ事業者からRTBで買い付け後に、アドネットワーク事業者、DSP事業者、広告代理店に供給

運用者

アドエクスチェンジを経由して、広告在庫を買い付けしたアドネットワーク事業者、DSP事業者、広告代理店

主要なサービスとして、Googleの「DoubleClick AdExchange」などがあります。

DSP/SSP

アドネットワークやアドエクスチェンジが増加するにつれて、広告主やメディア・媒体社も運用管理が難しくなり、複数のアドネットワークやアドエクスチェンジを統合管理する仕組みが必要とされるようになりました。広告主側のシステムとして「DSP(Demand Side Platform)」が、メディア・媒体社側のシステムとして「SSP(Supply Side Platform)」という仕組みが誕生し、利用されるようになってきました。DSPとSSPを介した広告配信は、次のような流れで行われます。

  • 広告主が、DSPに広告クリエイティブ、入札金額などを登録する
  • メディア・媒体社は、SSPに自社が持つ広告枠と最低入札額などを登録する
  • 媒体社側のウェブページをユーザーが訪問し、広告枠が表示されると、その広告枠に関する情報がSSPやアドエクスチェンジ側に送られる
  • SSPやアドエクスチェンジは、DSPに登録された広告の中から最も入札金額が高いものを選び、広告枠に表示する
表:DSP/SSPの概要

発注形態

広告主が自らDSP事業者に広告発注または広告代理店に広告発注

在庫

メディア・媒体社側は、広告在庫をアドエクスチェンジ業者、アドネットワーク業者、SSP事業者へ販売(卸売)

取引方法

DSP事業者からRTBで買い付け

運用者

広告代理店、広告主

DSPの主要なサービスとして、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)の「MarketOne」、フリークアウトの「FreakOut DSP」、デクワス株式会社の「KANADE」などがあり、SSPの主要プレイヤーには、株式会社ジーニーの「Geniee SSP」、マイクロアドの「MicroAdAdFunnel」、プラットフォーム・ワンの「YIELD ONE」などがあります。

これにより、メディア側は広告在庫を極力高く売ることができ、広告主は少しでも安く・効率がよいメディアに出稿したいという目的を達成できます。

データエクスチェンジ

メディアや企業の持つオーディエンスデータを集め、分析整理して売買・流通する仕組みとして、「データエクスチェンジ(Data Exchange)」という手法があります。さまざまなユーザーデータを分類して、アドネットワーク、アドエクスチェンジ、DSPやSSPに提供するサービスです。これにより、ユーザー行動に合わせた広告を配信できます。この仕組みを運用するのに欠かせないシステムが「RTB(Real TimeBidding)」です。

RTB

RTB(Real Time Bidding)では、ユーザーがページを訪問して広告枠が表示された(インプレッションが生じた)瞬間に、「そのユーザーが閲覧している広告枠」に対して、そのユーザーをターゲットにしている広告主同士がオークション形式で広告枠の購入を競い合います。広告枠に表示される広告がリアルタイムな入札(ビッディング)によって購入決定されることが、この名称の由来です。広告主にとっては「広告枠」でなく、広告を目にする「ユーザー」をターゲットに広告を露出できることが特徴で、メディア・媒体社側にとっては広告枠の価格をより高く引き上げて販売できるというメリットがあります。

DSP、SSP、そしてRTBの組み合わせによって、ユーザーにとっては提供される情報(広告)が最適化され、広告主にとっては広告の費用対効果が最適化され、メディア・媒体社にとっては販売価格や在庫が最適化されるというメリットの創出につながっています。

図:広告効果測定ツール

図:広告効果測定ツール

レコメンド広告・データフィード最適化

リターゲティング広告の技術を応用した広告配信手法として、レコメンド(レコメンデーション)広告などが注目されています。サイトにアクセスしたユーザーに対して、オーディエンスデータや閲覧履歴をもとに、興味のありそうなアイテムを配信する手法です。

レコメンド広告を利用するには、商品データの最適化とデータフィード構築が必須となり、サービス提供企業ごとに一定の形式に沿った商品データを用意し、在庫状況などに応じて最新情報に更新する必要があります。このため、サービス導入時には注意が必要です。

主要なサービスとして、Criteoの「Criteoパフォーマンスディスプレイ広告」、サイジニアの「デクワス.AD」、TAGGYの「おもてなしバナー」などがあります。また、これらの商品データの最適化手法として、「データフィード最適化(DFO:Data Feed Optimization)」があります。

商品データの配信管理を一元化してデータ更新の負荷を軽減することで、広告とユーザーとの接触機会を最大化(または機会損失を最小化)し、配信先のパフォーマンスを測定した上で、最適な配信をマネジメントする手法です。コマースリンク、フィードフォースなどのDFOサービス提供企業があります。

DMP(Data Management Platform)

DMPとは、企業が持つファーストパーティーデータ(自社で持っているデータ)とサードパーティーデータ(外部で持っているデータ)、広告配信結果のデータなど、多様なデータを収集蓄積し、マーケティング全体を最適化していくことを目的としたデータ管理プラットフォームのことです。DMPは、単なる統合データベースや管理システムではなく、「データを統合する」「データを分類する」「データを施策につなげる」という3つの機能が統合されている点が大きな特徴で、これにより広告主はデータベースをよりマーケティングに活用しやすくなりました。近年では、広告配信結果に応じたターゲティング配信やレコメンド広告、メールマーケティングの技術と連携した各種マーケティングサービスに活用されています。

また、広告ターゲットを練るためにペルソナを設定して広告精度を上げるなどの取り組みも必要です。

CDPCustomer Data Platform

DMPからさらに進み、顧客をより広範に把握するために、CDPと呼ばれる仕組みを用いて、顧客のデータを収集・統合する取り組みもマーケティング先進企業を中心に始まっています。プライベートDMPとほぼ同じ意味で使われます。

CDP <https://martechtoday.com/martech-landscape-customer-data-platform-192126>は、当該顧客による自社ウェブサイト上の挙動だけでなく、モバイルアプリでの挙動、ソーシャルメディア上のコメント、カスタマーセンターとのやりとりの記録、購買履歴、そして顧客のプロフィールを統合して、顧客ごとのデータをマーケターに提供し、最適なキャンペーンを行うための仕組みとして機能します。

DMPはCookieベースで顧客を統合するのに対して、CDPはCRM上に存在する顧客情報も併せて利用するため、より現実に即した顧客把握が可能です。日本では、トレジャーデータ株式会社などがCDPを提供しており、活用も広まることが予想されます。

4-3-9. 横断的広告管理と広告効果測定ツールの設計

これまで記述してきたようにインターネット広告は、ユーザー、メディア、コンテンツなど、複雑なルールによって制御されています。メディアや配信手段によって基準もルールも異なります。したがって、さまざまな広告を横断的に管理するために、次のようなソリューションがあります。

広告効果測定ツール

広告効果測定ツールは専用のタグを発行することで、さまざまな広告の効果を同じ管理画面で見ることができる点が強みです。一方で、広告効果測定用のパラメーターやタグを設置するため、作業コストが上がることがあります。

第三者配信アドサーバー(3PAS

これまで広告主(広告代理店)は、主に個々のメディア・媒体社のアドサーバーを経由して広告を入稿・配信し、広告掲載後にアクセス解析ツールや広告効果測定ツールで計測したデータをクリックベースで評価していました。これに対して、第三者配信では、メディア・媒体社のアドサーバーに代わって広告を一括して管理するアドサーバーを導入し、まとめて広告の配信や計測を行います。

この方法では、第三者配信アドサーバーを利用することで、ディスプレイ広告やDSP、リッチメディアの広告配信などの複数の媒体を統合的に管理できます。結果として、第三者配信アドサーバーには、複数の広告配信チャネルからデータが集約されることになります。それにより、1人のユーザーに何回広告を表示させたかという接触頻度(フリークエンシー)を複数の媒体間でコントロールできるようになりました。したがって、自社のサイトに初めて来たユーザー(初訪)なのか、再来訪ユーザー(再訪)なのかを判別してクリエイティブを出し分けすることもできます。

通常、広告効果測定ツールでは、クリックベースでの広告評価(直接効果)になりますが、第三者配信アドサーバーを活用することで、インプレッションベースでの広告の間接効果を評価することも可能となります。

Cookieなどの情報の制限による制約

近年は法律の改正やITPなどのトラッキングデータをユーザーの端末上で削除する動きが進んでいるため、メディアやアドテクノロジー上でのデータの連携や、個人の特定が困難になりつつあります。今後も個人情報の利用については制限が進むため、今後の法改正の動きおよびテクノロジーの変化には注意をしてください。

一方でGoogle等がプライバシーを尊重したテクノロジーの開発をすすめたり、プライバシー情報を利用しない広告も出現しています。これらの動きにも注意してください。

4-4 ソーシャルメディア解析の設計

ソーシャルメディア解析の種類と活用目的とコミュニケーション、ソーシャルリスニングの設計を紹介します。

4-4-1. ソーシャルメディアの種類

ソーシャルメディアはSNSとも呼ばれます。主なソーシャルメディアの種類は以下になります。

フェイスブック(Facebook)

Facebookは実名投稿が基本で、世界的にユーザーが多くなっています。アジアではビジネスでの活用も目立ちますが、アメリカでは個人利用が多くビジネスユースはLinkedinが一般的です。年齢層がやや高めで30代以上が主に使います。

インスタグラム(Instagram)

画像投稿を中心としたSNSです。匿名投稿も可能です。女性を中心に人気が高いSNSでクオリティの高い画像の投稿が重要です。現在Facebookが運営しています。

ツイッター(Twitter)

1回の投稿が140字以内と制限があり、匿名投稿が可能で、情報の拡散の速いことも特徴です。不特定多数と自由につながることができます。

リンクドイン(Linkedin)

世界最大級のビジネス特化型SNSです。ビジネス交流、人材採用に用いられています。ビジネス向け教育コンテンツも豊富にあります。

QQ空間(QZONE、QQ空间

テンセントの運営する、中国版Facebookと呼ばれるソーシャルメディアです。

ウェイボー(weibo、新浪微博

中国で開発されたTwitterとFacebookの特徴を備えたミニブログサイトです。

ユーチューブ(YouTube)

世界最大の動画共有サービス。誰でも動画を共有し、条件を超えると広告収益を得ることもできます。

ティックトック(TikTok、抖音短视频

自分の撮影したビデオをシェアするサービス。提供する音楽や素材を使えることが特徴。10代など若年層に人気があります。

ライン(Line)

本来はインスタントメッセンジャーアプリですが、タイムラインがありSNSのような使い方もできます。日本では最も使われてるメッセンジャーツール。なお世界的にもっとも使われてるメッセンジャーはWhatsAppだが、ソーシャルメディアの機能はありません。

ウィーチャット(WeChat、微信

本来は中国で開発されたインスタントメッセンジャーアプリだが、決済システムWe Chat PayはAlipayと同様に使えます。ミニアプリで店舗メニューやイーコマースなどもできます。

フ・コンタクテ(VK、BK)

ロシアのソーシャルメディア。Facebookに似たインターフェイスですが、音楽などのファイル共有機能があります。

エクシ・ソズリュック(eksisozluk、Ekşi Sözlük)

トルコのソーシャルメディア。辞書として単語を登録し、その単語の定義として各自が意見を書くユニークなコミュニケーションを取ることができます。

4-4-2. ソーシャルメディア活用目的の決定

ソーシャルメディアは、どんな目的で活用するかによって、施策実施内容や計測すべき指標が変わります。

ソーシャルメディア活用の目的は、以下になります。

1. 認知(関心醸成・ブランディング)

ソーシャルメディアが最も得意とするところです。例えば、検索してもらうためには、とにかく関心を持ってもらわないといけませんが、知らないことには関心を持てません。ソーシャルメディアは、ユーザーが未知の情報と出会い、関心をもってもらえる場ともいえます。まったく関心のないことでも、友人のツイートや投稿のシェアから、新たな情報を知るきっかけとなります。ソーシャルメディアで興味・関心が生まれ、必要となった時にその製品・サービスを想起・指名検索へとつながるようにします。

2. 検討(理解促進)

対象の製品・サービスに対して関心をもってもらった上で、より理解を深めてもらうためにウェブサイトやアプリへの誘導を目的とします。誘導先のコンテンツを閲覧してもらうことで、さらに理解が深まり、いいね!やシェアなどのエンゲージメントの誘発やアプリのダウンロード、リード獲得につなげていきます。顧客の投稿に積極的に反応し、疑問や問題点に回答するアクティブサポートも含まれます。

3. コンバージョン(顧客獲得)

販売・来店・問い合わせなど、顧客の直接的な獲得を目的とします。顧客獲得を目的とした一般的なウェブ広告と同様の目的となります。コンバージョンを目的とするには、1と2がすでに実行されているか、あるいはそれらをやらなくても十分な認知・関心・ブランド力を、ソーシャルメディアユーザーに対して持っている場合です。これらの3つは、多くの場合、複数を組み合わせたり、フェーズによって切り替えたりといったことを適宜行います。

4. 傾聴(ソーシャルリスニング)

ソーシャルメディアにおいて、対象の製品・サービスがどのような反応を示されているかといった生の声を収集し、その後の改善活動に活かすことを目的とします。傾聴はユーザーの投稿自体が必要となります。製品・サービス自身の市場シェアが小さい場合は、あまり投稿がない場合が多いため、市場全体でどのようなユーザーの反応があるかを収集することもあります。

図:ソーシャルメディアの目的、実施内容、計測指標

図:ソーシャルメディアの目的、実施内容、計測指標

4-4-3. ソーシャルメディアコミュニケーションの設計

ソーシャルメディアを活用する場合、あらかじめ「どのような投稿を行うか?」「どのような投稿に反応をするか?」といったコミュニケーションルールを設計しておくことにより、継続した運用が行えるようになります。

投稿ルールの設計

対象となる製品・サービスのブランディングを意識して、下記のような項目をガイドラインとして設けましょう。

  • アカウントのキャラクター性
  • 投稿の口調(トーン&amp;マナー)
  • 投稿する頻度(曜日・時間帯・回数など)
  • 投稿する内容

投稿する頻度と内容は、エンゲージメント率を検証しながら改善していくことが重要となります。

ユーザーへの反応の設計

ソーシャルメディアで訴求する製品・サービスやコンテンツについて言及をしているユーザーの投稿を検索し、反応(いいね!、返信、リツイート、引用リツイート、コメント、シェアなど)します。ユーザーの承認欲求を満たすことで、より言及を増やす効果や、商品・サービス・企業に愛着を持ってもらう効果が期待できます。

また、アカウントの投稿に対して反応(いいね!、返信、リツイート、引用リツイート、コメント、シェアなど)してくれているユーザーの投稿に、さらに反応します。細やかな対応が大変なときなどは、まとめてお礼をする投稿やコメントを行ったり、いいね!のみで返したりするだけでも効果があります。

運用体制の設計

組織で運用する場合は、以下を事前に決めましょう。

運用人数

担当する人員は具体的に誰なのかを決めてください。複数で運用する場合、同じタイミングで複数の担当者が発信できる状態は避けてください。複数の担当者で運用する場合は、まるごと1日そのアカウントを担当するという形での運用をおすすめします。

投稿する情報の内容

告知・スタッフ紹介・時候のあいさつ・舞台裏紹介など、3〜5ぐらいのカテゴリに分類し、発信しましょう。その他、機密情報など発信してはいけない内容を共有しながらも、細かい部分は運用担当者の裁量に任せて運用するのがよいでしょう。そのほうが活発なコミュニケーションが多く生まれる傾向にあります。

また、レスポンスの方針を決めておきます。ユーザーからのレスポンスへの対応について、「すべてコメントで返信」「任意のコメントのみに返信」「もらったコメントに対して「いいね!」などのアクションにとどめる」「特に対応はしない」などの方針を定めてみましょう。理想は「すべてコメントで返信」ですが、SNSを運用していると、意図せぬ批判的なコメントなどを書き込まれるケースがあるので、実態としては「任意のコメントのみ返信」のスタイルで運用している企業が多いようです。何らかの理由で対応ができない場合は、あらかじめプロフィールなどでお応えできない旨を明示しておくことで、リスクを軽減できます。

4-4-4. ソーシャルリスニングの設計

ソーシャルメディアは、企業が情報を発信する場ではなく、生活者(一般ユーザー)が情報発信を行うことができる場所です。この生活者の発信は、フィルタを通すことのない、リアルな声です。言い換えれば、企業や商品・サービスに対する本心からのポジティブ・ネガティブな評価が溢れています。その生活者の貴重な声に企業が耳を傾け(傾聴)、マーケティングやカスタマーサポートに活用することがソーシャルリスニングです。

ソーシャルリスニングを始める

ソーシャルリスニングを始めるにあたって、自社や自社の製品についてなど気になるワードがTwitter上でどのように言及されているかを見てみましょう。まずは簡易的な調査として、Twitterの「キーワード検索」や「Yahoo!リアルタイム検索」でワードを検索し、どのように言及されているかを確認してみましょう。どちらも、無償で利用できます。

ソーシャルリスニングツールの活用

先述の方法では言及内容の大枠を確認することはできますが、より詳細かつより多くのツイートに対しソーシャルリスニングを行うには、専門のツールが必要です。国内で使われているツールには、次のようなものがあります。

Sprinklr(Sprinklr Inc.)

<https://www.sprinklr.com/ja/>

クチコミ@係長(株式会社ホットリンク)

<https://service.hottolink.co.jp/>

見える化エンジン(株式会社プラスアルファ・コンサルティング)

<https://www.pa-consul.co.jp/mieruka/>

Meltwater(Meltwater News US Inc.)

<https://www.meltwater.com/jp/>

ここではSprinklr Inc.が提供しているソーシャルメディア統合プラットフォーム「Sprinklr」を使いリスニングの概要を紹介します。

収集対象となるSNS

ソーシャルリスニングでユーザー発信を収集対象とするメディアは、Twitterが中心となります。FacebookやInstagramは、ユーザー発信の公開範囲に制限があり、ユーザー発信の取得が困難であるためです。また、収集対象とするツイート量(例:全ツイート、1/10サンプル抽出)については、各ツールやツールの契約形態によって異なるため、事前に確認をしておきましょう。

ソーシャルリスニングを行う目的

ソーシャルリスニングを行い、ユーザー発信を行う目的は、大きく次のように分類されます。

  • 企業や商品・ブランドへの好意度調査
  • 実施施策(例:キャンペーンやイベント)の反響調査
  • カスタマーサポート
  • 生活者(ユーザー)とのコミュニケーション(ケア)

ソーシャルリスニングの設計

ソーシャルリスニングを行うにあたり収集対象となる発信に含まれるキーワードの設計が肝であり重要な要素となります。キーワードは主に以下の3項目を設定し収集します。

  • 主キーワード:ツイートに必須で含まれるべき、メインキーワード
  • サブキーワード:主キーワードと組み合わせて言及されているであろうサブキーワード
  • 除外ワード:無関係なツイートや不必要なツイートを除外するためのワード

例えば、「生命保険」への加入を検討しているツイート(bot発信のツイートを除外)の収集を行う場合、次のような設計が考えられます。

  • 主キーワード:生命保険
  • サブキーワード:入会 OR 検討 OR 加入 OR 入る OR はいる OR 入りたい OR はいりたい
  • 除外ワード:bot OR ボット

見るべき指標

ソーシャルリスニングにおいて見るべき指標は、次のようなものです。

ツイート総量および推移

まずはどの程度のツイートが発生しているかを把握します。その上で、ツイート量の推移(変化)を見て、対象となる話題の反響を確認できます。日によっては、ツイートが急騰することもあるでしょう。その場合は必ず要因を特定します。例えば、「影響力の大きいユーザーが言及した」「ニュース記事で取り上げられた」といった場合があります。施策の反響調査に活用する場合は、ツイート総量が重要なKPIとなるでしょう。

ポジネガ分析

ツイート総量とあわせて発信されたツイートの内容を見ていく必要があります。ソーシャルリスニングツールを使えば、ツール側でテキストの内容を分析して、総量に対するツイート内容(ポジティブ・ネガティブ・ニュートラル)の数(割合)を算出してくれます。それぞれの割合の変化を参考に、生活者の好意度調査KPIとして見ていくとよいでしょう。ユーザーとのコミュニケーションやカスタマーサポートでの活用であれば、ネガティブな言及に対して、フォローを目的としたリプライを行います。また、商品に対してポジティブなオススメしてくれているツイートに対してお礼を伝え、ポジティブなコミュニケーションにつなげ、関係構築につなげるといった取り組みも実現できます。

関連ワード分析

検索ワードを含むツイートと関連して言及されているワードを分析し、発信の傾向を見ていくという活用もできます。例えば、「ワードクラウド」という機能を使えば、一緒に言及されているワードと量をビジュアルで確認できます。言及量の多い関連ワードほど、大きく表示されます。

また、抽出されたツイートに付与されているハッシュタグを確認することもできます。生活者発信に多く付与されているハッシュタグを、自社アカウントのツイートに付与するなど、自社アカウント運用の参考にする、Twitterキャンペーン実施時のハッシュタグ設計の参考にするといった活用もよいでしょう。

4-4-5. 解析環境の設計

各主要SNSでは、アカウントそのものや投稿ごとの効果を比較するための解析機能を標準で利用できます。企業のSNS担当者は、常にこれらの解析機能を通してアカウントの状況を把握しておかなければいけません。

解析機能を使って閲覧するべき項目として、次のような3つの重要なポイントがあります。

アウトラインの把握

アカウント全体の状況を俯瞰するイメージです。ファンの増減や直近の投稿に対するファンの動きなどを含め、概要を1つのページで把握します。

アカウントそのものの影響度を確認

アカウント開設時点から日々の運用を経て、どのぐらい影響力が高くなっているのかをチェックします。

投稿ごとの効果検証

定期的に各SNSから発信する情報は、どの程度ユーザーに閲覧されているのか、また、どの程度ユーザーからの反応を獲得できているのかを確認します。

それぞれのソーシャルメディアの管理画面での確認方法も説明しておきます。

Facebookインサイト

Facebookページ上部にある「インサイト」タブをクリックすると、解析データを閲覧できます。左側に並んでいるメニューから、それぞれの項目のより詳細なデータを確認できます。特に「投稿」メニューは投稿ごとのリーチ数エンゲージメント数を比較することができるので日々チェックしておきます。

Instagramインサイト

Instagramでは、スマートフォンでインサイトメニューを選択することで、解析データを確認できます。「コンテンツ」ではフィード投稿やストーリーズ投稿ごとの効果を、「オーディエンス」メニューではフォロワーの属性などを確認できます。

Twitterアナリティクス

Twitterでは「Twitterアナリティクス」で効果解析を行います。上部に並んだメニューから「ツイート」を選択すると、発信した投稿ごとのインプレッション数エンゲージメント数を確認できます。「オーディエンス」メニューではフォロワー増減の推移やフォロワーの属性を確認できます。

YouTubeクリエイターツール

YouTubeの効果解析は、クリエイターツール内で「アナリティクス」メニューを選択して解析画面を確認します。チャンネル全体の再生時間やチャンネル登録者をチェックするとともに、動画別の効果比較を行います。

4-5 オーガニックサーチ解析の設計

自然検索(オーガニックサーチ)は広告以外の検索エンジンでの検索を指します。自然検索からの成果を高めるために必要な設計を紹介します。

4-5-1. 検索エンジンの種類

検索エンジンにはGoogleのほか、いくつかの種類があります。

検索エンジンは以下のプロセスを経て検索結果を表示します。

  • ウェブページをクロールして情報を取得する
  • 取得した情報をインデックスする
  • 検索ニーズに合致したページを返す

主な検索エンジンは以下のものがあります。以降のシェア数値は、次のツールによる検証(2020年08月現在)に基づいています。

Google

Googleは、全世界でのシェアは92.1%、日本でのシェアは76.3%以上を占めます。Yahoo! JAPANの検索エンジンは、Googleからアルゴリズムの提供を受けて作られています。そのため、日本でSEOという場合には、実質的にはGoogleの検索エンジンを前提とした施策を指すことがほとんどです。

Googleは、「Googlebot」というクローラーがウェブ上を日々回遊し、ウェブページの情報を集めています。ただし、ページを回遊しているからといって、リファラーとして情報を渡すわけではありません。Googleは、SEOのツールとして「Google Search Console」 <https://search.google.com/search-console>を無償で提供しています。

Yahoo!

全世界でのシェアは1.6%、日本でのシェアは18.6%を占めます。Yahoo!のトラフィック解析における留意点は、過去比較でのYahoo!経由トラフィックの減少が、SEOの不足による減少なのか、Googleへのシェア移行による減少なのかを正しく捉えることです。オーガニック流入全体が増えており、Yahoo!が減っている場合は、Googleへのシェア移行によるものである可能性を踏まえて分析してください。

Yahoo! JAPANの検索画面は、Yahoo!ショッピングなど連携サービスへの誘導がGoogleのそれよりも目立つように表示されるようになっています。そのため、オーガニックサーチとしてのクリック率は相対的に下がっています。なお、Yahoo!はGoogle Search Consoleのような独自のSEOツールは提供していません。

Bing

Bingは、Microsoftが提供する検索エンジンで、全世界でのシェアは2.7%、日本でのシェアは4.5%、北米でのシェアは6%弱のシェアを持っています。Bingは独自のアルゴリズムを採用しているため、Bingのトラフィックを獲得するためにはBing向けの最適化施策を講じることが必要です。

BingはSEOツールとして「Bing webマスターツール」を無償で提供しており、BingでのSEOが必要な場合には導入を行います。また、Bingは北米ではGoogleに続くシェアを誇っているため、オーガニックサーチや広告の出稿先としても有望な検討対象です。

NAVER

NAVERは、韓国のNAVERによる検索エンジンです。韓国でのシェアは16%で、Googleに次ぐ2位となっています。

NAVERは、SEOツールとして「NAVERウェブマスターツール」を無償で提供しています。ただし、現時ではGoogle Search ConsoleやBing webマスター ツール <https://webmastertool.naver.com/>のように流入キーワードの情報は提供されていないため、ほかのツールとの併用が必要になります。

Baidu

Baiduは、中国の百度バイドゥ)により提供されている検索エンジンで、全世界でのシェアは0.9%、中国では69.5%のトップシェアを誇ります。

Baiduも、ほかの検索エンジンと同様にウェブマスターツール(捜索資源平台) <https://ziyuan.baidu.com/>を提供しており、2020年9月の段階では、Baiduアカウントは中国国内のIPアドレス以外からは取得不可能でした。香港、台湾及び中国国外からはアカウント登録できませんでした。Baiduでのサイトのインデックス登録手順には、アカウント登録に中国国内の電話番号やICP番号が必要になるなど、日本とは手順が異なるので注意してください。

バイドゥが提供しているサービスは多数あります。最近は、ビッグデータやAIを使ったサービスが増えてきているので、インターネットの利便性が指数関数的に向上する可能性があります。

百度地図(バイドゥマップ)

Googleマップとほぼ同等の操作性を持った地図サイトです。中国ではGoogleマップが使用できないので、海外からの旅行客や出張者にも多く利用されています。

百度百科(バイドゥバイカ)

Wikipediaのようなナレッジデータベースです。中国国内ではWikipediaも使用することができず、百度百科がもっとも使われています。外部の人が記事を追加するときは、百度に申請し、百度が「情報に価値があり、記事が正しい」と認めれば掲載されます。企業やブランドの解説記事は、多くの人が知っているものであれば掲載される可能性があります。

Googleとバイドゥの違い

中国版Googleとも呼ばれることが多いバイドゥですが、必要な情報がバイドゥでは検索結果の上位に表示されないケースが散見されます。バイドゥ上での検索エンジン最適化については、ロジックも不明な点が多いようです。

Yandex

Yandexは、ロシアのYandexによる検索エンジンで、全世界のシェアは0.8%、ロシアでは39.6%弱です。Googleも現時点で57.9%%弱のシェアがあるので、同国内でのシェア推移は注意して見守る必要があります。Yandexも「Yandexウェブマスターツール」 <https://webmaster.yandex.com/>を独自に提供しているので、ロシアでの検索マーケティングには必ず導入を検討してください。

DuckDuckGO

DuckDuckGOは、アメリカの検索エンジンで、全世界のシェア0.5%、アメリカでは1.6%です。DuckDUckGOのトップページには、「私たちはあなたの個人情報を保存しません。絶対に。私たちのプライバシーはシンプルです。ユーザーの情報収集は一切いたしません。」とあるように、ユーザーのプライバーを守る検索エンジンとして注目を集めています。運営は広告収益によりますが他と違い、個人情報を用いない検索クエリに対する運用型広告サービスを提供しています。

図:DuckDuckGO

図:DuckDuckGO
表:国別検索エンジンシェア

世界

日本

北米

中国

韓国

ロシア

Google

92.17%

76.38%

89.22%

3.76%

79.89%

57.96%

Yahoo!

1.60%

18.61%

2.88%

1.79%

0.20%

Bing

2.78%

4.52%

6.19%

2.80%

2.84%

0.64%

NAVER

-

-

-

-

12.82%

-

Baidu

0.92%

0.18%

-

69.55%

-

-

Yandex

0.85%

-

-

-

-

39.62%

DuckDuckGO

0.50%

0.14%

1.36%

-

0.34%

0.23%

4-5-2. ウェブマスターツールの設計

アクセス解析ツールでは検索エンジンからのトラフィックはわかっても、ユーザーの使っているオーガニックサーチの検索ワードはわかりません。そこで、各検索エンジンが提供しているウェブマスターツールを利用します。これらは、検索エンジンで正しくインデックスするためのクローラーの制御やサイトの改善のアドバイスに加えて、検索キーワードとインプレッションクリック数、順位を表示してくれます。ただし、これらの検索結果についての情報は概算の値である点、検索数の少ないワードは表示対象から外れてしまう点には注意してください。この節では、さまざまなツールの中でGoogle Search Consoleを用いて説明します。ツールによって機能が異なるため、その差異を確認しながら使用してください。

Google Search Console

Google検索でのパフォーマンスと検索に関わる情報を知ることができます。具体的には、検索のパフォーマンス、インデックスカバレッジ、モバイルユーザビリティなどの重要な指標や、検索エンジンから見たエラーなどの通知の概要を確認できます。AMPページや検索機能の拡張などが含まれる場合は、これらの機能に関する情報も表示されます。プロパティのパフォーマンスや、対処する必要のある重大な問題についての概要を確認してください。

導入準備

導入時に、次の設定を行っておきます。

  1. プロパティの所有権の確認
  2. サイトマップの送信
  3. Googleアナリティクスとの連携
プロパティの所有権確認

対象サイトのGoogleアナリティクスやGoogleタグマネージャー(GTM)と同じGoogleアカウントでサーチコンソールの管理画面にアクセスし、「新しいプロパティの追加」から、そのサイトのURLを入力します。

Googleタグマネージャー(GTM)か、Googleアナリティクスで認証するのが一般的ですが、「HTMLタグをアップロード」「ドメインサーバーにログイン」といった方法でも所有権の確認が可能です。

サイトマップ送信

サイトマップは、Googleにクロールを指示したいURLを一覧で記載するファイルです。サイトマップ掲載のURLを参考にGooglebotがサイトをクロールします。

1. サイトマップを準備する

サイトマップはXML形式のほか、テキストファイル、RSSフィードなどが許容 <https://support.google.com/webmasters/answer/183668?hl=ja>されています。XMLサイトマップ作成ツールも存在します <http://www.sitemapxml.jp>ので、適宜活用してください。また、WordPressではサイトの更新に合わせてサイトマップの自動更新を行ってくれるプラグインも存在するので、管理しやすいツールを用いてください。

2. 作成したサイトマップをサーバーに設置する
3. 設置したパスを送信する

サーチコンソールの左メニューの「インデックス>サイトマップ」から「サイトマップの送信」で送信します。

Googleアナリティクスとデータを連携

Googleアナリティクスとサーチコンソールを連携させることで、アナリティクスの画面からもサーチコンソールのデータを部分的に確認できるようになります。

  1. Googleアナリティクスにログインして、「集客>Search Console」を選択する
  2. Googleアナリティクスのプロパティ設定画面に移動後、「Search Consoleを調整」ボタンを押し、「追加」を選択する
  3. Googleアナリティクスとデータ連携したいドメインを選択して「保存」を選択する

Bing webマスター ツール

Bingでの表示を管理するためのツールです。サイトマップをアップすることでクローラーによるインデックス化を支援します。Bingでの検索結果についてトレンドと数値がわかるだけではなく、検索フレーズごとの検索ボリューム数やSEOの診断、マルウェアやフィッシングの被害にあっていないかのセキュリティの診断もできます。

サイトマップの送信とインデックスの確認

サイトマップは、Googleにクロールさせる必要があるかを判断し、各ページの正規URL(複数のURLで同じコンテンツが表示されるときに、GoogleにインデックスさせたいURL)の情報やさらに詳細な情報を送るために作る、URLを一覧で記載したファイルです。サイトマップは、XML形式のほか、テキストファイル、RSSフィードで送信できます <https://support.google.com/webmasters/answer/183668?hl=ja>。インデックスカバレッジレポートで「すべての送信済みページ」を見ると、サイトマップで送信したURLのうち、インデックスされた数やエラーの数などが確認できます。Googleの検索結果に表示されるためにはGoogleにインデックスされることが前提なので、検索にヒットしてほしいページが数多くインデックスされることを目指します。ただし、Googlebotにクロールされなかったり、クロールされてもGoogleにコンテンツの品質を評価されなかったりするとインデックスされないこともあります。インデックスされないURLなどはエラーや除外のタブから理由を確認できます。

動的生成ページを中心に構成される中・大規模サイトでは、トップページやトップページや一時的なランディングページ(季節キャンペーンなど)を除けば、単一のページが獲得するクリック数は全体に比較すれば大きいものではないため、個々のキーワード単位でなく、一覧ページや各ロングテールキーワードに対応する詳細ページの単位で改善することで、大きな成果が期待できます。

具体的には、「一覧ページ」や「詳細ページ」などのディレクトリ・テンプレート単位でSEOを実施すると、成果はディレクトリ・テンプレートごとに現れます。このような場合、テンプレートの異なるURLを1つのXMLサイトマップで送信するのでなく、同一のテンプレートを用いたディレクトリURLごとにXMLサイトマップを分割して送信します。このXMLサイトマップ分割により、ディレクトリごとのインデックス進行率を見ることができ、実施したテンプレートごとのSEOで実際に効果があったのかどうかを明確に切り分けて判断できます。また、この方法により、オーガニックサーチの検索表示順位が不意に落ちてきた場合に、サイトのどのあたりに問題がありそうかを掴むこともできるでしょう。

SEOでは、実行したほうがよいことは数多くありますが、限られた時間とリソースのもとでは大きな問題の芽を早期に発見することが求められます。また、SEOに新規に取り組む場合は、サイトのどのあたりに問題が存在するかを明らかにするため、オーガニックサーチの総トラフィックの推移だけでなく、このように要素を切り分けて解析して問題発見に取り組んでください。

なお、XMLサイトマップは1ファイルにつき50,000URLまでの掲載であること、インデックスさせたいURLを掲載すること(404ページなどは原則として含めない)に留意してください。また、サーチコンソールにおける形式はXMLだけでなくテキストファイルやRSSフィードなども許容されているので、利用しているツールやCMSによっては、それらのファイルを活用することも考慮してください。

ウェブ解析ツールとデータを連携

GoogleアナリティクスとGoogle Search Consoleを連携させることで、Googleアナリティクスの画面からもGoogle Search Consoleのデータを部分的に確認できるようになります。

なお、Adobe Analyticsでは、Adobe Advertising Cloudとの連携やAdvertisingAnalytics for Paid Search機能の連携により、Google広告やBingのデータをAdobe Analyticsに取り込んで分析することが可能です。

4-5-3. 検索エンジンのキーワードの順位測定ツールの設計

検索エンジンのキーワードの順位は、Google Search ConsoleやBing webマスター ツールで確認でき、実際の検索結果を測定し、自社と競合を比較するといった使い方もできます。国内外の検索エンジン順位測定ツールに関して、多くのツールが各社から提供されています。国内の順位測定ツールとしては、「GRC」 <https://seopro.jp/grc/tutorial>のように、機能制限付きであれば一部無料で使用できるものもあるので確認してください。また、海外での検索結果のキーワード順位を知りたい場合には、GRCの海外版である「GRC-W」 <https://seopro.jp/grcw/>や「Rank Tracker」 <https://www.seopowersuite.jp/>などのツールがあります。こちらもそれぞれ無料版があるので、試してみて使い勝手のよさそうなものを採用するとよいでしょう。GRCは海外版と国内版が分かれていますが、Rank Trackerはすべてが1つになったものです。GRC-Wは、60の国のGoogle検索の結果を取得できます。外部ツールとのつなぎ込みなどを考えている場合、Rank Trackerであれば、出力形式が選べるので便利です。Rank Trackerは、Googleを含めた600以上の検索エンジンに対応しています。

図:GRC-Wで同じキーワードでランキングを測定した結果

図:GRC-Wで同じキーワードでランキングを測定した結果

なお、順位チェックツールと実際のウェブブラウザで検索結果の順位が異なる場合があります。これには、主に2つの原因が考えられます。1つ目は、単一のサーバーで運営しているのではなく複数のサーバーを使っており、アクセスするサーバーによって取得するランクに差異があることです。2つ目は、アクセスする場所によって取得できるランクが異なることがあるためです。

図:GRC

図:GRC

日本国外の検索エンジン順位測定ツールの設計

海外での検索結果のキーワード順位を知りたい場合には、前述したGRCの海外版である「GRC-W」や「RankTracer」などのツールがあります。それぞれ無料版があるので、試してみて使い勝手のよさそうなものを採用するとよいでしょう。GRCは海外版と国内版が分かれていますが、RankTrackerはすべてが1つになったものです。

GRC-Wは、60の国のGoogle検索を取得することができます。外部ツールとのつなぎ込みなどを考えている場合はRankTrackerであれば、出力形式が選べるので便利です。RankTrackerは、Googleを含めた600以上の検索エンジンに対応しています。

図:GRC-Wで国の選択をしているところ

図:GRC-Wで国の選択をしているところ

GRCとGRC-Wで、実際にランクを計測してみると検索の結果が異なるのがわかります。ただし、気を付ける必要があるのは、Googleは1つのサーバーで運営しているのではなく複数のサーバーを使っており、アクセスするサーバーによって取得するランクに差異があることです。また、アクセスする場所によって取得できるランクが異なることも頭に入れておいてください。ランクチェックツールと実際のブラウザの検索結果の順位が異なる原因の多くは、この2つが理由です。

4-6 アクセス解析の設計

ウェブサイトの解析に使われるアクセス解析について説明します。

4-6-1. アクセス解析の種類

ウェブサイトのアクセス解析ツールには、次の3つの方式があります。それぞれ長所・短所があるので、状況に合わせて適切なツールを選定してください。

サーバーログ方式

サーバーに解析ソフトをインストールする必要があるため「サーバーインストール方式」とも呼ばれます。基本的にはログデータをダウンロードして解析する方式です。

ウェブサーバーは、ウェブブラウザからのリクエスト(端末がウェブサーバーに情報を求めること)にレスポンス(サーバーがリクエストに応じて求めたファイルを送信すること、あるいは送信できない旨を伝えること)を返し、その送受信履歴をログファイルに保存します。

ログファイルは、もともとは「サーバーの負荷状況の確認」や「不正アクセスの検知」といった目的のために活用されていましたが、ウェブサイトのビジネス活用が進むにつれ、ウェブサイトの人気コンテンツや検索ワードの把握といったマーケティング目的の解析にも使われるようになりました。

図:サーバーログ(サーバーインストール)方式

図:サーバーログ(サーバーインストール)方式

パケットキャプチャ方式

インターネットを流れるパケット(ウェブサーバーとユーザーの間を流れるデータ)に着目した方法です。「パケットスニッフィング方式」とも呼びます。インターネットのすべての情報はパケットとして流れています。このパケットをウェブサーバーが設置されているプライベートネットワークのハブ(インターネットに接続するLANケーブルの接続口を増やす機器)にあるミラーポート(ハブ上を流れるすべての情報をそのままコピーして送る接続口)を用いてパケットのコピーをキャプチャ(収集)して、その膨大なパケットからウェブのアクセスログに関わるパケットだけを抽出し、つなぎ合わせてアクセスログを生成する方法です。

必要なデータを取捨選択しながら解析用データベースに直接格納するため、ウェブサーバーのログファイルを解析するよりも高速な処理が期待できます。

図:パケットキャプチャ方式

図:パケットキャプチャ方式

ウェブビーコン方式

配信するウェブのページ(HTMLファイル)にウェブ解析用のJavaScriptなどを挿入し、アクセスログを解析サーバーに送信することでアクセス解析を行う手法です。このようなJavaScriptは「計測コード」や「計測タグ」、「トラッキングコード」「ウェブビーコン」と呼ぶことがあります。ほかの方法と異なり、ウェブブラウザがウェブページを表示したときに計測が行われます。

一般的なクローラーはJavaScriptを実行することが少ないため、ノンヒューマンアクセスを除外する効果が期待できると同時に、サーバーログ方式やパケットキャプチャ方式では収集が難しかったキャッシュファイルの閲覧状況も捕捉できます。

図:ウェブビーコン方式

図:ウェブビーコン方式

ただし、サーバーログ方式では、製品によっては、IPアドレスおよびファーストパーティー Cookieでユーザーを特定している場合もあります。同様に、パケットキャプチャ方式でもIPアドレスファーストパーティーCookie、ヘッダー情報でユーザーを特定している場合もあります。また、最近のサーバーログ方式やパケットキャプチャ方式のアクセス解析ツールでは、ウェブビーコン方式の機能も併せて使うことで、それぞれの方式では取得が難しかったデータを記録しているものもあります。

アクセス解析の比較

ユーザーの判定方法は、前者の2方式が「IPアドレス」であるのに対し、ウェブビーコン方式では「Cookie」を用います。Cookieとは、ウェブサイトが一時的に発行した情報を、ウェブブラウザに保存させる仕組みのことです。それ以外でも、各方式によって取得できる条件が異なってきます。解析の目的に合わせて、最適な方式を選択してください。

表:アクセスログ集計方法の比較

サーバーログ方式

パケット
キャプチャ方式

ウェブビーコン方式

主なユーザー判定方法

IPアドレス

IPアドレス

Cookie

主な提供形態

オンプレミス/Saas

ソフトウェア

Saas

画面解像度など、
ユーザー環境に関する情報の収集

×

×

配信するコンテンツの内容を収集

×

過去の履歴を分析

×

×

非HTML(例:PDF、画像ファイル)の計測

エラーの計測

×

無償・安価なツールの充実度

×

検索エンジンのクローラー訪問の計測

×

ノンヒューマンアクセスの排除の設定が不要

×

×

キャッシュされたコンテンツ閲覧の計測

×

×

JavaScriptやFlash上の動きを計測

×

×

「オンプレミス」とは

⾃社運⽤のことでソフトウェアを利⽤者の管理したシステムにインストールして使う⽅法のこと

「Saas」とは

Software as a serviceの略で、ASPとほぼ同義で利⽤料や期間ごとに⽀払う課⾦形態である

IPアドレスCookie

アクセスログは閲覧したページごとの情報を収集しますが、そのままではセッションやユーザー単位での閲覧行動が把握できません。この把握には、IPアドレスCookieを使うことが一般的です。このIPアドレスCookieについて理解を深めておきましょう。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレス

全端末に異なるIPアドレスを割り振ることが理想的ですが、現在は端末の数に比べてインターネット上にあるIPアドレスが少ないため、組織やプロバイダ(接続業者)ごとに複数の端末で1つのIPアドレスを共有しています。この全世界でユニークなIPアドレスを「グローバルIPアドレス」といい、組織内のネットワークのみで利用されるIPアドレスは「プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)」といいます。

通常、同じ接続ポイントを使っている端末は、まとめて同じグローバルIPアドレスが割り振られています。したがって、IPアドレスだけで、どの端末がアクセスしているかを特定することは困難です。さらにモバイルでの接続ポイントなどは、移動に応じて接続のたびにIPアドレスが変わることもあります。

IPアドレスによる関係者の除外

ウェブ解析では、IPアドレスはさまざまな場面で利用されます。特定のユーザーを解析対象から除外したい場合やオンライン広告の配信対象から除外する場合は、そのユーザーのIPアドレスをウェブ解析ツール上や広告管理画面で指定して、その接続を「関係者の除外」に指定します。ただし、この方法は固定IPアドレス(後述)を保有している組織に限定されるため注意が必要です。

サーバーログ方式解析ツールやパケットキャプチャ方式解析ツールでは、セッションやユーザーの判定にも用います。OSやウェブブラウザ情報などのユーザーエージェント情報(後述)も併せて判断に用いることが一般的です。

エリア分析・組織名分析でのIPアドレスの活用

多くのプロバイダ(接続業者)は、接続ポイントごとにIPアドレスを割り振っているため、IPアドレスからどこの都道府県や市町村からアクセスされたのか推定できます。

IPアドレスには接続のたびにアドレスが変わる可能性のある動的IPアドレスと、アドレスが変わらない固定IPアドレスがあります。固定IPアドレスの場合は一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)が管理している情報を参照すれば、接続している組織名も特定できます。多くの接続は接続業者経由の情報になりますが、専用のインターネット接続網を持っている組織では組織名もわかります。官公庁や大学、大手企業などは組織名まで確認できるので、見込み客になりそうな会社や、競合他社の閲覧頻度などがわかる可能性があります。ただし、固定IPアドレスを取得していない組織(中小企業など)の情報までは見られません。

また、「どこどこJP」というサービスをサイトに設置することで、Googleアナリティクス等のアクセス解析ツールにIPアドレスから判定される組織名を取り込むことができ、組織分析を軸としたアクセス解析が可能になります。

IPv4とIPv6

IPアドレスには、IPv4アドレスとIPv6アドレスがあります。インターネットの普及により、現在の主要仕様であるIPv4アドレスでは足りなくなることが想定され、後継として考えられたものがIPv6アドレスです。それぞれの数は、IPv4が2の32乗個、IPv6が3.4×10の38乗個となり、IPv6であれば、世界の人口(77億人:2019年)と比較しても十分に余裕があることがわかります。

すでにIPv4が枯渇し、現在IPv4からIPv6へ移行が進みつつありますが、IPv6は後継とは言うものの、IPv4とは互換性がなく、単純に置き換えることはできません。

そのため、現行のIPv4の環境にIPv6も利用できる環境を追加するデュアルスタックと呼ばれる方法が主にとられており、IPv4とIPv6の両方でアクセスができるようになってきています。両方での通信が可能である場合、IPv6を用いた通信を優先するような仕組みです。

Cookieから得られる情報

Cookieは、ウェブブラウザごとに記録されます。つまり、スマートフォンとパソコンでは同じユーザーであっても異なるCookieが使われるということです。Cookieに保存される情報は、最後にサイトを訪れた日時や訪問回数などがあり、ウェブビーコン型アクセス解析では、ユーザーの識別、ユニークアクセス・セッションの測定に使われます。1つのCookieには4,096バイトのデータを記録できます。Cookieには有効期間が設定され、その設定を過ぎると消滅します。有効期間はアクセス解析ツールにより異なり、30日や90日という設定が多いようです。

ウェブビーコン方式のアクセス解析ツールでは、Cookieを利用してセッションやユーザーなどのデータを取得しています。

[図:Cookieの概念図]に示したように、初回の訪問ではCookieを持っていないので端末を識別できるIDなどを含むCookieを与え、次のページを見たときは同じCookieを持っているかどうかで2ページ目以降の閲覧と認識し、Cookieに追記します。このように、Cookieを利用し、ページビューをつなぐことで同一セッションとして認識できます。

通常、Cookieはウェブブラウザを閉じるなどで閲覧を終了しても保存するようにもできるため、Cookieを確認することで、再訪なのかどうかがわかります。これらの情報から、ユーザーの訪問回数を知ることもできます。

理論上、Cookieには4,096バイト以下の情報なら何でも格納できます。ツールによっては、初めて訪問したときのキーワードや初めて訪問したページなどを保存するものもあります。

ファーストパーティーCookieとサードパーティーCookie

Cookieは、ドメインの発行元によりで次の2種類に分類されます。

ファーストパーティーCookieは、ユーザーが閲覧リクエストを送ったドメインのデータしか取得できないため、複数のドメインにまたがったウェブサイト(example.comとotherdomain.comなど)の場合、お互いのCookieの情報を参照・取得できません。その結果、データがドメインごとに分かれてしまいます。一方、サードパーティーCookieは、複数のドメインにまたがったウェブサイトでも容易に同じ閲覧行動としてデータが取得できます。

ファーストパーティーCookieは、ユーザーにブロックされにくい点がメリットです。ファーストパーティーCookieを利用することで、より精度の高いトラッキングや効果測定が可能です。最近ではサードパーティーCookieを標準でブロックするウェブブラウザが増えてきています。そのため、正確な値が取得しづらくなっているので効果検証には注意が必要です。

主にターゲティング広告に使用されるサードパーティーCookieですが、2020年1月にGoogle社がウェブブラウザ「Chrome」でのサードパーティーCookieのサポートを2年以内に終了すると発表しました。今後サードパーティーCookieは使用できなくなります。

これは、Googleが目指す、ユーザーのプライバシーを守りながら最適な広告を表示する「プライバシーサンドボックス」の実現に向けた動きであると考えられます。

表:Cookieの種類

Cookieの種類

説明

ファーストパーティーCookie

ユーザーが閲覧リクエストを送ったドメインから直接発行されるCookie。発行元ドメイン以外からはCookieの情報を参照できない。サイト(ドメイン)ごとに発行されるため、ドメインをまたがっての付与もできない

イーコマースサイトが自社サイトのログイン状態やカートの状態を保持するために発行する

サードパーティー Cookie

ユーザーが閲覧リクエストを送ったページとは異なるドメイン(第三者)から発行されるCookie。サイト(ドメイン)に依存しないので、サイトをまたがってCookieを付与できる

広告配信サービス、アクセス解析ツール、広告効果測定ツールなど

Cookieの注意点とウェブストレージ

Cookieの受け入れは、ウェブブラウザやセキュリティツールによってユーザー側で制限できます。また、ユーザーがウェブブラウザの設定でCookieをオフにしていることもあり、この傾向は年々高まっています。

また、Apple社がトラッキング防止機能をsafariに搭載するITP2.3を実装するなど、ブラウザサイドでCookieを制限する動きも出ており、注意が必要です。

Cookie自体は、ユーザーが簡単に削除、加工できるので信頼性に欠けます。しかし、今のところ、Cookieの代替手段は確立されていませんが、HTML5で導入されたウェブストレージCookieに代わる手法として注目されてきています。

ウェブストレージは、ウェブブラウザに一時的にデータを保存できる点はCookieと似ていますが、Cookieに比べて保存容量が大きいことやセッションの扱いに優れている点が特徴です。ウェブストレージには2種類あり、セッションCookieと似たブラウザを閉じると消滅するセッションストレージと、ブラウザを閉じても保存されつづけるローカルストレージの2種類があります。

Cookieウェブストレージには、仕様面で次のような違いがあります。

表:ウェブストレージCookieの違い

ウェブストレージ

Cookie

容量

大(5Mバイト)

小(4,096バイト)

有効期限

×(なし)

〇(あり)

サーバーへのデータ送信

×(なし)

リクエスト送信時に自動的にCookieの内容が送信される)

このようにCookieより優れた点もありますが、ITP2.3ではローカルストレージのデータも削除対象となりました。

表:ウェブストレージCookie の違いの対応ブラウザに脚注を追加

特徴または機能

Cookie

ウェブストレージ

保存容量

4KBytes

5MBytes

データの有効期限

あり(無期限設定はない)

なし

セキュリティ

すべてのリクエストに対してサーバにデータを自動送信

データを利用する時のみ送信(自動で送信しない)

4-6-2. アクセス解析ツールの選定基準

アクセス解析ツールの選定基準は、大きく2つに分かれます。

システム環境を基準とする場合

運用するアクセス解析ツールが利用可能なシステム環境であるか、事前に確認しておく必要があります。

サーバーログ方式を採用する場合

当然のことですが、サーバーのログファイルを取得できないと、サーバーログ方式(サーバーインストール方式)は利用できません。また、サーバーにソフトウェアをインストールする場合が多いので、インストール権限も必要です。レンタルサーバーなど、サーバーの一部しか利用できないシステム環境では、インストール権限やサーバーのログが取れないことがあるので注意してください。さらに、複数のウェブサーバーで運用しているシステムの場合は、サーバー同士のログをつなぎあわせなければ、全体のデータがわからないケースもあります。この場合もサーバーログ方式ではアクセス解析が困難になります。

パケットキャプチャ方式を採用する場合

パケットキャプチャ方式は、サーバーがあるネットワーク上に機器を設置する必要があります。そのため、ネットワーク環境に機器を接続する権限がないと利用できません。レンタルサーバーやホスティングサービスなどでは、ネットワークへの機器接続が難しいことが多いので注意してください。

ウェブビーコン方式を採用する場合

JavaScriptなど計測タグをページ(HTML)に挿入するため、ページにJavaScriptを書き込むことができない環境では、ウェブビーコン方式は利用できません。また、Cookieを使ってセッションやユーザーを特定するため、Cookieが使えないユーザーの環境(受け入れを拒否しているなど)では正確な情報を取得できません。ASPによるショッピングサイトでアクセス解析をする場合は、ショッピングカートへの計測タグの埋め込みが許容されていないこともあるので注意してください。

組織ポリシーを基準とした場合

アクセス解析の方法が、セキュリティポリシーやプライバシーポリシーなどの社内規則や方針に適合しない場合もあります。

セキュリティポリシー

セキュリティポリシーとは不正アクセスやコンピューターウイルスによる被害などが生じた場合の対処を含め、企業の情報セキュリティに関する基本方針のことです。近年のスマートフォンの急速な普及や通信環境の改善などにより、イーコマースサイトを利用したり、ウェブサイトの問い合わせフォームから問い合わせを行ったりといったインターネットを使った購買行動やコミュニケーションが増えています。こうした状況での不正アクセスやコンピューターウイルスによる被害は、サイトの利用者に損害を与えるだけではなく、サイトを運営している企業の信用問題に発展する場合が多いのが実状です。したがって、サイトの運営者は、こうした事態を避けるべく、情報セキュリティに対するしっかりとした取り組みが求められます。

プライバシーポリシー

プライバシーポリシー(またはプライバシーステートメント)とは、個人情報に関する取り扱いの基本方針のことです。多くの企業でプライバシーポリシーの策定・公表が求められており、ウェブサイト上でも公表することが推奨されています。アクセス解析や広告効果測定などのツールを導入する際、個人情報とみなされる項目を取得することもあります。ツールの導入にあたっては、必ず自社のプライバシーポリシーに抵触しないことを事前に確認してください。これらのポリシーは、ウェブサイトの運営やツールの導入に際して運営側の判断基準になるだけではなく、ユーザーがそのサイトの安全性を見極める際の判断基準にもなるため、しっかりと対応することが重要です。

Cookieを利用したユーザーの解析やASPによるアクセス解析サービスを禁止するポリシーを定めている企業ではウェブビーコン方式による解析ツールの利用はできず、サーバーにソフトウェアをインストールさせないポリシーの企業ではサーバーログ方式は利用できません。パケットキャプチャ方式を利用する場合も、ポリシーとしてネットワークへの機器設定が許されるかどうかが課題になります。また、EUのGDPR施行により、欧州から利用されるウェブサイトではCookieの利用目的掲載やオプトイン方式などが義務化されました。違反すると罰金制度もあります(第1章参照)。このような対応のため、不必要なCookieの利用を避ける組織もあります。

このようにさまざまな基準(制約)がありますが、大切なのは、「事業の成果を上げるために必要なデータを解析できるかどうか」です。必要な情報を入手できるのか、システムやポリシーの制約との整合性はどうかという2つの側面で判断をしてください。

4-6-3. アクセス解析ツール

代表的なアクセス解析ツールを紹介します。

Googleアナリティクス

ウェブビーコン方式の解析ツールです。世界的なシェアは第1位であり、月間1,000万ヒットを上限として無償で利用できます。それ以上の規模のサイトは有料版(Google アナリティクス 360 スイート)への移行が必要です。また、Google 検索、Google 広告との連携が簡単にできます。現在はGoogle Analytics 4 のタグが推奨となっていますが、まだリ

リースされて間もないという事もあり、ユニバーサルアナリティクス(UA)のタグを利用する事を推奨します。

Google Analytics 4

Google アナリティクスの新しい画面と集計の仕組み「Google Analytics 4」とはGoogle アナリティクスでの計測方法が今までとは変わった新しいバージョンのGoogle アナリティクスです。以前はアプリ+ウェブプロパティと呼ばれてました。現在利用されているプロパティ版でも計測記述の変更は過去に何度かありましたが、レポートを見る画面の構造や基本的なデータ構造自体は一緒でした。Google Analytics 4では今までのような改修ではなく、計測の仕組みから画面まで大きく変わります。Google アナリティクスがリリースされて以来10年以上、ずっとVer1であった計測プロトコル(計測のための仕組み)が初めてVer2になります。ここ数年の間に、新しいバージョンの利用に移行が進んでいくと思われます。

またアプリとウェブサイトの計測は今までは別のツール(アプリ=Firebase Analytics、ウェブ=Google アナリティクス)でしたが、こちらも同じツール内で確認できるようになりますので、それぞれのツール上でログインして別々に見るという事はなくなりました。これにより今までは「ウェブ」と「アプリ」の横断分析はツールが違うためできませんでしたが、ブラウザとアプリの横断分析を行う環境が整いました。

2020年8月現在、2つのプロパティは平行で利用することができます。Google Analytics 4はまだレポートや機能が出揃っていないため、とりあえず導入してデータを貯めておくことをお勧めします。機能更新に関して現在のバージョンはほぼ止まり、今後は新しいバージョンのみ更新されることが予想されます。

導入するにはGoogleアナリティクスで新しいプロパティを作成する際に、「Google Analytics 4」を選ぶことで設定が可能です。

今までのプロパティは「ユーザー」「セッション」「ページビュー」という考え方でデータが設計されていたが、Google Analytics 4では「ユーザー」と「イベント」という2つの考え方になります。ユーザーはそのまま変わりませんが、「イベント」の中でさまざまなデータ(ページビュー・画面表示・スクロール・ファイルダウンロード・コンバージョン・カスタムディメンション等)を計測するという形になります。ページビューもイベント一種となります。なおイベントには、自動で取得されるイベント(ページビュー・初回訪問・セッション開始)と設定や実装をして取得するべきイベント(カスタムディメンションコンバージョン)があります。

そのほか、重要なポイントについて説明していきます。

1. 機械学習を導入しているアクセス解析ツールになった

機械学習の導入により、顧客が将来取るであろう行動を予測できるようになりました。例えば、解約率を予測するといったことができるようになります。これにより、これまで難しかったコンバージョンの後の世界の解析が可能になります。コンバージョンはしたけど、その後、収益化したかは別問題という状況が実際にあります。例えば、SaaSビジネスでのサブスクリプションモデルなどはその典型と言えます。CPAが2万円で月5000円のサービスだったとして、6ヶ月継続で黒字化するとします。そういったサービスの場合、解約率の予測は経営の根幹を担う重要な指標になります。

2. UXの検証がより具体的に

Google Analyticsのグループプロダクトマネージャーであるラッセル・ケッチャム氏は、Search Engine Landに次のように語っています。

<https://searchengineland.com/google-analytics-4-adds-new-integrations-with-ads-ai-powered-insights-and-predictions-342048>

レポートは、マーケティング担当者がカスタマージャーニーの特定の側面を掘り下げるのに役立つように設計されています。例えば、ユーザー獲得レポートでどのチャンネルが新規顧客を獲得しているかを確認し、エンゲージメントレポートとリテンションレポートを使用して、これらの顧客がどのような行動をとっているか、コンバージョン後に顧客が離れていないかを理解することができます(「The reports are designed to help marketers drill down into particular aspects of the customer journey. “For example, you can see what channels are driving new customers in the user acquisition report, then use the engagement and retention reports to understand the actions these customers take, and whether they stick around, after converting,” the company said.」より翻訳)。

また、アプリとウェブのインタラクションを一緒に測定できるようになっています。アプリ内とウェブで発生したYouTubeのエンゲージメントビューからのコンバージョンをレポートに含めることができます。YouTubeの動画視聴からのコンバージョンをGoogleやGoogle以外の有料チャンネル、Google 検索、ソーシャル、メールなどのコンバージョンと並べて見ることで、すべてのマーケティング活動の効果を総合的に把握できます。

3. プライバシー問題に対応

GDPR/CCPAなどのデータ規制に準拠したアナリティクスツールになっています。

また、ブラウザーアップデートやITP2.0の実装などによるCookieの問題、ユーザープライバシーコントロールができるようになっています。

今回、発表されたGoogle Analytics 4は「Cookieのない未来のアナリティクス」と呼ばれています。サードパーティのCookieが段階的に廃止されていく中で、Googleはデータの分散化が新たな規範になると予想しています。Googleは、データのギャップを埋めるために機械学習に頼ることになるだろう。そんなことをKrista Seiden氏が話しています。

4.具体的事例

Vistaprint社は、パンデミックが始まった時のビジネスの急激な変化に対応し、新製品のマスクに対する顧客の反応を迅速に測定することで理解ができました。

Domino's Pizza of Canadaの副社長であるJeff Kacmarek氏は、「新しいGoogle AnalyticsとGoogle Adsをリンクさせることで、顧客がどのようにブランドと関わりを持つかに関わらず、顧客にとって最も重要な行動を中心に最適化することができる」ことを発見しました。

機械学習の3つのキーワード

さて、そもそも、機械学習にも向き・不向きがあり、魔法の杖ではありません。そこで、機械学習に関する3つのキーワードを知っておきましょう。

1. 回帰問題

回帰問題の特徴は「何を予測したいかの対象が数字(連続値)になる」ことにあります。例えば、過去の売り上げから将来の売り上げを予測したいような状況で必要になります。今回の発表だと解約率予測が該当します。これをしっかりと解き明かすことで、マーケティング予算が逼迫している時期に顧客を維持するための投資をより効率的に行うことができます。

2. 分類問題

分類問題の特徴は予測したい対象が離散値になります。例えば、スパムメールを判別したいなどの際に必要になります。今回の発表だと顧客セグメンテーション分類などが該当します。収益性の高い顧客の発見などがこの分野です。

3. 欠損値補完

GDPRの関係で、データを削除した上で、その欠損値を補完する必要性が生まれています。その際の考え方は以下のようなやり方があります。

  • 完全にデータを消す
  • 中央値で補完
  • 平均値で補完
  • 最頻値で補完

どの手法がGoogle Analytics 4で採用されているかはわかりませんし、発表されてはいませんが、こういった考え方があるんだ、ということを知っておくと良いでしょう。詳細は常にGoogleの公式情報を参考にするとよいでしょう。

詳細はGoogleの公式情報を参考にしましょう。

Adobe Analytics

Adobe Systemsが提供している「Adobe Experience Cloud」の1つで、データ解析を提供する製品です。ForresterとGartnerのそれぞれのレポートにおいて、リーダーとして評価されています。ビーコン型をメインの計測方法とし、アプリなどのSDKやAPIといった多様なデータの取得が可能です。データの表示や書き出しといった取り出しも、Web UIのほか、スケジュール配信、ExcelやPower BI、API経由など、多岐にわたります。

製品別の閲覧や購入個数、金額などを広告データと連携させることができ、コンバージョンの計測も多様な設計が可能です。それらのデータは、ワークスペース機能を利用することで簡単に分析できます。計測されたデータを活用し、数百に上るサードパーティーサービスとの連携やAdobe Experience Cloudのさまざまな製品との連携が可能になっています。また、最近では、AIやマシンラーニングを活用したテクノロジーである「Adobe Sensei」を活用した機能を多く提供し、より高度な分析を簡単に実施できるようになっています。さらに、スマートスピーカー、サイネージ、ストリーミング配信といったさまざまなデジタルタッチポイントの計測にも対応しています。Foundation、Select、Prime、Ultimateというラインナップがありサイトの目的に合わせて選択します。

Forresterとは

The Forrester Wave™: Data Management Platforms, Q2 2019

Gartnerとは

Gartner Magic Quadrant for Digital Experience Platforms 2019

図:Adobe Analytics

図:Adobe Analytics

Matomo

Matomo(旧名Piwik)は、オープンソースのアクセス解析システムです。公式サイトによると、2019年8月時点で190カ国以上、140万以上のサイトに導入されています。Matomoは、ユーザーデータを利用せず、すべてのデータがクライアントに帰属するので、行政やセキュリティに厳しい企業にも適しています。サイトの運営方法に応じて、データ取得の方法をサーバーログ方式とウェブビーコン方式から選択できます。オプション機能には、ヒートマップ機能などもあり、さらに高度な解析も可能です。ローデータに近いデータも容易に抽出できるため、システムとの連携も得意です。気を付けたいのは、サーバーログ方式の場合は、ログデータがサーバー内に蓄積していくため、思わぬ負荷や遅延につながりやすいことです。

Splunk

Splunk(スプランク)は、米国サンフランシスコに本社を持つSplunk Inc.のマシンデータ解析ツールです。Splunkサーバーにデータを送信すると、ユニバーサルインデックス機能によって、ログデータ、オープンデータ、センサーデータが分割され、自由な指標で集計、解析、可視化されます。また、ダッシュボード内に別のシステムのデータやオープンデータを取り込み、相関関係を可視化することも可能です。送信するデータは、テキストファイルであれば、種類、フォーマットを問いません。費用は1日あたりのログデータ量で決まりますが、無償版も提供されています。

図:Splunk

図:Splunk <https://www.splunk.com/ja_jp>

中国におけるウェブ解析

中国でアクセス解析をする際にも、中国の特殊なネット事情を考慮する必要があります。日本で一般的に使われているGoogleのサービスは利用が制限されているため、中国向けのサイトではGoogleアナリティクスやGoogleタグマネージャーは設置しないほうがよいでしょう。中国で使える解析サービスには、次のようなものがあります。

Baidu Analytics

中国でアクセス解析をする場合、Googleアナリティクスのように使える「Baidu Analytics」(百度統計:バイドゥアナリティクス)を百度が提供しているので、こちらを使ったほうが便利です。

Adobe Analytics

Googleアナリティクスと違い、中国でも使えるところが特徴になっています。

Ptengine

日本でも多く使われているヒートマップツールですが、中国でも多くの有名企業が利用しています。中国でも問題なく使うことができるヒートマップツールです。

Matomo

サーバーインストール型を用いる限りは、システムの仕組み上、問題なく動作します。また、Matomoの商用版であるPiwik PRO <https://piwik.pro/>を用いれば、中国国内のクラウドでも問題なく利用できます。

4-6-4. 解析範囲の決定

解析範囲の決定では、まず、解析対象のドメインを確認します。よくある構成として、買い物カートは外部サービス(ASP)を利用しているため、通常のドメインとは別というパターンがあります。このように、通常利用しているドメイン以外に、ほかのドメインを含めて解析するのかどうかを確認します。サードパーティーCookieのアクセス解析ツールでは、解析するドメインを指定するだけでドメインをまたいでデータを収集できますが、ファーストパーティーCookieのアクセス解析ツールは、原則として設置したサーバーのドメインの範囲でしか解析できません。

Googleアナリティクスによるクロスドメインの解析方法

GoogleアナリティクスはファーストパーティーCookieのアクセス解析ツールですが、次のような設定をすると、複数のドメインを解析範囲に含めることができます。このように複数のドメインを対象にすることを「クロスドメイン」といいます。

  • サブドメイン(http://sub.example.com/)も同時に取得したい場合
  • 別のドメイン(http://example.org/)も同時に取得したい場合
  • SSLサイト(https://example.com/)も同時に取得したい場合

2つ以上のドメインを解析するには、Googleアナリティクスでクロスドメイントラッキングの設定を行います。まず、Googleアナリティクスの管理画面でクロスドメイン用のプロパティを設定します。

Googleタグマネージャーを使っている場合、管理画面(詳細設定>クロスドメイントラッキング)で収集したいドメインを設定すれば、複数ドメインのトラッキングの設定ができます。

なお、どちらの設定でも表示を適切にするため、Googleアナリティクスの管理画面から参照元除外リストに加えることと、ビューフィルタを設定してドメイン名まで表示させる設定をしましょう。

ウェブビーコン方式以外の設定における注意点

サーバーログ方式の場合は、各ウェブサーバーの時刻設定を同じにしたり、ログフォーマットを揃えたりする必要があります。パケットキャプチャ方式の場合は、複数の別ホスト名を取得対象に設定します。

4-6-5. 関係者の除外

解析範囲の設定が完了したら、さらに解析の精度を高めるために、関係者(自社、運営会社、制作会社など)からのアクセスを除外します。除外する方法としては、IPアドレスCookie、カスタムセグメント、プラグインなどがあります。Googleアナリティクスを例に説明します。

IPアドレス(グローバルIPアドレスが決まっている場合)

Googleアナリティクスの管理画面(ビュー>フィルタ)で、カスタムフィルタを設定することで、IPアドレスの除外設定ができます。利用するウェブブラウザによらず、指定したIPアドレスからのアクセスが除外されます。社内からのアクセスの除外など、特定のIPアドレスで関係者を特定できるときは、この方法が便利です。

Cookie(グローバルIPアドレスの変動範囲が決まらない場合)

スマホやタブレットなど、特定のIPアドレスを持っていない場合、Cookieを利用して除外します。関係者が多数いて、IPアドレスでは特定しにくい場合は、この方法が便利です。

まず、ユーザーを除外するためのカスタムディメンションを作成します。次に関係者を除外するためのページを作成した上で、タグマネジメントツールを利用してそのページを見たユーザーだけにそのカスタムディメンションを持つユーザーをGoogleアナリティクスのフィルタで除外する方法です。

セグメント(すでに収集したデータからセグメントすることで関係者を除外する方法)

Googleアナリティクスの管理画面(ビュー>セグメント追加)でセグメントを設定し、Googleアナリティクスで解析する際に設置したセグメントを選択すれば、除外されたデータが表示されるようになります。毎回セグメントを実施することになり、過去の関係者をIPアドレスで除外できます。

アドオン(Googleアナリティクス オプトアウト アドオン導入による)

Googleアナリティクス オプトアウト アドオンは、ダウンロードしてウェブブラウザに追加するだけなので、設定が簡単です。また、IPアドレスが変化しても同じウェブブラウザならアクセスを除外できます。このプラグインが対応しているのは、パソコンのウェブブラウザのみなので、スマートフォンやタブレットからのアクセスを除外することはできません。

また、このアドオンは、ウェブブラウザごとに設定する必要があるため、閲覧するウェブブラウザを1つに決め、導入したほうがよいでしょう。社内で特定の人物を除外する場合や、専門家として基本的に自分のアカウントを除外したい場合におすすめです。

ノンヒューマン(クローラー)によるアクセスの除外

ノンヒューマン(クローラー)によるアクセスも、ウェブ解析においては不要なデータなので除外します。Googleアナリティクスの管理画面(管理>ビューの設定)で「ボットフィルタリング」にチェックを入れます。

4-6-6. ファネルの設計

通常、ウェブサイトの構造はトップページ(index.html)を頂点にしたサイトマップで表します。しかし、ウェブ解析ではコンバージョンに至る過程をユーザーの行動履歴をもとに考えます。

マーケティングの観点では、コンテンツには「ランディングページ」「回遊ページ」「フォームページ」「コンバージョンページ」という4つの役割があります。それぞれに複数のページが含まれ、測定する方法や指標が異なります。順番にセッション数やページビュー数は少なくなっていくため、「ファネル(漏斗の意味)」の形で表現します。

ランディングページ

「ランディング(着陸)」という言葉のとおり、最初にユーザーが見るページです。キャンペーン専用ランディングページを作成することもありますが、検索エンジンなどを経由して、ランディング専用ではないページをユーザーが最初に見ることもあります。ランディングページを測定する指標は「直帰率」です。直帰率が高いランディングページは、ユーザーを次のページに遷移させず、ユーザーを逃していると判断できます。

回遊ページ

2ページ目以降として閲覧するページです。商品ページや送料のページなどのコンテンツが回遊ページとして機能することが多いのですが、まれにランディングページとして作成したページが回遊ページとして閲覧されることもあります。回遊ページを測定する指標は「回遊離脱率」や「離脱率」です。直帰はしなかったもののフォームに到達しなかったページは回遊ページとして問題があり、ユーザーを逃していると判断できます。アクセス解析ツールで一般的な指標は離脱率ですが、これは通常セッション単位ではなくページビュー単位なので、直帰率と比較ができない点に気を付けてください。

フォームページ

コンバージョンにつながるフォームがあるページです。ショッピングカートや資料請求フォームページなどです。フォームページに誘導するボタンやリンクを「CTA(Call To Action)」や「反応装置」と呼びます。フォームページの成果を測定する指標はフォーム離脱率です。フォームに到達したもののコンバージョンにならなかったページは、フォームの内容やサービス(クレジットカード決済に対応していないなど)に問題があると判断できます。フォーム離脱率はセッションで表すことが多いのですが、ページ単位で見る離脱率はフォームでも一般的にページビュー単位となっていることに注意が必要です。

コンバージョンページ

コンバージョンになったと判断するページです。例えば、イーコマースではサンクスページがコンバージョンページとなることが多いのですが、メディアサイトやサポートサイトのようにコンバージョンがページ単位で明確にならないケースもあります。また、コンバージョンがページとして定義できない場合(フォームとコンバージョンでページの遷移がない場合など)には、JavaScriptでコンバージョンの発生を送信して代替することもあります。

また、電話での注文が多い場合は、電話の注文件数を測定する場合もあります。コンバージョンの数を増やすためには、各コンテンツ構造の改善をする必要があります。このデータを見ることで、急激にユーザーを逃しているコンテンツ構造を発見し、改善できます。

ランディングページと回遊ページは最初に訪問したページ、次に訪問したページと定義できるので自動的に分けることができます。しかし、フォームページ、コンバージョンページは設定が必要です。このようなフォームページの解析ではフォームを定義します。Googleアナリティクスの場合、フォームでの離脱を測定するには、管理画面(管理>目標>目標の詳細>目標到達プロセス) で行います。コンバージョンの設定画面で移動する順番にURLを指定することで測定できます。

図:フォームページの分析

図:フォームページの分析

また、フォームページも「入力ページ」「確認ページ」などに細分化することもあります。

図:ファネル解析の設定

図:ファネル解析の設定

[図:フォームページの分析]と[図:ファネル解析の設定]は、ウェブ解析士講座のファネルで、スケジュールから講座詳細、確認ページ、サンクスページまでのファネルを表しています。

4-7 モバイルアプリ解析の設計

モバイルアプリも、ウェブサイトと同様に、Googleアナリティクスを利用できます。コンバージョン設定や各種KPIの指標を分析することで、目標達成や成果の最大化につなげます。

4-7-1. アプリ経由でのサイト訪問の解析

モバイルアプリ経由からのウェブサイトへの訪問の場合の解析は、第三者のモバイルアプリ経由での訪問と、自社開発のアプリ経由での訪問の2つの観点から考えます。

第三者のアプリ経由での訪問

LINEなどの第三者のアプリでは、ほとんどの場合はリファラーなどが取得できないため、広告同様にパラメーターを付与して解析することになります。ただし、YouTubeなどでのウェブサイト訪問やアプリ内での評価(YouTubeでのコメント数)は管理画面上で把握できるので、アカウントを共有する関係者間で確認します。

自社開発のアプリ経由での訪問

自社開発のアプリであれば、いくつかの手法でユーザーの行動を解析することが可能です。アプリから外部へのリンクにはリファラーが付与されないことが多いため、次のような手法を採ります。

  • URLリンクにパラメーターを付与する
  • アドサーバー(広告配信用のウェブサーバー)などのサーバー経由でウェブサイトに遷移させることでアドサーバー上でアクセスをカウントできる
  • リダイレクトページ経由でウェブサイトに遷移させることで、リダイレクトページへのアクセスをカウントできる

これらの手法の応用として、アプリ初回起動時に自動的にウェブサイトを表示し、そこで何らかのアクションを起こさせることで、アプリがダウンロード後にどのくらい時間をおいて、どのくらいの割合で初回起動するかを把握するといったことができます。

4-7-2. アプリ内解析の方法

スマートフォンは、ウェブサイトだけでなく、アプリを利用したコンテンツの閲覧や機能の活用が一般的です。アプリは、ウェブサイトとは違って「ページ」の概念がないため、アプリならではの計測や分析方法が存在します。アプリ解析設計では、次のようなことに注意してください。

ページビューという概念がない

ウェブには「ページ」という概念があるが、アプリにはありません。どのボタンを押したらページを切り替えたと見なすのかなど、ボタンや機能に対して1つひとつ割り当てる必要があります。

セッション数の概念が変わる

ウェブサイトと異なり、アプリはインターネット接続がない環境でも機能します。このようなネットに接続していない状態のログをどのように蓄積し、どのタイミング・方法でアクセス解析サーバーへ送るのか、あるいは送らないのかを決める必要があります。

アプリのダウンロード数や他社アプリの傾向も範囲に入る

アプリそのものの利用状況だけでなく、AppStoreやGoogle Playストアでのダウンロード数も重要な情報です。これらのデータはApp StoreやGoogle Playストアの管理画面で取得し、適宜ほかのデータとつなぎ合わせて分析に活用します。

代表的な2種類の計測方法と特徴

代表的な2種類の計測方法と特徴を説明します。

サードパーティーツールを活用した計測

GoogleアナリティクスやAdobe Analyticsなどのアクセス解析ツールでは、ウェブサイトの場合に似たビーコン型の計測が利用可能です。ただし、ウェブブラウザとは違って、各ページに計測用の記述を挿入するのではなく、各アクセス解析ツールの管理画面から取得できる、SDK(Software Development Kit)パッケージを導入します。その上で、ボタンタップなどのアクションが発生した際に解析ツールにデータを送る記述を行います。また広告効果をより正しく計測するときもSDKと広告媒体を連携することが必要です。

また、Firebase Analytics <https://firebase.google.com/?hl=ja>のようなモバイルアプリ専用のソリューションもあります。ウェブサイトを中心としたビジネスモデルではない場合は、こちらのほうがアプリに特化しているため扱いやすくなっています。解析だけではなく、A/Bテストやユーザーへのメッセージなどの機能も備わっています。

Firebase Analyticsは今後App+Webに統合される可能性があります。

自社ログを活用した計測

一部の企業では、ログデータを自ら取得して分析する計測方式も導入しています。自社あるいはクラウド上にサーバーを用意し、ユーザー訪問時にデータを自社サーバーに送り、集計と分析を行います。この方法を利用すると、必要なデータに対して自由度を高く設計できるメリットがあります。一方で、自社でログ取得から分析までの環境を構築する必要があるため、ビーコン型よりも実装・設計・運用の負荷が大きくなります。メリットとしては、アプリごとに自由度の高いデータ取得と分析が行えるということが挙げられます。家計簿アプリ・体重計アプリ・ソーシャルゲームなど、ウェブでは一般的ではないサービスを提供している場合は、自社ログの方式を推奨します。アクセス解析ツールの既存レポート群を使うよりも、ログデータを取得しデータをSQL文でダウンロードして別ツール(Excel、Access、TableauやRなど)で分析するほうが、より気づきを発見しやすくなります。最近では、ウェブブラウザ上で可視化・分析するツールなども登場しています。

これら以外の方法もあるので、アプリの種類や分析したい内容に応じて、より適切な方法を選択しましょう。

4-7-3. スマートフォンやタブレットの広告識別子

スマートフォンやタブレットでは、特定のOSが導入されているデバイスを特定する広告識別子が存在します。このIDは大きく2つあり、iOSが搭載されているデバイスを計測するIDFA(Identifier for Advertisers)と、Android OSが搭載されているデバイスを計測するAAID(Google Advertising ID、GAID、AdIDとも呼ばれる)があります。

これらの広告識別子がデバイスで計測許可ステータスになっていることと、SDKを導入していることで、広告識別子ごとの計測が可能となります。

この広告識別子がCookieと違う点は、ブラウザではなく、デバイスごとに付与されていることであり、デバイスには固定のIDが付与されていて、変わることはありません。また、ともにユーザー設定により、オプトアウトすることができますが、2020年秋に発表されたiOS14以降、ITPの適用により、IDFAはオプトアウト方式から、オプトイン方式を採用しています。このことにより、iOSデバイスからはユーザー計測制度が落ちるだけでなく、休眠顧客へのリエンゲージメント施策を行うことも難しくなるため、新たなアプローチを検討する必要が出てきています。

そのためアプリの広告効果測定では、IDFAに依存しないSKAdNetworkを用いて効果測定を行う必要があります。具体的には広告メディア(下記AppA)がパラメーターを付与し、広告主Appの広告を表示します(下記AppB)。AppStore内でダウンロードし起動したところで、スマホがアドネットワークにパラメーターを送ります(個人のIDなどは送りません)。広告主(AppB)はこの情報で広告(AppA)経由でもダウンロード、起動数を知ることができます。

ただしこの方法は個人が特定されないため、リマーケティングやLTVなどを測定できません。またパラメーター付与というルールのみなので不正も起きやすくなる点に注意が必要です。

図:SKAdNetwork

図:SKAdNetwork
引⽤元:<https://developer.apple.com/documentation/storekit/skadnetwork>

4-7-4. モバイルアプリならではの分析視点

モバイルアプリでは、通常のウェブブラウザであれば可能なデータが取得できない場合もありますが、逆にアプリだからこそ取得して分析できるデータもあります。アプリを分析する上で、外せないのは次の3点です。ぜひ、自身の分析に取り入れてみてください。

アプリのバージョン分析

アプリにはバージョンの概念があります。新バージョンはどれくらいの人がインストールしているのか、昔のバージョンのままアップデートしない割合などを確認しましょう。バージョンと併せてデバイスやOSとの掛け合わせ分析を行うと、特定の端末やOSで誤作動や不具合が発見しやすくなります。

継続的な利用

アプリはダウンロードしてもらうことで、ウェブブラウザ以上に継続的なアクセスが期待できます。しかし、内容がよくなかったり、ユーザーがニーズを満たしてしまったりするとスマートフォン上から削除されてしまいます。削除自体は計測ができないものの、定期的に利用するユーザー(例:週4回以上ログイン、5日連続ログイン)は分析可能です。継続利用につながるアクションを把握することで、アプリの改善に活かし、継続利用者の人数と割合を増やしましょう。

レビューの分析

アプリのダウンロードは掲載順位およびレビュー内容と評価点(★の数)によってダウンロード数が大きく変わってきます。評価点が高い・低いレビュー内容に共通項がないかを確認し、強い部分を伸ばし、弱い部分を改善することを意識しましょう。また、レビューの通知タイミングなどもコントロール可能ですので、高評価が期待できるタイミングを狙って、ユーザーにレビュー依頼をするようにしましょう。

4-7-5. チャットボットアプリの海外展開事例

エボラニ社が開発販売するanybotは、あらゆる業種の企業のオムニチャネル化を可能にするチャットボットのシステムですが、本来日本国内のLINEをプラットフォームの軸にすることを前提にしてきたので、日本を始めLINEが展開されている国でないと本来の力を発揮できません。新たな市場を開拓するためには、何らかの方針転換が必要でしたが、あるきっかけにより飲食店向けバーティカルソリューションとして「Eatsi」の展開を開始し、これにより海外展開が始まりました。

そのソリューションを活用した第一段階として開発されたEatsi for USは、来店予約、席在庫に加え、テイクアウト、デリバリーにも対応し、商品登録や注文管理もタブレットを使って直感的な操作が可能なように設計されています。さらにanybotの特徴であるセグメント配信も、飲食店が簡単にできるような仕組みになりました。クーポンの配信なども数タップで簡単に顧客に届けることができます。

Eatsi for US開発のきっかけ

2020年初頭に発生したCOVID-19の影響による外出禁止により、米国の飲食店のほとんどが店舗営業停止状態になりました。日本と違ってそもそも外出できない米国では「店頭呼びかけでのテイクアウト」は現実的ではなく、すぐにデジタル化しデリバリーの仕組みを構築する必要がありました。これを短期間で解決できる手段を提供することが必要であるとのカナダ出身の共同創業者からの提案をもとに、急遽開発されたのがEatsi for USです。

anybotは本来開発不要のchatbotやミニアプリの開発基盤であり、従来からMessenger、多言語、タイムゾーンなどの対応を揃えて、グローバルに展開するように作られていたので、すぐにプロジェクトを立ち上げ、対応することができたのです。

調査

PMのChristian Forestellはもとヘッドハンター経験を活かして、Facebookの初期からのユーザーをリストアップし、個別コンタクトやヒアリングをはじめました。その結果、アプリの新規構築やウェブベースのアプリであればすでに競合が多いということ、ただし、デリバリー注文や予約だけのために個別のアプリをインストールしたくないということ、特に普段よく利用している「Messenger」を使えるなら喜んで利用したい、ということがわかってきました。

また、すでに2000社以上の導入実績を持ち英語版も出ているanybotを操作してもらうと、対象ユーザーに戸惑いが生まれたことはショックでした。このことにより、想定ターゲットによるリテラシー差を吸収すべく、機能を整理統合するなどのUI/UXの再設計を行いました。

このことから、Eatsi for USは、ユーザーが使いやすいマニュアル <https://eats.anyspot.me/marketing> <https://eats.anyspot.me/help>も作り込みました。

つまり該当地域の顧客が「何に困っているか」を調査し、自社のシステムを現地の現状に合わせてカスタマイズする。ただしその際に基礎となる軸をぶらさないという開発が必要だといえるわけです。

困難を克服するために重要なものは理念

海外展開にはさまざまな困難もあるでしょうが、ぶれない基本軸と柔軟なカスタマイズは重要だと思います。特に「誰」の「何」を解決するためのソリューションかということを突き詰めると、成功までの道筋が見えてきます。あらゆる業種にとってユーザーとの接触時間を増やすための定期的な接触は重要です。飲食店では、好ましい体験をしたお客様に再来店を促すことは最も重要なマーケティング活動でしょう。それはシェアやクチコミなどによって新規顧客の開拓も目指せます。そして優良な見込み客を開拓し固定客を育成することにより店舗の利益率を向上させます。直接的なコンバージョンだけでなく、顧客のマインドシェアを獲得しリテンションされやすくするための施策が重要であることは言うまでもありません。

ただし、簡単に自前のアプリなどを開発するわけにはいかない個人飲食店などにとって、これまでは「顧客の把握」ですら十分には行えない状況があったわけです。Eatsi for USの目指すべきところは、このマーケティングを自動化し簡単に行える仕組みを安価に提供することです。

そして何より重要な点は、このソリューションがanybotのバーティカルソリューションであるということで、つまり基本的な軸足の部分を開発することによって、各国の状況に合わせたバーティカルな展開が可能になり、よりマーケットを広げることができ、さらには日本国内企業が、海外から流入する顧客(リアルであれでネット上であれ)を無理なく自社店舗に誘導したりファン化する施策が取れるわけです。

「バーティカルソリューション」とは

マーケティング、受注、決済などの1つの業界に特化、業務を垂直に統合し、管理できること

4-8 情報精度を高めるための設計

クライアントのニーズにマッチしたアクセス解析を行うためには、さまざまなツールの設定や実装方法に気を配らなければなりません。また、独自のセグメントを設定するなど、解析方法のカスタマイズも必要です。ここでは、Googleアナリティクスの設定を例に、情報精度を高めるための設計について説明します。

ウェブ解析の設計によって、異なるデバイスを連携することや、広告の運用価値を高めるためパラメーターで連携することは可能です。

しかし、関連システムとの連携は目的ではなく手段です。ウェブデータとの自動的な連携が実現できれば、効率よく効果的なマーケティングができます。しかし、データ連携にこだわるあまり、多大なコストをかけてしまったり、必要以上の手間が現場にかかってしまったりしては事業の成果につながりません。データ連携ができなくても、アンケートや現場ヒアリングでウェブとほかの端末との関係を知ることができます。コストとのバランスを考慮し、最適な手段を検討してください。

4-8-1. 新技術に対応するための設計

スマホの普及や暗号化の一般化などの新技術の普及に伴い、アクセス解析で必要な設定が増えています。それぞれの技術に対して、アクセス解析やマーケティング解析で必要な設計があります。

マルチデバイス解析

現在では、スマートフォンやタブレットからのアクセスも多くなり、マルチデバイスに対応した解析が重要になってきています。しかし、通常のアクセス解析ツールでは、デバイスやブラウザごとに別ユーザーとして判別されてしまいます。

ユーザーが複数デバイスを利用しているかを分析するには、ユーザーIDを軸にデバイス間の行動を紐付けることが必要です。具体的には、ユーザーにログインしてもらい、ユーザーIDをキーにユーザー識別子としてCookieに保存し、ウェブ解析ツール内で統合します。Googleアナリティクスでは、サイトログイン機能がなくても、管理画面(管理>トラッキング情報>データ収集>Googleシグナルを「オン」)で、Googleアカウントのログイン情報を用いることで、デバイスをまたいで同一ユーザーであると判断するクロスデバイス機能を提供しています。

図:デバイスが異なると別のユーザーと認識してしまう

図:デバイスが異なると別のユーザーと認識してしまう
ソーシャルログインによるマルチデバイス解析

近年、ソーシャルネットワーキングサービス(以降SNS)の普及により、LINE、Facebook、Twitterなどを利用するユーザーが増えています。そこで、SNS以外のサービスサイトでも、SNSアカウントを使ってログインするというユーザー登録の手間を省いた会員登録方法が行われてきています。これを「ソーシャルログイン」といいます。目的は登録のしやすさですが、これをウェブ解析に活かすことも可能です。

ソーシャルログインを行ったログイン情報をGoogleアナリティクスと紐付けることによって、1人のユーザー行動を異なるデバイスを横断して分析することが可能になります。ユーザーのオプトインで、SNSに登録した情報を収集することも可能です。

図:ソーシャルログインの仕組み

図:ソーシャルログインの仕組み

SSL対応とアクセス解析の設計

SSL/TLS」と併記されることが多いのですが、「SSL(Secure Sockets Layer)」と「TLS(Transport Layer Security)」というインターネット上での送受信を暗号化する仕組み(プロトコル)です。実は、SSLとTLSは実際には同じもので、プロトコルのバージョンの違いで表記が異なります。したがって、ここでは単に「SSL」と表現します。

主に、ウェブサイトとユーザーが送受信する情報を暗号化するために利用します。サイトの管理者は、送信される情報に対して悪意を持った第三者から守ると同時に、送信される情報が改竄されていないことを証明することができます。

図:SSLの仕組み

図:SSLの仕組み

以前から決済や個人情報の送信フォームでSSLが使われていましたが、2014年に、Googleによってユーザーが安全にサイトを閲覧できるように、SSL実装(https)の有無が検索結果の基準の1つになることを発表しました。そのため、今ではウェブサイト全体にSSLを実装することが推奨されています。

SSL通信において、ウェブサイト所有者は鍵・証明書発行者の署名データ(ネット上の実印のようなもの)を持つSSL証明書を利用するため、提供者情報を登録する必要があります。ユーザーは、この情報をSSL証明書で確認できます。具体的には、ブラウザのURLを表示しているところにある鍵マークで確認できます。

図:SSL証明書の確認

図:SSL証明書の確認

これまで、SSLはどのウェブサイトにも必要な手段にもかかわらず、価格が高く(数万円~数十万円)、手続きも面倒でした。ところが、無料のSSLサーバー証明書である「Let’s Encrypt」などの登場で、誰でも、いつでも、簡単にSSLが利用できるようになりました。個人で設定するには多少専門知識が必要になりますが、多くのウェブサーバーで無償(低価格)のSSLを利用できるようになっています。詳細な設定方法は各サーバーのマニュアルなどを参照してください。

ウェブサイトに途中からSSLを実装した場合は、「http」でのアクセスを「https」にリダイレクトすると、常時SSLにより暗号化されたコンテンツを表示できます。また、多くの場合は以前の検索エンジンでの評価を引き継ぎたいはずなので、単純なリダイレクトではなく、コンテンツの恒久的な移動を伝える「ステータスコード301」でリダイレクトを設定してください。そのためにサーバーの設定を変更し「.htaccess」というウェブサーバー設定用のファイルを以下のように書き換えます。

RewriteEngine on
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/$1 [R=301,L]

※example.comは自社サイトURL

これでSSLに関する設定は完了です。なお、WordPressなどのCMSではサイトアドレスもhttpsに変更が必要である場合や、環境によっては追加の変更も必要だったりするので注意してください。

SSLを使ったウェブサイトにおけるアクセス解析も、原則的にはSSLで暗号化されていないサイト(非SSLサイト)のアクセス解析と同じですが、アクセス解析の手法によっては注意が必要です。

表:SSLでのログ取得

解析手法

注意点

サーバーログ方式

SSLによる暗号化されたウェブページのログファイルと非SSLのウェブページのログファイルは別なファイルになることが多く、つなぎ合わせる必要がある

パケットキャプチャ方式

SSLで暗号化されたログデータは、SSLアクセラレーターを使うか、パケットキャプチャでデータを収集する機器にサーバーの秘密鍵をインストールする必要がある

ウェブビーコン方式

ウェブビーコン側の解析ツールもSSLで暗号化しておく必要がある。SSLで暗号化していないと、ウェブブラウザに「一部のコンテンツが暗号化されていない」と警告文が流れる

AMP対応とアクセス解析の設計

「Accelerated Mobile Pages(AMP)」とは、モバイルユーザーのユーザー体験向上を目的として、モバイルでウェブページを高速に表示させるための仕様で、Googleが中心となって策定されています。AMPは、JavaScriptや画像のリサイズなど、読み込みに時間がかかることは避ける仕様になっています。AMPを実装するには、仕様に沿ったHTMLファイルを記述し、設定変更する必要があります。

AMPが問題なく実装できているかの確認は、AMPページをGoogle Chromeのデベロッパーツールのコンソールで読み込んで、「Powered by AMP HTML – Version xxxxxxxxxxxxx」と表示されていれば、少なくともAMPに対応したページだと認識されている状態だと判断できます。一方、問題がなくAMPHTMLの仕様どおりであれば、「AMPvalidation successful.」 が表示されます。

AMPのページが生成できたら、head要素にメタタグでアノテーションを記載したり、Google Search Consoleで検索エンジンにAMPページの存在を通知したりして、誘導を行います。

AMPページのアクセス解析の注意点

AMP対応によって、アクセス解析の結果が変わる点があります。例えば、キャッシュされているページを閲覧したユーザーとサイトを訪問したユーザーは別のユーザーと認識されてしまうため、セッション数や直帰が増えたり、コンバージョンが取得できなかったりといったことが起こります。先述の通りJavaScriptで計測などをしている際は、計測するJavaScriptを動くように記述をしないと計測そのものができないこともあるので注意してください。まだアクセス解析ツールも完全に対応はできていませんが、Googleアナリティクスについては、AMP対応のトラッキングコードを変更すると、キャッシュされた外部のページのデータもユーザーIDを紐付けて解析できます。これらのことを合わせて、次のような設定を行います。

ヘッダーの書き換え

ウェブサイトのヘッダー情報を書き換えてAMPページの存在を知らせます。カスタム変数使用を可能にします。

<link rel="amphtml" href="./amp.html">
<meta name="amp-google-client-id-api" content="googleanalytics">
AMP用の変数の追加

Googleアナリティクスのトラッキング情報にAMP用の変数を加えます。タグマネジメントツールで変数を設定すると簡単です。

useAmpClientId=true
AMPのキャッシュサーバーを除外

Googleアナリティクスの参照元除外サイトにAMPのキャッシュサーバーを加えます。「cdn.ampproject.org」を参照元除外サイトに加え、AMPの訪問をサイト内訪問と見なします。

このようにすれば、Googleなどの外部サーバーのキャッシュによる表示もサイト内の表示と同様のアクセス解析が行えます。

機器データ連携による解析の設計

IoT(Internet Of Things)は「モノのインターネット」と呼ばれ、現在インターネットに接続されているパソコンやスマートフォンなどではなく、センサーや機器・サービスなどを含む、すべての「モノ」がインターネットに接続されることをいいます。

IoTの種類

インターネットに接続される「モノ」には、さまざまなセンサーや機器などが含まれます。

表:センサーや機器の例

センサー

温度、湿度、照度、気圧、騒音、加速度、傾斜、衝撃、振動、土壌

機器

車、スマートスピーカー、ヘルスケア、家電、カメラ、スマートメーター、スマートロック、ロボット

IoT分析活用イメージ

IoTにより、どのような分析ができるようになるか、活用イメージを紹介しましょう。例えば、イーコマースサイトで販売された家電がインターネットに接続されることによって、販売後の利用頻度や消耗品の利用数などを取得でき、製品改善のためのデータ取得・蓄積だけでなく、販売促進などを行うためのデータ利用も可能となります。

また、店舗のドアなどにセンサーを付けることにより、店舗への訪問回数なども取得でき、広範囲にリアルな店舗まで含めた分析ができるようになります。例えば、ソフトバンクから発売されている人型のパーソナルロボットのPepperを利用することで、店舗などで接客したデータをロボットから収集することも可能です。来店した顧客からPepperがアンケートをとることで、全国全店で顧客の興味がリアルタイムで分析できたり、来店されている顧客の性別や年代などの属性、笑顔かどうかといった表情までも取得・蓄積して分析データとして活用できたりします。

IoTとしてすべてのモノがインターネット接続されることで、ウェブだけでなくアナログなモノや人の行動もデータ収集・蓄積して分析することができるようになり、現在のマーケティングよりも多くの可能性が広がってきています。

メジャーメントプロトコルによる取得の例

このように機器と接続してデータを収集する場合に、従来のウェブビーコン型のアクセス解析ツールでは難しい場合があります。ウェブビーコン型のアクセス解析ツールはウェブブラウザ上でJavaScripを通してアクセスログを収集しています。しかし機器の多くはブラウザをもっていません。つまり、IoTでデータを取得するのは、そういったJavaScriptが使えないケースが大半ということです。例えば、リアル店舗のレジでの購入データをウェブ解析ツールで活用したいとしても、簡単にはデータを送信できません。

この取得に関する問題を解決する1つの方法がGoogleアナリティクスにおける「MeasurementProtocol(メジャーメントプロトコル)」です。JavaScriptを用いなくても、次のようなパラメーターを含めたHTTPリクエストを作ることで、ウェブブラウザを介さずにGoogleアナリティクスに直接データを送信できます。

http://www.google-analytics.com/collect?v=1&amp;tid=UA-******-**&amp;cid=201707021.0
73000001&amp;t=event&amp;ec=qr&amp;ea=scan&amp;el=mag201115
・v(プロトコルバージョン):現在の最新バージョン1
・tid(トラッキングID):GoogleアナリティクスのトラッキングID
・cid(クライアントID):ユーザーエクスプローラーのクライアントID
・t(ヒットタイプ):event、pageview、screenview、transaction、itemなど
・ec(イベントカテゴリ):qrなど
・ea(イベントアクション):scanなど
・el(イベントラベル):雑誌の配送日など

メジャーメントプロトコルを使って、必要な値をHTTPリクエストとして送信することで、Googleアナリティクスの解析サーバーにデータを送信できます。この方法を用いれば、JavaScriptが動かない環境でも、希望しているデータをGoogleアナリティクスに送信できます。それによって、例えば、次のようなことが可能になります。

  • POS端末の行動をウェブページの閲覧としてデータを送付する
  • 店舗の商品売上をイーコマースのコンバージョンとしてデータを送付する
  • チラシの閲覧をメジャーメントプロトコルの設定をしたQRコードでイベントとして送る
  • CRMのユニークユーザーごとのデータのCIDをキーにして、Googleアナリティクスと紐づける

この「MeasurementProtocol(メジャーメントプロトコル)」は、サーバー側から直接送ることができるためIoTに限らず通常のブラウザサービスでも売上データの様に欠損の可能性を下げるために行うことがあります。

【事例】IOTによる事業のデジタルシフトの例

「ウェブという言葉はなくなる」

どきっとした方がいるかもしれませんが、すでにこれは今起こっている未来です。もちろんウェブという技術がなくなるとか廃れるというわけではなく、それだけ我々の日常に溶け込みつつあるということです。

PCからスマホへと利用者のアクセス主導権が変わり、そして今では我々の日常空間でもウェブの技術が使われるようになりました。

某大手製造会社で行われた新規サービス開発

この会社は長年電子部品技術を製造してきましたが、完成品メーカーへの供給だけだと今後デジタルにシフト(既存ビジネスをデジタル化が進む社会において、企業がビジネスモデルやマーケティング、教育、製造、物流、財務活動などにおいてデジタル対応すること)する社会では厳しくなると考えて、新規事業を模索していました。

そういった背景で取り組んだのが、自社が持っていたセンサーと解析技術で、従来取れなかったデータを捕捉してユーザーに価値を提供するサービスです。

いくつかアイデアを試した結果、採用したのはデジタルサイネージ(電子看板)を使った広告効果測定の仕組みです。

インターネット広告の市場が拡大していますが、我々はいまだ現実世界での体験に影響を受けています。今までは、ポスターなど紙での広告はなかなか効果が測りにくかったのが現実です。

そこでこの会社は、デジタルサイネージにセンサーを内蔵させることで、道行く人の目線をAIで解析することで、定量的に何名の人にこの看板で表示された情報が認知されているのかを計測する仕組みを開発し実証実験を行いました(本実験は国内でなく海外で実施)。

その計測結果を、依頼元である広告代理店そして広告主にフィードバックすることで、デジタルサイネージでの効果測定をより精緻にすることができました。まさに、今まで消費者のPC・スマートデバイスの画面で行っていたクリック広告を現実世界で行ったケースです。

次の構想

このモデルが収益性含めて事業として展開が見込めると、次の構想があります。

今回はあくまで既製品/サービスの広告用途でデジタルサイネージを活用しました。ところが、特に消費者向け製品にみられることですが、現代のように製品のライフサイクルが早いと、たとえ市場調査を行っても製品によってはニーズの流動性が大きく、流通に乗るころには嗜好性が変わっているというリスクも抱えています。

そこで、AI技術をより改良して道行く人の目線だけでなく表情まで解析することで、市場に投入する前にデジタルサイネージで試作品の映像を流し、企画時に描いていた消費者の反応を検証する、という仕組みを検討しています。

この仕組みを通じて、企業はビジネスプロセスのうち、企画・開発の段階からデジタルで消費者とつながって仮説検証を繰り返すことができるため、より消費者に寄り添った製品/サービスを提供できる確度が高まるというわけです。

現在、道行く人の表情をどう捕捉しパターン化するか、など技術的な課題や法的な問題も山積していますが、少なくともこういったことが今のデジタルテクノロジーの進化では決して夢物語ではありません。

このように、今までPCやスマートデバイスを中心にネットでデジタルデータにアクセスできる世界でしたが、今ではセンサーやAI技術を駆使すれば、日常生活のどこでもウェブにつながりそして人間に近い認識処理をさせることができます。

それによって、このケースでいえばモノづくりの会社が直接エンドユーザーへ付加価値のあるデータを提供する、といったように新しい事業/サービスが実現できます。

ぜひ読者の皆様も、PC・スマートデバイスでのアクセスデータ解析だけでなく、広い意味での「ウェブ」を通じた新しい価値の創出を検討してください。

4-8-2. ソリューションとの連携

ヒートマップの設置

ヒートマップはウェブページの訪問者全員のマウスのスクロールやクリックの動きを統合し、クリックされた箇所や注目された箇所を視覚的に表現したものです。トラッキングコード(タグ)を設置することで実施できます。Ptengine <https://www.ptengine.jp/>やSiTest <https://sitest.jp/>など、多くのヒートマップツールはタグマネジメントツールにも対応しています。例えば、Ptengineの場合、トラッキングコードを発行して貼り付けます。

このタグをタグマネジメントツールで設置することができます。例えばGoogleタグマネージャーに設置します。

「Custom HTML」にトラッキングコードを入れ、「Trigger」を全ページに設定すると全ページでヒートマップが測定できます。

ヒートマップのパラメーターによる振り分け

ヒートマップツールでも、パラメーターごとのデータを振り分ける設定を行うことができます。同一のページであっても経由するユーザーによって興味を持つコンテンツやモチベーションの高さに違いが出てきます。これらの情報をもとに、広告で誘導すべきユーザーと優先すべき広告の選定を行うことも可能です。

サーチデータの連携

「Google Search Console」(以降、サーチコンソール)は、Googleが無料で提供するサイト管理ツールです。以前は「ウェブマスターツール」と呼ばれていました。このツールでは、サイト訪問ユーザーが、どんなワードで訪問しているのか、サイトの検索順位に変化が出ていないか、影響を与えているものがないかを確認できます。Googleアナリティクスと並んで、サイト運用に欠かせないツールであり、サーチコンソールはGoogleアナリティクスとの連携が可能です。

Googleアナリティクスとサーチコンソールの連携方法
1. Googleアナリティクスで「検索クエリ」を選択

Googleアナリティクス管理画面において[レポート]→[集客]→[Search Console]と進み、[検索クエリ]を選択します。画面内に「このレポートを使用するには Search Consoleの統合を有効にする必要があります。」という画面が表示された場合は、Search Consoleとの連携設定がまだ行われておりません。まずは「Search Consoleのデータ共有を設定」を選択します。

2.Search Consoleを調整」を選択

「Search Consoleのデータ共有を設定」を選択後は、プロパティ画面に切り替わります。ページ下部にある「Search Consoleを調整」を選択します。

3. 「編集」をクリック

「Search Consoleの設定」という画面になるので、「編集」をクリックします。

4. 連携するサイトを選択

ページがサーチコンソールのサイトに切り替わります。サーチコンソールに登録されているサイトの一覧表が表示されるので、連携したいサイトを選択して「保存」を押します。「関連付けの追加」というポップアップが表示されるので、「OK」を押すと連携が完了します。

5. Googleアナリティクスで「検索クエリ」を選択

Googleアナリティクス管理画面において[レポート]→[集客]→[Search Console]と進み、[検索クエリ]を選択します。ユーザーがどのようなキーワードで検索して、あなたのサイトを訪れているのかがわかるようになります。連携後はデータが溜まっていないため、データが溜まるまでは数日間が必要になります。

なお、Adobe Analyticsでは、Adobe Advertising Cloudと連携やAdvertising Analytics for Paid Search機能の連携により、Google広告やBingのデータをAdobe Analyticsに取り込んで分析することが可能です。

短縮URLサービスの応用

パラメーターなどを利用すると、URLが長すぎて、メールなどでリンクが正しく設置できない場合があります。こういった場合、短縮URLサービスを使うと短いURLとして表現できます。

例えば、bit.lyは短縮URLサービスですが、短縮するURLも自分で変更できます。さらに、アカウントを持っておくと、短縮URLのクリック数や地域などを測定できます。この方法で、オウンドメディア以外のコンテンツ、PDFや外部サイトへのリンクのクリック数なども測定できます。

4-8-3. カスタム変数の設計

アクセス解析ツールが標準で取得できるデータは、ページビューを基軸とした汎用的なデータでもあるため、サイトによらず統一されたデータを取得できるというメリットがあります。ただし、自社やクライアントの業種、業態によっては、そうした汎用的なデータでは決め手にはなりにくいという場合もあります。そういった場合には、カスタム変数を利用することで、より自分たちのビジネスに適合したセグメント(区分・分類)でユーザーの詳細像を把握できるようになります。「カスタム変数」とは、特定のユーザー、特定の訪問、特定のページ閲覧があったときにCookieに関連付けてラベルを設定することができる機能です。従来のウェブ解析では、「新規セッション」「リピートセッション」のようなCookieベースでの分類しかできませんでしたが、カスタム変数を使うことで、「購入済みユーザー」「ログインユーザー」「XXさんが書いた記事」のように、特定のページや値をウェブサイトで表示させた状況をキーに分類できます。カスタム変数には大きく分けて、次の3種類があります。

セッション単位

セッション中にログインをしたかどうかで、「ログインセッション/非ログインセッション」を分類するのに用います。セッション単位での計測なので、セッションが完了すると設定はリセットされます。例えば、同じユーザーが昨日のセッションではログインしたにもかかわらず、今日のセッションログインをしなかった場合は、それぞれに1ずつカウントされます。昨日のセッションではログインをしていても、セッションが終われば、設定を次回のセッションに持ち越すことはありません。

ユーザー単位

ユーザー単位の場合は、Cookieがユーザーのウェブブラウザに保持されている限りは効力が続きます(なお、近年Cookie制限などの取り組みが行われているため分析前にどの程度保持されているかを確認しましょう)。過去に購入したユーザーや問い合わせをしたことがあるユーザー、会員ユーザーか非会員ユーザーなどが具体的な事例として挙げられます。セッション単位は1つひとつのセッションの質も瞬間的に見ていくのに対して、ユーザー単位では過去から現在までのフローの中で、ユーザーがどのような行動を起こし、変化していくのかを見ていきます。

ページ単位

ページ単位は、ウェブサイトの各ページを分類し、それぞれのカテゴリとしてまとめてデータを取りたいときに利用します。例えば、あるニュースサイトで、たくさんの外部ライターが記事を投稿する仕組みになっている場合、どのライターの記事が最もページビュー数が多いのかを判別するといったことが事例として挙げられます。また、同じニュースでも政治やエンタメなど、どのようなジャンルがよく見られているのかを把握するのにも有効です。

ディメンションと、設定した数字をカウントできるカスタム指標(メトリクス)が設定できます。自分で設定したディメンションと指標を作り、測定できるということです。

Adobe Analyticsでは、コンバージョン変数の「eVer」とトランザクション変数の「Prop」があります。そのほかに、さまざまなカスタム変数が準備されていて、高度なカスタム変数が設定できます。Matomoでも、カスタム変数、カスタムディメンションを設定する機能があります。

基本的な設計は同じで、アクセス解析ツールの管理画面上で変数を設定し、その変数に値を送るトラッキングコードをJavaScriptで記述します。特にプログラムが出力する動的な表示との連携の際に効果を発揮します。例えば、会員としてログインしたユーザーの挙動を知りたい場合、ログインに成功したユーザーが見る最初の画面で出力する「ログイン済」といった表示をカスタム変数に格納するというような方法です。タグマネジメントツールを使うと、直接ウェブサイトにJavaScriptで記述しなくても、管理画面上で多くの変数が設定できます。

Googleアナリティクスでのカスタム変数の設計

例えば、Googleアナリティクスでユーザーの会員種別についてカスタムディメンションを作りたいとき、Googleアナリティクスでカスタムディメンションを設定、発行したトラッキングコードを該当するページに貼り付けます。

タグマネジメントツールを使う場合は、インターフェイス上で変数を設定するだけで同じ機能を実現できます。

変数を定義し、その変数をどのページで参照するかを指定することで、トラッキングコードを直接ページに書き込まなくても会員種別のカスタムディメンションを収集できます。なお、設定したカスタムディメンションやカスタムメトリクスは、通常のGoogleアナリティクスの解析画面では表示されません。セカンダリディメンションやカスタムレポートで指定すると表示できます。

ここでは、ウェブ解析士協会公式サイトのGoogleアナリティクスで実際に計測されているカスタムディメンションの例を紹介します。

会員資格(ユーザー単位)

ユーザーを「未認定」「初級」「上級」「マスター」の4種類に区分して計測しています。未認定はウェブ解析士講座・試験に申し込んだものの、ウェブ解析士としてまだ合格していない状態を指します。初級は現在のウェブ解析士が、旧名称で初級ウェブ解析士だったため、その名残として継続して名称を利用しています。

申込時性別(ユーザー単位)

先述したように、Googleアナリティクスでも類推された性別のデータを見ることは可能ですが、このカスタムディメンションでは、講座や試験を申し込む際に実際にユーザーが選択した性別をそのまま保存するため、入力ミスを除けばほぼ100%正確なデータが取得できます。

カスタムディメンションの連携

カスタムディメンションでは、特定のユーザー定義情報を把握して分析することに活用できます。イーコマースサイトでは、ログインと非ログインユーザーの振り分け、BtoBサイトではアクセスする企業の把握などがあります。カスタムディメンションでは、設定をする項目が4つあります。

Index:インデックス番号

値を代入する番号を指定する。Googleアナリティクスの無料版では20個まで選択可能

name:インデックス名

インデックスする値の名称を指定する

Value:インデックスの内容

代入する値を指定する

Scope:オプションスコープレベル(1:ユーザー、2:セッション、3:ページ)

例えば、次のコードをトラッキングコードに追加することで、カスタムディメンションに記録されるようになります。

ga('set', 'dimension3', ‘abc’);

これは、「dimension3」に「abc」の値を入れるという意味です。Googleアナリティクスの管理画面で設定しなければ取得できない点に注意してください。タグマネージャーを使っても設定できます。

このように独自に収集するデータを決め、そのデータを含むページで付与することで、取得したデータがGoogleアナリティクスと連携されて分析が可能になります。例えば、会員IDパスワードを確認する画面で「会員」のようなカスタムディメンションを付与すれば、会員・非会員も把握できます。

カスタムディメンションを利用したサービスとの連携

「どこどこJP」 <https://www.docodoco.jp/>のようなIPアドレスの情報を提供している企業のデータと連携を行うと、サイトにアクセスしているユーザーのIPアドレスの情報から、どこの企業経由かなどの情報を把握できるようになります。ユーザー像をより明確にするサービスとして非常に有用なものです。

連携のイメージ

Googleアナリティクスとの連携には、JavaScriptにおいてAPIのリクエスト処理が必要になります。ページの読み込み時に分析対象ページに導入したJavaScriptがAPIにリクエストを送り、JSONからデータが返されます。データの中から、使いたい項目をカスタムディメンションにセットしてGoogleアナリティクスと連携させます。

図:アクセスログをGoogleアナリティクスに送る際に、どこどこJPのデータを付与する

図:アクセスログをGoogleアナリティクスに送る際に、どこどこJPのデータを付与する

カスタム変数を使った「どこどこJP」の導入事例

ウェブ解析士協会にも導入している、どこどこJPの導入例を紹介します。

1. 「どこどこJP」のAPIキー取得

利用登録とサイト連携用APIキーを発行

2. トラッキングコードの取得

[Googleアナリティクスの管理]→[プロパティ]→[トラッキング情報]→[トラッキングコード]より、計測するために登録したプロパティのトラッキングコード情報を取得

3. カスタムディメンション設定

[Googleアナリティクスの管理]→[プロパティ設定]→[カスタム定義]→[カスタムディメンション]より、実際に取得するカスタム変数の登録先番号と名称を設定しておく

図:カスタムディメンション設定

図:カスタムディメンション設定
4. トラッキングコードの設置

Googleアナリティクスの計測が行われているページで、トラッキングコードの設定を追加

トラッキングコードの例

<!--docodocojp-->
<script type="text/javascript" src="//api.docodoco.jp/v5/docodoco?key=2eHb4K9sJPCYyzmO27dX2k5aDNAFQbXza4CRGdhon0qdKmnPx3eSNbdD9mUJqz43" charset="utf-8"></script>
<script type="text/javascript" src="//api.docodoco.jp/docodoco_ua_plugin_2.js" charset="utf-8"></script>
<!--dataLayer-->
<script>
dataLayer.push({
'OrgNameJP' : SURFPOINT.getOrgName(), //組織名日本語(OrganizationName)
'OrgNameEN' : SURFPOINT.getOrgEnglishName(), //組織名英語(OrganizationNameEn)
'IndsCatL' : getIndL(SURFPOINT.getOrgIndustrialCategoryL()), //業種大分類(IndsutrialCategoryL)
'PrefName' : SURFPOINT.getPrefJName(), //都道府県名(PrefName)
'CapCode' : getCap(SURFPOINT.getOrgCapitalCode()), //資本金(CapitalCode)
'GroCode' : getGross(SURFPOINT.getOrgGrossCode()), //売上高(GrossCode)
'OrgURL' : SURFPOINT.getOrgUrl(), //組織URL(OrganizationURL)
'event' :'docodocoAll' //イベントトリガー(EventTriger)
});
</script>
5. データが計測され、Googleアナリティクスに反映される

組織ごとのアクセス、お申し込みの数が把握できるようになり、今後の戦略に役立てられるようになる

図:組織データのカスタムレポートの例

図:組織データのカスタムレポートの例

Adobe Analyticsも、どこどこJPやランドスケイプとの連携により、アクセスされている会社のデータを同様に把握することが可能です。

4-8-4. カスタムデータのインポート

アクセス解析ツールの中には、ウェブサイトから取得したデータだけではなく、自社で保有しているデータをアップロードすることで、データを連結させることが可能なものもあります。「カスタムデータ」とは、このようなアクセス解析では取得できないデータを指し、このデータをインポートし、アクセス解析のデータに関連付けることができる機能です。例えば、記事ページごとの執筆名をURLをキーに関連付けることで、執筆者ごとの閲覧ページ数や離脱率がわかります。また、広告キャンペーンのインプレッションや費用を、キャンペーン名をキーに関連付ければ、キャンペーンごとのインプレッションセッション数、費用を確認できます。

カスタムデータのインポートは、Googleアナリティクス、Adobe Analytics、Matomoのどのツールも対応しています。

Googleアナリティクスでのデータのインポート方法

Googleアナリティクスには「データのインポート」機能があります。インポートしたデータは、カスタム ディメンションやカスタム指標に保存されます。次の種類のデータをアップロードできます。

ユーザーデータ

店舗来訪情報や顧客のライフタイム バリューなどユーザーの行動履歴に加えた、インポートしたメタデータを解析できます。

キャンペーンデータ

広告キャンペーンに関連するディメンション参照元など)をインポートして、既存のキャンペーン コードを拡張、再利用します。

地域データ

独自の地域を作成、ビジネスに合わせたレポートを作成できます。

コンテンツデータ

作成者、公開日、記事カテゴリなどのコンテンツのメタデータをインポートして、コンテンツの分類に使用します。

商品データ

サイズ、色、スタイルなどの商品メタデータをインポートすることで、マーケティングのヒントを得られます。

カスタムデータ

上記でサポートしていない、データセットのインポートをサポートします。

さらに、概要データのインポートを使用すると、アップロードした指標を集計できます。インポートした概要データは、収集されたすべてのデータの処理と集計が終了してから、選択したレポートビューに適用されます。

費用データ

サードパーティー(Google以外の)広告ネットワークのクリック数、費用、表示回数データを含むことで、広告費用の全体像を把握します。

データインポートは管理画面から行います。エクセルやCSV(カンマ区切りのテキストデータ)をアップロードします。

ウェブ解析士協会で試みたデータインポートの例

Google アナリティクスのデータインポートの機能を用いてリマーケティングリストを作成し、広告で会員更新の案内した例を紹介します。

まず、ウェブ解析士協会公式サイトでは、マルチデバイス解析で利用することを目的として、ログインをした会員ユーザーの会員番号(WACから始まる8桁の番号)を取得しています。実際に、会員番号はカスタムディメンションのインデックス1に格納されています。あとはインポートするデータを格納するためのカスタムディメンションを作成してきます。

次に、ウェブ解析士協会のデータの準備をします。協会は各会員データをシステムで管理しており、会員データには会員番号や年会費の決済ステータス(入金済み or 未入金)も含まれています。この会員番号と決済ステータスの2つのデータをCSV形式で出力しておきます。

会員番号は、Googleアナリティクスとウェブ解析士協会の双方のデータに存在します。この共通のデータである会員番号をキーとして、異なるデータ同士を連結させます。

Googleアナリティクスのデータ
表:ウェブ解析士協会の会員データ

カスタムディメンション

会員番号

年会費

インデックス

1

17

データ

WAC00000001

初期では

データなし

WAC00000002

WAC00000003

WAC99999999

表:会員番号をキーに外部データを紐付ける

項目名

会員番号

年会費

データ

WAC00000001

入金済み

WAC00000002

未入金

WAC00000003

未入金

WAC99999999

入金済み

こうしてGoogleアナリティクスにインポートされたデータをもとに、今度はリマーケティングリストを作成します。Googleアナリティクス内のユーザー定義で、先ほどインポートした年会費(決済ステータス)の中で、未入金となっているデータで条件を絞り込みます。GoogleアナリティクスとGoogle広告が連結済みであれば、Google広告の画面上からも今回作成したリマーケティングリストが反映されていることが確認できます。

この事例は、データインポートが少し難しく感じるかもしれませんが、実際はいたってシンプルです。Googleアナリティクスでは、Googleが予測したユーザーの性別や年齢層などのデータは取得できますが、実際には100%正確ではありません。このように会員データの会員IDや性別・年齢のデータがあれば、会員IDをキーとして、より正確な分析が可能になります。例えば、お問い合わせ時にお問い合わせIDを取得しておき、その後、実際に成約につながった企業と紐付けて、成約した人がウェブ上でどういう行動を取っていたかをあとから分析することも可能です。

なお、データ・タイプによって、インポートできるデータは異なります。データ・タイプを選び、キーとなるデータを設定することでデータをアップロードできます。

データインポートも含めて、Googleアナリティクスでは個人情報をアップロードすることを禁止しています。メールアドレス、クレジットカード情報などの個人情報はアップロードしないようにしてください。

そういったことに注意しながら、まずはシンプルで量の少ないデータからチャレンジしてみるとよいでしょう。

4-8-5. 外部データ連携による解析

複数のチャネルで取得した外部データ(アクセスログ・アンケート結果・広告配信結果・ポイントカードの購買履歴など)を連携するために利用されるソリューションが「DMP(Data Management Platform)」です。DMPでは、さまざまなデータを収集し、結合することでマーケティングに活用します。

当初はウェブ広告の成果向上を目的にDMPで取得したデータが活用されましたが、最近では、広告活用に限らず、外部データとウェブ解析ツールを連携させたウェブサイト解析も行われています。

外部データを用いた解析の必要性

例えば、アクセス解析だけでは、顧客の暮らしや興味関心は把握できません。このような状況を解決するために、ウェブサイト外で収集された外部データを連携して、顧客の隠れたインサイトを分析することが必要となります。

Googleアナリティクスを活用する場合には、Googleが保有している広告配信システムである「Google Marketing Platform」のCookie情報や、モバイルアプリで収集したデータ(年齢・性別・インタレストカテゴリなど)と連携させることで、通常の解析軸とは異なる分析ができます。イーコマースサイトであれば、コンバージョンデータとクロス集計することにより、商品ごとに、どんな年齢・性別の人に関心を持たれているのか、どんな興味・関心がある人がサイトに訪問しているのかを明らかにできます。

Googleが保有しているデータを活用する方法以外には、DMPで収集されたデータを活用した解析手法があります。例えば、株式会社インティメート・マージャー <https://corp.intimatemerger.com/>が提供しているパブリックDMP(企業ウェブサイト外で収集されたデータを蓄積・整理し活用できるようにしたDMP)内には、インターネットリサーチを活用して収集されたアンケートデータ(年収・家族構成・婚姻状況・職業)などのパーソナル情報も蓄積されています。

このようなデータの活用例として、眼精疲労と、腰痛を緩和する2つの商品を紹介しているブランドサイトを紹介します。商品ターゲットは、ともに若い女性とします。DMPを活用した解析を行うと、眼精疲労のページを見ている人は、IT・ウェブ開発系に興味がある男性が多く、腰痛商品のページを閲覧している人は、介護や医療に関心がある女性が多いという分析結果になります。この分析結果から、眼精疲労の商品は、企業の想定ターゲットとは異なる人から関心を持たれていることがわかります。

このように、DMPを活用することで、アクセス解析では発見できない付加情報を発見できます。DMPとアクセス解析を用いることで、勘・経験で推進してきたマーケティング活動が、実証データに基づいた形で検証できるようになります。

外部データを用いる場合の注意点

DMPを用いたアクセス解析には、外部データで収集される量・質・出所など、活用する上での課題もあります。前提として、アクセス解析で取得しているデータすべてが外部データで取得した情報と連携できるとは限りません。アクセス解析と外部データの取得は別々の会社が異なる方法で取得しているため、データのマッチングが必要です。アクセス解析データとアンケート結果を照合する場合には、最低限、オウンドメディアへの訪問とアンケートに答える必要があります。

一般に、Googleアナリティクスで取得できるCookieのうちの数%が外部データとマッチして、解析に利用できます。そのため、活用しようとしている外部データ量が少ない場合や自社ウェブサイトの規模が小さい場合には、データのマッチング量が乏しく、正しい示唆を得ることが難しいこともあります。アクセス解析との連携を検討する場合には、どの程度のマッチング量があれば、自社マーケティングの意思判断ができるのかを事前に検討しておく必要があります。

また、外部データを活用する重要な注意点として、個人情報が消された状態で提供されているデータの場合でも、解析する方法によっては個人を特定することにもつながります。そのため、データ活用の方法を間違えると、顧客とのトラブルに発展する場合もあります。データ活用に関する社内ポリシー・法的な制限を遵守した上での活用が求められます。

4-8-6. マーケティングオートメーションとSFAの連携

昨今、営業担当者がリード(見込み客)に会うこと自体が昔に比べると非常に難しくなっています。顧客は効率的な購買を行うために、時間を割いて営業担当者に会うよりも、インターネット上のコンテンツで情報収集することを好むようになってきていることも一因です。

マーケティングオートメーションとは

マーケティングオートメーション(MA)とは、ウェブサイト訪問者の行動に応じたマーケティング施策を実施するためのプラットフォームです。ウェブサイトへの訪問、メール・広告などへの反応、動画視聴などの行動をトラッキングする機能を備えています。これに加えて、メールやウェブプッシュの配信、フォームや動的コンテンツの配信といったマーケティング活動のための機能、レポーティングやスコアリングなど、施策の実行と計測に必要な機能を有しています。

MAを使うメリットは、ルールやシナリオに沿った各種マーケティング活動の自動化・省力化によって、ユーザー個別に最適化されたデジタルコミュニケーション施策を実現できるという点にあります。例えば、ウェブフォームから資料請求したユーザーに対して、翌日個別にフォローメールを送り、営業のアポイントを取るという施策を考えてみましょう。一週間に数通ということならマーケティング担当者1人でも対処できますが、100件、200件とこなすのは大変です。MAであれば、フォームに入力したメールアドレスに対して翌日指定のメールを配信するというルールを設定すれば、あとは一連の流れを自動的に繰り返します。さらに、ウェブサイトの訪問やメールの開封といったユーザー行動をルールに組み込むことも可能です。例えば、ウェブサイトの料金ページに3回以上訪問したユーザーだけに割引オファーのメールを送り、開封したがコンバージョンしなかったユーザーだけにもう一度メールを配信するといった複雑なシナリオを実行することが可能です。こういった情報は、理論上はアクセス解析によって取得できますが、都度対応することは現実的ではありません。

このように、マーケティングオートメーション(MA)は、「顧客開拓を仕組み化すること」です。

では具体的に、「顧客開拓の仕組み化」とはどのようなものでしょうか。最終的な成約顧客(カスタマー)を計画的に作り出すこと。すなわち、カスタマーになりうる見込み客の母集団(リード)を作り、その母集団から計画的に「カスタマー」を作り出すことです。

先述したように、顧客はわざわざ営業担当者に会うことなく、購買プロセスのほとんどを済ませることが増えてきました。営業担当者に会うときには、すでに購買を決めているか、購買候補をせいぜい2〜3に絞っています。つまり、「非対面」で「顧客開拓を仕組み化する」ということがMAの本質ともいえます。

MAツール機能

MAツールには、大まかに次のような機能があります。

表:MAツールの機能

機能名

概要

リード管理

リードのデータベース

リードジェネレーション

リードを⼤量に獲得する機能

リードナーチャリング

リードとコミュニケーションし、成約確度を把握するとともに、向上させるための機能

リードクオリフィケーション

成約確度の⾼そうなリードを絞って抽出する機能

1つひとつの機能は、次のマーケティングファネルに照らしあわせれば理解できるでしょう。

図:ファネル

図:ファネル

つまり、「リードジェネレーション」で将来のカスタマーになりうるリードを大量に創出し、それに対して「リードナーチャリング」で定期的にリードとコミュニケーションして購買意欲を高め、しかるべきタイミングで「リードクオリフィケーション」で購買意欲の高いリードを選び出し、セールス活動につなげるという一連の作業を「非対面」で行うということです。これがMAの全体像であり、MAツールが備えているいる機能です。なお、「リード管理」は、これらの3つの活動を支える、単純にいえばリードの管理データベースです。

「カスタマーの母集団であるリードの量を増やしたい」のか、すでにある「リードを成約に近づけたい」のかなどで選ぶべきツールは変わってくるので、「MAで何がやりたいのか」という目的を考えながらツールを選ぶとよいでしょう。

SFAとは

SFA(Sales force Automation)とは、企業内の商談活動を記録・可視化するためのプラットフォームです。商談数や商談の状況、電話や訪問など営業担当者の活動履歴、キャンペーン予算と収益などの情報を集約し、モニタリングや予測などに使用します。多くの場合、取引先企業や担当者の連絡先、納品情報といった顧客情報を管理する機能(CRM)も備えます。

リードナーチャリングサイトの計測の一環として「成約率」や「受注率」などの営業活動のKPIを正確に計測したい場合、SFAが大きな武器になります。例えば、展示会で獲得した名刺と、インターネット広告でコンバージョンしたユーザーのどちらが獲得効率がよいのか検証したいとします。この場合、商談の開始やユーザー情報の獲得につながったキャンペーン名を記録しておけば、商談数・成約数・受注金額などをキャンペーン単位で集計し、中長期的にROIROASを算出できます。

MAとSFAの連携

MAとSFAは、それぞれ単体でも利用可能なプラットフォームです。しかし、2つを組み合わせて使用することによって、施策の幅が大きく広がります。MA・SFAの両方の機能を備えるツールも存在します。

MAとSFAを連携することで、ウェブ上での行動や営業活動などの動的な情報と、見込み顧客に関する静的な情報をシームレスにつなぎあわせることができます。MAでトラッキングしている情報に顧客情報を掛け合わせれば、新規顧客と既存顧客で異なるシナリオを進行させることが可能です。また、商談相手がウェブ上で特定の行動をとった場合、営業担当者にアラートを出すといったMAのルールを設定すれば、営業活動のさらなる個別化や効率化が見込めます。

MAとSFAを連携させる場合、それぞれのツールにおける「顧客」の定義や管理方法が異なることに注意しましょう。SFAでは、名刺や資料請求などで獲得した「会社名と名前」単位で顧客を管理することが一般的です。一方、MAはCookieで顧客を判別し、トラッキングしています。「SFAに登録されたAさん」と「MAでトラッキングしているAさん」をどのように紐付けるかが重要です。例えば、メール配信機能があるMAの場合、「Aさん宛に送ったメールから訪問したCookieの持ち主をAさんと定義する」という考え方ができます。しかし、AさんがPCのCookieを削除したのち再度ウェブサイトに訪問しても、MAはCookieの異なるAさんをAさんと認識することはできません。

また、MAとSFAの連携においては、単なるツールの連携ではなく、マーケティング活動と営業活動の緊密な理解と連携が不可欠です。お互いがそれぞれのツールでどのような活動を行っているかを把握しないまま、個別に施策を実施すると、受け手側がちぐはぐさや違和感を受ける事態に陥りかねません。例えば、営業担当者がクレーム対応の真っ最中の顧客にパーソナライズされたフランクなメールを送ってしまう、あるいは、MAで送られたメールのオファー内容を知らないまま、営業担当者が交渉の席に座るといった事態が起これば、目も当てられない結末が待っているかもしれません。

ウェブ解析士という立場からMA・SFA双方を活用するというシーンでは、ウェブとリアルのデータをつなぐだけではなく、部署と部署をつなぐファシリテーション能力も求められます。

4-9 コンバージョンの設計

ここでは、MELSAモデルごとのコンバージョンの設計を紹介します。

4-9-1. メディアモデルのコンバージョンの設計

メディアモデルは、ページビュー数を増やすことが重要で、目的を細分化すると、次のようになります。

  • 広告収益を拡大する
  • 認知度を高める・露出を広げる
  • エンゲージメントを高める・理解を深める

目的の前に、ページビュー数コンバージョンとして測定する設計を紹介します。

ページビュー数コンバージョンとして測定する設計

過去の数字と比べて、ページビュー数の増減で評価を行うこともできます。また、ページビュー数が一定以上あるセッションコンバージョンとすることもできます。Googleアナリティクスでは、コンバージョンの種類として、ページ/セッションを設定できます。

図:セッションあたりのページ/スクリーンビュー図:を設定する

図:セッションあたりのページ/スクリーンビュー図:を設定する

モバイルアプリの場合

モバイルアプリではスクリーンビューがページビューと同じ概念になる

広告収益の拡大を目的とする

広告の収益を上げるためには、露出を広げることと、ユーザーの広告への関心を高めることが重要です。

メールやブログの購読数、解約率

メールマガジン、メールニュースやブログの購読数、解約率を測定します。メール配信システムでは管理画面で収集できます。

掲載している広告の効果測定

広告掲載の管理システムから確認できます。ここでは、広告掲載の例として、Google AdSenseを紹介します。

「Google AdSense」とは

Google が提供しているクリック報酬型広告のこと。サイトのユーザーが広告をクリックするだけで、報酬が発生する

認知度を高める・露出を広げる

商品やサービスのブランディング・認知度を高めることには、下記3つから確認します。

  • キーワード検索順位
  • 外部リンク数
  • SNS経由流入数
キーワードの検索順位をGoogle Search Consoleで確認する

図:Google Search Console:キーワードの検索順位

図:Google Search Console:キーワードの検索順位

外部リンク数はアクセス解析でも一部は確認できますが、トラフィックがないリンクはわからないため、同様にGoogle Search Consoleで調べます。

図:Google Search Console:外部リンク数

図:Google Search Console:外部リンク数

SNSからのリンク数は、アクセス解析でソーシャルメディア経由の訪問として測定できます。

商品やサービスの固有名詞での検索エンジン上のクエリ数を確認する

Google Search Consoleでは、検索クエリのインプレッションとして検索回数(クエリ数)が確認できます。フィルタを使って商品名で絞り込みます。

図:Google Search Console:検索クエリを商品別でフィルタ

図:Google Search Console:検索クエリを商品別でフィルタ
SNSやブログでのユーザーの言及数、発言内容(ポジティブ・ネガティブなど)

ソーシャルリスニングツールを使うこともできますが、TwitterやInstagram、Facebookでは、ハッシュタグによる検索で言及数や発言内容を確認できるので、それによってユーザーの声を拾い上げます。

エンゲージメントを高める・理解を深める

プロダクトやサービスの理解を深めるには、下記3つから確認します。

PDFやホワイトペーパーのダウンロード率

ホワイトペーパーは、リードジェネレーションサイトと同様に、ホワイトペーパーダウンロードのサンクスページをコンバージョンとして設定します。PDFファイルのダウンロード測定は、タグマネジメントツールを使用すると便利です。GoogleアナリティクスとGoogleタグマネージャーの場合、「.pdf」を含むリンクのクリックをイベントとして取得できます。

図:PDFダウンロードのイベント数

図:PDFダウンロードのイベント数

[図:PDFダウンロードのイベント数]は、先述の設定で収集したPDFファイルのダウンロードのイベント数です。コラムのPDFファイル(/column/20276/)のダウンロード数は上昇していますが、ロゴのPDFファイル(/association/ logo_dl/)のダウンロード数は減少していることがわかります。

動画再生時間、完全再生率

動画の再生時間を測定するには、複数の方法があります。アクセス解析にデータを送る方法もあります(後述)が、ここではYouTube アナリティクスを使った方法を紹介します。YouTubeでマイチャンネルを作成し、動画をアップロードすると、YouTubeアナリティクスを利用できるようになります。動画ごとの視聴時間や閲覧数などとともに、閲覧した割合を確認できます。

図:YouTubeアナリティクス

図:YouTubeアナリティクス

例えば、「2018wac01ver180407」は、ほかの動画に比べて平均視聴率(Average percentage viewed)が低いことがわかります。

リピート率、訪問頻度、訪問回数、ページ/セッションセッション/ユーザー

ユーザーの行動の変化からプロダクト・製品への理解の深度を測定します。Googleアナリティクスでは、リピーター率、ページ/セッションを測定できます。なお、セッション/ユーザーは「Audience Overview」でも測定できます。

図:Googleアナリティクスの「Audience Overview」

図:Googleアナリティクスの「Audience Overview」

[図:Googleアナリティクスの「Audience Overview」]は、半年間のユーザーの情報を前年同月比で比較したものです。全体のPages/Sessionは11.46%増えてリピーター率は変化がないことがわかります。訪問頻度・訪問回数は、「Frequency &amp; Recency」で確認できます([図:Googleアナリティクスの「Frequency &amp; Recency」])。

図:Googleアナリティクスの「Frequency & Recency」

図:Googleアナリティクスの「Frequency &amp; Recency」

その他のメディアサイトモデルのコンバージョンの設計

ほかにも、動画の再生をコンバージョンと定めたり、コンバージョン設定として記事の後半に「続きを読む」といったボタンを設置し、そのボタンのクリックによってユーザーが読み進めたかどうかを測ることでコンバージョンと定める方法があります。また、メディアの影響力を測ることを目的として、SNSへの拡散を誘発するボタンを設置し、そのクリックをコンバージョンとする方法も考えられます。会員制サイトの場合は、会員への新規登録完了をコンバージョンと定めることもできます。

4-9-2. イーコマースモデルコンバージョンの設計

イーコマースモデルでは商品を購入してもらうことが目的です。カートシステムなどを使っていれば、カートシステムのデータをもとにコンバージョンを取得するのが一般的です。しかし、売上に貢献しているページや広告を知るためにはアクセス解析でイーコマースのコンバージョンを取得する必要があります。購入回数を知るためなら、決済完了後のサンクスページにタグを貼ることで解析が可能です。しかし、商品毎の購入などに対しての金額や数量をといったコマースデータを確認するとより事実データに基づいた販売計画を立てることができます。このようなコマースデータをコンバージョンに加える手法としては、解析ツールに売上データなどを一括インポートする方法と、ウェブサイト上のサンクスページに売上データなどをウェブ解析ツールが指定する形式で表示して読み込ませる方法の2つあります。後者は、ネットショップで購買完了ページ(サンクスページ)に購買した商品名や金額、ユーザー属性などをトラッキングコードに加え、それを解析ツールで収集することで実現しています。Googleアナリティクスでは「eコマース」機能を利用します。

eコマース

eコマース機能を有効にするには、Googleアナリティクスのビューの設定から「eコマースの設定」を有効にし、サイトにはトラッキングコードを埋め込む必要があります。この機能を利用することで、イーコマースサイトの基本的な項目である「購入された商品」「数量」「収益」「配送料」などが把握できるようになります。

販売状況を集計するには非常に便利なeコマース機能ですが、データのカウント方法については注意が必要です。基本的には商品が購入されたタイミングでカウントされ、自動的にカウントが減ることはないため、購入者からのキャンセルなどが発生した場合、実際の販売数量とGoogleアナリティクス上の数値が合わないことがあります。実際の受注・販売データを照らし合わせながら確認することが必要です。Googleアナリティクスのeコマース機能では、次のようなデータを取り込むことが可能です。

eコマースで取り込めるデータ
  • トランザクションデータ
  • トランザクションID
  • アフィリエイション
  • 合計金額
  • 配送料
  • 税金
  • アイテムデータ
  • 個別の商品
  • 商品のカテゴリ
  • SKU
  • 単価
  • 数量

解析ツールによっては、サイトユーザーがどの程度コンバージョンに到達し、離脱したかを、漏斗(ファネル)のように上が広く(全ユーザー)、下が狭い(コンバージョン数)逆三角形の図で離脱した数を示してくれる機能があります。この機能を「マーケティングファネル」、もしくは単に「ファネル」といいます。あらかじめ流入や商品紹介ページ、申し込みフォームを指定しておくと測定が可能なので、併せて設定することをおすすめします。

また、「拡張eコマース設定」という機能もあり、さらに細かく計測することができます。

拡張eコマース設定

拡張eコマースは「商品詳細ページ到達」「カート投入」「購入完了ページ」といったコンバージョンになるまでのユーザーの行動を商品ごとに収集できます。したがって、商品コードや商品名、カテゴリ、ブランドや色などの項目が可変となるため、動的にHTMLを出力する必要があり、設定はかなり複雑になります。

図:Googleアナリティクスショッピング行動

図:Googleアナリティクスショッピング行動
レンタルカートなどの外部カートの場合の注意点

カート構築サービスはGoogleアナリティクスのeコマース機能に対応しているので、管理画面で設定するだけで計測用のタグの追加ができます。ショップとカートを別ドメインで運用している場合、別ドメインのショップとカート部分でセッションが切れてしまい、正しく計測できない場合があります。正しく計測するために、次の点を確認してください。

  • 参照元除外リスト」の設定が必要かどうか
  • クロスドメイントラッキング(トラッキングコードのカスタマイズ)の設定が必要かどうか

4-9-3. リードジェネレーションモデルのコンバージョンの設計

リードジェネレーションサイトの目的は、見込み顧客の獲得です。見込み顧客をウェブサイトで獲得した状態がコンバージョンを獲得したといえます。

リードジェネレーションサイトのコンバージョンの設定

一般に、リードジェネレーションサイトでは、問い合わせや見積もり依頼、資料請求などのフォームのサンクスページをコンバージョンとして設定します。しかし、リードジェネレーションサイトにおいては、ウェブサイト上のコンバージョンのみでは売上につながりません。コンバージョン後の商談数や受注率も併せて測定し、コンバージョン売上にどの程度貢献したかを測定する必要があります。これらの商談率や受注率のほかに、営業や接客担当の接客履歴も確認します。また、リードジェネレーションサイトでは、電話での問い合わせ(コールトラッキング)も増えます。

ウェブサイトを見たユーザーが電話をかけたかを把握する仕組み(電話番号をウェブサイトで分ける、電話を受けたときに何を見て電話したかを必ずアンケートするなど)を導入して、ウェブサイトのコンバージョンと併せて測定することも効果的です。

コールトラッキング

スマートフォンの急速な普及によりモバイル向けの広告が成長していく中、Google広告やYahoo!広告でも広告経由での電話コンバージョンを計測することができるようになりました。しかし、これらはモバイル端末で電話番号をタップすることを前提にしており、パソコンで広告を見たユーザーが電話で問い合わせするケースなどの電話コンバージョンは計測が難しいのが現状です。特にリードジェネレーションが目的のBtoB、弁護士事務所、リフォーム業、歯科クリニックなど、緊急度が高いビジネスや地域密着型ビジネスにおいては、電話コンバージョンがウェブサイトコンバージョンよりも多い場合があり、広告効果測定の重要指標の1つになります。

コールトラッキング方法は、広告側の電話番号表示オプションで広告システムで計上する方法やオウンドメディア上でイベントによる「電話ボタンのクリック数計測」、コールトラッキングシステム(電話の受発信に対して顧客の名前、住所、電話番号、過去の通話内容などの履歴情報を電話オペレーターの使用しているパソコンに表示させるシステム)などがあります。

4-9-4. サポートモデルのコンバージョンの設計

サポートサイトの目的は、次の3つです。

  • 潜在需要に対する情報提供
  • 顧客の問題解決
  • サポートコストを削減する

それぞれのコンバージョンの設計を説明します。

潜在需要に対する情報提供

サポートページ経由して製品情報を見るページビュー数もしくはユニークページビュー数の増減を指標とします。

サポートページを経由して製品情報ページ(またはその逆)を閲覧するユーザー

Googleアナリティクスであれば、シークエンスを作成し、サポートページ経由で製品ページを閲覧したセッションと製品ページ経由でサポートページ閲覧したセッションをアドバンスドセグメントで作成します。

「シークエンス」とは

セグメント⽅法の1つで、絞り込みの⽅法として、ユーザーの⾏動の順番を条件に指定することができる。Aページを⾒たあとBページを⾒たというような順番で指定する

図:サポートページを経由したユーザーのセグメントを設定

図:サポートページを経由したユーザーのセグメントを設定

増えていれば、製品閲覧へのサポートページの貢献が高くなっていると判断できます。

顧客の問題解決

サポートサイトが問題解決に貢献しているかを判別する指標を定義します。

サポートページ満足率・不満率

サポートページに設置した満足度に関するボタンやスコアにインタラクション解析を設置することで、ボタンを押された回数やスコアをイベントなどでアクセス解析に送信し集計します。

精読率、動画視聴数・視聴時間

インタラクション解析で、スクロール到達率をページごとに測定します。また、動画による説明があれば、視聴数や視聴時間を確認します。例えば、Googleアナリティクスの場合、Googleタグマネージャーに組み込まれている「スクロール深度」「動画視聴」についてのイベントで測定するためのトリガーや変数を利用します。

サポートに対するアンケート結果

ユーザーとのコミュニケーションが可能な場合に、サポートを閲覧した会員にNPS®(6-1-2「行動モデルと評価指標」参照)などのアンケートを採ることで満足度を定期的に測定する方法です。

サポートを求めるユーザーのサイト内検索結果

サイト内検索の状況を精査することで、サポートページに掲載すべきワードにもかかわらず、検索結果の離脱率が高いワードを見つけ、コンテンツを強化すべきページを発見します。サポートページ専用の検索フォームがない場合は、検索ワードからサポートページに関連するワードを見つけ、離脱が高いワードについて強化を検討します。

サポートコスト削減

サポートコンテンツを見ることで電話やメールでの対応が減ることを目的とします。

問い合わせの件数と、サポートコンテンツを閲覧した数の関係を調べる必要があり、

  • サポートコンテンツに行き着かない導線の改善
  • サポートコンテンツを見ても問い合わせする件数の削減
  • 問い合わせ前にサポートコンテンツで解決するか確認の導線強化

などが挙げられます。

問い合わせ件数、その対応にかかるコストを測定し、サポートコンテンツ改善で削減された問い合わせ件数当たりの削減費用を算出し、サポートコンテンツ閲覧をコンバージョンとしてその効果を測定します。

内容が不十分なため問い合わせになっている訪問

FAQから問い合わせフォームに移動した数を測定します。

たとえば、サポートページ(/faq/)のページを見たセッションのうち、お問い合わせフォーム(/form/support/)を閲覧したセッションを解析します。このようなデータから、どのページが問い合わせにつながっているかを知ることができます。

コールセンター受電数・コールセンターコスト

電話やメールの問い合わせの件数の増減とかかるコストを算出し、サポートサイトによって削減できた工数を算出します。次のような手順で進めます。サポート件数とサポートコストを算出していることが前提です。

  • 前年同月比のサポートに関するメール受信・受電件数を計上
  • 件数削減によるコスト・作業時間の算出
  • サポートサイトのコンテンツ強化ページのコスト算出
  • サポートサイト強化によるサポートコスト削減効果の算出

とはいえ、季節変動やサービスの変更などもあるため、一律には算出できません。さまざまな突発的要因を加味し、概算値を出した上で関係者に共有して合意形成をしてください。サポートサイト強化によるコスト削減効果を共有できると、その後の改善で大きなプラスになります。

4-9-5. アクティブユーザーモデルのコンバージョンの設計

コンバージョンの測定は、ウェブサイトとスマートフォンアプリで少し異なってきます。ウェブサイト上での加入申し込みやサービスやコンテンツ購入は、申し込み完了や購入完了ページなどが表示されたことでコンバージョンとします。一方で、スマートフォンアプリでのコンバージョンは、アプリをまずダウンロードしてもらわなければならないので、「ダウンロード数」も重要な指標になります。さらに、アクティブユーザー数、アプリ内での課金、特定のスクリーンに遷移したかなども指標として計測し、毎日アプリを利用してもらう、または、より多く課金してもらうための施策を実施します。ダウンロード数などは、Apple Store ConnectやGoogle Play Consoleなどから確認し、アクティブユーザー数、アプリ内課金情報、エンゲージメント、スクリーン遷移情報などはSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)をアプリに組み込むことで測定を行います。

ダウンロード数の測定方法

アプリの場合はダウンロード数も重要なコンバージョンになります。iOSアプリであればApp Store Connect内のApp Analyticsという機能を通して測定ができます。Appユニット数、インストール数として測定できます。

サブスクリプション型の測定方法

サービスの利用申し込みは課金となるので、利用申し込み自体がコンバージョンとなります。ウェブサイトで提供するサブスクリプション型の場合、次の設定から把握することになります。

新規申込件数

申し込み画面のサンクスページ表示をコンバージョン設定

解約件数

解約申し込み画面のサンクスページ表示をコンバージョン設定

売上高

決済システムの管理画面上の金額を収集

iOSアプリで提供するサブスクリプションの場合、App Store Connect内での新規申し込み件数、解約件数、課金金額が表示されます。

しかし、ウェブサイトで運用するサブスクリプション型のコンバージョンの把握は、少し工夫が必要です。アクセス解析のコンバージョンは基本的にはユーザーの行動に紐付けますが、サブスクリプション型の場合は、ユーザーが何も行動しなくても課金されるためです。そこで、ウェブサイト上でのサブスクリプション型の場合は、次のような方法を採ります。

  • 決済システムの売上、解約、新規申し込み件数を確認、記録する
  • サブスクリプション型の売上が発生した時にシステムにMeasurement Protocol(メジャーメントプロトコル)などを使ってデータを送信したり、データインポートを使ってデータをアクセス解析ツールに取り込んだりする

都度課金型の測定方法

商品やサービス、アイテムなどを購入したタイミングで課金となるため、商品やサービスの購入自体がコンバージョンとなります。

ウェブサイトで提供する都度課金型の場合、イーコマースサイトと同様に、アイテム購入のサンクスページにトラッキングコードを設定することで収集できます。iOSアプリの場合、サブスクリプションと同様に、App Store Connect内で把握できます。