2021年ウェブ解析士(日本語)テキスト

4. 第3章:デジタル化戦略と計画立案

第3章
デジタル化戦略と計画立案

あなたは、事業を取り巻く環境を整理し、ベンチマークとなる競合やユーザーの思考や行動を分析し、自分なりの戦略を考え、そして上司や関連部署メンバーと数回のミーティングを行い、戦略骨子を策定することができました。そして、経営会議でプレゼンテーションを行い、消費財メーカーとして、ユーザーへの製品・サービスの販売、パートナー企業の見込み客獲得のストーリーに対する反応は高評価を得ることができました。

しかし、役員から新たな課題が挙げられました。

  • 認知を高めるための施策を考えること
  • 問い合わせをウェブで完結できるようにし、見込み客につなげること
  • 定期課金型のビジネスモデルを考えること

「確かに、まだまだ自社の事業を知らない人はたくさんいて、知ってもらうことは必要かもしれない」、「既存客からの問い合わせもウェブで完結できると効率が良さそうだなぁ、でも、見込み客につなげるとはどういうことなのかなぁ・・・」、「定期課金って、アプリゲームではやってるけど、ビジネスにつなげるにはどうしたらいいのかなぁ・・・」と、またまた悩みが深まるばかりです。


第3章では事業戦略に基づいた、デジタル化戦略の展開方法として、5つのモデルを紹介し、それぞれに基づいたKPI策定と計画立案を学びます。

  • 「3-1. MELSAモデルによるデジタル化戦略」では、事業のデジタル化戦略を明確にする考え方を学びます。
  • 「3-2. メディアモデルのKPIと計画立案」では、メディアモデルの概要と戦略、KPI策定と計画立案を学びます。
  • 「3-3. イーコマースモデルのKPIと計画立案」では、イーコマースモデルの概要と戦略、KPI策定と計画立案を学びます。
  • 「3-4. リードジェネレーションモデルのKPIと計画立案」では、リードジェネレーションモデルの概要と戦略、KPI策定と計画立案を学びます。
  • 「3-5. サポートモデルのKPIと計画立案」では、サポートモデルの概要と戦略、KPI策定と計画立案を学びます。
  • 「3-6. アクティブユーザーモデルのKPIと計画立案」では、アクティブユーザーモデルの概要と戦略、KPI策定と計画立案を学びます。
  • 「3-7. グローバルでのイーコマース戦略」では、グローバルでのイーコマースモデルの戦略立案を学びます。

3-1 MELSAモデルによるデジタル化戦略

環境分析の結果をウェブ解析に活かす前に、事業にあったデジタル化戦略を検討する必要があります。

事業戦略とそれに伴うデジタル化の戦略が不明瞭では、どのような施策を打つべきかも定かではなくなるからです。ここではデジタル化戦略の展開方法として、MELSAモデルとKPIを紹介します。事業におけるデジタル化戦略を理解し、KPIに落とし込み、関係者と共有してください。

3-1-1. MELSAモデル

ビジネスをデジタル化するには、事業の目標に合わせて進める必要があります。そのためにウェブ解析士が使うフレームワークがMELSAモデルです。MELSAとはMedia、Ecommerce、LeadGeneration、Support、ActiveUserの頭文字をとった言葉です。事業をこの順番にデジタルに移行することで成果につなげることができます。

メディアモデル(Media Model)

まず事業のノウハウをウェブに公開し、コンテンツ化してターゲットになるユーザーに届ける仕組みがメディアモデルです。ブログや動画などのコンテンツに対し、事業を知らないターゲットユーザーに関心を持たせることが求められます。自社の強み、良さをターゲットに合わせ、競合と差別化できるコンテンツを自社で作れる開発力が必要です。

イーコマースモデル(Ecommerce Model)

次に、オンラインで製品の販売を完結するのがイーコマースモデルです。決済・配送含め、デジタルで売買が完結するよう設計します。少額でも、ビジネスの機会を作る商取引を生成することが求められます。商品に限らず、コンテンツ販売、講座の受講など、接客せずに取引できる商材を自社で開発し、その後のビジネスにつなげる商品開発力が必要です。

リードジェネレーションモデル(Lead Generation Model)

次に、オンラインで獲得したリード(見込み客)を接客可能なカスタマーに育てるのがリードジェネレーションモデルです。事業にインパクトを与える見込み客をデジタルで獲得し、育成できるよう接点を持ち、受注可能性を確認して商談の機会を逃さないことが求められます。新規取引先獲得、採用、パートナー獲得など、それぞれに合った接点の構築力と、商談の確度と販売機会を知る探知能力が必要です。

サポートモデル(Support Model)

次に、イーコマースやリードジェネレーションで獲得したカスタマーを逃さず、さらにロイヤリティを高めることと、顧客対応コストの削減と、潜在顧客への認知拡大を進めるのがサポートモデルです。顧客対応履歴のコンテンツ化と、顧客対応コストの測定、潜在顧客の獲得貢献を明確にすることが求められます。顧客マニュアルやFAQ(よくある質問)、チャットや電話による費用対効果の高いタッチポイントの構築力と、顧客満足度の改善力が必要です。

アクティブユーザーモデル(ActiveUser Model)

最後に、獲得したカスタマーの取引頻度を定期化し、顧客満足度の維持と維持コストを極小化することを進めるのがアクティブユーザーモデルです。サブスクリプションなどとも呼ばれます。顧客の離反につながらない高付加価値サービスの開発と、固定収益ビジネスモデルの開発が求められます。サービスのデジタル化と高付加価値化を可能とする企画力と、顧客満足度の減少を定量化できる解析設計能力が必要です。

事業をスムーズにデジタルに移行するためには、上記フレームワークを参考にそれぞれ戦略の選定をしてください。当然、多くの企業では複数のモデルを導入しますし、一部のモデルは適用しないケースもあります。

事業をデジタル化していくには、その事業や組織そのもののデジタル化が必要です。いきなりActive Userモデルを目指しても、その事業にメディアを運営する体制も能力もなければ、広告への投資や無理な施策に頼ることになります。

また、モデルごとにも正しい戦略を選択しなければ、どのようなデジタルマーケティング施策も事業の成果につなげることは困難です。

デジタルマーケティングを進めるには、その事業のデジタル化が必要不可欠です。ウェブ解析士は、クライアントにあったモデルと戦略を選んでください。

図:デジタル化戦略と KGI と KSF と KPI

図:デジタル化戦略と KGI と KSF と KPI

3-1-2. メディアモデルのデジタル化戦略

ニュースなどのメディアサイトは、イーコマースサイトやリードジェネレーションサイトとは異なり、コンバージョンページを設定して誘導することが目的ではありません。

メディアサイトでは、サイトのコンテンツによって関心を集め、よい情報を提供することで、より多くの人に何度も訪問してもらい、何ページも見てもらうことが重要です。そのためにはコンテンツの量に目が行きがちです。量も大事ですが、質の良いコンテンツを提供することも重要です。またコンテンツを見直して、新規に作るばかりではなく、すでに作った記事を改善することも忘れないでください。

メディアモデルの戦略としては、次のような軸が挙げられます。

広告事業で収益化するか自社事業で収益化するか

1. 広告事業:広告を出稿してもらい収益化

2. 自社事業:自社商品販売やサービスの利用で収益化

単体メディアで展開するか複数のメディアで展開するか

3. 単体メディア:一つのメディアにユーザーを集める

4. 複数メディア:多数のメディアにコンテンツ提供しそれぞれに集める

メディアモデル戦略別の説明

1. 広告事業

広告媒体として収益化をする場合は、純広告、メール広告、アフィリエイト広告、運用型広告などを、出稿してもらうためのマーケティングやセールス活動が欠かせません。広告主や広告代理店、アフィリエイターにおいて、媒体として魅力的なページビュー数やMAUといった指標が重要です。したがって、媒体の露出力を強化するために、広告やソーシャルメディア、検索エンジンを活用した集客施策も必要になることがあります。

2. 自社事業

自社有償コンテンツとは、定期購入するサブスクリプションモデルや、書籍や電子コンテンツの販売、オンライン、オフラインのセミナーなどを指します。ページビューなどの「量」も大切ですが、それ以上に自社有償コンテンツに合ったターゲットのユーザーを集めるメディアの「質」が重要であり、有償コンテンツの購入に誘導できるサイト内コンテンツの強化が不可欠です。

3. 単体メディア

単体のメディアを中心に展開戦略を進める場合、SNSやSEOなどは、すべてそのメディアへの集客手段となります。集客施策に集中でき、媒体として効率的にページビューやMAUを増やせます。しかし、幅広いチャネルやターゲットを狙うことが難しくなるため、短期間に集客数を増やすことが困難だったり、施策が限られてしまったりするという欠点もあります。また、ターゲットユーザーが自然に増える状況ではないなら、メディアの視聴者も一定規模で頭打ちになりがちです。

4. 複数メディア

一方で、複数メディアの展開を進める場合、オフラインやオンラインでそれぞれターゲットとコンテンツを最適化することや、複数のチャネルを活用したエンゲージメントを高める戦略が取れるため、集客数を増やし、ページビューやMAUを短期間で伸ばすことも可能です。その反面、複数媒体でターゲットが分散するため、結果的に1媒体あたりの読者数は少なくなり、運用や広告配信も複雑で困難になりがちです。

図:メディアモデルの戦略

図:メディアモデルの戦略

以下の戦略ごとの組み合わせを参考にしてください。

1. 自社事業×単体メディア
  • 自社事業がある単体メディアは、自社事業にあったターゲットのユーザーを集めるメディアの質を高める活動をしてください
  • マーケティング活動以外にも、既存顧客や関係者などの口コミによるメディア訪問も重要な動線となります
  • ターゲットとなるユーザーが関心を持つコンテンツを、自社サービスに限らず紹介 することが有効です
  • 自社の売り込みだけではメディアになりません。ユーザー視点でコンテンツを作ってください
  • すでにターゲットに認知度のある、競争優位性の高い事業に向いています
2. 自社事業×複数メディア
  • メディアのオーディエンスに合わせたコンテンツを提供して、違う種類のターゲットを集める活動をしてください
  • 単体メディア同様口コミも重要ですが、それぞれのメディアのユーザーとの密なコミュニケーションが必要です
  • 各メディアのコンテンツを生かした、ネイティブアドやタイアップ企画などメディア特性に合わせた自社事業誘導のための広告コンテンツも有効です
  • メディアの読者のニーズを無視して、一方的なコンテンツ配信にならないようにしてください。同じコンテンツを複数メディアに配信すると、検索エンジンの評価が下がる危険があります
  • ターゲットへの認知は低いが、差別化ができる事業に向いています
3. 広告事業×単体メディア
  • 単体メディアへの集客力を高めるマーケティング活動をしてください
  • SNSや検索エンジンなどで、他社メディアに先んじてユーザーが知りたい情報を掲載することが求められます
  • 初期は媒体に誘導するための広告など、有償の集客施策も必要になることがあります
  • 一方で広告媒体として収益化をするため、AdSenseなどの広告では十分な収益を得ることは困難です。純広告、メール広告、アフィリエイト広告、運用型広告などを出稿してもらうためのマーケティングやセールス活動をしてください。そのためには媒体として魅力を伝えるPV数やMAUの資料が求められます
  • インプレッションを獲得する手段(検索エンジンやSNS)があり、他社が広告出稿したいコンテンツを持つ事業に向いています
4. 広告事業×複数メディア
  • オーディエンスのニーズに合わせたメディアを複数立ち上げたり、アカウントを作成、記事を投稿して、成果を見て運用継続するか判断し、メディアを改廃してください
  • 単体メディアに比べ媒体の集客力は分散されるので、それぞれに合った広告主をあらかじめ確保してからニーズにあったメディアを立ち上げるか、オーディエンスにあった高付加価値のアフィリエイトやネイティブアドを取り入れてください
  • メディア立ち上げスピードを上げるため、既存ドメインを再利用したり、競合の少ない少額の運用型広告を行うことも有効です
  • ユーザーの獲得が見込めないメディアを見極められないと、成果につながりません。そのため、素早く大量にコンテンツを開発する力がなければ取るべき戦略ではありません
  • コンテンツ開発力があり、広告主との関係もできているが、ターゲットへの認知をこれから広げる事業に向いています

メディアモデルで用いられる主な戦略として、コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングを紹介します。

コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティング

コンテンツマーケティングとは、ユーザーに有益な情報・コンテンツを提供することで自社の商品・サービスのファンになってもらい、購買などのコンバージョンにつなげるための手法です。

コンテンツの形式は、動画やテキスト、画像、イラスト、メールマガジンなど多様で、決まった形式はありません。ユーザーニーズに応えるコンテンツを作成し、ニーズが顕在化しているユーザーを惹き付ける手法であるという点です。

インバウンドマーケティングとは、広告やメールによるプッシュ型の配信中心だった従来のマーケティング(アウトバウンド)に対し、ユーザーが興味を持ち、探してきたときに適切な情報を提供することで売上につなげていくマーケティング手法です。

その意味では、BtoBだけではなくBtoCにも当てはまり、イーコマースやアクティブユーザー型のビジネスモデルでも応用できる考え方です。具体的には、ユーザーの興味関心に合わせていくつかのステージに分け、ウェビナー(オンラインセミナー)やホワイトペーパーなどを提供することで興味関心を高めていきます。

このときに重要な手法はブログです。企業やプロダクトのオウンドメディア上でブログを戦略的に発信し、それぞれのステージのユーザーが関心を持つコンテンツを充実させ、関心を高めていくコンテンツを提供し続けることになります。

考え方としては、リードナーチャリングと似た側面もあります。つまり、リードをどちらの側面から受注につなげていくかという見方の違いであるともいえます。

図:インバウンドマーケティングの流れ

図:インバウンドマーケティングの流れ

3-1-3. イーコマースモデルのデジタル化戦略

イーコマースモデルの戦略としては、次のような軸が挙げられます。

単商品で商品展開するか型番商品で商品展開するか

1. 単商品:商品種類を絞り自社商品を販売

2. 型番商品:商品種類を絞り仕入商品を販売

単店舗で店舗展開するかマルチチャネルで店舗展開するか

3. 単店舗展開:自社サイトや自分の店舗のみで販売

4. マルチチャネル展開:モールや他店舗で販売

イーコマースモデル戦略別の説明

1.単商品

単品販売の戦略は、少数の商品を軸にアップセル(より購入単価が高い商品の購入)やクロスセル(ほかの商品と併せての購入)などのリピートをいかに促すかが基本です。

2.型番商品

型番販売の戦略は、さまざまな商品を取り扱い、商品群全体を面で認知させ、いかに購入を促すかが基本です。型番が認知されている場合は、売上が伸びやすい反面、商品ごとに競合との価格の優位性が求められるうえに、市場に優位な量を確保しなければならないので、商品管理コストなどの変動費が高くなる傾向にあります。

3.単店舗

単店舗では、店舗維持コストなどの固定費が低く抑えられますが、販路が限られるため、売上が伸び悩む傾向にあります。

4. マルチチャネル

マルチチャネルは、チャネルの数が増える分、売上が上がりやすくなりますが、店舗維持コストなどの固定費が高くなりがちです。

例えば、サプリメントや化粧品などは、単品販売が中心になり、まずはお試し品などの無料配布もしくは低価格商品の購買を促し、そこから正規品、さらに高級品の継続利用を促すというように、購入した顧客との関係性を維持することが重要になります。

一方で、家具やパソコンなどは、型番販売が中心で、新規顧客の獲得のキャンペーン、商品が探しやすいユーザビリティやナビゲーションなどによる誘導導線の設置、購入した顧客のクチコミの掲載などにより、さまざまな商品を選べるサイト作りが重要になります。

自社独自商品など、市場認知がない商品は販促が容易ではなく、モールのランキングで1位になるなどの第三者評価をもとにブランディングを行い、認知度が高まったときに維持コストのかからない自社サイトや自社店舗の継続的な販売に移行することを狙うため、認知されるまでの販促コストがかかりやすい傾向にあります。認知されてない状態で広告に過度なコストの投入を行うと、広告比率が高くなりすぎるため、破綻します。

マルチチャネル展開では、オンラインショッピングモールや展示会、ポップアップショップ展開などで売上が増えるものの、固定費が増える点が課題となります。

図:イーコマースモデルの戦略

図:イーコマースモデルの戦略

以下の戦略ごとの組み合わせを参考にしてください。

1. 単品販売×単店舗展開の販売戦略
  • 顧客との上質な関係を構築し、会社やお店をブランディングしてください
  • 「そこでしか買えない」「対応が早い」「優れている」「商品が良い」といったクチコミを呼ぶなど、サービス面を徹底的に構築してください
  • 販売促進による売上向上には限界があります。そのブランドや運営手法をもとに、他店との差別化や優位性を発揮して多店舗展開へチャネルを増やしていくことが、販売戦略の王道の流れです。このようにすることで無駄な販促コストを抑えられ、たくさんのファンによって売上も伸長します
  • 他社との差別化ができる商品であり、かつ自社でのプロモーションにコストと労力をかけなければ拡販は困難です
  • 競争優位性のある自社商品で、利益率の高い事業展開をするならば向いています
2. 単品販売×マルチチャネル展開
  • マルチチャネル展開の場合、チャネルの数に比例して固定費が増大します。そのため、多店舗展開用のバックヤードツールなどを利用して受発注・在庫の管理を統一し、「少ない時間」、「少ない人間」で処理対応できるようにマネジメントを行い、固定費を下げてください
  • リアルとネットを融合したマルチチャネルの場合は、リアルのみで積極的に販売するのではなく、ネットで認知してもらい、リアルで接客を行い、購入してもらうといった複合的な役割分担で販売する戦略が望ましいでしょう
  • 人事考課の側面からも、ウェブとリアルの両方のスタッフを評価できるように構築する必要があります
  • 単店舗より拡販は容易になりますが、複数店舗の運用ができていないと業務が回らなくなります
  • 競争優位性のある、自社商品で販売額を上げる事業展開をするならば向いています
3. 型番販売×単店舗展開
  • 見込み客、顧客の流入元は、自然検索が一番になるように、SEOによる上位表示対策や、商品の量を多く掲載できるようにしてください
  • 価格で競合他社と比べられ、価格に優位性がない場合は購入されません。そのため、販促コストをかけ過ぎないように、広告を利用しない戦略を採るべきです
  • 他社が販売していない、独占販売契約の商品群を取り扱うことが望まれます。こういった戦略を取ることで、マルチチャネル戦略へと拡大していったときに、容易に市場シェア1位となり、市場を独占したことによる売上増大が望めます
  • 集客を広告に依存すると競争力がなくなり、収益が上がらなくなる危険があります
  • 仕入れと品揃えで価格と商品優位性を確保でき、集客力のある事業が向いています
4. 型番販売×マルチチャネル展開
  • 自然検索の上位表示はもちろん、すべてのチャネルエリアで商品量のシェア30%以上を目指してください
  • 検索エンジン、ソーシャルメディアでの情報発信を頻繁にできる仕組みづくりが必要です。この販売戦略は、開発コストや販売コストを抑えられる反面、販路拡大で苦戦するからです
  • さらにLTV(ライフタイムバリュー)を上げるため、購買者満足度を高める製品開発と、リピート購入しやすいインターフェイスや購買者への通知手段の完成を進めます
  • 独自の製品や通知手段がないと、大手モールとの競争となり成長が困難になります
  • 仕入れ力に加え、オーガニック中心のデジタルマーケティングスキルと独自商品開発力がある事業に向いています

3-1-4. リードジェネレーションモデルのデジタル化戦略

リードジェネレーションモデルは、見込み客であるリードを獲得することが目的です。

リード情報にはメールアドレスや氏名、企業名などが含まれますが、どんな情報を、いつ、どのフォームから獲得するのかを事前に設計することが重要です。リードジェネレーションモデルでは、戦略によって重視すべきポイントが変わってきます。

リードジェネレーションモデルの戦略としては、次のような軸が挙げられます。

リード数重視かリード質重視か

1. リード数重視:リード獲得件数をあげる

2. リード質重視:質の高いリードに集中する

マーケティング施策が中心かセールス施策が中心か

3. マーケティング施策中心:メディアの活用によるリードへの露出頻度を上げる

4. セールス施策中心:メールやメッセンジャーで顧客情報を収集し、関係性を深くする

リードジェネレーション戦略別の説明

リード数を増やすことを重視するか、獲得するリードの質を重視するかで、戦略が変わります。

1. リード数重視

リード数を重視する場合は、リードの獲得件数と店舗への送客数、商談数、受注数などの「数」に注目します。不動産や結婚式場などが、これに当てはまります。

2. リード質重視

BtoB事業のように、リードを獲得した段階で顧客の企業属性によって商談や案件単価に差があったり、企業属性によって見込み案件とする場合は、リードの質が重要になります。この場合、件数の大小よりも獲得したリードの業種や企業規模といった、質が重要です。

3. マーケティング施策中心

マーケティング施策重視の場合には、オウンドメディアやシェアードメディアへのコンテンツ提供が中心になります。ターゲット向けの一括見積サイトや展示会に出展することで、リードが相談をしたいときに見てもらう施策が中心になります。広告やウェブサイト表示を、ターゲットに合わせ最適化できるMAやタグマネージャーなどのソリューションが向いています。

4. セールス施策中心

セールス施策中心の場合は、ターゲットに合わせたメールや電話、メッセンジャーなど、リードへの個別連絡が中心となります。顧客情報や確度に応じたメール配信や連絡が最適化できる、MAやCRMのソリューションが向いています。

従来は、マーケティングの結果としてリードを獲得できれば、その後受注できたかどうかで成否を判断してきました。しかし、特にBtoBのように意思決定までに時間がかかる場合は、すぐに受注につながることは、なかなかありません。そして、リードを受注につなげるためには、対面営業(セールス)やリアル施策(接点)との組み合わせが必要不可欠です。そこで、リード獲得のために、次のような代表的なマーケティング戦略があります。

図:リードジェネレーションの戦略

図:リードジェネレーションの戦略

以下の戦略ごとの組み合わせを参考にしてください。

1. リードの数×マーケティング施策中心
  • 適切なマーケティング手法の選択と、費用対効果の高いリード獲得ができる活動をしてください
  • リードに合わせた広告や、リードの要望に合わせたオウンドメディアでのコンテンツ表示、SNSページでの情報紹介などで広く関心を獲得することが求められます
  • 一括見積もりサイトなど、ポータルサイトへの出稿、効率的な運用を可能にする広告管理ツールやB2C向けMAやSNS管理ツールを使うといいでしょう
  • マーケティングのシナリオ作成と自動化ができないと、リード獲得コストと運用コストが上がり事業の収益が悪化します
  • 金融、人材メディアなど、リード獲得後の商談よりリード獲得が重要な事業に向いています
2. リードの数×セールス施策中心
  • リードごとの適切なタッチポイントの構築と、費用対効果の高い継続的なコミュニケーションができる活動をしてください
  • リードに合わせてオンライン・オフラインでの連絡や接点を設けて、定期的なコミュニケーションをメール、メッセンジャー、電話で行うことが求められます
  • メールでの連絡を自動化できるMAの導入や、チャットボットによる連絡の自動化、オンラインミーティングツールが有効です
  • 教育とSFA(Sales Force Automation。営業の業務プロセスの⾃動化や管理をするソフトウェア)による営業の管理と効率化がないと、営業が対応しきれなくなり受注数が増えません
  • 結婚式場・人材紹介業など、リードの数が重要だが、要望が商談で変化することが多い事業に向いています
3. リードの質×マーケティング施策中心
  • ターゲットに合わせた広告や、オーディエンスターゲティング広告で集客し、ターゲットとなるリードに合わせたホワイトペーパーなどのコンテンツを配信してください
  • ターゲットの購買確度に合ったコンテンツ提供と情報収集、適切なホワイトペーパーのコンテンツ作成能力が求められます
  • ターゲットに近いユーザーリストの獲得、顧客のスコアリングができるB2B向けのMAの導入も有効です
  • 質の良いリードの選定を自動化するマーケティングのシナリオができないと、無駄な営業が増えます
  • パッケージソリューションベンダーや人材派遣業など、規模やニーズでターゲットは絞られるものの、商談の前に受注確度が決まる事業に向いています

「オーディエンスターゲティ ング広告」とは

オーディエンス(視聴者)の属性、⾏動に合わせて配信する広告のこと。詳細は5-2-3「ディスプレイ広告のインプレッションの管理」参照

「ホワイトペーパー」とは

元の意味は⽩書。現在は調査結果や技術動向を紹介したドキュメントとして使われる。メールアドレスなど顧客情報を獲得してから開⽰するケースが多い

「顧客のスコアリング」とは

顧客の⾏動や属性でスコアをつけて、その顧客の購買確度や重要度を記録すること

4. リードの質×セールス施策中心
  • ターゲットの中でも受注を決める人物(キーパーソン)に絞ってタッチポイントの構築と、ロイヤリティを高める活動をしてください
  • キーパーソンに合わせたコンテンツの送信と情報収集、適切なタイミングでの接点の構築が求められます
  • ユーザー会への招待、ターゲットに近い業界・職階のユーザーの紹介などのクローズドな接点構築も有効です
  • 営業が柔軟にキーパーソンとの接点を深める活動が重要なので、営業支援を中心にした戦略を立てないとマーケティングが機能しません
  • 大手企業向けBPO、コンサルティングなど、ターゲットが絞られ、かつ規模も大きく商談が複雑な事業に向いています

次に、リードジェネレーションモデルで用いられる主な戦略として、リードナーチャリングとABMを紹介します。

図:リードジェネレーション領域とリードナーチャリング領域

図:リードジェネレーション領域とリードナーチャリング領域

リードナーチャリング

獲得したリード(見込み客)を、メールや電話などを用いてナーチャリング(関係を醸成)するプロセスです。

一口にリードといっても、さまざまな検討段階があります。それぞれの段階において適切な情報提供やコミュニケーションを行い、検討タイミングが来るまで、関係をつないでおきます。

[図:リードジェネレーション領域とリードナーチャリング領域]に示したプロセスでは、これまではすべて営業個人の裁量で行われてきました。しかし、メールやセミナーなどといった顧客の意思決定に合わせたコンテンツを提供し、仕組み化することで、営業個人単位では実行できなかったコミュニケーションが可能になりました。「マーケティングオートメーション(MA)」を利用し、顧客の行動や企業側のイベントに合わせて適切なメールや電話を行うこともあります。獲得したリードについて最も知りたいポイントは、どのくらい意欲が高いかという点です。リードナーチャリングは、ユーザーが収集した情報や行動をもとに、熱意を測定できることも重要な役割です。

インサイドセールス

リードジェネレーション領域からリードナーチャリング領域に、リードを受け渡す役割として「インサイドセールス」の重要性が高まっています。

インサイドセールスは、顧客に訪問する従来の営業(フィールドセールス・アウトサイドセールス)の対義語で、主に電話やオンラインを用いて商談を行います。インサイドセールスは、以前からコールセンターが主に担ってきた販促活動やカスタマーサポート活動と基本的には同じで、新しいものではありません。BtoBでもBtoCでも存在していました。リードジェネレーション領域でのマーケティング活動が高度化したことにより、訪問しなければ収集できなかった顧客の情報やニーズの収集が可能になってきています。一方で、顧客が自力で情報収集できる環境が整ったことで、フィールドセールスの顧客訪問による情報提供やコミュニケーションの費用対効果が悪くなってきています。

図:インサイドセールスとフィールドセールス

図:インサイドセールスとフィールドセールス

このような状況においては、マーケティングとセールスの橋渡しとして、インサイドセールスによる顧客とのコミュニケーションの重要度が高くなっています。インサイドセールスの役割は、マーケティング活動から商談機会を創造することです。また、商談につなげるための情報提供をしたり、商談につながった顧客の受注率を高めるためのニーズや属性情報の収集も求められたりします。

アカウントベースドマーケティング(ABM

リードジェネレーションモデルでは顧客のリード情報を獲得することが目的ですが、狙っていた顧客が来るとは限りません。そこで、アカウントベースドマーケティング(ABM:Account Based Marketing)では、事業内容に合わせて狙ったターゲットを企業単位や業種単位で特定し、ウェブ接点とリアル接点の両方を通じてアプローチしていきます。

従来型のABMでは、トップセールスなどの対面型の営業を通じてアナログ的なアプローチをしていました。しかし、ウェブ接点からボトムアップでアプローチする方法が加わり、両方から特定企業に仕掛ける戦略を立てられるようになりました。したがって、狙った企業や特定の企業に対して、どの部署の誰の情報をリードとして獲得できたかが重要になり、ウェブサイトはウェブ接点としての網羅率で施策を評価していきます。具体的には、獲得したリードの質で評価します。ターゲット企業の含有率、狙った企業の対象部門のリード網羅率などです。

ABMでは、アカウント(ターゲット企業)の選定が何よりも重要です。さらに、主要人物(キーマン)を特定し、その人に対してリアル接点とウェブ接点の両方でアプローチを考えていくことになります。ほかの手法に比べて、よりセールスに近い、デジタルマーケティング手法ともいえます。

図:ABMのプロセス

図:ABMのプロセス

3-1-5. サポートモデルのデジタル化戦略

サポートは、本来は製造した企業の義務としての説明責任に当たるもののため、会計上では原価に含まれることもありマーケティング戦略ではありません。そのため、製品やサービスの利用者に適切な情報を迅速に提供することで、満足度を高め、営業やコールセンターの対応コストを減らすことが直接的な目的です。

しかし潜在的な需要に適切な情報を提供することや、既存顧客の要望に添った情報を提供することで、既存顧客の購買の増加や、製品の改良や新製品開発のヒントを得る効果も期待できます。そのためサポートの影響は広く、広報・販促や製品・企業と合わせて重要な企業のブランディングを決めるチャネルとしても重要です。どのように効率的にユーザーの満足度を高め、なおかつコスト削減できるかが間接的な目的になります。

ユーザーは、未利用者から熟練者まで多種多様です。「誰に対して」「何を提供する」ことで満足度を高められるかが研究されてきました。

従来、サポートでの情報提供は、冊子やPDFによるマニュアルの配布でした。その当時は誤解されず分かりやすい表現方法、説明方法が焦点でした。しかし、同じ内容をウェブサイトやアプリのコンテンツとして掲載すると、利用履歴をアクセス解析で把握できるようになります。さらに、ウェブサイトを用いたサポート方法としては、ヘルプとしてまとめられることも多く、マニュアルサイトもあればFAQサイトなども考えられます。また、利用しているユーザーによるコミュニティやチャットボットなど、多岐にわたります。

サポートモデルの戦略としては、次のような軸が挙げられます。

クローズドかオープンか

1. クローズドなサポート:顧客や従業員など一部に公開する

2. オープンなサポート:一般に公開する

マニュアルかFAQか

3. マニュアル:使用情報説明として必要な情報を体系的に紹介する

4. FAQ:ユーザーからの質問頻度の高い質問と回答を紹介する

当然、一部をオープンにすることやFAQとマニュアル両方を乗せるなど複合したサポートモデルもあります。

サポートモデルの戦略別の説明

クローズドなサポート

クローズドなサポートモデルは、会員登録ユーザーや製品利用者に特定ができるため、説明内容をある程度絞ることで、コンテンツ開発やメンテナンスコストの削減が可能です。また、個別のユーザーごとの問題解決や製品の改良につなげる活動やセールス活動への応用が期待できます。

一方、未使用者に対する情報提供が制限されるため、潜在顧客への貢献の期待はできません。

オープンなサポート

オープンなサポートモデルは、潜在需要向けの情報として製品優位性も紹介することで新規顧客開拓のマーケティングへの貢献が期待できます。

一方、製品の利用を前提とした説明ができないため、コンテンツ制作量が増える傾向があります。また、顧客ではないユーザーへの対応が増えることもあります。個別のユーザーごとの閲覧行動を特定できないため、製品改良やセールスへの展開が難しくなります。

マニュアル

取扱説明書や仕様情報説明と呼ばれる情報です。製品の使用方法を順番に説明します。

開発者の視点で制作するため、体系立てて、ユーザーが気づかないところまで説明をすることができます。また緊急時やトラブルなど一部のユーザーが困る点について解説もできます。

一方で、ユーザーから見ると利用頻度が高くよくある問題であっても、マニュアルから調べなければいけないため、見つけられず問い合わせをするというケースが起きます。

マニュアル作成ソフトを利用すると、PDFやウェブなどさまざまなメディアでの更新を一元管理することができます。

ウェブに掲載するときは、PDFではなくウェブページとして紹介しましょう。トラッキングが可能になり、さまざまなユーザーの理解につなげることができます。

FAQ

よくある質問と呼ばれる情報です。ユーザーからの問い合わせを中心に、よくある問い合わせとその答えを一問一答で表示します。ユーザー視点で制作するため、ユーザーはよくある質問から見つけることができます。また、質問の回答の最後に「この回答は役に立ちましたか」といった形式でユーザーからフィードバックをもらうことができます。

一方で、FAQの形式では質問と回答が体系立てて並ぶわけではないので、重複した回答や古い回答などをメンテナンスすることに手間がかかります。またユーザーの問い合わせがないところが欠落することがあります。

FAQシステムを導入すると、更新や運用の負荷を下げることができます。

図:サポートモデルの戦略

図:サポートモデルの戦略

以下の戦略ごとの組み合わせを参考にしてください。

1. クローズドなサポート×マニュアル
  • 問い合わせ内容に沿ってマニュアルを適宜更新し、営業やコールセンターなどのサポートコスト削減に貢献してください
  • マニュアルを充実させたことによるサポートコスト削減効果を測定してください
  • 適切な表現を用いているか確認してください(『⽇本語スタイルガイド 2016 ⼀般財団法⼈テクニカルコミュニケーター協会』 <https://www.jtca.org/publication/guide_jsg.html>や、使⽤情報の国際規格IEC/IEEE 82079-1 Edition 2.0を参考にしてください)
  • マニュアル利用者による、定期的なインタビューやアンケートで、不適切な箇所の更新を行うことも有効です
  • サポートサイトとサポートコスト削減の関連を明確にしないと、サポートサイトの運用コスト削減だけ考えるようになり、サポートコスト削減に貢献しにくくなります
  • 製品サイクルが短く、サポート範囲を製品購入者に限定したい事業に向いています
2. クローズドなサポート×FAQ
  • 問い合わせ内容と頻度をもとに更新し、コスト削減に加え顧客満足度向上を進めてください
  • FAQを充実させたことによる、サポートコスト削減効果を測定してください
  • 定期的にFAQの満足度を見てFAQ内容の改善をしてください
  • 増えすぎたFAQはメンテナンスコストもかかるため、トラフィックのない質問は削除してメンテナンス範囲外にするとコストダウンに効果的です
  • FAQに載せる項目の定期的な統廃合をしないと、運用コストの増大や利便性の低下につながります
  • サポート範囲を製品購入者や関係者に絞り、顧客満足度を上げたい事業に向いています
3. オープンなサポート×マニュアル
  • マニュアル公開による問い合わせ削減に加え、潜在顧客開拓を目指してください
  • 競合製品と比較されていることを意識して、競合と比べた差異をマニュアルに掲載することで、購買に貢献しているかの測定が必要です
  • 購入者や代理店は、ログインで特定できると購入者や代理店と非購入者の違いからプロモーションや商品企画の参考になります
  • マニュアルの定期的な更新がないと、自社製品に不利な情報提供になる危険性があります
  • マニュアルによる潜在顧客の開拓や、ニーズの開拓を希望する事業に向いています
4. オープンなサポート×FAQ
  • FAQ公開による既存顧客満足度向上に加え、潜在顧客開拓を目指してください
  • 競合製品と比較したFAQや、使用したユーザーの要望を掲載することで購買に貢献しているか測定が必要です
  • ログイン機能で顧客ごとのニーズを特定するのも重要ですが、ロイヤルカスタマーを発見し、製品開発やサービス改善に活かすこともできます
  • 製品利用者ではないユーザーの対応も発生するため、運用コスト増大の危険性があります
  • FAQによる潜在顧客の開拓や、ニーズの開拓を希望する事業に向いています

3-1-6. アクティブユーザーモデルのデジタル化戦略

アクティブユーザーモデルでは、継続的な利用と、定期的な課金ユーザーが収益源となるため、いかに多くのユーザーに長い期間利用してもらい、その中で有料会員や課金人数の割合を増やすかが直接的な目的です。

間接的には、関心のあるユーザーやアクティブユーザーを集め続け、ユーザーの関心をつなぎとめ、満足度を高めていけるかも重要です。また、特にアプリの場合はAppストアなど外部での利用者レビューが良くないと、利用されにくいことも注意が必要です。

アクティブユーザーモデルでは、次の軸に分けることが可能です。

定期課金かスポット課金か(定期課金しながらスポット課金もするハイブリッドもあります)

1. サブスクリプション:定期課金を主な収益源とする。定期課金ともいいます。

2. スポット課金:アイテム購入などのスポット課金を主な収益源とする。都度課金ともいいます。

実用的サービスかエンターテイメントサービスか

3. 実用的サービス:ビジネスやライフスタイルに役立つ実用的なサービス

4. エンターテイメントサービス:ゲームや娯楽コンテンツとして楽しむエンターテイメントサービス

どちらの場合も、アクティブユーザーを増やすことが重要です。さらに軸によって採るべき戦略が異なります。

アクティブユーザーモデルの戦略別の説明

1. サブスクリプション

定期的な課金を主な収入源とするサブスクリプションでは、サービスの課金は利用サービスのランクやコースに基づく一定額の請求が基本です。いかに継続課金サービスにユーザーを誘導できるか、課金ユーザーのランクを上げること、解約(チャーン)を防ぐことが重要です。

2. スポット課金

都度、課金を主な収入源とするスポット課金、サービス内のイベントやキャンペーンを通して、未課金のユーザーに対しては最初の課金のハードルをいかに下げるか、すでに課金しているアクティブユーザーには再課金を促すための魅力的な施策を提案できるかが重要です。

3. エンタメサービス

一方で、エンターテイメントなサービスでは、定期課金型そのものの娯楽性が重要となります。したがって、サービスの魅力を磨き続けるとともに、課金した人に成長を実感させることが必要です。つまり、お金を使った結果として「強くなった」「他の人の役に立った」といった優越感を醸成する取り組みが大切だということです。

4. 実用的サービス

利用する目的が、会計や健康管理などサービス外の場合が大半です。そこでセミナーや勉強会など、実務や生活で利用できるためのコンテンツの提供がカギになります。モチベーションをあげるため成長を実感できる機会を用意しましょう。

図:アクティブユーザーモデルの2つの軸

図:アクティブユーザーモデルの2つの軸

以下の戦略ごとの組み合わせを参考にしてください。

1. サブスクリプション×エンタメサービス
  • トライアルから課金へのスムーズな移行と、休眠顧客を減らす運営をしてください
  • アクティブに利用してもらえるエンタメコンテンツの提供と、アクティブな状態を測るための仕組みが必要です
  • 動画や番組の視聴をどこで止めているかなどを測定し、その結果に合わせてコンテンツを改善することも有効です
  • トライアルでユーザーに魅力的なコンテンツ提供ができないと、収益になりません。また、休眠顧客を放置すると再課金の可能性が減ります
  • 動画など受信中心の、インタラクティブではないエンターテイメントに向いています
2. サブスクリプション×実用的サービス
  • チュートリアルやサポートで、スムーズな利用に誘導する運用をしてください
  • 利用初期でつまずかないよう、オンラインチャットやチュートリアルを充実させて利用できるようにユーザーを誘導する仕組みが必要です
  • 休眠しそうなユーザーへのプッシュ通知が有効です。また、月間課金に加え割引のある年契約などの長期契約も課金期間が安定するため有効です
  • 初期利用でメリットを提供できないと、課金には至りません。継続課金を続けてもらうためのメール、SNSなど通知手段がないと課金を継続させることは困難です
  • 継続的に利用する業務ソフトや、健康管理や学習などの実用的サービスが向いています
3. 都度課金×エンタメサービス
  • アクティブユーザーを課金へ誘導し、継続するイベントを実施してください
  • まず、継続的に利用するアクティブユーザーにすることと課金への誘導を行うこと、それぞれユーザーを転換するイベントやキャンペーンが必要です
  • 休眠顧客は新規顧客より効率よく課金に誘導できるため、再ログインを促すように、過去のキャンペーンの再実施で再利用を促すことも有効です
  • サービスを利用するイベントや、キャンペーンがないと体験価値が下がり顧客離反につながります。また、イベント・キャンペーンごとの効果測定ができないと、効果的な施策が打てません
  • スマホゲームなどの、インタラクティブなエンターテイメントに向いています
4. 都度課金×実用的サービス
  • サービス利用の利便性を高めて、初回利用を促し継続利用につなげてください
  • 利便性が競合より高いサービスの開発、初回利用でそのサービスの高さを体感できるトライアルの仕組み作りがまず重要です
  • インストール後、利用を誘導することが重要なので初回利用やユーザーの紹介に対するインセンティブが有効です
  • 常にサービスの利便性を改善するための調査や改善ができないと、他サービスへの離反につながります
  • カーシェアリングやテイクアウトサービスなど、継続的に利用する事業が向いています

3-1-7. KGIとKSFとKPI

ウェブサイトのモデルと目的を決めたら、目標を決め、成功要因を特定し、指標を決めます。事業の目標と業界の成功要因となる KSF を決め、MELSA モデルを決め、KGI として目標を数値化し、その KGIを満たすための業績評価指標としてのKPIを策定します。この全体像を把握しつつ、つながりを意識し、一貫した戦略と施策を策定します。

事業に合わせたデジタル化の戦略を定めたら、そのゴールの数値化と施策と施策の成否を示す指標を決めます。それぞれKGI、KSF、KPIといいます。

KGI(Key Goal Indicator) 重要目標達成指標

売上利益を用いることが多いが、売上利益に貢献する値の場合もあり、定量的に示してください。1つか2つが望ましいです。

KSF(Key Success Factor) 成功要因

KGIの達成のための成功の要因。環境、ユーザー、競合、自社の分析から、その業界において、何が成功するカギなのかという考えで特定します。

KPI(Key Performance Indicator) 重要業績評価指標

KGIを達成するために、必要なプロセスの到達度合いを計測するための指標。KGIを単純に分解したものではなく、KSFを満たす指標としてください。

これらの指標は、必ず環境分析や事業の戦略とデジタル化の方針から定めてください。ウェブ解析のデータを見て、ウェブの改善などから決めると、事業の成果につながる指標を作ることはできません。

よりよいKGIを定義する

KGIは1つか2つ程度が望ましいです。KGI売上利益などを設定することが一般的です。しかし組織を動かすKGIにするために以下の点を意識しましょう。

KGIは顧客満足をもたらすものにする

KGIは、顧客満足を指標として表すこともあります。例えば、あるコーヒー店は、顧客に対してコーヒーの文化とリラックスした空間を提供することをミッションにしていたとします。売上利益はより関係者を幸福にしつつ、より多くの人にミッションを果たすためであるというような表現ができます。継続的な顧客との良質な関係を、維持・拡大できたりといった指標が理想的です。

KGIは利害関係者の共感をもたらすものにする

KGIを、従業員や株主などの利害関係者が共感できる指標として表すこともあります。例えば、あるブランドは紳士服販売数が世界一であることを大事にしています。このような共感をもたらすKGIは関係者の共感を生むことができます。組織がこの指標を追い求めれば、自ずと売上利益も達成でき、さらにモチベーションを高めることができると理想的です。

KGIは事業の方針を数値化したものです。できれば顧客や関係者をワクワクさせることができる、分かりやすい指標をKGIとして定めると良いKGIになります。

よりよいKSFを定義する

KSFでは網羅性のある条件を定義しましょう。デジタルやオンラインに絞る必要はありません。以下の分析や戦略に沿って定義すると、網羅性を持たせることができます。

KSFは指標ではなく条件です。KGIを達成するためのあるべき姿を書いてください

KSFを環境分析から定義する

環境分析により気付いたKGIを達成するために、必要な条件を挙げましょう。

例えばPEST分析で顧客のニーズが大幅に変化するのであれば、対応した組織やサービスの状態がKSFになります。環境分析で気付いた課題はKSFに挙げましょう。

事業戦略はKSFに必ず反映させる

事業戦略から導き出せる、事業のあるべき姿を条件として挙げましょう。例えば、事業方針で地元市民への貢献とあるならば、地元貢献度の指標決定と測定などがKSFになるでしょう。事業戦略は事業全体が進むべき方向なので、KSFには欠かせない条件となります。

あるべき状態のデジタル化戦略をKSFにする

事業戦略達成のために必要なデジタル化戦略のあるべき姿を、条件として挙げましょう。例えば、メディアとサポートの立ち上げが必要なら、それぞれのあるべき状態をKSFにします。MELSAモデルを参考に、実現可能で事業にインパクトのある戦略を達成する条件をKSFにしましょう。

市場の規模、収益性、成長性から機会を見つけたとしても、競合の参入が早かった場合に脅威となり、その市場に魅力はなくなるかもしれません。しかし、対象事業には競合が真似できないような技術力や、チャネルを持っていたとすると、視点を変えることで、それが機会となるかもしれません。網羅性がないKSFは大きな失敗を引き起こしかねません。

関係者を動かすKSFにするためには、現在形のあるべき姿で表すことです。目指すべき姿が明確になり、行動につながりやすくなります。

よりよいKPIを定義する

KPIは、KSFに対する評価指標を定義しましょう。KSFが達成する、あるいは達成しないときの数値がKPIになります。例えば、サポートモデルであれば、ユーザーの満足度を高めつつ、コストを削減するといったKSFに対し、「問い合わせ件数を前月比10%下げる」「FAQの悪い評価が前月比30%以上増えてしまう」などの達成、未達成の指標をKPIとして定義します。

KPIはKGIの単純な分解ではない

KGI売上とした場合、オンラインの売上とオフラインの売上に分解しても、事業の進むべき戦略が導かれず、KPIの正しい設定とはいえません。正しいKPIの設定は、KSFから導きます。例えば、一般的な認知が低く、今は幅広く知ってもらうことが重要だとすると、KSFは「認知度向上」になり、KPIは「露出量を20ポイント増やす」や「認知率を10ポイント増やす」などになります。また、認知は十分にあるものの、価値が伝わっていないためにユーザーの消費が進まないという場合は、KSFを「ブランド価値向上」とし、KPIは「推奨度を5ポイント増やす」「エンゲージメント率を5ポイント増やす」などになります。このように、KPIは、KSFによって変わることに注意してください。

KPIは自社だけが追い求める独自のKPIを創る

KPIは、このテキストなどに乗っているKPIから選ぶものでも、既存事業の目標や競合と同じものを選ぶものでもありません。今までにはなく、競合が注目していないもので、自社にとって重要で、独自な指標を選定することで、差別化ができ、事業の成果につなげることができます。

KPIに仮説と施策をつける

KPIを立てたあと、そのKPIを評価する前にKPIそのものが正しいかという議論になることがあります。評価もせずにKPIの定義を再確認するのは、不毛な結果に終わります。KPIを立てたときに定義したそもそもの理由を明らかにするために、KPIを達成したときに起きることを、仮説として決めておきます。仮説がKPIと合わせてあれば、あとで定義の問題を再度議論するトラブルは防げます。また、KPIを達成するために行う施策があれば合わせて決めておくと、そのインパクト、実現可能性、スピードで実行の優先順位を決めることが用意になります。

KPIも最小限にしてください。10個を超えるようであれば、優先順位を決めて減らしてください。定期的に確認し、他の指標とほぼ連動する指標やKSFの達成と関連がない指標は廃止し、他の指標を測定してください。最小限のKPIを監視して、定期的に入れ替えるのが基本です。

3-2 メディアモデルのKPIと計画立案

メディアモデルとは、ニュースや専門性がある記事や、ある分野のまとめ記事など、コンテンツ記事を多く掲載するデジタル化モデルです。広告収入を得るものや、企業が運営するウェブマガジンやブログなどのオウンドメディアサイトも、その1つです。

メディアサイトの目的は、購読者の拡大と定期的な閲覧です。また、ユーザーからの認知度の向上に加え、広告や有料会員などによる収益といった、メディアとしての収益が高まっているかも重要です。

メディアモデルの目的は、基本的にページビューを増やすことです。サイト運営には以下の目的があります。

  • 広告収益の拡大
  • 認知度を高める・露出を広げる
  • エンゲージメントを高める・理解を深める

3-2-1. メディアモデルのビジネス用語

メディアモデルで知っておくべき用語を紹介します。

広告に関する用語

広告に関するメディアを、ペイドメディア(Paid Media)と呼びます。

運用型広告

ターゲット(オーディエンス)や広告枠に合わせてクリエイティブを設定し、広告費を入札して出稿する広告。つまり出稿する広告を管理(運用)する広告のことです。検索連動型広告やソーシャルメディア広告が当てはまります 。

純広告

期間やクリック数インプレッション数などを指定して配信する広告です。

広報に関する用語

広報に関するメディアを、アーンドメディア(Earned Media)と呼びます。

メディアリレーションシップ

メディアの記者・ディレクターと信頼関係を築いていくことです。

インフルエンサーリレーションシップ

インフルエンサーと信頼関係を築いていくことです。

口コミ(Word of Mouth)

口頭でのコミュニケーションの略です。オンライン・オフラインを含む人々の噂を指します。

シェアに関する用語

ソーシャルメディアなどユーザーがシェアするメディアを、シェアードメディア(Shared Media)と呼びます。

オーガニックソーシャル

広告ではないソーシャルメディアの投稿です。

レビュー

商品販売サイトやアプリなどのユーザーの投稿です。

ソーシャルブックマーク

自分のブックマークを共有し合うサービスです。

メッセンジャー

個人同士がテキストや絵文字などで会話をするサービスです。

自分が所有するメディアに関する用語

自分が所有・管理するメディアを、オウンドメディア(Owned Media)と呼びます。

広義のオウンドメディア

ソーシャルメディアのキャンペーンが欠かせないアジア圏(中国を含む)の場合、ソーシャルメディアの自社アカウントもオウンドメディアと見なされることがあります。これを広義のオウンドメディアと呼びます。

ウェビナー

ウェブで、ライブやオンデマンドなどの方法で、動画セミナーを配信することです。

ポッドキャスト

主に音声をネット上に公開する手段で、専用アプリで番組提供できます。基本は無料です。

それぞれのメディア中間にあたるマーケティング手法

アーンドメディアとペイドメディアのどちらにも当てはまる手法

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーに依頼をして商品を紹介してもらうマーケティング手法です。

ペイドメディアとオウンドメディアのどちらにも当てはまる手法

アフィリエイトマーケティングは、商品紹介やサービス利用に応じて広告費を払うマーケティング手法です。

アーンドメディアとシェアードメディアのどちらにも当てはまる手法

ユーザー生成コンテンツ(UGC:User Generated Contents、ユーザーが個人で生成したコンテンツ)は、ユーザーからのレビューの数をどれだけ獲得するかというマーケティング手法です。

シェアードメディアとオウンドメディアのどちらにも当てはまる手法

キュレーションコンテンツは、テーマにあわせて集めたコンテンツを掲載するマーケティング手法です。

メディア全体で重要なこと(CATTES)

すべてのメディアに欠かせないことは、評判(レピュテーション)です。評判には6つの要素があります。

信憑性(クレディビリティCredibility)

コンテンツに嘘や不確かな情報がないこと。

権威性(オーソリティAuthority)

考えや意見で影響を与えたり指導できる力があること。

信頼性(トラストTrust)

コンテンツが、信じることができるもので、頼りにできること。

先見性(ソートリーダーシップThought Leadership

特定の分野で将来を先取りし、人々の思想や議論形成を引き起こせること。

わかりやすさ(イージートゥアンダースタンドEasy to Understand)

誰でも理解しやすいこと。

速報性(スピーディー Speedy)

素早く、即時に発信すること。

そしてこれらのメディアを巻き込んでいくことで、検索エンジンの評価も上がり、検索エンジンでの露出が増え、トラフィックが増えます。

これらのメディアの頭文字をとったPESOモデルを提唱する、SPIN SUCKSのPESO Model図が全体をわかりやすく伝えていますのでご紹介します。メディアごとの関係を知るために、参考にしてください。

図:SPIN SUCKSのPESO Model

図:SPIN SUCKSのPESO Model
<https://spinsucks.com/communication/pr-pros-must-embrace-the-peso-model/>

3-2-2. メディアモデルのKPI

メディアモデルで重要な指標となるページビュー数を増加させる方法は、SEO、サイト内の改善、ソーシャルメディアの運用など、数多くあります。その中で、運用しているサイトの目標にあったKPIを設定し、PDCAを回していくことになります。

広告収益の拡大を目的とするKPI

露出を広げつつ、ユーザーの広告に対する関心を高めることが必要です。KPIは以下のとおりです。

認知度を高める・露出を広げるKPI

いかに多くの人の目に触れ、関心を持ってもらえるかがKPIになります。アクセス解析で取得できるデータ以外に、ユーザーの言及数などが参考になります。見込み客の開拓と良いイメージの普及に貢献できるようにコンテンツを作ります。次のような指標が参考になります。

  • キーワード検索順位、外部リンク数、SNS経由流入数
  • 商品やサービスの固有名詞での検索エンジン上のクエリ数
  • SNSやブログでのユーザーの言及数、発言内容(ポジティブ・ネガティブなど)

エンゲージメントを高める・理解を深めるKPI

ユーザーの関心や理解の深さがKPIとなります。次のような項目を調べます。

3-2-3. メディアモデルの改善と計画立案

メディアモデルの重要なKPIは、ページビュー数です。ここではメディアごとの計画と改善を紹介します。計画を作るにあたり、解析結果から正しく課題を発見し、施策につなげる提案を作ります。メディアモデルでは、ページビュー数インプレッションImpImpression)、ユーザー数リーチReach)と呼ぶことが一般的です。

メディアの効果測定では、扱う指標が変わります。メディアのCTRではインプレッション数ではなく、よりユーザの実際の人数に近いリーチ数を用います。また、メディアのCVRでも、メディアに到達した訪問した人数に近いリーチ数を用います。ここでは説明文を必ず確認することと、実務においては計算式を必ず確認してください。

メディア全体の解析と改善

それぞれのメディアの指標を見て、問題点を見つけることで、改善を検討することができます。全体の数値と比較して問題点を見つけましょう。なおCTRCVRリーチ数Reach)を分母とします。

表:あるサイトの各メディアの指標

Imp

Reach

Click

CV

シェアードメディア

40,000

30,000

3,000

30

アーンドメディア

30,000

15,000

500

5

ペイドメディア

20,000

10,000

1,000

2

オウンドメディア

10,000

5,000

500

3

全体

100,000

60,000

5,000

40

ImpインプレッションReachリーチ、Click:クリック、CVコンバージョンCTR:クリックスルーレート、CVRコンバージョンレート

例えばこの解析結果からのメディアごとの改善施策は以下になります。

シェアードメディア(Shared Media)の改善点

Reachの割にImpが低いので、もっとユーザーにコンテンツを何度も見てもらえる施策を実施しましょう。投稿内容や広告を魅力的にする必要があります。

表:シェアードメディアのImp/Reachが低い

Imp

Reach

Imp/Reach

シェアードメディア

40,000

30,000

1.3

アーンドメディア

30,000

15,000

2.0

ペイドメディア

20,000

10,000

2.0

オウンドメディア

10,000

5,000

2.0

全体

100,000

60,000

1.7

アーンドメディア(Earned Media)の改善点

CTRが低いので、クリックを促すコンテンツを強化しましょう。プレスリリースからクリックを誘導する必要があります。

表:アーンドメディアのCTRが低い

Reach

Click

CTR

シェアードメディア

30,000

3,000

10.00%

アーンドメディア

15,000

500

3.33%

ペイドメディア

10,000

1,000

10.00%

オウンドメディア

5,000

500

10.00%

全体

60,000

5,000

8.33%

ペイドメディア(Paid Media)の改善点

CVRが低いので、もっとコンバージョンに誘導しましょう。コンバージョンにつながる広告を打つ必要があります。

表:ペイドメディアのCVRが低い

Reach

CV

CVR

シェアードメディア

30,000

30

0.10%

アーンドメディア

15,000

5

0.03%

ペイドメディア

10,000

2

0.02%

オウンドメディア

5,000

3

0.06%

全体

60,000

40

0.07%

オウンドメディア(Owned Media)の改善点

ImpReachが少ないため、もっと集客しましょう。検索からの誘導も促すため、ユーザーが関心を持つコンテンツをオウンドメディアに掲載する必要があります。

表:オウンドメディアのImpReachが低い

Imp

Reach

シェアードメディア

40,000

30,000

アーンドメディア

30,000

15,000

ペイドメディア

20,000

10,000

オウンドメディア

10,000

5,000

全体

100,000

60,000

メディアごとの解析と改善

シェアードメディアのコンバージョンを30から60にする計画を立てるとします。シェアードメディアのコンバージョンを増やすには、どのような方法があるでしょうか?

ここでもCTRCVRリーチ数Reach)を分母とします。

表:シェアードメディアのCVを伸ばす施策ごとの指標

現状

施策1

施策2

施策3

Imp

40,000

80,000

40,000

40,000

Reach

30,000

60,000

30,000

30,000

Click

3,000

6,000

6,000

3,000

CV

30

60

60

60

施策1

集客を行ってコンバージョンを増やす方法です。

ImpReachがそれぞれ80,000、60,000になるため、ClickとCVも倍になります。

投稿を増やす、他者の投稿に積極的に関わっていくなどの施策が考えられます。

表:施策1を実施した場合の指標

現状

施策1

Imp

40,000

80,000

Reach

30,000

60,000

Click

3,000

6,000

CV

30

60

CTR

10.00%

10.00%

CVR

0.10%

0.10%

施策2

クリック率CTR)を上げる方法です。ImpReachは変わりませんが、クリックが6,000になるためCTRが20.00%になっています。

投稿からのリンクを増やす、クリックしたくなるクリエイティブを強化するなどの施策が考えられます。

表:施策2を実施した場合の指標

現状

施策2

Imp

40,000

40,000

Reach

30,000

30,000

Click

3,000

6,000

CV

30

60

CTR

10.00%

20.00%

CVR

0.10%

0.20%

施策3

コンバージョン率CVR)を上げる方法です。ImpReachもClickも変わりませんが、コンバージョンが60になったためCVRは2.00%になっています。コンバージョンしたくなるようコンテンツを強化するなどの施策が考えられます。

表:施策3を実施した場合の指標

現状

施策3

Imp

40,000

40,000

Reach

30,000

30,000

Click

3,000

3,000

CV

30

60

CTR

10.00%

10.00%

CVR

0.10%

0.20%

3-2-4. メディアモデルの多様性

海外でのメディアモデルでは、オンライン、オフラインさまざまなメディアを活用します。

オンライン・オフラインのメディアミックス

ここから紹介するのは、オンライン、オフライン・ソーシャルメディアなどの、さまざまなメディアを組み合わせて相乗効果を高める方法です。

日本のメディアでは、雑誌、新聞、ウェブメディア、それぞれメディアが独立しています。そのため、複数のメディアでプロモーションを展開していく際にも、それぞれに対して広告を打っていく必要があります。

中国では、1990年代後半に中国のポータルサイトが登場しました。「ネットイース(網易:NetEase)」 <https://www.163.com/>「ソウフ(捜狐:Sohu)」 <https://www.sohu.com/>「シナ(新浪:Sina)」 <https://sina.com/>は、のちに3大ポータルサイトと呼ばれるようになり、現在も検索エンジン、ウェブディレクトリ、ニュース、ミニブログといったさまざまなコンテンツを提供しています。近年では「今日頭条(ジンリー・トウティアオ)」<https://www.toutiao.com/>といった新興のニュースサイトも多数登場しています。これらは、AI編集や動画記事などを次々に取り入れており、技術開発競争が激化しています。

東南アジアでは、伝統的なメディアである新聞・雑誌の発行部数は人口に対して少なくなっていますが、日本以上にデジタル化が進んでいて、メディア企業は独自の進化を遂げてオンライン、オフラインのメディアを活用しています。

例えば、インドネシアの「OKE ZONE.com」 <https://www.okezone.com/>は、ウェブメディアに加え、オンラインテレビや地上波を保有・運営しつつ、ターゲットを絞り込んだ上でのイベント開催などを行っています。そうすることで、デジタル上の広告としてだけではなく、リアルの販売促進につなげるメディアパワーを持っています。

またアジアでは、検索エンジンでウェブサイトを検索するより、ソーシャルメディアやメッセンジャーを利用して情報を交換することが多くなっています(『台湾のSNSでビジネスをやるための「知名度UP」と「運営体制」』 <https://www.waca.associates/jp/column/30660/>)。Facebook、InstagramなどのSNSからの発信は、自社アカウントによる発信力がオウンドメディア以上に強いため、日本のようにオウンドメディアをつなぐアーンドメディアとしての活用ではなく、ソーシャルメディアの自社アカウントも、オウンドメディアの1つとして活用しています。

アジアで高度化するメディアミックスによるプロモーション例

東南アジアのプロモーションの例です。

まずペイドメディアを使って広告を出し、集客します。自社のSNSで発信をしつつ、メディアに広告として記事を出稿し、そのメディアのSNSによる出稿告知という両方からアプローチをかけます。また、そのアプローチによって、一般消費者の認知段階の受け先として、自社のウェブサイトをオウンドメディアとして活用し、その中に自社CMもしくは商品・サービスの紹介・説明動画を埋め込みます。

図:メディアミックスによるプロモーション例1

図:メディアミックスによるプロモーション例1

その他、大型ショッピングモール内でのタッチ&トライイベント(試作品や試食を試せる催事場などでのイベント)や、屋外広告などで認知度向上の訴求を行うなど、トリプルメディア+オフラインでの訴求を組み合わせて、クロスメディアで展開をしていきます。そして、前述のように日本ではメディアごとに業務内容が分かれていますが、東南アジアでは1つのメディアですべての対応が可能な場合が多いのです。

図:オフラインイベントや屋外広告を組み合わせることもある

図:オフラインイベントや屋外広告を組み合わせることもある

3-2-5. アナログな営業マンの営業ルートのメディア化の事例

オンラインメディアに弱い事業をメディア化した事例を紹介します。

扱っているサービスは、専門業界の営業マン向けの教育コンテンツを定期購読するというものです。人件費とは別に広告費を毎月5~10万円かけていましたが、ランディングページからの注文は月間1件あるかないかという状態でした。そこで、オンラインメディアとオフラインメディアを組み合わせて注文を増加させました。

広告の成果が上がらない現状

現状リスティング広告やSNS広告をやっているが、毎月のオンラインからの新規申し込みが1件あればいい程度でした。また、営業マンは法人を訪問し商談、受注とつなげる活動を行っていました。

提供するサービス概要は、下記のとおりです。

  • 専門業界の営業マン向けの教育コンテンツの年間契約
  • 新卒営業マンや異業種からの中途採用の営業マンに向けた業界知識や構造などを学ぶ
  • 単価は1万円/年

毎月の予算は、人件費を含まず、広告費10万円、その他5万円のコストをかけていました。つまり、広告費10万円に対して、直接的な受注は1万円、ROAS10%という状態でした。このような状況をもとに、KGIはシンプルに売上に設定しました。

売上=単価×成約数

このKGIを達成するための方法を検討しました。

ログとSNSによるメディアの展開に方針転換

これまでの方針ではデジタルマーケティングで成果を上げることは難しいため、方針を抜本的に変えました。

  • 広告費をゼロにし、内製化する
  • 口コミとSNSのバイラルでの拡散を狙う

広告での集客は効果がないことは明らかです。そこで集客できる広告を強化せず、社員でオウンドメディアを立ち上げることにしました。メディアを立ち上げると、インタビューする社員が営業マンのニーズや課題を直接聞くことができ、現場の声や社内での教育体制や資料などのヒアリングができるという副次的効果もありました。

自社の強みを明確にし、オウンドメディアとSNSの運用を内製化し、口コミやシェアで拡散し、申し込みを増やすという方針に決めました。

方針に基づく、施策の洗い出し

この方針に沿って、するべき施策を以下のように洗い出しました。

  • SNSを運用し見込み顧客との接点の構築
  • オウンドメディアの開始
  • スクショ(スクリーンショット)してSNSで共有できるコンテンツの作成
  • 取材、インタビューした人が口コミをしたくなるコンテンツ制作
  • 名刺にQRコードを載せてランディングページやブログへの導線の構築

この方針をもとに、口コミやシェアが起こる導線を作ることを意識しました。オウンドメディアでは検索流入と、SNSからの流入、それとコンテンツを知っている人からの口コミ流入を計測しました。

図:目標達成のためのロジックツリー

図:目標達成のためのロジックツリー

プロジェクトスタート時に決めた仮説と検証方法

まずはスタート時にすべきことを無理がない範囲で明確にし、活動することです。活動を始めなければ、どれが効果的か、どこに力を集中すべきか明確になりません。そこで無理がない範囲での活動を決めます。

メディア化するための仮説検証

プロジェクトスタート時は以下のような仮説検証をしました。

詳細は以下になります。まずメディアのコンテンツを決める仮説検証を行いました。

1. 共感記事コンテンツの作成と検証

オウンドメディアの立ち上げで意識するのは最初のアクセスをどう集めるかです。今回提供しているサービスが専門業界の営業マン向けの教育コンテンツということもあり、営業マンが抱えている課題や悩みに共感する記事コンテンツの作成をして、課題や悩みに共通点を持った人たちが共感してアクセスが集まりリピートをするのでは? という仮説を立てました。

しかし記事を書いて、SEOを狙っていくということではありません。

また、営業マンの営業活動の中で、訪問先で名刺やメールを通して、ブログのコンテンツを紹介する導線を設定し、1記事ごとのPVとUUをもとに、共感できる課題とは何か? という視点で、「現場のリアルな声はどのようなコンテンツなのか」を見極めていくことで、記事作成の方向性を模索していきました。

その結果、効果的な共感記事コンテンツの作成のコンテンツ制作量は1ヶ月20~30記事程度、文字数は500~1500文字程度で生産していくと毎月PVとUUが伸び続けるということが分かりました。

2. ノウハウ記事コンテンツの作成と検証

次に、課題解決や目標達成をするためのノウハウ記事でリピートした人への価値提供をすれば、教育コンテンツに興味を持つのではないかと仮説を立て、ノウハウ記事のコンテンツを作成しました。実際に現場で活動している営業マンの悩みや課題を解決するノウハウのUUが伸びました。さらに、今からスキルアップしたいという人の上級者向けのコンテンツも一定数のUUを獲得していることが分かりました。ノウハウ記事のコンテンツ作成は1ヶ月に5-10件程度だと毎月のPVとUUが安定していくことが分かりました。

3. 成功事例の記事コンテンツ作成

前述の通り、スキルアップをしたいという一定のユーザーがいたため、スキルアップしてうまくいっている営業マンの事例や、そのために行った施策などの成功事例コンテンツを作成して反応を確認しました。成功事例まで見ている人は、コアなファンになっているという仮説を立てました。そしてユーザーを成功事例の記事に誘導するように、ノウハウ記事の文中に成功事例へのバナー画像とパラメーターリンクを設置して流入数を確認し、効果的な設置方法の精度を上げていきました。成功事例の記事コンテンツは1ヶ月に1~3記事を作っていくと安定していくとこが分かりました。

4. 記事ごとのUUの獲得割合

テストした3ヶ月の結果はPV620,UU500でした。共感記事60%、ノウハウ記事30%、成功事例記事10%でした。

図:成果までの導線

図:成果までの導線

SNSでの仮説検証

1. キャラと実名施策検証

公式スタッフのアカウントを、キャラアカウントと実名アカウントどちらにするかを決めました。教育コンテンツにキャラがいたので統一性を図るということで公式キャラアカウントとして運営をスタート。Instagramは、インサイトで数値を測定するためにビジネスアカウントを用意しました。

2. TwitterとInstagramの検証

TwitterとInstagramを1ヶ月運用し、フォロワーの伸びやエンゲージメントを図りました。フォロワーが300に到達するかどうか、エンゲージメント率が2%以上になるかどうかを測定の基準にしました。最初の印象では、営業周りの共感を言葉によって取るというイメージがあり、Twitterが優勢ではないかという仮説がありました。しかしInstagramではフォロワーが300を超えたのに対して、Twitterは150程度までしか伸びませんでした。Instagramでインプレッションが伸びたのは、仕事の現場で実際起きる状況をイラストや画像で紹介し、本文にその解説を載せるコンテンツがインプレッションとエンゲージメントを伸ばせるからでした。Instagramの投稿頻度は1日3投稿以上、写真2枚以上、イラストは4枚、本文は300~500文字程度でエンゲージメント率平均3%以上になると分かりました。

3. Instagramからブログへの導線の検証

この1ヶ月のInstagram運用時にプロフィールにブログへの導線も付けて検証しました。ビジネスアカウントにしているので、プロフィールの閲覧数とブログへのリンクのクリック数がカウントできます。インプレッションが5000、プロフィールのアクセスが150~300、リンクのクリック数が50~100でした。

4. アナログ導線の検証

アナログ導線の教育コンテンツからの口コミやシェアを伸ばすには、どの方法が良いか仮説を立て検証しました。専門業界の営業マン向けの教育コンテンツを作る際に、取材やインタビューします。その皆様に取材やインタビュー後のお礼を送るメールやLINEのやりとりの中で、記事が載ったことをFacebookやLINE、その他のSNSでシェアすることを提案しました。すると、インタビューされた方は、喜んで口コミやシェアをしてくれることが多いということが分かりました。この施策で、教育コンテンツの記事のUUは平均月100~150UUが入ってくると分かりました。

コンバージョンの検証

商品紹介ページは、サービス紹介のテキストを1500文字程度で作成しました。そして、BASEのカート設置とGoogleフォームの申し込みフォーム設置を行い、どちらが優れているかのテストを開始しました。

1. 稟議を通すための施策の検証

このサービスを利用する営業マンと決裁者が違うため、決裁者への稟議を通すための資料を送るフォームが必要かをテストしました。またこの場合Baseのカートでは人数分の注文をする手間がかかることを考慮し、法人向けにGoogleフォームを設置し、受講するスタッフの人数分をまとめて発注できる項目を設定して申し込みボタンからの導線を設置しました。

2. 商品ページへの導線

一方、記事内からカートへのバナーリンクにパラメーターを設置して、どの記事からカートに遷移するかのテストを開始しました。

また営業マンの共感を得ながら、現場で使えるノウハウを学べるという導線を確保するため、共感コンテンツの記事には商品ページへの導線を載せず、ノウハウ記事の中に商品紹介ページへのリンクを設置するテストをしました。その結果問題なく成約につながりました。

3ヶ月後の仮説検証期間の結果

表:検証期間のブログ記事内訳と指標

共感記事

ノウハウ記事

成功事例記事

PV(月間)

UU(月間)

20~30本

5~10本

1~3本

620

500

表:検証期間のInstagram内訳と指標

投稿数

フォロワー

imp

エンゲージ
メント率

プロフィールの

リーチ数

リンク

クリック数

1日3投稿以上

320

5000

3%以上

300

100

表:検証期間の商品ページの種類と成約数

Base成約数

Googleフォーム

備考

成約数

0

0

Baseからは4ヶ月目に1件制約

仮説検証後の活動方針成果指標の設定

KSFはアナログなつながりから口コミやバイラルが生まれて売り上げが上がるようにすることです。営業マンの記事コンテンツ作成の作業としてやっているインタビューや、取材を起点に掲載した人たちが口コミやバイラルを行う仕掛けを作ります。

KPIの設定をする際、成約数につながる申し込みの母数となるランディングページの問い合わせボタンのクリック数と、コンテンツを販売するECサイトの購入ページにつながるボタンのクリック数を指標にしました。ランディングページ、ECサイト2つのページに対して連動するのは、SNS、ブログ、名刺(QRコード)からの流入数となります。流入数を最大化するために、SNSのインプレッション、ブログのUUを仮に設定しました。

メディア施策立案
1. 営業マンの名刺のQRコードの導線

毎月10~15人のインタビューや取材をしている社員2人に、毎回営業で名刺を渡すときにQRコードからブログへ飛べることを伝えてもらい、名刺のQRコードからの流入数を計測しました。毎月の名刺から5人の遷移を目標にしました。

2. Instagram

毎日の更新の頻度を上げてまずはフォロワーを1000人、インプレッションを30万にすることを目標に設定しました。

投稿数を1日5回以上に増やし、専門業界のインスタアカウントをフォローしてファボとリプでコミュニケーションを取り、エンゲージメントを4%以上に上げることとしました。

3.ログ

1記事あたりのPVとUUを底上げするために、記事を作った人ごと、記事ごとにPVとUUのランキングをつけるスプレッドシートを作成し、記事を作った社員やアルバイト、フリーランスの方の得意分野を割り出し、得意分野の記事作成に注力してもらえる体制を作ることにしました。

共感記事のPVとUUが高くなったカテゴリの記事を増やし、既存の記事のリライトや記事内の関連記事のリンクなどを調整して毎月見られるようにしました。

ノウハウ記事は毎月UUのランキングで放っておいてもUUが安定する記事をマークして、その記事を定期的にリライトする施策を立てました。

4. 商品ページ

商品ページのテキストは、ターゲットとなる営業マンや上司に向けてのメッセージを変更しながら毎月画像変更とリライトをすることにしました。導線となるノウハウ記事のページや成功事例記事のページからの内容と、商品ページのPVとUUを見ながらリライトを行うことにしました。

5. カート

BASEの商品画像と初回文章をノウハウ記事からの導線に合うように常にリライトをすることにしました。

6. 申し込みページ

Googleフォームの選択肢を日々調整することにしました。説明する文章とまとめて発注できる場合の値引き率の調整をしながら、購入を促せる書き方はどれかを1つ1つ試すことにしました。

その後の実績(3ヶ月〜6ヶ月)

表:3ヶ月~6カ月後のブログ記事内訳と指標

ログ記事投稿

共感記事

ノウハウ記事

成功事例記事

PV(月間)

UU(月間)

3ヶ月後

20-30本

5-10本

1-3本

620

500

4ヶ月後

20-30本

5-10本

1-3本

830

650

6ヶ月後

20-30本

5-10本

1-3本

1600

900

表:3ヶ月~6カ月後のInstagram投稿の内訳と指標

Instagram

投稿数

フォロワー

imp

エンゲージ

メント率

プロフィールの
リーチ数

リンク

クリック数

3ヶ月後

1日3投稿以上

320

5000

3%以上

300

100

4ヶ月後

1日5投稿以上

780

10000

3.5%以上

800

230

6ヶ月後

1日5投稿以上

1050

30000

4%以上

2500

600

表:3ヶ月~6カ月後の商品ページの種類と成約数

Base成約数

Googleフォーム

売上

備考

3ヶ月後

0

0

¥0

Baseからは4ヶ月目に1件制約

4ヶ月後

1

0

¥10,000

6ヶ月後

3

2

¥130,000

※まとめて発注で合計10口の申し込み

メディア化の実施結果

営業マンの名刺のQRコードの導線

お伝えしたとおり、営業マンから取材した方に、ブログの紹介をお願いしたのですが、その結果、それを見た同じ業界の営業マンが、ブログが上がるたびに引用元URLを載せた投稿をTwitterやFacebookで上げてくれるようになりました。そして今まで、リーチできていなかった営業マンとSNSを通じてコミュニケーションを取ることができるようになりました。その結果、営業マンのニーズや課題やキャリアビジョンなどの把握をすることが容易になり、記事コンテンツ作成とサービスである教育コンテンツのクオリティアップにも貢献できるようになりました。営業マンをクローズアップして取り上げるようにしたところ、営業マンの中から何人か、寄稿をしたいという人が出てきて社内以外での記事コンテンツが充実するという変化が起きました。

Instagram

毎日の更新の頻度を上げてまずはフォロワーを1000人、インプレッションを30万にすることを目標に設定したのですが、インプレッションがそこまで伸びませんでした。しかし投稿をしていく中で、キャラクターが説明をしていくような紙芝居形式のコンテンツのファボが伸びて、営業をした際に名刺がわりに使えるようになるようになりました。

「ファボ」とは

「いいね!」のこと。「ふぁぼ」とも表現する。

ログ

記事を作った人ごと、記事ごとにPVとUUのランキングをつけるスプレッドシートを作成しました。そうした方がうまく管理でき、運用がしっかり軌道に乗りました。

商品ページ

商品ページのテキストも最初はいろいろな箇所を修正していましたが、実際に成約につながったのは良い画像を掲載したときでした。当初はフリー素材を使っていましたが、特集で取り上げた営業マンの写真などを加工して載せることで、申し込みボタンが押される回数が上がりました。

カート

BASEでの注文は法人からの成約につながりにくいことがわかったので、クレジットカード決済で即座に申し込みたい個人の営業マンを対象にした訴求テキストに変更しました。

申し込みページ

Googleフォームでは年間契約の契約数を1から選べるようなプルダウンにしていたのですが、アカウント数をラジオボタンで選べるようにしたところ成約につながりました。

メディア化で生まれた業務の改善

記事の本数は多くてもあまりPVやUUを上げられない人はチームから外れてもらいました。そしてフリーランスの方に書いてもらう記事も1文字あたりでのお支払いをしていましたが、記事の効果を見て発注する分量を調整することができるようになりました。営業マンとフリーランスが毎月同じ文字数で記事を作りながら、記事の内容を見てそれぞれの得意分野を見つけ出し、各自得意分野の記事作成に注力してもらう体制を作ることで効果が上がりました。

共感記事の内容も、当初は、職場での人間関係などの対応についての記事のPVとUUが高くなりましたが、稟議が通りやすくなるコンテンツではなかったため、売上は伸び悩みました。そこで方針を変え、顧客の厳しい質問に困っている営業マン向けに、どう反論し、どう処理するかなど、よくある営業マンの悩み解決という方向で共感コンテンツを変更していきました。そのときの記事のPVとUUを見ながらその内容を固めていきました。

ノウハウ記事も、当初は当たり障りのない営業マンの一般的なノウハウ記事にしていました。この内容はPVやUUは稼げるものの、商品ページへの移動があまりありませんでした。そこで、PVやUUを見ながら、専門業界に特化したノウハウや、見積もりの立て方などの具体的な内容にシフトしていくことで、商品ページへユーザーが移動するようになりました。

成功事例については、当初は実際に取れた契約の内容での気づきなどを書いていました。しかし成功した営業マンのストーリーを記事化したり、実際のあった体験などを書くようにしてから、PVやUU、商品ページへのトラフィックが増えました。

記事コンテンツを書くときは、書いているライターごとにカテゴリや内容を分類したスプレッドシートを準備しました。これにGAのデータを入れ、記事とトラフィックを一元管理することで、個別の記事の傾向を見ながら細かく方向転換を行うことができました。

最後に、リライトタイマーというものを設け、最後に記事を更新したタイミングを記載しておき、一定期間経過したらリライトをするタイミングを取るようにしました。これにより定期的にリライトすることで、再度PVやUUが復活したかどうかの数字も測ることができました。

そしてライターのモチベーションとなったのはランキングです。PV、UU、商品ページへのトラフィックなど、自分の得意な領域で必ずスポットライトが当たるように、切り口を変えてランキングを行いました。するとチームで使っているチャットツールなどで、ライターの活動に反応したり褒めたりといった承認活動が起き、高いモチベーションを維持できました。実はオウンドメディアの内製化での失敗の多くは、モチベーションが続かずに書くのをやめてしまったり、数はしっかり書いているのに、適正に評価されずモチベーションが下がることで起きます。今回は上記のようにライターごとに管理して承認してあげることでモチベーションを維持することができました。

アナログな中小企業でもメディアの立ち上げはできる

アナログな営業マンのみで商品やサービスを売っている場合でも内製でメディアを立上げることは可能です。ポイントは最初からKGIとKPIを決め打ちにするのではなく、コンテンツ作成やSNS運用をする人への教育をし、どれくらいの速度でメディアを作れるかの仮説実証のプロセスを作ってから、KGIやKPIを見直しをしつつ、施策立案をしていくことです。

3-3 イーコマースモデルのKPIと計画立案

イーコマースモデルコンバージョンは、売上に直結するためイーコマースサイトの売上金額や増加率が目標となります。イーコマースモデルでは、コンバージョンするまでに一般的に9ページの訪問が必要です。他のモデルに比べて多いため、必ずユーザーにコンバージョンへの移動を促すページを明確にしなければなりません。

市場動向は<https://www.meti.go.jp/press/2019/05/20190516002/20190516002-1.pdf>に詳しく掲載されています(平成30年)。

図:一般的なイーコマースサイトの訪問からコンバージョンまでの流れ

図:一般的なイーコマースサイトの訪問からコンバージョンまでの流れ

また、日本では電話での注文が、中国ではチャットツールでの注文が多いので、合わせて測定が必要です。

3-3-1. イーコマースモデルのビジネス用語

ここでは、イーコマースモデルに必要な用語を紹介します。

ショップ全般で使う用語

ショッピングカートシステム

ECを実現するための商品登録やカート、決済システム、顧客管理を備えるサービスです。レンタルカートなどと呼ばれる、サブスクリプション型のカートサービスを利用する場合と、自社のウェブサイトにショッピングカートシステムを導入するケースがあります。

フリーマーケット

フリマとも略します。販売者が商品と価格を登録し、販売者の提示した価格で購入者は購入するサービスです。

ネットオークション

オークションともいいます。販売者が商品登録し、もっとも高い落札価格を提示した購入者が購入するサービスです。

変動費の用語

ロジスティックコスト(在庫・配送料・梱包コスト)

物流や配送、梱包にかかるコストです。在庫コストや配送地域によるコスト増加には気を付ける必要があります。

決済手数料・ポイント費

決済システムを利用すると、システムの利用に加えて、決済金額に応じた手数料がかかります。また、ポイントシステムを使うと、ポイントシステム費用とポイントの計上をコストにする必要があります。

固定費の用語

返品・クレーム対応費

返品はウェブサイト上では把握できませんが、経営上の大きなコストになっている可能性があります。また、クレームに対する対応コストも、商品によっては検討しなければならない場合があります。

商品維持・廃棄コスト

商品には、維持コストがかかるもの、期限を過ぎたら廃棄するコストがかかるものもあります。

出店手数料・システム利用料

ショッピングモールでは、月額費用や売上に応じた手数料がかかります。

商品登録作業費

商品登録には、写真撮影、寸法などの情報収集、ウェブサイトへの掲載をする作業コストがかかります。大量の商品を扱うときに、「さ(撮影)、さ(採寸)、げ(原稿)」の業務を行う「ささげ屋」と呼ばれる専門業者もいます。

広告費・広告手数料

オンラインとオフラインの広告コストがかかります。また、広告代理店や運用代行会社の手数料も必要です。

キャンページページ作成

キャンペーンに必要な、ランディングページやウェブサイト構築にもコストがかかります。

既存顧客メルマガ・SNS利用

メルマガの配信やSNSの運用を外部に依頼している場合は、そのコストがかかります。

各種人件費

店舗、販売促進、物流、経理、総務など、さまざまな人件費がかかります。

販促手数料

アフィリエイト広告を使う場合はアフィリエイターに、店舗や卸を経由したキャンペーンでは手数料がかかります。これらの販促手数料も計上します。

システム開発費

システムの維持にもコストがかかります。また、新規システム開発を伴う場合は追加コストがかかります。ただし、会計上、毎年一定額の減価償却費として計上することもあります。

バックヤードオペレーションコスト

物流、在庫、受発注業務などの販売に欠かせないコストです。在庫量・点数が増えたり、チャネルが増えたりすると、増大します。

3-3-2. イーコマースモデルのKPI

イーコマースモデルでは、通常ショッピングカートやモールのデータを用います。アクセス解析や広告効果測定と違い、コンバージョン数CVRはユーザーを分母とします。そのためCVRは何度も訪問したユーザー単位のコンバージョンになるため、数字が違うことに注意が必要です。

アクセス解析・広告効果測定ツールのCVR
CVRコンバージョンしたセッション
   ÷サイト全体のセッション
ショッピングカート・ショッピングモールのCVR
CVRコンバージョンしたユーザー数
   ÷店舗訪問したユーザー数

後者は前者に比べ、CVRが上がる傾向があります。1人のユーザーが何度訪問しても分母は変わらないためです。後者は1人のユーザーが何度も訪問すると、すべて加算されるためです。

商品を購入してもらえるよう、ユーザーあたりの訪問数を増やしたいときに、セッション数を分母にすると施策を行うたびに下がってしまうため、ユーザー数を分母にします。

イーコマースモデルのKPI

サイト全体の傾向や問題点を調べるためのKPIです。月次比較をして現状を把握し、計画に利用してください。

新規購入者数・リピート購入者数

新規購入者数と2回目以降の購入者数の比較です。新規購入者獲得とリピート購入者獲得では、その後、顧客ごとの売上を伸ばす施策は異なるためです。

購買頻度・購買回数・客単価

客単価、購買頻度、購買回数が伸びると売上が上がります。これらを細分化して分析することを、RFM分析とも言います。

「RFM分析」とは

Recency(直近の購買⽇)・Frequency(購買頻度)・Monetary(購買⾦額)の頭文字をとったもの

商品ページ閲覧数 ・商品ページ直帰率

ウェブサイト上で見られている商品を分析するために、よく指標として用いられます。関心を持たれている商品を特定するためです。商品名でのサイト内検索での検索回数も参考になります。

ショッピングカート投入数・ショッピングカート放棄率

商品を購買する意欲を持たれているか、その後、購入を諦めているかの指標です。その商品が購買に至らなかった理由は何かを調べます。

電話、FAX、郵送での注文数

商品は、オンラインで購入されるとは限りません。そこで、これらを記録し、オフラインでの購入も合わせて成果として評価する必要があります。

CPCCPAROAS

広告を展開している場合は、これらの指標を商品ごとに調べます。商品ごとに広告が関心もたれているか(CPC)、広告に対して購買につながっているか(CPA)、その売上広告費用に対し十分獲得できているか(ROAS)を調べます。

注文後キャンセル率・返品率

キャンセルされた商品や返品になった商品を特定し、競合と比較して満足度が低かった原因を追究する必要があります。

商品ページ別のKPI

商品ごとに改善点を解析するためのKPIです。イーコマースの商品ページで考えると商品ごとに以下の軸で分類されます

商品ページ訪問数

商品ページCVRが高い(コンバージョン÷商品ページ訪問ユーザー数×100%)

図:よい商品ページを見つけるための判断軸

図:よい商品ページを見つけるための判断軸

このマトリクスに解析する商品ページをプロットすれば、貢献している商品ページがわかります。

商品リストの閲覧回数

商品リストに表示された商品を、ユーザーが閲覧した回数。アクセス解析ではPVを用いますが、インプレッション数のように表示された回数を指します。ショッピングカートではユーザー数を用いることもあります。

Cart-to-Detail率

商品がカートに追加された回数を、商品詳細ページの閲覧回数(PV)で割った値。

Buy-to-Detail率

商品購入件数、を商品詳細ページの閲覧回数(PV)で割った値。

商品詳細表示

ユーザーが商品詳細ページを閲覧した回数。アクセス解析ではPVを用いますが、インプレッション数のように表示された回数を指します。ショッピングカートではユーザー数を用いることもあります。

商品がカートに追加された回数

商品詳細でカートボタンがクリックされた回数。アクセス解析ではPVを用いますが、インプレッション数のように表示された回数を指します。ショッピングカートではユーザー数を用いることもあります。

商品がカートから削除された回数

商品がショッピングカートから削除された回数。アクセス解析ではPVを用いますが、インプレッション数のように表示された回数を指します。ショッピングカートではユーザー数を用いることもあります。

商品の決済回数

商品が決済手続きの対象となった回数。決済回数をトランザクションとしてカウントすることもありますが、ショッピングカートではユーザー数を用いることもあります。

固有の購入数

期間内の購入数(受注件数)。

3-3-3. イーコマースモデルの計画立案

イーコマースの計画立案ではユーザー数を用います。全店舗の解析と改善と、店舗ごとの解析と改善と、LTVによる上限CPAを導く方法を紹介します。イーコマースでは、単位はユーザー数を使います。

全店舗の解析と改善

それぞれの店舗の指標を見て、問題点を見つけ改善を検討することができます。全体の数値(Total)と比較して問題点を見つけましょう。

表:全店舗の各種指標

単位:ユーザー数

全ユーザー

商品一覧

商品詳細

カート

CV

平均客単価

売上

モールA

40,000

3,000

300

30

6

¥5,000

¥30,000

フリマB

30,000

15,000

300

30

6

¥5,000

¥30,000

オークションC

20,000

10,000

1,000

30

6

¥5,000

¥30,000

オウンドメディアD

10,000

5,000

500

50

4

¥5,000

¥20,000

自社店舗

6,000

3,000

300

30

6

¥5,000

¥30,000

全体

106,000

36,000

2,400

170

28

¥5,000

¥140,000

モールA

流入ページから、商品一覧ページへ誘導できていません。掲載するカテゴリやユーザーのレビューを工夫して、一覧での表示を増やしましょう。

表:全店舗の商品一覧ページ到達率

単位:
ユーザー数

全ユーザー

商品一覧

商品一覧
ページ
到達率

モールA

40,000

3,000

7.50%

フリマB

30,000

15,000

50.00%

オークションC

20,000

10,000

50.00%

オウンドメディアD

10,000

5,000

50.00%

自社店舗

6,000

3,000

50.00%

全体

106,000

36,000

33.96%

フリマB

商品詳細ページに誘導ができていません。競合他社商品と比べて商品の価格やクリエイティブを見直しして、商品詳細へ誘導しましょう。

表:全店舗の商品詳細ページ到達率

単位:ユーザー数

商品一覧

商品詳細

商品詳細
ページ到達率

モールA

3,000

300

10.00%

フリマB

15,000

300

2.00%

オークションC

10,000

1,000

10.00%

オウンドメディアD

5,000

500

10.00%

自社店舗

3,000

300

10.00%

全体

36,000

2,400

6.67%

オークションC

カートへの投入がされていません。購入を促せる期間限定キャンペーンや、ユーザーの声など購買動機を高めましょう。

表:全店舗のカート到達率

単位:ユーザー数

商品詳細

カート

カート到達率

モールA

300

30

10.00%

フリマB

300

30

10.00%

オークションC

1,000

30

3.00%

オウンドメディアD

500

50

10.00%

自社店舗

300

30

10.00%

全体

2,400

170

7.08%

オウンドメディアD

コンバージョンされていません。コンバージョンを促すため、多様な決済方法の追加や送料を見直ししましょう。

表:全店舗のCVR

単位:ユーザー数

カート

CV

CVR

モールA

30

6

20.00%

フリマB

30

6

20.00%

オークションC

30

6

20.00%

オウンドメディアD

50

4

8.00%

自社店舗

30

6

20.00%

全体

170

28

16.47%

店舗ごとの解析と改善

上記についてオークションCサイトの売上を30,000円から45,000円に伸ばすとします。そのときどのような方法があるでしょうか?

表:オークションCサイトへの施策一覧

単位:
ユーザー数

現状

施策1

施策2

施策3

施策4

施策5

施策6

全ユーザー

20,000

30,000

20,000

20,000

20,000

20,000

20,000

商品一覧

10,000

15,000

15,000

10,000

10,000

10,000

10,000

商品詳細

1,000

1,500

1,500

1,500

1,000

1,500

1,000

カート

30

45

45

45

45

30

30

CV

6

9

9

9

9

9

6

平均客単価

¥5,000

¥5,000

¥5,000

¥5,000

¥5,000

¥5,000

¥7,500

売上

¥30,000

¥45,000

¥45,000

¥45,000

¥45,000

¥45,000

¥45,000

施策1

集客を増やして売上を伸ばす方法です。訪問する全ユーザー数を20,000から30,000まで増やすことで、商品一覧、商品詳細、カートに投入するユーザー数が増え、CVコンバージョン)が9件増、結果として売上が増えています。集客を増やすために、広告やSNSでの投稿を強化するなどの集客を強化する施策が考えられます。

表:施策1の指標

単位:ユーザー数

現状

施策1

全ユーザー

20,000

30,000

商品一覧

10,000

15,000

商品詳細

1,000

1,500

カート

30

45

CV

6

9

平均客単価

¥5,000

¥5,000

売上

¥30,000

¥45,000

施策2

商品リストでの表示を増やす方法です。商品一覧への誘導を強化することで、CVが増えています。このとき、商品一覧到達数が50%から75%まで伸びています。対策として、他の商品に比べ目立つように更新するなどの工夫が考えられます。

表:施策2の指標

単位:ユーザー数

現状

施策2

全ユーザー

20,000

20,000

商品一覧

10,000

15,000

商品詳細

1,000

1,500

カート

30

45

CV

6

9

平均客単価

¥5,000

¥5,000

売上

¥30,000

¥45,000

商品一覧ページ到達率

50.00%

75.00%

施策3

商品詳細ページへの誘導を増やす方法です。商品一覧から商品詳細ページへの誘導を増やしています。このとき、商品詳細ページへの到達率を10%から15%に伸ばしています。一覧ページからクリックされやすいよう商品のクリエイティブを良くするなどの工夫が考えられます。

表:施策3の指標

単位:ユーザー数

現状

施策3

全ユーザー

20,000

20,000

商品一覧

10,000

10,000

商品詳細

1,000

1,500

カート

30

45

CV

6

9

平均客単価

¥5,000

¥5,000

売上

¥30,000

¥45,000

商品一覧ページ到達率

50.00%

50.00%

商品詳細ページ到達率

10.00%

15.00%

施策4

カートへの誘導を増やすことです。商品詳細ページからカートに投入への誘導を増やしています。その結果、商品詳細からカートへの誘導を3%から4.50%にのばしています。対策として、期間限定キャンペーンやユーザーの声を商品詳細ページに載せてカートに誘導する案が考えられます。

表:施策4の指標

単位:ユーザー数

現状

施策4

全ユーザー

20,000

20,000

商品一覧

10,000

10,000

商品詳細

1,000

1,000

カート

30

45

CV

6

9

平均客単価

¥5,000

¥5,000

売上

¥30,000

¥45,000

商品一覧ページ到達率

50.00%

50.00%

商品詳細ページ到達率

10.00%

10.00%

カート到達率

3.00%

4.50%

施策5

コンバージョンを増やす方法です。カートからCVに誘導数を増やしています。カートからのCVRが20%から30%になっています(このCVRはカート到達数が分母で全ユーザー数を分母とする通常のCVRとは異なります)。決済方法、送料などを工夫しましょう。

表:施策5の指標

単位:ユーザー数

現状

施策5

全ユーザー

20,000

20,000

商品一覧

10,000

10,000

商品詳細

1,000

1,500

カート

30

30

CV

6

9

平均客単価

¥5,000

¥5,000

売上

¥30,000

¥45,000

商品一覧ページ到達率

50.00%

50.00%

商品詳細ページ到達率

10.00%

15.00%

カート到達率

3.00%

2.00%

カートからのCVR

20.00%

30.00%

施策6

客単価を増やすことです。客単価5,000円から7,500円に伸ばすことで売上を達成しています。より価格の高い商品にする、複数の商品を合わせて販売するなどで客単価をあげます。

表:施策6の指標

単位:ユーザー数

現状

施策6

全ユーザー

20,000

20,000

商品一覧

10,000

10,000

商品詳細

1,000

1,000

カート

30

30

CV

6

6

平均客単価

¥5,000

¥7,500

売上

¥30,000

¥45,000

商品一覧ページ到達率

50.00%

50.00%

商品詳細ページ到達率

10.00%

10.00%

カート到達率

3.00%

3.00%

カートからのCVR

20.00%

20.00%

イーコマースモデルでLTVから上限CPAを決める

将来の価値を見積もるライフタイムバリュー(Lifetime Value:以下LTV)は、企業が将来にわたって得られる顧客からの金額の合計のことで、「顧客生涯価値」とも呼ばれます。

新規顧客に販売するコストは「1:5の法則」と呼ばれ、既存顧客に販売するコストの5倍を要するといわれています。また、顧客離れが5%改善すれば25%利益が改善すると言われる「5:25の法則」という考え方からも重要視されています。LTVは下記で算出されます。

LTV=購入1回あたりの平均購入額×年間の平均購入回数×平均継続年数

1回あたりの平均購入額、年間の平均購入回数、平均継続年数は、過去の購買実績データから算出します。データが不足している場合は、経験から仮に値を決めることもあります。

新規ユーザーは、製品やサービスに満足すれば再びサイトに訪問し、同じ製品や同事業の別製品を購入します。ユーザーが商品を一度しか購入しないと想定すると、本来かけるべきよりも低いコストでしか広告を行うことができず、中長期な利益をもたらしてくれる顧客を得る機会を失います。

広告で顧客を獲得するために必要な考え方が、獲得コスト(以下、CPA)です。CPAの上限を「上限CPA」と呼びます。上限CPAは、LTVの売上から、次のように算出できます。

上限CPA=LTV×広告予算比率

粗利売上変動費)から算出する場合は、次のようにも計算できます。

粗利上限CPA=LTV—LTV獲得変動費×広告予算比率

では、次のようなイーコマースサイトの場合を考えてみましょう。

表:イーコマースモデルのLTV

項目

数/金額/率

メルマガ購読ユーザー

100,000

商品A単価

¥2,500

商品B単価

¥10,000

商品C単価

¥25,000

広告予算比率

20%

メルマガから商品Aアップセル率

5%

商品Aから商品Bアップセル率

20%

商品B平均購入頻度

4回

商品Bから商品Cアップセル率

15%

商品C平均購入頻度

3回

メルマガ購読ユーザー獲得のために最大いくらまで広告費用をかけてよいかを将来にわたる購入を踏まえたLTVの考え方を用います。

メルマガ購読ユーザーの平均売上金額を算出し、その売上金額に対してイーコマースモデルのルールである広告予算上限を適用します。

商品A購入ユーザーのうち20%が商品Bを平均4回購入します。

10,000円×4回×20%=8,000円

商品B購入ユーザーのうち15%が商品Cを平均3回購入します。

25,000円×3回×20%×15%=2,250円

ここから、商品A購入ユーザーの平均売上金額は、次のように算出されます。

2,500円+8,000円+2,250円=12,750円

したがって、メルマガ購読ユーザーのうち5%が商品Aを購入するので、平均売上金額は次のように算出されます。

12,750円×5%=637.5円

最後にこのイーコマースモデルのルールである広告予算比率を適用すると、メルマガ読者新規獲得の上限CPAが算出できます。

637.5円×20%=127.5円

3-3-4. 海外のモール型イーコマースと決済システム

日本では、楽天、Yahoo! Shopping、Amazonが主要のモールとなっていますが、以下では海外の状況を紹介します。

東南アジアのイーコマースプラットフォーム

Amazon.comの展開国は、主要15カ国に集中しています。またライバルとなるアリババ(阿里巴巴集団)は、シンガポール・マレーシア・タイ・フィリピン・インドネシア・ベトナムで展開している東南アジア最大級のショッピングモールの「Lazada(ラザダ)」を保有しており、それまでアリババ保有の中国サイトである淘宝網(タオバオ)経由で購入していた消費者もLazadaから購入するような流れを作り上げています。

Lazada

<https://www.lazada.sg/>

上述のとおり、アリババグループが保有する東南アジア向けのイーコマースサイトです。ガジェット系に非常に強く、Qoo10と同様に、他国からの配送も簡単にできるところがアドバンテージです。

図:Lazada

図:Lazada
Shoppee

<https://shopee.com/>

台湾・東南アジア中心に急成長しているECモールです。8カ国で取引ができます。ダウンロードもリスティング広告も取引も無料で行えることが特徴です(一部の国は販売手数料や配送業者からのマージンで収益を得ています)。

図:Shoppee

図:Shoppee

シンガポールのフードデリバリー系サービス

Foodpanda

<https://www.foodpanda.sg/>

日本でも最近いくつかのサービスが始まっている「出前代行サービス」です。消費者がサイトからほしいものを注文すると、サイトに登録している配達員がお店に商品を取りに行き、自宅まで配送してくれるというサービスです。基本的には、お店と同価格とするルールとなっているため、消費者は配送料を追加で払うだけです。

Deliveroo

<https://deliveroo.com.sg/>

Foodpandaと同様の出前代行サービスです。ヨーロッパ発のサービスで、自社のブランディングに配慮しているため、レストランでもアッパーカジュアルラインのブランドが多く登録されています。また、当初は同エリア内でのレストラン登録数に上限を設けて運営をしていました。

GrabFood

<https://www.grab.com/sg/food/>

FoodpandaとDeliverooと同様の出前代行サービスです。個人タクシー代行サービス、Grabが同アプリ内で提供しています。今年はコロナの影響で、政府との連携も効果的で、参入する店舗が急増しました。

アリババ(Alibaba)によるECモールと決済システム

アリババ(阿里巴巴:Alibaba)は、以下4つのサービスを展開しています。

Alibaba.com

中国の企業が世界に販売するための、B2B(企業間)オンライン・マーケットプレイスです。主に英語を使います。

1688.com

中国国内のB2B(企業間)オンライン・マーケットプレイスです。国内企業同士なので、主に中国語を使います。

Tモール(天猫:ティーモール)

中国国内のB2C(消費者向け)オンライン・ショッピングサイトです。一流メーカーに限って出展させる戦略により、偽物を排除し、消費者の信頼を得ています。最近は、「日本館」などを設置して越境ECにも積極的に取り組んでいます。

タオバオ(淘宝網:taobao)

中国国内のC2C(個人間)オンライン・ショッピングサイトです。個人や中小業者が中心に展開しています。海外の一流企業が出展することはほとんどありません。

アリババ傘下のサイトでの流通総額は、2016年にアメリカのウォルマートやフランスのカルフールを抜き、世界最大のイーコマース事業者となりました。

アリペイのエスクローサービス

当時、詐欺や不良品・偽造品が多かった中国で、Tモールやタオバオはエスクロー機能が評価されてユーザーから高い信頼を獲得しました。エスクローとは、「買い手がサイトで注文する→買い手がアリババに代金を支払う→アリババが代金を管理する→商品が配送される→買い手が商品を確認する→アリババが売り手に代金を支払う」という仕組みです。

図:アリペイのエスクローの仕組み

図:アリペイのエスクローの仕組み

先に売り手に支払うのと比べて、一度アリババを経由するのでユーザーは安心です。これがアリペイ(支付宝:Alipay)の重要な機能です。アリペイは、アリババグループのサイトでオンライン決済するための手段として、タオバオの発展に伴って普及してきました。

その後、ほかのサイトやリアル店舗でも使われるようになりました。リアル店舗でも、個人の小さな商店で代金を支払う際に多くの人がお金のやり取りに不安を持っていたので、信頼の証であるアリペイを使うようになりました。アリペイを使えば、「小さな商店」ではなく「アリペイ」を信用して買い物ができるので、安心ということです。

さらに、アカウントに残っている金額に利息を付けるサービスも提供されるようになり、しかも銀行預金よりも高利だったので、アリペイの利用がさらに進みました。お金を「預ける」感覚も加わり、銀行と同じ信用を獲得しました。

アリペイは越境ECにも欠かせない支払方法の1つです。

信用でサービスが相互利用される芝麻信用

「信用」のプラットフォームにもなりつつある「芝麻信用(ゴマ信用:Sesame Credit)」もアリペイの機能の1つです。芝麻信用は、その人の信用の度合いをポイントで表したものです。学歴、勤務先、資産、返済実績、人脈、行動(ショッピング・金融商品の利用状況や公共料金の支払状況)など、いくつかの指標の組み合わせでポイントを計算していると公表されています。

日本のクレジットカード会社が持っている与信情報は、本人にも公にも明らかされませんが、芝麻信用は個人の信用を可視化したところが特徴です。例えば、前払いの民泊などのサービスが後払いで利用できたり、シェアサイクルのデポジットが免除されたりするなど、信用度が高い人はお得に暮らせます。一定以上の評価を得ていると暮らしやすくなるので、多くの人が積極的に芝麻信用のポイントアップに励んでいます。

アフターデジタルを体現するフーマー(盒马鮮生

アリババが出資をするフーマー(Hema Fresh盒马鮮生)はAlipayでのみ決済できるオフライン食品ストアーです。中には海鮮などの生鮮食品が並び、調理をお願いすることもできます。また商品の配送も依頼でき、陳列された商品を宅配する利用者も多くいます。

決済をすべてAlipayで行うことで、店舗、デリバリー、ECでの顧客情報を一元管理できます。

図:盒马鮮生はすべてAlipayによる電子決済で取引できる

図:盒马鮮生はすべてAlipayによる電子決済で取引できる

3-3-5. 東南アジアの決済方法

イーコマースで欠かせない金融・決済の状況をシンガポール中心に紹介します。

銀行系・高速道路の決済

シンガポールでは、日本以上に銀行業務の省人化が進んでいます。1997年にはすでにインターネットバンキングが開始されていました(⽇本でのインターネットバンキングサービス開始が2003年)。トークン(ワンタイムパスワード発行機)も2007年に導入され、高度なセキュリティを担保した運用が行われています。

マレーシアでは、高速道路料金収受システム「ERP」が1999年に全国で導入されています(ERPは⽇本よりも2年ほど早い対応)。シンガポールでは、「CBD(Central Business District)エリア」と呼ばれる中心ビジネス街に、通勤のピーク時間帯に自動車で入る際に交通料を自動で支払う支払うシステムが1998年には稼働していました。当該システムの開発は、日本の大手企業によるものでした。

表:アジア各国の決済方法の普及率
出典:We are social digital in 2018 Southeast Asia / Eastern Asia

銀行口座普及率

クレジットカード
普及率

オンラインペイメント
普及率

日本

97%

66%

36%

香港

96%

64%

36%

韓国

94%

56%

52%

シンガポール

96%

35%

28%

マレーシア

81%

20%

19%

中国

76%

16%

19%

タイ

78%

6%

4%

フィリピン

31%

3%

4%

インドネシア

36%

2%

5%

店舗での決済

小売店やレストランなどの店舗での決済方法としては、ICチップ付きクレジットカード用に非接触型の端末(VISA payWaveなど)を用いることが主流となってきています。また、非接触型のものだけではなく、お店側が指紋認証端末を用意して、スマートフォンやカードの代わりに指で決済ができる仕組みも今後導入が進んでいくことが予想されます。

クレジットカードを媒介した決済方法以外では、各国のさまざまな企業からスマートフォン上のアプリを媒介した決済手段の提案がされているため、それぞれにとって利便性の高い決済方法が選ばれて使われています。

表:スマートフォンによる決済方法

Apple Pay・
Google Pay

スマートフォンのOS提供会社が提供している支払いサービス

Samsung Pay

スマートフォンの機器提供会社が提供している支払いサービス

Alipay・WiPay

中国系のIT企業が中国国内外でアプリとして提供している支払いサービス

それ以外の決済方法

国によって決済方法の普及に大きな開きがあるので注意してください。

これ以外には、シンガポールでは「NETS」というシンガポールの大手地場銀行5社がコンソーシアムを組んで設立した会社が、当初は銀行のキャッシュカードをデビットカード的に使える支払いサービスとして立ち上がりました。現在では、「アプリによる非接触型」「QRコード」「カードによる非接触型」による支払いが可能です。

GrabPay

個人タクシー代行サービス、Grabが同アプリ内で提供しているサービスです。

PayNow

日本でのPayPayのようなサービスで、どの銀行のインターネットバンキングからでも送金ができます。個人の携帯番号もしく身分証明書番号を通して、事前に設定した銀行口座に振り込めます。

3-3-6. イーコマースのメルマガ配信の事例

イーコマースのメルマガ配信の事例を紹介します。

それメルマガ? それとも迷惑メール?

ECサイトを運営していると、メルマガ登録者数が一定数確保され、商品を紹介するメルマガを配信することで、注文を獲得できるようになります。

1万人に配信するより2万人に配信する方が売上が上がり、1週間に1回の配信より毎日配信の方が売上が上がり、そして、1日2回配信するとさらに売上が上がるといったように、メルマガの配信数が売上に大きく影響すると思いがちです。実際にメルマガを配信しない日は、売上が落ち込むことも多々あります。しかし、メルマガを数多く配信すること自体、お客様の視点に立って、本当に必要とされているかを考え直さなければなりません。

実際に、メルマガからウェブサイトへの流入率を分析すると、数%ということもあるようです。わざわざメールアドレスを登録して会員になってくれているのに、ほとんどの人がウェブサイトに訪問していないのです。訪問していないお客様からは、メールマガジンが迷惑メールと思われているかもしれません。つまり、お店側からはお客様にとって有益な情報としてメルマガを配信していると思っていても、多くのお客様は迷惑メールが多く届くと思っている可能性があるのです。

売るメルマガよりも嫌われないメルマガ

そこで、お客様全員向けへの同一内容の配信を考え直す必要があります。

例えば、Aという商品をメルマガで紹介する際に、A商品を欲しいと思う人を性別や年齢・購買履歴等からセグメントして、このセグメントのユーザーは、A商品を紹介すると喜ぶだろうと仮説を立て、そのユーザーに対してメールを配信するようにします。そうすると、流入率が微増、CVRが微増と効果が出始め、全体の売上は、メルマガを全員に配信していた時よりも高い状態となります。

ここで注意しなければならないのは、「買ってくれそうな人を狙い撃ちしよう」という売り手視点での考えでセグメントしてはいけないということです。お客様視点に立ち、ユーザーから不要と思われるメルマガは送らない、ユーザーから嫌われないという視点で、顧客のデモグラフィック属性やサイコグラフィック属性を分析しセグメントして配信を行います。実際の事例としては、過去、メルマガを1万人に配信して、CVが10件獲得できていた実績から、1000人の配信でCVを10件獲得できるようになりました。

お客様もお店もハッピーに!

お客様にとって不要なメルマガは送らないという想いで、メルマガを書き続けることで、メルマガの解約率も減り、会員数がどんどん増加します。メルマガを配信するセグメントを考えるのはとても難しいです。しかし、メルマガの配信対象者とメルマガの件名、本文、紹介する商品が、ユーザーのニーズを満たしていた時は、流入率や、CVは驚異的な数値になります。

そして、メルマガを考えたスタッフの喜びや達成感や満足度は、次のメルマガへの意欲となり、見えないお客様が喜ぶ姿を想像する力が磨かれ成長していきます。

さらに、スタッフや企業とお客様との関係性が深まり、心温まる嬉しいレビューも増えてきます。すぐに成果は出ないことも多いですが、データを分析しながら改善を繰り返し、継続することが大切です。

3-4 リードジェネレーションモデルのKPIと計画立案

リードジェネレーションとは、見込み客(リード)を増やす(ジェネレーション)マーケティング行為を指します。

そこでは、コンバージョン後の商談につながった商談率、商談後契約につながった受注率が重要で、コンバージョンがあったあと、受注につながらないならば、そのコンバージョンは価値がなかったことになります。

コンバージョンしたリードをMQLといいます。商談できるリードをSQLといいます。受注したリードを顧客と呼びます。

リード情報にはメールアドレスや氏名、企業名などが含まれますが、どんな情報を、いつ、どのフォームから獲得するのかを事前に設計することが重要です。

3-4-1. リードジェネレーションモデルのビジネス用語

リードジェネレーションモデルのビジネスでは、特に営業部や事業部との良好な連携が最も重要です。それは事業の成果につながる「受注」を獲得するのは、営業部の役割だからです。セールスとリードジェネレーションで使われる用語を理解しておきましょう。

ホワイトペーパー

白書の意味で、市場情報などのデータや、技術トレンドなどの調査結果をまとめたドキュメントを指します。リードとして接触できるようにするために、メールアドレスなどを獲得するために利用します。

潜在顧客(Strangers)

まだ接触のないユーザーを指します。検索エンジンやSNSや広告で事業のコンテンツに誘導します。

訪問者(Visitors

自社のコンテンツに訪問したユーザーを指します。訪問した行動履歴を元に関心を持ってもらえそうなホワイトペーパーを準備したり、SNSでコミュニケーションをとったり、行動履歴に基づくリマーケティングなどの広告を行い、MQLになるよう誘導します。

MQL(Marketing Qualified Leads)

メールアドレスなど、十分ではないもののマーケティング活動が行えるリード(見込み客)です。予算や導入確度などより詳細な情報を獲得したり、個別にヒアリングをして課題解決をしたり、ミーティングや展示会などのイベントへの誘導を通して、営業を行うべきリードか見極め、SQLになるよう誘導します。

SQL(Sales Qualified Leads)

営業担当者が営業活動を行えるリードです。基本は受注し顧客にするするための営業活動が中心ですが、マーケティング活動で側面支援をします。

TOFU・MOFU・BOFU

ファネルのトップ・中間・ボトムのことで定義は企業によって異なります。

TOFU(Top of the Funnel)

自分のコンテンツに初めて訪問した浅いステージのこと。

MOFU(Middle of the Funnel)

リピートするユーザーやMQLになった中間のステージのこと。

BOFU(Bottom of the Funnel)

営業による交渉や購買検討段階に入った深いステージのこと。

BANT(バント)情報

顧客の現在の状況を判断する代表的な項目例です。「Budget(予算)」「Authority(決裁権)」「Needs(必要性)」「Timeframe(導入時期)」の4項目の頭文字をとっています。

SCOTSMAN(スコッツマン)情報

BANT情報より詳細を把握する必要がある場合、次のような項目があります。その項目の頭文字をとったものです。「Situation(立場)」「Competitors(競合)」「Opportunity(条件)」「Timeframe(導入時期)」「Size(規模)」「Money(金額、予算)」「Authority(決裁権・権限)」「Needs(必要性、要望)」。

エリア営業

特定の地域を担当とし営業窓口となる営業担当。

キーマン

意思決定に影響力を持っていたり、受注の有無を決めたりする重要な人物。必ずしも決裁権者とは限らない。

企業コード

リードや見込み客企業に対して付与する番号。従来は企業や部署ごとに独自に付けるケースも多かったが、最近は外部データベースを利用することも多い。

再パーミッション

以前メール送信などのパーミッションを得ているが、一度断られたり、すでにアプローチから相当時間が経っていたりする場合に再度送信の承諾を得ること。

サスペクトリード

状況が不明なリード(顧客)のこと。購買に一歩進んだ見込みが少しでもある顧客を「プロスペクトリード」とも呼ぶ。どちらも明確な定義をしておくこと。

名寄せ

複数のフォームや施策で獲得したリード情報を、ユニークな単位で整理すること。一般的な名寄せのキーはメールアドレスになるが、複数人で1つのメールを使う業種もあるため、キーの定義は必要。名寄せをしておかないと、同じ人に同じメールが何通も届いて迷惑メールになる可能性があるため、名寄せの運用ルールは明確にしておく。

区分値

「1. 男 2. 女」のようなリードを区分する値のこと。リードをセグメントするときに区分値での分類が欠かせない。

正規化

リード情報に含まれる社名や氏名など、全角半角英数字、特殊環境文字などのルールを明確にしておくこと。名寄せ作業のときには、データが正規化されていることが前提になる。

3-4-2. リードジェネレーションモデルのKPI

リードジェネレーションサイトは、適切なリードを獲得することが目的です。

ウェブサイト上でのユーザーの行動に加えて、そのユーザーの地域や組織や人間関係などの属性情報、展示会や商談などのオフラインでのユーザーとの接触活動の情報が重要です。さらに、トラッキングコードを用いてメール経由のオンライン行動を追跡することや、ソーシャルメディアでの挙動の測定も貴重な情報源となります。

ただし、これらの情報の活用にはユーザー本人の事前許諾が必要なので、必ずオプトインを行った上で進めます。例えば、メール経由での行動の解析やそれに基づくセールスやプロモーションや情報を利用することをユーザーに伝えないと、コンプライアンス違反やクレームなどのトラブルになる可能性があります。

オンラインでの行動データは個人情報に含まれるため、リード情報は常に名寄せを行い、企業からのコミュニケーションがスパム化しないように注意します。未達や反応のないリードをリストから削除するなど、リードの量を追い求めるのではなく、アクティブで質の高いリードを常に保っておくことが重要です。

このようなリードの管理は、アクセス解析ツールでも可能ですがSFAやMA(Marketing Automation)を利用すると、より容易に管理することができます。このようなソリューションにはスコアリングをする機能があり、ユーザーの動きや情報でスコアを加算することで、確度が高いユーザーを自動的に識別、施策を自動化することができます。

MA(マーケティングオートメーション)やCRM(Customer Relationship Management)ツールを活用することで、営業部門の活動も細分化した転換率管理が可能です。アポイント獲得、訪問、提案、検討、価格交渉、決定、契約などのフェーズごとに数値管理や売上予測を行う「パイプライン管理」を行う企業が増えています。

このように、MAツールやCRMツールを活用してリードジェネレーションから営業活動までを一連の施策として管理することが可能になった現在では、ウェブ解析を行うマーケティング部門と、見込み客の反応をよく知る営業部門で情報を共有し、より成果につながるパターンを模索することがますます重要になっています。

したがって、KPIには次のような指標が用いられます。

コンバージョン率・商談率・成約率

成約につながらないコンバージョンは価値がありません。商談率、成約率を調べて成果につながっているか確認する必要があります。

電話、FAX、郵送での問い合わせ数

オフラインでの連絡も頻繁にあるため、これらのことも調べておく必要があります。

CPCCPA

広告のクリック率コンバージョン獲得にかかっているコストを算定し、成約率を見比べて、割にあっているかを知る必要があります。

ホワイトペーパーダウンロード数・メールアドレス取得数

いきなり商談につながる問い合わせを得ることは難しいので、顕在的需要のない見込み客が関心を持ちそうな情報やサービスを提供し、見込み客リストを構築することも重要です。このような見込み客獲得のために行った施策の結果も測定します。

顧客の従業員数、資本金、売上規模

リードジェネレーションでは獲得した問い合わせの質、つまりターゲットに近く、規模が大きく、大きな売上が見込めるかという点も重要になります。そこで、これらの指標によって、その問い合わせのインパクトを明らかにし、対応すべき優先順位を定めることも必要です。

3-4-3. リードジェネレーションモデルの計画立案

リードジェネレーションモデルでは、潜在顧客を訪問者に変え、MQL、SQLに移すことでより効率よく営業に適切な見込み客を紹介し、効率的な受注を促すことになります。

例えば、不動産会社の場合、広告などで物件を告知し、訪問した人にその物件を見た人に詳細な情報を提供し、物件の契約の確度が高そうなユーザーを営業に伝え、成約までの営業活動を行います。

そのため、ユーザー単位で測定することになります。広告やメディアがセッションやページビューを軸にしている点が違うことに注意してください。

全メディアの解析と改善

リードジェネレーションの獲得を目指す全メディアごとの指標を見て、問題点を見つけ改善を検討することができます。全体の数値(Total)と比較して問題点を見つけましょう。

表:全メディアの指標

潜在顧客

訪問者

MQL

SQL

顧客

訪問率

CVR

商談率

受注率

マッチングサイトA

8,000

500

100

20

5

6.25%

20.00%

20.00%

25.00%

パートナーサイトB

2,000

500

20

20

5

25.00%

4.00%

100.00%

25.00%

オウンドメディアC

1,000

250

50

4

1

25.00%

20.00%

8.00%

25.00%

自社サイト

800

200

40

8

2

25.00%

20.00%

20.00%

25.00%

全体

11,800

1,450

210

52

13

12.29%

14.48%

24.76%

25.00%

  • 潜在顧客サイトを新規訪問したユーザー
  • 訪問者サイトに訪問したユーザー
  • CV数(MQL)マーケティング施策を行うリード
  • 商談数(SQL)セールスを行うリード
  • 顧客受注した顧客
マッチングサイトA

訪問者が少なすぎるため、何度も自社のページを見てもらうユーザーを増やすため、リマーケティングなどのリピートしてもらう施策をしましょう。

表:マッチングサイトAは訪問率が低い

潜在顧客

訪問者

訪問率

マッチングサイトA

8,000

500

6.25%

パートナーサイトB

2,000

500

25.00%

オウンドメディアC

1,000

250

25.00%

自社サイト

800

200

25.00%

全体

11,800

1,450

12.29%

パートナーサイトB

CV数(MQL)への転換が低いため、メールアドレスを入れてもらうホワイトペーパーの提供やメールニュースの購読などの施策をしましょう。

表:パートナーサイトBはCVRが低い

訪問者

MQL

CVR

マッチングサイトA

500

100

20.00%

パートナーサイトB

500

20

4.00%

オウンドメディアC

250

50

20.00%

自社サイト

200

40

20.00%

全体

1,450

210

14.48%

オウンドメディアC

商談数(SQL)への誘導が低いため、CV数(MQL)からセールスがアプローチできるような詳細な情報の収集をする施策をしましょう。

表:オウンドメディアCは商談率が低い

SQL

MQL

商談率

マッチングサイトA

100

20

20.00%

パートナーサイトB

20

20

100.00%

オウンドメディアC

50

4

8.00%

自社サイト

40

8

20.00%

全体

210

52

24.76%

自社サイト

潜在顧客が少ないため、広告などで新規の顧客を誘導しましょう。

表:自社サイトは潜在顧客が少ない

潜在顧客

訪問者

マッチングサイトA

8,000

500

パートナーサイトB

2,000

500

オウンドメディアC

1,000

250

自社サイト

800

200

全体

11,800

1,450

メディアごとの解析と改善

上記について、パートナーサイトBサイトの顧客を5件から15件に伸ばすとします。そのときどのような方法があるでしょうか?

表:パートナーサイトBの施策ごとの指標

単位:ユーザー数

現状

施策1

施策2

施策3

施策4

施策5

潜在顧客

2,000

6,000

2,000

2,000

2,000

2,000

訪問者

500

1,500

1,500

500

500

500

CV

100

300

300

300

100

100

商談

20

60

60

60

60

20

顧客

5

15

15

15

15

15

施策1

集客を増やして顧客を増やす方法です。集客を2,000から6,000に増やした結果、顧客を15件に増やしています。広告やコンテンツを強化して集客を強化する事が考えられます

表:施策1の指標

単位:ユーザー数

現状

施策1

潜在顧客

2,000

6,000

訪問者

500

1,500

CV

100

300

商談

20

60

顧客

5

15

訪問率

25.00%

25.00%

CVR

20.00%

20.00%

商談率

20.00%

20.00%

受注率

25.00%

25.00%

施策2

訪問者を増やす方法です。一度来たユーザーに再度訪問してもらい、メールアドレスなどを入力してもらう誘導を行います。一度訪問したユーザに広告を配信するリマーケティング広告が考えられます。

表:施策2の指標

単位:ユーザー数

現状

施策2

潜在顧客

2,000

2,000

訪問者

500

1,500

CV

100

300

商談

20

60

顧客

5

15

訪問率

25.00%

75.00%

CVR

20.00%

20.00%

商談率

20.00%

20.00%

受注率

25.00%

25.00%

施策3

CV数(MQL)を増やすことです。ホワイトペーパーやメールニュースへの誘導でマーケティング施策が行えるように訪問者を誘導することが考えられます。

表:施策3の指標

単位:ユーザー数

現状

施策3

潜在顧客

2,000

2,000

訪問者

500

500

CV

100

300

商談

20

60

顧客

5

15

訪問率

25.00%

25.00%

CVR

20.00%

60.00%

商談率

20.00%

20.00%

受注率

25.00%

25.00%

施策4

SQLへの誘導を増やすことです。MQLになったリードに、より詳細な情報を聞く機会をつくる、営業との面談のアポイントをとるなどの施策が考えられます。

表:施策4の指標

単位:ユーザー数

現状

施策4

潜在顧客

2,000

2,000

訪問者

500

500

CV

100

100

商談

20

60

顧客

5

15

訪問率

25.00%

25.00%

CVR

20.00%

20.00%

商談率

20.00%

60.00%

受注率

25.00%

25.00%

施策5

顧客を増やすことです。SQLとなった顧客への対応を強化する、マーケティング面で営業の側面支援や情報提供をするなどの工夫をしましょう。

表:施策5の指標

単位:ユーザー数

現状

施策5

潜在顧客

2,000

2,000

訪問者

500

500

CV

100

100

商談

20

20

顧客

5

15

訪問率

25.00%

25.00%

CVR

20.00%

20.00%

商談率

20.00%

20.00%

受注率

25.00%

75.00%

3-4-4. 実務でのリードジェネレーションモデルの設計手順

リードジェネレーションやインサイドセールスの事例を、B2Bにおける事業立ち上げの経験から、実行までの進め方や各ステップにおける注意点を紹介します。

各種業態や事業のフェーズによって対応ステップが異なることがあるので本事例のどこか一つでも実現へのヒントにしてください。

リードジェネレーション、インサイドセールスの5つのステップ

全体の構成ですが、戦略、組織/KPI/オペレーションの策定、ソリューション選定、計画立案(実行)というステップがあり、特に前段の3ステップが重要です。

各ステップのポイントに入る前の前提として、リードジェネレーションというプロセスは、会社全体事業の流れが認知(Awareness) → 見込み客獲得(Lead Generation) → 営業(Sales) → カスタマーサクセス(Customer Success)という流れの一部を担っているということを理解することが必要です。

またリードジェネレーションの中には、認知(Awareness) → 興味喚起(Interest) → 検討(Consideration)→ 信頼構築 (Engage) → 購入(Action)といった顧客の態度変容をどうサポートできるかが重要で顧客の態度変容をどのようにして進めて事業拡大を考えます。

ビジネス環境の変化から捉えるリードジェネレーションの重要性

リードジェネレーションの重要性が高まっている背景には、ビジネス環境の変化が起因しています。現代は、インターネットやモバイルで、いつでもどこでも欲しい情報が取得できるという点と、広告含めた情報が溢れていると言う状況です。一日の生活の中で5,000以上の広告を目にしても、記憶に残る広告は12程度と言われています。その様な生活環境の中、顧客の情報収集を含めた購買行動が以前と大きく変わっており、これまでのようにモノやサービスが自然と売れる時代ではなくなりました。より顧客の態度変容を促すコミュニケーションやエクスペリエンスの提供の重要性が増しているという状況がリードジェネレーションの重要性を後押ししているといえるでしょう。

戦略立案に必要な視点

顧客の態度変容を促すという重要なプロセスを策定するために、戦略立案を行います。

  • どのようなマーケットをターゲットとするか
  • 定めたマーケットはどの様なフェーズか(ニュー・ビジネスか、競争激化の状態かなど)
  • 競合を含めた他社の状況はどの程度、脅威になるのか
  • 中長期の視点でどの様なブランディングを行うか
  • どのようなポジショニングを狙っていくか

など、まずは事業の全体の方向性とビジョンを定義することが最初のステップになります。またマーケターとしては、年間のマーケティング・カレンダーのように、年度のどのタイミングで、どのようなピークを作るかという全体のプラン策定もとても重要です。

そして次のステップとして、組織、オペレーション、KPIの策定を行います。

  • どのような組織を作るのか(マーケティング、インバウンド・インサイドセールス、アウトバウンド・インサイドセールス、フィールドセールス顧客に訪問する従来の営業。アウトサイドセールスとも⾔う。それぞれの人数配分)
  • それぞれの組織のKPIをどう定義するか(ビジネスの最大化だけでなく、キャリアパスやモチベーションなども考慮したKPI策定が理想)
  • マーケティングに値する見込み客(MQL)、セールスに値する見込み客(SQL)などをお客様の情報を社内でどう連携していくか

その際の注意点としては、組織間の壁というものをどう振り払えるか、がポイントです。特にマーケティングや営業など、元々のDNAの違いやKPIなどの方向性にギャップがあると、なかなか上手く進まないケースが実際に多く発生します。その際、前述の様な全体最適のKPI策定やオペレーションの設計がポイントになります。

マーケティングチームも「ウェブトラフィック」や「見込み客数」というKPIだけでなく、「より売上などの営業に近いKPIも持つ」という点や「定期的に横断チームでレビューしながら、プロセスの改善点を“前向きに”会話する」というステップを導入し、効果が出るオペレーションを組むなどの工夫が必要です。

そして実行フェーズに移る際にもう一つ重要なステップが、新たな組織形態でのオペレーションをスムーズに支援しKPIの達成状況を可視化するプラットフォーム(ソリューション)の選定です。デジタル化が進むことによる新たな業務の改善にも対応でき、進捗状況や投資対効果を可視化するプラットフォームの重要性も増しています。また、オンライン、オフラインを含めたチャネル戦略、コンテンツ・マーケティングを効果的にオペレーションするプラットフォームの選定も、重要な経営判断になると考えています。

最後に、実行フェーズにおける注意点などお伝えします。

最も重要な点は、組織、業務(KPI含む)、システムの改善PDCAのスピードです。これまで立案してきた内容も実行フェーズに入ると色々な課題が見つかってくるものです。それらを組織の壁を越えて、会社全体のビジネスと顧客体験の成功という視点で常にスピードを持って改善できるかがとても重要です。

また、その他にも新たな業務領域を含む組織やオペレーションであるため、採用やキャリアパスなど含めた育成計画などの策定も重要になります。予算との兼ね合いも見ながらビジネス状況に応じたリードジェネレーション含めたマーケティング・アクティビティ全体の優先順位の修正など、考えるべきことは多々ありますが、まずはリードジェネレーションモデル策定、実行を覚えておきましょう。

「マーケティング・アクティビティ」とは

マーケティングで必要な活動のこと

3-5 サポートモデルのKPIと計画立案

サポートモデルに事業が求めることは費用対効果の高い顧客満足度の向上です。

サポートサイトの直接的な目的は、製品やサービスの利用者に適切な情報を迅速に提供することで満足度を高め、営業やコールセンターの対応コストを減らすことです。さらに、潜在的な需要に適切な情報を提供することや、既存顧客の要望に添った情報を提供することで、既存顧客の購買の増加や、製品の改良や新製品開発のヒントを得る効果も期待できます。また、サポートサイトを維持するコストを下げるために、ユーザーの関心が低いコンテンツをアーカイブしたり、削除・統合したりすることも必要になってきます。

そこを踏まえると、サポートサイトは広報・販促や製品・企業と合わせて重要な企業のブランディングのチャネルという立ち位置になります。どのように効率的にユーザーの満足度を高め、なおかつコスト削減できるかがポイントになります。

3-5-1. サポートモデルのビジネス用語

サポートのために用意されているものはサポートサイトだけではありません。電話やメールに加え、SNSのアカウントやチャットを利用した自動応対も増えてきています。

さまざまな調査結果から、多くのユーザーは、利用製品やサービスに対して問題や疑問があるとき、何かしら自分で解決方法を調べたり、電話やメールで問い合わせる前にサポートサイトなどで自己解決を試みたりする傾向があることがわかっています。また、必ずしも電話での丁寧な説明を求めているわけではなく、時間や手間をかけずに問題を解決することも望んでいます。

そのため、企業側もサポートサイトを充実させることで、ユーザーが自己解決可能な問合せはウェブで対応し、内容が難しく緊急性の高い問い合わせは電話で対応するというように、適切なチャネルで対応することが求められています。

FAQ

「よくある質問」「Q&amp;A集」のことで、「Frequently Asked Questions」の略です。ユーザーの質問に対する回答という形式を採ることが大半で、頻繁に問い合わせがある質問をまとめたものです。

サポートコミュニティ

ユーザーと企業が、使用方法に対して回答をするコミュニティサイトやアプリを指します。ユーザーによる迅速な対応と交流の活性化が期待できる一方で、サポート内容が間違っているリスクやユーザー間のトラブルになるリスクもあります。

サポート率

サポートサイトのページのPV数のうち、ページ内のアンケートなどで「役に立った」と答えた率です。「サポート率=役に立った回答数÷PV数」で算出します。

不満足率

サポートサイトのページの回答のうち、ページ内のアンケートなどで「役に立たなかった」と答えた率です。そのページの改善が必要になります。「不満足率=不満足な回答数÷回答数」で算出します。反対の定義として「満足率」があります。

ユーザーとお客さま

「ユーザー」という言葉は、メーカーサイトでは「製品利用者」であり、ウェブ解析におけるそれとは定義が異なることに注意してください。中古品購入者は「ユーザー」ですが、「お客さま」ではないケースもあります。その場合でも製品サポートを求められることもあり、そのコストを削減する必要もあります。

製造責任法(PL法)

製造者の過失を要件とせず、製造物に欠陥があったことを要件とすることにより、損害賠償責任を追及しやすくした法律です。一般に、この説明責任を果たすため、マニュアル(取扱説明書)は製品原価として計上されます。

製販分離

業界によっては、自動車のように販社とメーカーが分離している場合があり、その場合は製造原価として計上するコストと、販売促進のコストも分離して計上します。このような業界では、原価として計上すべきウェブサイトで販売促進をすることが、コンプライアンス上の問題になるケースがある点に注意してください。

チャットボット

サポートサイトや製品ページで、チャットを設けて匿名でサポートを行うケースがあります。顧客満足度は上がりますが、対応コストは高くなります。そこで、「チャットボット」と呼ばれるプログラムを利用することで、一般的な質問を自動回答にすることがあります。

3-5-2. サポートモデルのKPI

サポートモデルは、顧客満足度を高めることを目的にしています。

サポートサイトを最適化するためには、電話やメールでの問い合わせ傾向を分析し、サポートサイトに不足している情報やコンテンツを追加します。例えば、製品のある問題について多くの問い合わせが電話やメールで来ているのであれば、対応する情報をサポートサイトに掲載することで、電話対応のコストを削減できます。

サポートサイトの目的別にKPIの例を紹介します。例としているのは、潜在需要に対する情報提供を目的としたKPIです。

潜在需要に対する情報提供

サポートページ経由でコンバージョンしたセッション

コンバージョンセッション単位で、ウェブサイトはページビュー単位で測定するので、単純な指標化は難しくなるため、ページの価値を用いることが一般的です。

サポートページを経由して製品情報ページを閲覧したユーザー数

ユーザーの求めているニーズ(機能や性能)を満たしているかどうかを調べている可能性があるので、閲覧行動やサイト内検索行動を把握して、潜在・見込み客への情報提供や販促活動に活かす施策につなげます。

サポートページのページの価値

「そのページを経由した売上÷ユニークページビュー数」をページの価値として定義し、コンバージョンに近いページほど、ページの価値が高いと判断します。

顧客の問題解決のKPI

内容が不十分なため問い合わせになっているページ

コールセンターの電話番号が掲載されているページや、メールの問い合わせフォームページに遷移した訪問をコンバージョンとします。

サポートページ満足率・不満率

サポートページに「この内容は役に立ちましたか」というアンケートを末尾に設置し、「はい」「いいえ」や数段階評価にすることで満足度とその理由を測定します。

精読率

ヒートマップ解析やインタラクション解析を使って、スクロール到達率をページごとに測定します。

動画再生数・再生時間

動画を提供しているのであれば、視聴数や視聴時間も確認します。よいコンテンツであれば、最後まで

見られていると想定できます。

サポートに対するアンケート結果

ユーザーとコミュニケーションが取れる場合、サポートを閲覧した会員にNPS®(6-1-2「行動モデルと評価指標」参照)などのアンケートで満足度を定期的に測定します。

サポートサイトのページでの離脱率・直帰率

離脱している割合が高いページは、内容に満足しているのか、不十分で離脱しているのかを確認する必要があります。不十分な場合には、情報を拡充したり、適切なページへのリンクを設置しての誘導を検討します。

サポートを求めるユーザーのサイト内検索結果

検索結果での検索結果件数、サポートコンテンツへのセッション数、再検索率を計測します。

サポートコストを削減するKPI

コールセンターの受電数・コスト

コールセンターへの問い合わせ件数を計測します。月次コールセンター受電数と削減数、ウェブサイトでのサポートサイトコンテンツの強化の貢献を調べます。これにより、サポートサイトのトラフィックとコールセンターの受電数の関係、ページの改良とサポート維持コストの関係を明確にして、サポートのコスト削減効果を計ります。

ページビュー数が少ないページ

ページビュー数が少ないページで、かつ緊急性のないものやサポート対象ではないものを削除したりまとめたりして、維持コストを抑制します。

3-5-3. サポートモデルの計画立案

サポートモデルでは、サポートを求めるユーザーをサポート一覧に誘導し、適切な情報を見せることで、潜在顧客に情報提供する、顧客の問題解決をする、サポートコストを下げるといったことを目指して改善をしていきます。ここではサポートサイトの問い合わせ数削減を通して、サポートコスト(対応コスト)を下げることを目標とした計画立案方法を紹介します。

サポートモデルでは、サポートページなどのコンテンツの改善を行うため、ページビュー単位で測定します。ユニークページビューを用いることもあります。

全サポートコンテンツの解析と改善

それぞれの製品ごとのサポートコンテンツの指標を見て、問題点を見つけ改善を検討することができます。全体の数値(Total)と比較して問題点を見つけましょう。

表:コンテンツごとの指標

サポート一覧

ページビュー

サポート詳細

ページビュー

問い合わせ数

対応コスト

FAQ製品A

4,000

500

200

¥200,000

マニュアル製品A

4,000

50

10

¥10,000

FAQ製品B

2,000

250

50

¥100,000

マニュアル製品B

800

100

20

¥20,000

全体

10,800

900

280

¥330,000

FAQ製品A

サポート詳細に誘導されてもなお、問い合わせが発生していることがわかります。問い合わせの数を減らすため、問い合わせ内容をもとにサポート詳細の内容を充実させ、問い合わせ件数を減らして対応コストを減らしましょう。

表:FAQ製品Aは問い合わせ転換率が高い

問い合わせ数

問い合わせ転換率

FAQ製品 A

200

40.00%

マニュアル製品A

10

20.00%

FAQ製品B

50

20.00%

マニュアル製品B

20

20.00%

全体

280

31.11%

マニュアル製品A

サポート一覧からサポート詳細への誘導が少なくなっています。サポート一覧に来たユーザーに、適切なサポート詳細へ誘導できるよう、サポート詳細のページを増やす、タイトルを見直すことを検討しましょう。

表:マニュアル製品Aはサポート詳細への誘導が少ない

サポート一覧
ページビュー

サポート詳細
ページビュー

サポート詳細
ページビュー転換率

FAQ製品A

4,000

500

12.50%

マニュアル製品A

4,000

50

1.25%

FAQ製品B

2,000

250

12.50%

マニュアル製品B

800

100

12.50%

全体

10,800

900

8.33%

FAQ製品B

問い合わせ件数に対し、サポートのコストがかかっています。問い合わせ内容を確認し、サポートの手間を省くための情報をサポート詳細に追加して、対応時間や手間を減らしましょう

表:FAQ製品Bは1件あたりの対応コストが高い

問い合わせ数

対応コスト

1件あたりの対応コスト

FAQ製品 A

200

¥200,000

¥1,000

マニュアル製品A

10

¥10,000

¥1,000

FAQ製品B

50

¥100,000

¥2,000

マニュアル製品B

20

¥20,000

¥1,000

全体

280

¥330,000

¥1,179

マニュアル製品B

FAQ製品Bと比べて、サポート一覧への誘導が少なくなっています。サポート一覧へ誘導できるよう、サイトのナビゲーションやサイト内検索、チャットボットでの誘導を増やしてサポート一覧へ誘導しましょう。

表:マニュアル製品Bはサポート一覧への詳細への誘導が少ない

サポート一覧

ページビュー

サポート詳細

ページビュー

FAQ製品 A

4,000

500

マニュアル製品A

4,000

50

FAQ製品B

2,000

250

マニュアル製品B

800

100

全体

10,800

900

サポートコンテンツごとの解析と改善

FAQ製品Aについて対応コストを100,000円に削減する方法を検討します。

表:FAQ製品Aの施策ごとの指標

現状

対策1

対策2

対策3

サポート一覧ページビュー

4,000

4,000

4,800

4,000

サポート詳細ページビュー

500

500

600

500

問い合わせ数

200

100

100

200

対応コスト

¥200,000

¥100,000

¥100,000

¥100,000

対策1

サポート詳細を工夫して、問い合わせを減らす方法です。既存のFAQの内容を強化することで問い合わせ数が100件に減り、対応コストが減っています。問い合わせになりそうな内容をサポート詳細に追加することが考えられます。

表:施策1の指標

現状

対策1

サポート一覧ページビュー

4,000

4,000

サポート詳細ページビュー

500

500

問い合わせ数

200

100

対応コスト

¥200,000

¥100,000

サポート詳細転換率

12.50%

12.50%

問い合わせ転換率

40.00%

20.00%

問い合わせ1件あたりの対応コスト

¥1,000

¥1,000

対策2

サポート一覧への誘導とサポート詳細を強化する方法です。サポート一覧が800件増え、サポート詳細の閲覧数が100 件増えています。しかし、問い合わせ数は100件減らすという計画です。サポート一覧を目立たせる、問い合わせフォームや電話番号の前にサポー ト一覧を見てもらう導線を作ることが考えられます。

表:施策2の指標

現状

対策2

サポート一覧ページビュー

4,000

4,800

サポート詳細ページビュー

500

600

問い合わせ数

200

100

対応コスト

¥200,000

¥100,000

サポート詳細転換率

12.50%

12.50%

問い合わせ転換率

40.00%

16.67%

問い合わせ1件あたりの対応コスト

¥1,000

¥1,000

実際には、サポート詳細ページをユーザーがより多く訪問すれば、問い合わせがその分減るかどうかはわかりません。しかし、問い合わせ内容がウェブで完結するようページへの誘導を増やすことで、問い合わせが減る可能性はあるので、このような対策と目標値を立てて、実績を見て、サポート詳細への誘導によるコスト削減効果を決めていくことになります。

対策3

サポート1件あたりのコストを削減する方法です。問い合わせへの対応コストを下げるために、チャットボットやサポートサイトを強化し、問い合わせを受けた担当者がウェブサイトを紹介するだけで対応が完了できるようにする、などの問い合わせ担当の負荷軽減策が考えられます。

表:施策3の指標

現状

対策3

サポート一覧ページビュー

4,000

4,000

サポート詳細ページビュー

500

500

問い合わせ数

200

200

対応コスト

¥200,000

¥100,000

サポート詳細転換率

12.50%

12.50%

問い合わせ転換率

40.00%

40.00%

問い合わせ1件あたりの対応コスト

¥1,000

¥500

サポートサイトの問い合わせ削減効果は、簡単に算出できるものではなく定期的にサポートサイトのトラフィック、問い合わせ件数、ページの増減などと合わせて判断していくことになります。

サポートページ閲覧のページビューや、ユニークページあたりの削減金額を概算でも算出できると、サポートページの価値が明確になります。

この価値は、前月との増減などから判断することになります。上記はあくまで施策に対して仮に決めた目標値なので、実際には月次の推移で判断をしてください。

3-5-4. サポートモデルの重要性

以前は、サポートとは企業のコストセンターであり、アウトソーシングや自動化によるコストダウンばかりが注目されていました。

しかし、プロモーションやセールスが効果を上げにくくなっている近年では、マーケティングの重要な役割として顧客満足度を高めるサポートが重要になってきています。サポートモデルのコンテンツは、広報・販促や製品・企業と合わせて重要な企業のブランディングのチャネルであると捉えると、どのように効率的にユーザーの満足度を高めるかがデジタル化戦略の中心となります。

[図:コンテンツの役割とサポートチャネルの定義]のように、ユーザーは広報や製品同様に、サポートコンテンツを見ます。その結果、その企業のサポートクオリティを判断し、サポートチャネルで相談し、製品やサービスを購入する前に内容を判断しますし、購入後もサポートチャネルの品質で、継続購入、離反を決めます。

ユーザーは、未利用者から熟練者まで多種多様です。そのため「誰に対して」「何を提供する」かが、満足度を高める重要なポイントです。

B2Cのセグメント活用の例

「誰に対して」を明確にするため、例えばB2Cのサポートサイトであれば、[図:B2Cユーザーの状態と態度変容を決める]のような定義でユーザーをセグメントします。

サポートサイトでは、ウェブ解析におけるユーザーやセッションセグメント化することで、「誰に」「何を」提供して満足しているかを検討することが可能です。

ここでは、例を挙げて説明していきます。

例えば、未利用者から上級者までをセグメントとすると、それぞれ製品利用においてハードルになるポイントがあります。それらを自己解決できれば、サポートコストを増やさずに満足度も高めることができ、製品を多く利用してもらえるでしょう。この場合は、Googleアナリティクスのアドバンスセグメントなどのユーザーのセグメント機能を利用し、ユーザーごとに適したコンテンツを見つけやすくするために、サイトフローの変更やMAツールで最適なコンテンツを表示することを検討してください。

図:コンテンツの役割とサポートチャネルの定義

図:コンテンツの役割とサポートチャネルの定義

図:B2Cユーザーの状態と態度変容を決める

図:B2Cユーザーの状態と態度変容を決める

B2Bのセグメント活用の例

B2Bの場合は様相が異なってきます。B2Bでは、製品の導入は効率化や競争優位性を持つことなどが目的です。導入時はコストがかかっても、どこかで事業目的を達成するための効率化をし、トラブルなく運用できることと、さらなる効率化のために投資をすべきかを判断できることがゴールになります。

例えば、製品をまだ利用していない状態(未利用)から、製品を問題なく利用している状態(安定期)までセグメントで分けると、それぞれ課題が異なります。自己解決できない場合は、迅速にコールセンターや営業担当が対応することが重要になります。

サポートサイトでは、このようなB2C、B2Bでユーザーの状態と態度変容でセグメントをすることが重要になります。

図:B2Bユーザーの状態と態度変容を決める

図:B2Bユーザーの状態と態度変容を決める

3-5-5. サポートモデルの事例

株式会社ベアーズ <https://www.happy-bears.com/> は、家事代行サービスのリーディングカンパニーで、家事代行サービスを中心とした、ハウスクリーニングサービス、キッズ&ベビーシッターサービス、高齢者支援サービスなど、「お家の困った!!」を解決するサービスを提供しています。

ベアーズのマーケティング戦略

ベアーズは、家事代行サービスをメイン事業としており、顧客層は以下となっています。

  • 30歳〜40歳共働き世帯
  • 忙しくて家事などの生活レベル(QOL)を維持できない人
  • 家事をアウトソースしてより豊かな生活や充実した生活を望む人

顧客層の意思決定は、大部分、女性が担当しているため、30歳〜40歳の共働きをしている女性をターゲットにマーケティング活動を実施しています。

自社の強みとして、「自社で雇用したスタッフに徹底した教育を施している」、「品質の高いサービスを提供」、「お客様の居宅内というプライベートゾーンでも安全、安心を徹底」を挙げています。

ベアーズのサポートサイトの戦略

ベアーズのサービス提供までのユーザー導線は、①サービスサイトへの訪問、②問い合わせフォーム、もしくは電話での問い合わせ、③コールセンターで状況ヒアリング、④現地でのマネージャーでのヒアリング、⑤成約、⑥スタッフ(ベアーズレディー)派遣、というステップになっています。

図:ベアーズのサービス提供までのユーザー導線

図:ベアーズのサービス提供までのユーザー導線

サポートサイトの戦略は「利用していない潜在需要も含めたオープンなサイト」です。

家事代行サービスは、「家事代行サービスを知っていますか?」という認知調査で、98%も知っているという結果が出ました。しかしその中で、実際にサービスを利用したことがある人は、わずか4%でした。このことから家事代行サービスは、認知はあるが潜在需要が多いと判断し、オープンなサイトを制作して自然検索や広告、PRからの流入を目指すサイトとなっています。

サポートサイトは、①家事代行サービスの内容を適切に提供すること、②その中でサービスへの理解と成約の促進、を目的としています。

情報提供のためのオウンドメディアや、チャットボット、FAQが設置されており、接客ツールで適切なタイミングでお客様にあった情報がタイムリーに提供できるよう工夫されています。適切な場所にコンバージョンボタンを配置し、ウェブ接客ツールも利用し、適切なタイミングで、コンバージョンボタンが表示されるようにしています。

図:ベアーズのホームページ

図:ベアーズのホームページ <https://www.happy-bears.com>

ベアーズのサポートサイトのKPI設計

サポートサイトの目的は、「潜在顧客および見込み顧客への情報提供」としており、潜在顧客に対してコラムなどを掲載するオウンドメディアと、見込み顧客に対してサービスの詳細情報を提供するサービスサイトで構成しています。さらに顧客の問題解決のため、QAページの設置やチャットボットを導入しています。

目的ごとのKPIとしては、以下となっています。

1. ページの目的ごとのKPI設計
サービスサイトのKPI

1. 閲覧ユーザー数

2. CV

3. CVR

サービスサイトは、サービス内容の具体的な情報提供を行い、そこでユーザーの理解、共感を促進し、ユーザーの申し込み(コンバージョンCV)を得る目的で制作しています。サービスカテゴリごとにページが分かれており、ユーザーがどのページを閲覧しているか、セッションが多いかを測っています。また、ページごとにインタラクション解析でスクロール到達率を設定し、精読率を測って読まれてなければ、コンテンツの変更や、早めにCVボタンを表示するなどの変更をしています。

オウンドメディアのKPI

1. 閲覧ユーザー数

2. 精読率

3. 視聴数

オウンドメディアは、サービス自体に興味がまだ薄い潜在顧客向けに、お掃除や、時短家事、家事代行サービスは何をするものなのか、もしくは実際の家事代行サービスを利用した感想などのコンテンツを提供し、家事や育児の困りごと、そして家事代行サービス自体を知ってもらう情報提供ページとなっています。

オウンドメディアは記事や動画がメインとなっているので、閲覧したユーザー数はもちろん、インタラクション解析で、精読率を1ページごとに測っています。動画についても視聴数と視聴時間を計り、コンテンツの品質を常に改善するように心がけています。

また、オウンドメディアは潜在顧客を見込み顧客に昇格させるためのサイトでもあり、サービスサイトへCVすることも重要な役割としているため、ヒートマップツールを導入し、各ページでどこまでスクロールされ、CVボタンをどのように押しているかを確認し、細かくCVボタン周りを調整しています。

FAQページのKPI

1. FAQの数

サービスサイトにFAQページを設置し、ユーザーの不明点の解決を図っています。ユーザーがFAQで自分の目的を果たし、すぐに必要なページに遷移しているかを見ています。昨今のサービスサイトは、モバイルファーストで制作されていてコンテンツ量に限界があるため、FAQの充実がサービスサイトの満足度につながっていると考えています。

2. チャットボット導入によるサポートコスト削減

サポートサイトでは、さまざまなサービスに関する情報を提供していますが、どうしてもサイト上では表現しきれない情報が多くあります。そのためFAQの充実を図っていますが、FAQページだけでは解決できないケースが多くあり、ユーザーへの負担は大きい状況でした。

また、ベアーズではFAQの電話問い合わせが毎月100件程度発生し、事業成長に伴いコールセンターコストの増大が課題でした。

そこで、チャットボット導入によるサポートコスト削減に着手しました。

サポートサイト上にポップアップのチャットを設置し、ユーザーが迷った動きをするとポップアップが表示され、何か困りごとがないか提案する仕組みを導入しました。

それにより、価格の質問や、サービス提供地域の質問などがチャットにより自動的に回答できることで、ユーザー側の顧客体験は大幅に改善され、サポートコストについても大幅な削減に成功しました。毎月100件のFAQレベルの電話問い合わせがほとんどなくなり、コールセンターの負荷を軽減することとなりました。

3. アンケート調査による顧客ロイヤリティの向上

ベアーズでは以下のアンケートを実施しています。

  • NPS®(6-1-2「行動モデルと評価指標」参照
  • ミステリーショッパー(MSP)

NPSでは、顧客体験の向上のため、顧客接点のすべてにおいて、アンケートを実施しています。また、アンケート以外にミステリーショッパーによる調査も毎月定期的に実施しています。これは、お客様となって、ホームページの検索からスタートし、サービスの利用までを評価していただく仕組みです。お客様の生の声が聴けることで、サービスサイトの改善につながっています。

サポートサイトの気をつけるべきポイント

ベアーズのマーケティングの特徴は、戦略PRに力を入れており、雑誌、ラジオ、テレビなどのメディア露出が年間400件近くに上ります。

そのため、メディア露出に合わせ、広告の露出方法および、キャンペーン設計、メディア露出で集客し、サポートサイトへ到達したユーザーへの適切な情報提供を行っています。

これらの設計が組み合わせることにより、トータルコストの低減につながっており、どのようなユーザーがサポートサイトに流入するかによって、細かい設計の見直しを行っています。

このように、目的を持って施策を行うこと、複数の施策の全体最適化、常に改善見直しを行うことに気をつけて活動しています。

3-6 アクティブユーザーモデルのKPIと計画立案

アクティブユーザーモデルとは、モバイルアプリやオンライン上の利用で見られる継続利用型サービスのビジネスモデルを指します。

この事業の目標を達成するには、サービスにログインするアクティブユーザーと、料金を支払うアクティブユーザーの双方を増やし、継続的にサービスを利用してもらうことが重要となります。売上、有料会員数、継続率などが目標として設定されます。

3-6-1. アクティブユーザーモデルのビジネス用語

モバイルアプリやサブスクリプション型のビジネスで、アクティブユーザーモデルをよく用います。

モバイルアプリ

アプリはウェブサイトとは違い、「ページ」の概念がないためアプリならではの計測や分析方法が存在します。ボタンや機能に対して、一つひとつ割り当てる必要があります。また、アプリは接続がない環境でも機能します。どのタイミング・方法で測定するかを決める必要があります。

またApp StoreやGoogle Playのデータも重要な情報です。これらのデータは App Store Connectや Google Play の管理画面で 取得できます。

ネイティブアプリ

Java・KotlinやSwift・Objective-Cなどで開発されるアプリです。端末へのダウンロードが必要です。デバイスの機能(GPSやBeacon、加速度センサー・カメラなど)を使うことができます。

ウェブアプリ

端末にダウンロードする必要がなく、ウェブブラウザからアクセスするタイプのアプリです。

ハイブリッドアプリ

ネイティブアプリとウェブアプリを組み合わせたもの。ネイティブアプリと同様にデバイスの機能をフルに使い、コンテンツ部分はウェブといったようにメリットを組み合わせたアプリです。

ウェブアプリは、HTMLやCSS・JavaScriptなどで構成されるためHTMLにトラッキングコードを設置すれば解析可能です。ネイティブアプリやハイブリッドアプリに関しては、コンテンツ視聴時にサービス内でログを取得するか、外部の解析サービスを使うためにSDK(Software Development Kit:ソフトウェア開発キット)の導入が必要になります。SDKには「Googleアナリティクス開発者サービスSDK」や「Firebase SDK」などがあります。

ASOApp Store Optimization

アプリストア最適化のことを指し、ストア内検索の表示改善や、アプリの詳細ページでのインストール率改善を目的として行う施策のことです。さまざまな手法がありますが、アプリのタイトルを変更することで検索結果上位に表示されたり、詳細ページのスクリーンショットを変更することでインストール率を上昇させることができます。

アプリのバージョン分析

アプリでは、バージョンとデバイス、OSとの掛け合わせ分析を行うと、特定の端末やOSで誤作動や不具合が発見しやすくなります。

継続的な利用

アプリの削除自体は計測ができないものの、定期的に利用するユーザーを測定し、利用しないユーザーから休眠顧客が測定できます。

レビューの分析

アプリのダウンロードは、掲載順位およびレビュー内容と評価点(★の数)によってダウンロード数が大きく変わってきます。評価点が高い・低いレビュー内容に共通項がないかを確認し、強い部分を伸ばし、弱い部分を改善することを意識しましょう。また、レビューの通知タイミングなどもコントロール可能ですので、高評価が期待できるタイミングを計り、ユーザーにレビュー依頼をするようにしましょう。

Appアナリティクス

Apple App Store内のインプレッションや、ダウンロード数を測定できます。公式iOSアプリが便利です。iOS8以降の集計データのみ表示しています。

Google Play Console

Google Playでのアプリ開発をサポートするソリューションですが、インプレッションやダウンロード数などの測定もできます。

リワード広告

リワード広告は、アフィリエイトのような成果報酬型の広告の一種です。主にアプリ内でユーザーが広告のリンク先でアプリをダウンロードしたり、商品を操作することで広告主からアプリなどの媒体に報酬が支払われます。アプリはそのユーザーに対して、アプリ内で使えるポイントやアイテムなどを付与する仕組みです。具体的な例としては、アプリゲーム内でゲームをするのにライフが必要で、そのライフが足りない時に、広告視聴や他のアプリをダウンロードしたり、音楽サイトなどのサブスクリプションサービスへの2週間トライアル入会などによってコインを与えることなどです。

単に広告を押し付けると、媒体となっているアプリのユーザーのエンゲージメントを下げる危険性がありますが、ゲームやソフトウェア利用で、ユーザーが広告を見ても得たいエクスペリエンスを提供することで、アプリに対するエンゲージメントを下げずに広告収益を得ることができます。その実現には媒体のアプリ側での綿密な設計が重要となります。

なお広告主として、このリワード広告を使いアプリのダウンロード数を増やすことで、ランキングを急上昇させる目的の広告をブースト広告(burst campaign)ということもあります。これらはアプリストアなどでのランキングをユーザーの評価と無関係に上げるため、アップルは行き過ぎたリワード広告、ブースト広告を行う媒体のアプリを拒否するガイドラインを上げています。

サブスクリプション

サブスクリプションでは、従来は購入されていたサービスを月額課金制にすることで、従来にない利便性と継続収益を目指します。

シェアリングエコノミー

個人が持つ資産を、インターネットなどを介して貸し借りすることで成り立つ経済の仕組みとサービスのことです。サブスクリプションモデルで提供することがよくあります。インターネットを使い、利用者と提供者それぞれをレビューすることで品質を担保し、無駄な所有やロスをなくすという考えです。

D2C

第1章でも触れていますが、製品にインターネットで新たな付加サービスをつけた事業を指します。従来購入されていた製品をサブスクリプションにして、利便性と継続収益を目指します。

3-6-2. アクティブユーザーモデルのKPI

アクティブユーザーモデルにおけるフェーズによるKPIと、課金ユーザーによるKPIを紹介します。

ビジネスのフェーズごとの対策

アクティブユーザー型のモデルでは、重要なKPIはそのフェーズによって変わります。[図:アクティブユーザー型のフェーズとシナリオ]は、リリース後の期間を4つのフェーズに分けたものです。

図:アクティブユーザー型のフェーズとシナリオ

図:アクティブユーザー型のフェーズとシナリオ
時間を4つのフェーズに分ける

リリース直後からリリース後期にかけて、時間を4つのフェーズに分け、それぞれのフェーズにおける状態を説明します。

1. リリース

サービスをリリースした直後、約1〜2カ月の時期です。大半のサービスは、このタイミングでうまくいくか、いかないかをある程度見極めることができます。また、リリース時にどれくらいのプロモーションを行うかによって、集まる人が大きく変わってきます。このタイミングで、明らかにダメな状態になっていないかを確認することが大切です。

2. 初期

リリースしてから2〜6カ月くらいの時期です。このタイミングで、サービスを継続するかクローズに向かうか、または、今後も伸びる余地があるか、ないかが判断されることが多いです。例えば、売上は伸びていなくても、ほかの指標がよいのであれば、改めてプロモーションをかけるか、といったことが議論に上がります。

3. 中期

リリースしてから6カ月〜1年半くらいの時期です。クローズするという判断が下されたサービスの場合は、サービスが終了している時期です。また、継続すると判断されたサービスに関しては、「順調に売上を伸ばし続けている」「サービスとして伸び悩んでいる」という2つの方向性が見えてきます。前者は問題ないのですが、後者に関しては、伸びの鈍化の状況を止めて、再度上昇気流に乗せることができるかがポイントです。サービスの遊び方の見直しや、大きな機能追加や変更などが迫られる時期です。

4. 後期

リリースしてから1年半以上のサービスです。ここまで来るサービス自体、非常に限られています。このフェーズ

に入ると、「引き続き伸び続ける(稀有なパターン)」「中期と同じように、また売上が鈍化する」「売上がずっと落ち続ける」という3つのパターンがあります。

[図:アクティブユーザー型のフェーズとシナリオ]では、リリースしたサービスの描くシナリオをグラフとして例示しています。言葉に置き換えると、次のようなパターンです。

  • シナリオ1すぐにクローズ
  • シナリオ2最初は盛り上がるものの、維持できない
  • シナリオ3きっかけをもとにサービスが爆発し、売上を伸ばす
  • シナリオ4売上は順調に伸びるものの、徐々に下がることを止められない
  • シナリオ5売上が鈍化するという危機を乗り越え、成長を続ける
フェーズごとのKPIと優先順位

ここまで、4つのステージと5つのシナリオを紹介してきました。もちろん、これにあてはまらないパターンもありますが、ほとんどのサービスがどれかに当てはまるはずです。

期間を各フェーズに分けたことで、それぞれのフェーズでKPIを変えるべきことがわかってきます。

なお、いずれのステージでも売上を確認しておくことは必要ですが、改善施策を考えて売上を伸ばすことを実現するためにも、KPIを必ず確認します。改善や課題のヒントは売上そのものからは見つからず、KPIを見て原因を特定することで初めて可能になります。

表:フェーズとKPI(サブスクリプション型のゲームの例)

フェーズ

KPIと優先順位

リリース

サービスを使ってもらって初めて分析ができるため、まずは「ユーザー獲得」をKPIとすることが多い。例えばゲームであれば、リリース直後はサービスが盛り上がりやすいため、メインターゲットへのアプローチを強化し、より遊んでくれるユーザーの獲得を目指す。また、中長期的に楽しんでもらえるのかを判断するために「継続率」も重視し、新規と既存の継続率の両方を確認する。この時点でほとんどの人が離脱してしまうようであれば、サービス自体に問題を抱えている可能性が高い

初期

順調に人が増えているか、継続率が維持できているかを確認する。多くのサービスの場合、リリース当初は継続率が高いものの、すぐに下がってきて、あるところで横ばいになる。この横ばいの値がどれくらいになるのかが、サービスを続けるか否かを判断する上で重要になる。また、人を集め続けられているかという意味で、DAU/WAU/MAUが大切になる。また、サービスとしての売上のポテンシャルを測るためのARPPUも重要な指標。最初に売上を作るには、ARPPUを上げることが大切

中期

ここからは、「DAU/WAU/MAU」「課金人数・率」「チャーン数・率」のいずれかで課題が発見されるケースが多い。

人を集めることができなくなってきていないか(DAU/WAU/MAU)

人は増えているがお金を使う人が伸びていない、あるいは減っている(課金人数・率)

サービスから離脱する人数や割合が増える(チャーン数・率)

いずれも、このような課題を発見し、それを施策で修正しようとしたときに改善できたかを判断する重要な指標。特に改善が難しいのは課金人数や課金率ARPPUと比較して、上げるための難易度は相対的に高くなる

後期

基本的には中期と見るべき指標は変わらないが、ここまで来るとサービスを離脱する人数や割合というのは大きく変わらず、継続率に大きな変化も見えなくなる。また、新たな機能やコンテンツを追加しないと、新規人数を増やすのが難しい時期。そこでまずは「WAU/MAU」を確認しながら「チャーン率」の改善に取り組む。今後大きく人が増えることがない中で、定期的に遊んでくれている母数に変化がないかをチェックしておく。また、サービスの機能や中身をある程度入れ替えたり、増やしたりといった変化がないと、徐々にARPPU課金率も下落する。中期のときよりも長いスパン(月〜四半期単位)で課題の芽を発見し、大きな機能改善などに取り組むことが大切

課金ユーザーに関するKPI

アクティブユーザーモデルでは、アクティブユーザーと課金ユーザーのバランスを配慮します。

図:ARPUとARPPUの関係

図:ARPUARPPUの関係
表:ARPUARPPUの関係、その特徴と改善策

ARPPU

ARPPU

ARPU

コミュニティゲームやカジュアルなゲームなどは、このような傾向になりやすい。支払いをする人数が多いため、比較的「高ARPU・高ARPPU」に遷移しやすい。サービスリリース後は「低ARPU・高ARPPU」よりもこちらを目指したほうがよい

最も理想的で、支払いをする人が多く、その金額も高いという状態。これを実現しているサービスは世の中でも非常に少なく、どのアプリもこの領域を目指して施策を行っている

ARPU

サービスを運営していくのが厳しい状態。リリースのタイミング(リリース直後やリリースから時間が経っているなど)、あるいはサービスの位置付けによって、戦略が変わってくる。まずはDAUを増やすことが求められるが、このままでは厳しいのでサービスを停止するということも選択肢の1つ

課金者の金額は高いものの、支払いをする人数が少ないためARPUが低い状態。カードゲームでよく見られるケースで、一部の高課金者の存在が示唆される。課金率を上げることよりもARPPUを上げる方が容易なので、この状況は作りやすいが、そもそもお金を払ってもよいと思っている人が少ないため、中長期的に見ると売上を上げるのが難しい

ARPPUを上げるための施策

ARPPUを上げるためには、「すでに課金している人に、お得でかつ高単価の商品を用意する」ことが基本的な施策となります。そのため、多くの課金型ゲームでは、月初に高単価の商品を用意しています。また、課金率が下がるとARPPUが上がる傾向があります。「ARPPUが上がるなら、よいのではないか」と思われるかもしれませんが、課金率が下がるということは「課金額が少ない初級〜中級者が課金をしなくなる」ということであり、その結果、売上も下がってしまいます。

ARPPUARPUだけでなく、指標同士は連動しています。ある指標が上がったとしても、最終的な目標である売上に影響しては意味がありません。それぞれの指標の影響を考えながら施策を行い、評価していく必要があります。

3-6-3. アクティブユーザーモデルの計画立案

アクティブユーザーモデルでは、アプリやサービスにリーチしたユーザーに申し込みをしてもらい、使ってもらって課金に誘導することと解約を防止することで収益を上げられます。アクティブユーザーモデルでは、アクティブユーザー単位で解析、改善をします。ウェブサイトで提供するサービスでは、ユーザー単位を用いることもあります。

全アプリ・サービスの解析と改善

それぞれのアプリの指標を見て、問題点を見つけ改善を検討することができます。全体の数値(Total)と比較して問題点を見つけましょう。

表:各アプリの指標
プロダクトページ(App Store等で、アプリを紹介するページ)へのリーチ数
インストール数:アプリをダウンロードし起動した数、解約数:一般的には課金ユーザーのうちの解約数

単位:ユーザー数

Reach

インストール数

MAU

課金ユーザー

解約数

アプリA

1,000,000

5,000

1,000

200

50

アプリB

500,000

5,000

500

100

25

アプリC

400,000

4,000

800

100

40

アプリD

100,000

1,000

200

40

40

全体

2,000,000

15,000

2,500

440

155

アプリA

Reach 数のわりにインストール数が低いです。アプリの魅力がユーザーに伝わっていないことが考えられるため、 プロダクトページの改良で起動を促すことを検討しましょう。

表:アプリAはインストール率が低い

Reach

インストール数

インストール率

アプリA

1,000,000

5,000

0.50%

アプリB

500,000

5,000

1.00%

アプリC

400,000

4,000

1.00%

アプリD

100,000

1,000

1.00%

全体

2,000,000

15,000

0.75%

アプリB

MAUが低いため、アプリを利用する人が少なくなっています。アプリを利用してもらうプッシュ通知やキャンペーンを強化しましょう。

表:アプリBはMAU転換率が低い

インストール数

MAU

MAU転換率

アプリA

5,000

1,000

20.00%

アプリB

5,000

500

10.00%

アプリC

4,000

800

20.00%

アプリD

1,000

200

20.00%

全体

15,000

2,500

16.67%

アプリC

課金ユーザーが少ないため、売上に貢献できていません。課金を誘導するキャンペーンやイベントを強化しましょう。

表:アプリCは課金率が低い

MAU

課金ユーザー

課金率

アプリA

1,000

200

20.00%

アプリB

500

100

20.00%

アプリC

800

100

12.50%

アプリD

200

40

20.00%

全体

2,500

440

17.60%

アプリD

課金ユーザーの解約数が多くなっています。解約を減らすためのサービスの見直し、解約防止策を強化しましょう。

表:アプリDは解約率が高い

課金ユーザー

解約数

解約率

アプリA

200

50

25.00%

アプリB

100

25

25.00%

アプリC

100

40

40.00%

アプリD

40

40

100.00%

全体

440

155

35.23%

アプリ・サービスごとの解析と改善

上記のアプリAについて、課金ユーザーを300人に増やす方法を検討します。

表:アプリAの施策ごとの指標

単位:ユーザー数

現状

施策1

施策2

施策3

施策4

Reach

1,000,000

1,500,000

1,000,000

1,000,000

1,000,000

インストール数

5,000

7,500

7,500

5,000

5,000

MAU

1,000

1,500

1,500

1,500

1,000

課金ユーザー

200

300

300

300

300

施策1

Reach数を増やす方法です。Reachを500,000増やすことで、課金ユーザーを300に増やしています。広告を使う、ASOでリスト上位を目指す、レビューで高い評価をもらう工夫をすることが考えられます。

表:施策1の指標

現状

施策1

Reach

1,000,000

1,500,000

インストール数

5,000

7,500

MAU

1,000

1,500

課金ユーザー

200

300

インストール率

0.50%

0.50%

MAU転換率

20.00%

20.00%

課金率

20.00%

20.00%

施策2

インストール数を増やす方法です。Reachはそのままですが、インストール数を7,500に増やしています。インストール率が0.50%から0.75%に増えています。ASOでプロダクトページの工夫をすることや、インストールを増やす方向でのアプリの工夫が考えられます。

表:施策2の指標

現状

施策2

Reach

1,000,000

1,000,000

インストール数

5,000

7,500

MAU

1,000

1,500

課金ユーザー

200

300

インストール率

0.50%

0.75%

MAU転換率

20.00%

20.00%

課金率

20.00%

20.00%

施策3

毎月のアクティブユーザーを増やす、つまりMAUを増やす方法です。MAUを1,000から1,500に増やしたため、MAU転換率が20.00%から30.00%に増えています。アプリからのプッシュ通知やキャンペーンなどでインストールしたユーザーにアプリ利用を促します。

表:施策3の指標

現状

施策3

Reach

1,000,000

1,000,000

インストール数

5,000

5,000

MAU

1,000

1,500

課金ユーザー

200

300

インストール率

0.50%

0.50%

MAU転換率

20.00%

30.00%

課金率

20.00%

20.00%

施策4

課金ユーザーを増やす方法です。MAUの中で課金ユーザーを300人に増やしたため、課金率が20.00%から30.00%に増えています。期間限定の課金キャンペーンやクーポンの発行などで、課金サービスの利用を促します。

表:施策4の指標

単位:ユーザー数

現状

施策4

Reach

1,000,000

1,000,000

インストール数

5,000

5,000

MAU

1,000

1,000

課金ユーザー

200

300

インストール率

0.50%

0.50%

MAU転換率

20.00%

20.00%

課金率

20.00%

30.00%

3-6-4. アクティブユーザーモデルの事例

本セクションの最後にアクティブユーザーモデルのKPIや分析、改善の事例を紹介いたします。以下のようなアプリをお題としましょう。

  • 種別:アプリ
  • 概要:新進気鋭の作家の連載小説を読むことができるアプリ。ジャンルや人気ランキングから好きな小説を選んでチェック。1話は5分~10分で読むことが可能。著者にコメントを送る、いいね!をする、投げ銭をして応援
  • ビジネスモデル:話を読むためには「チケット」が必要。第1話と最新話は無料で読めるが、それ以外を読む場合はチケットを消費する。チケットは1日3枚もらえる。それ以降は有料で5チケット250円購入。プレミアム会員 1,500円/月になるとその間は読み放題となる

このアプリをリリースし、これから分析・改善していくとしましょう。

ファネルへの落とし込みとKPIを設定しましょう

どういったフローになるのか。まずは整理してみましょう。シンプルに考えると上記の5ステップになります。

  • ダウンロード:Google PlayやApp Storeからアプリをダウンロードしてもらう
  • 起動:アプリを初めて起動してもらう
  • 読む:複数ある小説の中から読みたいものを選び読み始める
  • 継続利用:1度だけの利用で終わらず、継続的にアプリを起動し本を読んでもらう
  • 課金:初めての課金をしてもらえる

この中でリリース時に重要なのは「読む」と「継続利用」の部分です。アプリにおける集客にはある程度お金が必要なことが多いです(ウェブサイトでの「検索エンジン」の力はそれほどありません)。認知が重要になります。

お金を使って認知を高めてもアプリがイマイチで利用を継続してもらえないのであればお金の無駄になります。アプリは一度アンインストールされたら、再度インストールしてもらえることは極めてまれです。ウェブサイトはソーシャルや検索で再度流入することがありえますが、アプリの場合は期待できません。そこでお金を使う前にまずはアプリの質を上げましょう。

そのためKPIは「本を読んでもらえた」そして「継続して利用してもらえた」の2つにすると良いでしょう。具体的には「1話読み率」そして「翌日・翌週継続率」あたりになります。

データ取得の設定を行う

これらKPIや関連指標を数値で見るためにはデータを取得する必要があります。Firebase Analyticsなどは無料で利用できるので実装をしてみるとよいでしょう。他にもApps Flyerなどさまざまなツールが存在します。

図:Firebaseのダッシュボード

図:Firebaseのダッシュボード

ウェブサイトと違いアプリは「ページ」の概念がないため、ユーザーが取った行動や閲覧した画面ごとにIDを決めてそれを送信する必要があります。この辺りはウェブと比べてひと手間増えますが、一覧表などを作って決めましょう。

例えば、

  • story_detail_page_view:短編小説の概要ページを閲覧
  • episode_page_view:短編小説の「話」を読み始め
  • issed_free_ticket:無料チケットの発行完了回数
  • finished_reading_episode_page_view:短編小説の「話」を読み終わり

といった形になります。

ファネルを確認して改善ポイントを見つけ出す

アプリをリリースしてデータがたまり始めたらKPIの数値を確認してみましょう。

継続率であれば、翌週継続率は平均で9.8%、読み終わり件数は1カ月で約1,840回、1ユーザーあたり5.2回などの情報が分かります。これらの数値を確認しつつも、さらに増やすための原因調査が必要になります。

読み終わり件数に関しては、そもそも読み始めていないと読み終わることができないですよね。そしてそれ以前に、数ある小説から読みたいものを選択できている必要があります。KPIにたどり着くまでのステップをファネルで見るのが良さそうです。Firebaseにはファネルのレポートも用意されていますので、確認してみましょう。

アプリを始めて起動し(first_open)、チュートリアルを完了し(tutorial_complete)、読みたい小説を見つけ(episode_page_view_before_detail)、話を読み始め(episode_page_view)、読み終える(finished_reading_episode_page_view)という流れになっており、それぞれの人数や遷移率が記載されています。

このデータを見ると改善ポイントは主に2つありそうです。1つ目はチュートリアルが終わった後に小説を見つけられている人が66%しかいないこと。もう1つが読み始めてから読み終わりまで到達している人が半分しかいないことです。

1つ目に関しては、もしかしたら小説をどのように選べばよいか迷っているのかもしれません。アプリを見ると小説のおすすめが「人気順」や「新着順」となっており自分が読みたいジャンルがあるのかわかりにくく、上位の内容は自分のテイストと合いませんでした。そこでチュートリアルで興味があるジャンルや性別を取得してみることで、よりよいレコメンドができるかもしれません。

2つ目の内容に関しては、より詳細な分析が必要かもしれません。小説ごとにデータを確認して、読み終わり率などをチェックしてみましょう。

読み終わり率が高い小説と低い小説に何か共通項があるかもしれません。それはジャンルかもしれないし、文字数かもしれないし、想定読者像の可能性もあります。データを確認した上で次の打ち手を考えてみましょう(例:1話の長さを短くするなど)。

ここでは割愛しますが継続率も同じような形で分析を行っていきます。継続する人としない人の違いを見つけ、継続してくれた人はどのような行動をとっていたのかを確認しましょう。「無料チケットを全部消費する」ことが一番大きな要素かもしれないし「2話読んでくれること」かもしれません。

継続を改善した上で集客や課金につなげていく

継続率や使い勝手などを一通り改善できたら、集客に力を入れるのがアクティブユーザーモデルの基本的な進め方です。これはウェブでもリアルな店舗でも変わりはありません。まずは環境を整えることを重視しましょう。

そして集客を増やすステップに進めば今度来るユーザーの行動も変わってきます。改めてデータを検証することで次の改善プランが見つかるでしょう。

またユーザーの声を集めるという観点ではアンケート等も便利です。Googleサーベイのようなアンケートサービス使うのも良いですし、アンケート会社やクラウドワーク会社を使って情報を収集しても良いでしょう。

「アクティブユーザー」という名称の通りぜひ、ユーザーのことを知り、よりアクティブにさせるための取り組みにチャレンジしてみましょう。

3-7 グローバルでのイーコマース戦略

3-7-1. イーコマースのグローバル化の可能性と難易度

さまざまな国で、イーコマースのグローバル化が重要になっていますが、独自ドメインを使用したイーコマースのグローバル化の成功事例は限られています。

これは、イーコマースのグローバル化にチャレンジする企業の数自体が国内向けECと比べたときに少ないことも起因しますが、最も大きな理由は異国に自社の製品を販売することの難易度の高さです。

イーコマースのグローバルサイトを構築して、広告で集客しただけで売れるほどイーコマースのグローバル化は甘くありません。海外で売上を伸ばすためには少しばかりのコツと、イーコマースのグローバル化で成功をするという覚悟が求められます。そこで今回は英語圏向けイーコマースのグローバル化を支援してきた13年間の知見を持つ筆者から、イーコマースのグローバル化の勝ち筋を見つける方法についてお伝えしてします。

3-7-2. すべての商品が海外で売れるというわけではない

イーコマースのグローバル化に取り組んでいる、または取り組もうと検討している事業者の支援をするにあたり、まず伝えなければならないのがすべての商品が海外で売れるというわけではないということです。

価格の優位性であれば東南アジアで作られたものの方がありますし、機能面でも日本製が必ずしも選ばれるわけではありません。提供している製品は、顧客がEMS、DHL、Fedex等で配送料20ドル以上を払ってでも欲しいものでしょうか? 良いものを作れば売れるのではなく、顧客が価格以上に価値があると感じてもらえたものが購入されるのです。

イーコマースのグローバル化を始めるにあたって、下記の問いに答えられるようにしなくてはなりません。

  • なぜ、自国内の製品ではなく、越境で御社製品を購入する必要があるのか?
  • どういった悩み、課題、願望を持った顧客に対しての製品なのか?
  • どういった価値を提供しているのか?

3-7-3. 価値のマトリクスで提供する価値を分類する

イーコマースのグローバル化についてデジタルマーケティングの相談を受けた際に、まず価値のマトリクスという観点で、市場性や提供価値を整理します。顧客が誰で、どういった価値を提供しているか、または提供していきたいかを分類することで戦略を導き出していきます。

価値のマトリクスは、製品の価値を評判、共感、実利、保証の4つに分類し、考えるフレームワークです。

図:価値のマトリクス

価値のマトリクスでは情緒と機能の横軸、実績アリ、ナシ縦軸で4象限に分類します。それぞれの象限の定義は下記の通りです。

評判価値

すでに世の中に知られており、保有することで情緒的に満たされる商品。

共感価値

世の中にあまり知られていないものの、保有することで情緒的に満たされる商品。

実利価値

すでに世の中に知られており、保有することで機能的に満たされる商品。

保証価値

普段は機能を発揮しないが、いざというときに安心や安全を提供する商品。

3-7-4. 評判価値製品の差別化戦略

評判価値商材 ブランドバックの例

例えば、ブランドバッグや時計を販売している場合はすでに実績があり、購入することで情緒的な欲求が満たされるため、評判価値に分類されます。

図:価値のマトリクスにおける「評判価値」

図:価値のマトリクスにおける「評判価値」

この場合、すでにニーズが顕在化しており、製品を探しているユーザーが存在します。同様の製品を販売する競合とどのように差別化し、自社が選ばれるのか? という視点で戦略を考える必要があります。

取り扱うブランド品のメーカーやカテゴリを絞ったり、アフターケア、保証等のサービス、安心感、仕入れの優位性がある場合は価格で差別化し、選ばれる理由を作ります。

例えば、同じ有名ブランドのバッグでも日本で流通しているものと海外で流通しているものでは状態が大きく異なり、日本で使われていた=状態が良いと考える海外バイヤーも少なくありません。

Google広告が提供しているプレビューツールを使用すれば、ターゲットとする国の検索結果を確認し、製品名、型番で検索することで、どういった競合がどういった訴求で広告を配信しているか確認することが可能です。

競合サイトを見て、自社で取り扱う製品と同じ型番がいくらで販売されているのか、どういった付加価値を訴求しているのかを整理してみることで、自社がその市場で優位性があるものなのか、何か強みを作り出す必要があるのか考えていく必要があります。

3-7-5. 独自ドメインはモールと比べCVRは下がると考える

越境で高額商材を販売する際は、信頼を獲得することにある程度コストをかけていく必要があります。ある程度、保証のあるモールとは異なり、独自ドメインのサイトはCVRが大きく下がります。商材の価格にもよりますが、モールのCVRが1~4%とした時に独自ドメインは0.3~1%くらいで見ておいた方が良いです。

モールにはそもそも購買意欲の高いユーザーが多いということもありますが、初めて訪れたサイトで異国から20万も30万もする商品を購入することは躊躇するものです。そのため、信用を獲得するような外部メディアへの寄稿やサイト内のコンテンツは必須だと考えてください。

もし、実店舗を持っているのであれば、実店舗の外観や内観、スタッフの様子など、できるだけリアルにビジネスをしていることを感じてもらえるようにしましょう。外部メディアに寄稿した際は外部メディアのロゴをサイト上に掲載するのも良いでしょう。初めて訪れたユーザーからは、購買よりも信頼を獲得することを意識してください。

評判価値同様、実利価値商材も同じような考え方で、信頼と選ばれる理由作りが重要です!

3-7-6. 共感価値製品の差別化戦略

共感価値商材の事例

ブランドバックや車と比べて認知度がないもので、情緒的に満たされる商材を共感価値と分類します。アパレルD2Cブランドの商材等が共感価値商材に分類されます。評判価値・実利価値とは異なり、ニーズが顕在化していないため、戦略が異なります。

図:価値のマトリクスにおける「共感価値」

図:価値のマトリクスにおける「共感価値」

共感価値商材は顧客接点を作り、共感者(ファン)を増やす

共感価値の戦略は顧客接点を持ち、共感者(ファン)を増やすことです。イーコマースのグローバル化の場合、効果的な施策は次の2つです。

  • InstagramやTwitterなどのSNSを駆使し、情報発信することで海外に共感者を作る
  • 海外に商品の卸し先を見つけ、実店舗で商品に触れてもらう機会を作り、ファンを獲得したり、オンラインに導く(O2O施策)

カナダ初のカートシステムであるShopifyはSNSとの連携やO2O施策に適しており、イーコマースのグローバル化のマーケティングで活用されています。

SNS発信と海外の実店舗でファンを増やしたPampshade

パンとランプシェードを組み合わせた「Pampshade」という名のランプシェードを、Shopifyを活用したイーコマースのグローバル化サイトで販売してるD2Cブランドが神戸にあります。

図:「PAMPSHADE」のWebサイト

図:「PAMPSHADE」のWebサイト <https://pampshade.com/>

開発者の森田さんがパン屋で働いていた時、廃棄になるパンを見るのが耐えられず、パンは食べるだけではなく、それ以外の、それ以上の魅力があると考えて開発しました。

この想いを形にしてPampashadeを開発した後、Instagramで発信していたところ海外から、「欲しい!」「かわいい!」という声が届くようになりました。

海外でこんなに反応をもらえるならと思い、ニューヨークやパリの展示会に出展したところ、次々に海外の実店舗に出店が決まりました。現在は北米、ヨーロッパを中心に約50店舗で取り扱われています。

O2Oも視野に入れる

イーコマースのグローバル化に取り組む事業者の多くが、オンラインだけでビジネスを完結させようとしますが、共感価値商材はオンライン、オフライン問わず、顧客接点を持ち想いを伝えることや、実商品を見てもらう、触れてもらうことが重要です。

つまり、実店舗で顧客接点を持ち、商品の同梱物や紹介カードでサイトに訪問してもらうという方法はとても効果的です。Shopifyが提供しているツールのワンクリックQRコードを使えば簡単に商品詳細ページに遷移する導線を作成することができます。

図:shopifyのQRコードメーカー

図:shopifyのQRコードメーカー <https://www.shopify.jp/pos/qr-code-generator>

顧客の解像度を上げ、企画や打ち手の精度を上げる

イーコマースのグローバル化を行うとなると、英語圏や、アメリカ人といった粗い解像度の顧客像を設定し、プロモーション施策として使用しがちです。顧客の解像度の高さと打ち手の精度は比例しており、解像度が低ければ広告費を投下しても無駄打ちになってしまう可能性が高いです。

図:顧客の解像度の高さと打ち手の精度

そのため、筆者がイーコマースのグローバル化のマーケティング支援をする際は、できる限り顧客の解像度を高め、チームで共通認識を持って打ち手を考えていけるようにしています。

ただ海外の顧客となると、どうやって解像度を高めていけば良いか分からないという方も多いかもしれません。下記の例を参考に自社でどんなことができるか考えてみてください。

既存顧客の分析、インタビューをする

すでに稼働しているイーコマースのグローバル化のマーケティングを考える場合はとても簡単です。クライアントに依頼し、エンドの顧客情報を閲覧し、顧客データとGoogle Analyticsのデータを見てザックリとした傾向を見ます。

次に、ロイヤルカスタマーとInstagramやFacebookでつながっている場合、顧客のプロフィールを見て、彼らのライフスタイルや家族構成、年齢を把握します。

ここで重要なのは想像だけに頼らないということです。データを見て絞り込んでいくことで自分たちが想像している顧客像と現実の顧客像に乖離がないか確認することができます。

以前、筆者が想定していた顧客は、「LAに住むアメリカ人のニックさん」でしたが、実際に購入してるユーザーは「LAに住むチャイニーズアメリカンのチャンさん」だったというふうに、乖離していたことがありました。

確認方法としては、いつも購入してくれるロイヤルカスタマーにInstagramやFacebookでコンタクトしてユーザーインタビューを依頼し、ここで得られたインタビュー結果に基づき、サイトの見せ方や伝え方、商品の訴求軸、ラインナップを検討します。

データを見ながら傾向を掴み、顧客をピックアップした後、インタビューすることでn=1のインサイトを細かく把握することができます。

新規顧客の分析、インタビューをする

これからイーコマースのグローバル化を立ち上げる場合や、まだ売上が発生していない場合は、自分たちが想像する顧客像(ペルソナ)を考えたり、競合サイトのレビューを見ながら想定顧客を設定します。

可能であれば想定顧客像に類似する海外ユーザーを集め、サンプリング会やインタビュー会を実施し、商品やサイトに関するコメントや感想をもらうようにしましょう。これまでヨーロッパ、アメリカ、アジアでサンプリング会をしてきましたが、すべてのサンプリング会での顧客の声がその後の戦略を考える際の根拠となり、役立ちました。

以下に、顧客の理解を深めるための質問例を挙げます。これは化粧品の場合の例です。

化粧品に関する質問
  • 普段、使用している製品と価格
  • 化粧に関する悩み、課題
  • 月に使用する美容費
  • 普段、どこで化粧品を購入しているか?
  • 化粧品の使用感
  • (定価を伝えて)この価格なら使用するか?:Yes/Noとそれぞれの理由
デモグラフィックデータ
  • 名前
  • 年齢
  • 家族構成
  • 居住地
情報収集源
  • 普段、使用しているSNS
  • 普段、何から情報収集しているか?:サイトURL、雑誌名、SNSであればインフルエンサー、YouTuber名
  • 購買決定要因:価格や品質、知名度、友人から勧められたなど、複数要因があるので選択式にする

インタビューやサンプリング会を通し、彼らがどこにいて、どういった悩み、課題を抱え、どういった購買決定要因を持っているかを把握すれば、どういった打ち手(戦術施策)を優先的に実行していくべきかが見えてきます。

イタリアにて、京都発のアパレルブランドのサンプリング会を実施した際は、ウェブを通して訴求していた商品コンセプトである「洋服の中に和(京都)のテイストを入れて、和を感じて欲しい」というものは十分伝わっていましたが、帯やブレスレットの使用方法が伝わっておらず購買を躊躇してしまう可能性があるということがインタビューを通して分かりました。

インタビューの内容を参考に、帯の使い方の動画やブレスレットの固定の仕方の説明を追記することで、ユーザーの理解が深まり、購買につながることも分かりました。

また、共感価値商材の場合、サンプリング会やユーザーインタビュー時にビデオや写真を撮らせてもらい、許諾に基づいてサイトに掲載することで、サイトに訪れたユーザーに、自分と似た悩みや課題を持った方の声で商品の価値を伝えることが可能になります。

この後、競合製品のサイトの分析や成分を比較し、市場で目指すべきポジションがクリアになれば戦略の精度は更に上がります。

価値と顧客を定義し、戦略の精度を挙げましょう

イーコマースのグローバル化のマーケティングを成功させるためには戦略フェーズがとても重要になります。ここでコアなターゲットと提供する価値の定義をすることで、その後に実施すべき戦術施策が見えてきます。

日本語サイトを英語に翻訳したサイトでは日本人向けの訴求を英語にしたサイトになるだけです。日本でターゲットを設定し、ユーザーインタビューをしてコンセプトを決めているように、海外進出する際も顧客の理解が最も重要です。

クライアントは、イーコマースのグローバル化サイトを制作し、英語でGoogle広告を配信すればある程度売れると考えがちですが、そんなに簡単ではなく、場合によっては4PのProduct(製品)から見直すこともあります。

そのくらい覚悟を持ってリソース(人、お金、時間)を割き、取り組む必要があるということをクライアントに伝えていってください。